きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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 今回ですが、ずっと書きたかったシーンを書いていたつもりですが、思わぬ「書きづらいシーン」が生まれてしまいました。正解のない問いが多すぎませんかねぇ…?
 そんな今回のサブタイの元ネタもまた「銀魂」より「初期設定はナメたら命取り」でお送りします。


“おめーのような単純脳ミソのやるパターンは全て読まれてるってこと、わかんねーのか? このウスバカが”
 ……ジョセフ・ジョースター


第26話:新聞はナメたら命取り

 ローリエ達が写本の街で新聞社「エトワリアン・ニュース」を設立してから数日後。

 芸術の都……そう呼ばれる都市では、異変が起こっていた。

 

 

「我々はリアリスト!!

 この世界は聖典に騙されている!

 今こそ、聖典を手放し、偽りの希望をバラまく神殿を倒すのよ!!」

 

 

 毛先が水色っぽい赤髪の、際どい服装をした巨乳の少女が、プレートを掲げて都の人々に叫びかけていた。彼女に付き従う、同じく際どい服装の男女――赤髪少女の取り巻きだ――も、「聖典を否定せよ」「聖典を捨てよ」という、似たようなプレートを掲げていた。

 赤髪少女の名は、リコリス。

 聖典を否定するテロ組織『リアリスト』の幹部・真実の手の一員で、『左手』の異名を持っている。

 今ここでデモを行っているのは、リアリストの長・ハイプリスの指示によるものだった。『芸術の都を攻略せよ』………その命令に従ったものだ。リコリスは、芸術の都の水面下で手駒を集め、一気に攻略しようとした。

 

 だが…作戦は、リコリスの思うようにいかなかった。

 その原因は、遺跡の街で怒ったウツカイとリアリストによる大虐殺のニュース……それが世界中に知れ渡った事が大きかった。

 いくら勧誘しても、曖昧な返事で誤魔化され、逃げ出してしまう………当然だ。誰が好き好んで人殺しのテロ組織に入りたがるのか。既にリアリストの悪名が知れ渡っているのだ、一般人どころかゴロツキ紛いの小物さえも裸足で逃げ出してしまうのだ。

 痺れを切らしたリコリスは、絶望のクリエで洗脳する方法を取ったのだが、ハイプリスとサンストーンに「絶望のクリエの無駄遣いはやめてくれ」と釘を刺され、即座に案が頓挫したのだ。我ながら思いついた妙案だったから尚更、リコリスの怒りは溜まっていく。

 

 これにはリコリスもイラつかずにはいられなかった。

 誰も彼もが私達をバカにして…許せない。しかも、よりにもよってこんな時にあのグズは神殿にとっ捕まって、八つ当たりもできない。そんな彼女の精神状態は、まさにいつ爆発してもおかしくない火にくべられた爆弾そのものであった。

 

 そして我慢できなくなった彼女は、とうとう行動に出た。

 僅かに現地調達できた戦力と、代案としてハイプリスから送られたウツカイ達を引き連れ、デモを始めたのだ。それが、冒頭の光景である。

 赤髪の少女が、トップを練り歩く、人2割ウツカイ8割の行列は、デモ行進どころか百鬼夜行である。それを見て、リコリスたちの味方をする者など存在するはずもない。これに味方をするのは同じリアリストのサクラか世情に疎すぎる大馬鹿者か本物の異常者だけだ。

 

 

「ふざけんな! 誰がお前らの言う事なんか!」

 

「そうだそうだ! 遺跡の街で虐殺した連中なんか、信じるものか!」

 

「出ていって! 今すぐそのバケモノを連れて出ていってよォ!!」

 

 

 ……当然、こんなリアクションになるのは必然だ。

 都に住まう人々は、自分達の街を、家族を、芸術を、友人を、おのおの大事なものを守る為に声を上げ、石を投げつけた。それはまさしく、罪人の石打ち刑のようであった。

 

 

「なにが聖典は欺瞞に満ちているだ!」

 

「僕たちの希望を悪く言うな!」

 

「帰れ!」

 

「人殺しは帰れ!」

 

「テロリストは帰れ!」

 

 

 そして、その石打ちは、ドンドン激しくなっていく。

 投げられた石は、ウツカイやリアリストの構成員に当たっていく。ウツカイが反撃しだしてもおかしくないというのに、人々は勇敢にも、というべきか蛮勇にもというべきか、抗議をやめない。

 

「り、リコリスさん…これはマズいですって…」

 

「黙りなさい。私だって、コイツら皆殺しにしたいわよ。でも、これ以上リアリストの心証が下がるのは良くない……ッ」

 

 リアリストの構成員の一人が、現住人の抵抗の激しさに撤退を進言しようとするも、リコリスにとってはそれさえ癪に障るのか、怒気を孕ませた声で黙らせた。

 ヒナゲシが派手に暴れた一件のせいで、リアリストの活動は可能な限り目に見える場所での暴力行為を控えるようにと通達が来ているのだ。

 リコリスも馬鹿ではない。その事を忘れてはいなかった。

 

「聞け!芸術の都の民よ! 私達は、聖典を手放した先の、しん゛ッッッ!!?

 

「「「「~~~~~~~っっっ!??!?!?!?!?」」」」

 

「かえれ! せいてんをけがすわるものはかえれ!」

 

 

 リコリスの頬に、両掌大の石がクリーンヒットする。投げたのは、まだ幼い子供だった。分別が付いていない故の、容赦のない一投だった。

 リアリスト構成員は、目の前の光景に顔が青ざめる。やばい、コレは絶対キレるやつだ! と。

 恐る恐る、構成員の目がリコリスに移る。

 

 

「え、えと…………り、リコ――」

 

「―――ウツカイ共、そして構成員。命令を変更するわ」

 

 

 リコリスは、決して馬鹿な女ではない。ハイプリスの「目立つ場所で暴力を振るうな」という命令は今の今まで覚えている。

 ………ただし、煽りや挑発行為への耐性がゼロを通り越してマイナスに突入しているだけで。

 

 つまり、どういうことかというと………この瞬間、自身の美しい顔に派手に石をぶつけられたことで、思いっきりすべてがプッツンいってしまった、ということだ。

 

 

―――私達にナメた真似したヤツを全員! ブッ殺せッッ!!

 

「「「「「「ウツー!!!」」」」」」

 

「「「「「うわあああああああああああああああああああああああああッ!!!!」」」」」

 

 

 命令? 暴力を振るうな? 知った事かッッ!!!

 今ここで―――ナメた事をしてくれやがった連中全員に!目にモノを見せてやる!!

 さっきのリコリスへの暴力がきっかけで、リコリスは、都の民への苛烈な逆襲をすることを決意したのだ!

 ガチギレしたリコリスの命令に、ヒャッハー化したウツカイが人々に襲い掛かり、住人達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。

 

「り、リコリスさん! 流石にマズいですって!」

 

「あ゛ぁん? 何がマズいってのよ!!」

 

「ヒィィィィッ!!」

 

 構成員が陳言しようとしたのを、憤怒に任せた凄みで黙らせる。これを元の世界ではパワハラという。

 そして、そいつが忠告しようとしていた内容を勝手に推測したリコリスが、こう続けた。

 

「目撃者が面倒なら、ソイツもブッ殺せば良いのよ。

 良い!!? アンタも殺るんだからね!! 日和ったらアンタから斬り刻むわよ!!」

 

「わっ、わかりましたぁぁぁ!」

 

 冷酷な判断と共に、部下に暴言を吐き散らしながら虐殺を始めたリコリス。

 目撃者を恐れるなら、ソイツも消せばいい……確かに筋は通っているように見えるだろう。

 だが、筋なんてものは魚の刺身にも通っている。

 

 こうして、唐突に始まった芸術の都での大虐殺。

 この事件で、のべ300人もの住人と観光客が犠牲になったという。行方不明者・死亡推定者も含めるともっと多くなるだろう。

 だが、生還した人々も確かに存在したのである。指揮官たるリコリスがガチギレして、冷静さをはるか彼方に放ってしまったのだ。そんな、頭に血の登った状態では、混戦の中見落とす人々がいてもおかしくはない。

 そして。

 

 

「や…やばい…この写真は……! すぐにシュールさん達に()()しないと…!」

 

 

 ―――見落とした人々の中に、新聞社の社員がいて、ソイツに決定的瞬間を撮られたことにも……冷静さを欠片も無くしたリコリスでは気付けなかったのである。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 新聞社『エトワリアン・ニュース』が開業して数日。

 メディとフェンネルが奥義修得のために写本の街を離れて、最初の事業の足掛かりとして、転移魔法の使えるユミーネ教徒の傭兵に各地を取材させていたのだったが、その戦果は、意外と早くに訪れた。

 ひとりの傭兵が、息を切らしながら会社内へ駆けこんできたのがきっかけだったか。

 

 

「シュールさん! シュナップさん! ローリエ様! いらっしゃいますか!? すぐに見せたいものが…」

 

「お、おう、どうした!? お前…どこへ行った奴だ?何を見てきた!?」

 

 

 息を切らし、取り乱しながら呼ばれたものだからビックリしたが、その傭兵、かなり動転している様子でカメラを握りしめていた。

 なんでも、かなりヤバいものを撮ったようで、すぐにでも見て欲しい写真があるようだ。

 落ち着くように割って入ってきたシュールさんによって、その調査員の傭兵は応接室に招き、例の写真を現像するまで待たせた(そわそわしててせわしなく、ちょっとウザかったが)。

 そうして、現像してアリサが持ってきた写真を、皆で見ることにした。

 

 

「「なっ!!!?」」

 

「これは…」

 

「そんな…!」

 

「女が、子供を刺している…!」

 

 

 それは、髪の一部をテールにした、赤い長髪の女が、般若みたいな怒りの表情で子供に刃を突き立てているシーンだった。

 ほんのちょっとだけ背景がブレているが、場所が芸術の都で起きているらしいことも理解できる。

 飛び散る血の一滴までフィルムに移りこんでいて、ショッキングで臨場感のある一枚だった。

 

 

「…なぁ、お前…これは?」

 

「芸術の都での取材中、聖典を否定するデモの先頭に立っていた女が急に激高して……それに付き従う部下やウツカイ達も人々を襲い始め、虐殺が始まったんです。これは、その最中での一枚です」

 

「よく、見つかって始末されなかったわね。こんなところ撮られたと分かったら、この女、真っ先に貴方を狙ったはずよ」

 

「それが、この女…写真の子供に石をぶつけられたようで、それで完全に逆上していた様子でした。周りが見えなかったんだと思います。それに、周りが乱戦状態だったのも幸いした…と思います」

 

 

 シュールさんの言う通り、これは明らかに決定的な証拠だ。

 警察関係の手に渡ったら、間違いなく御用になるレベルで言い訳のしようがない。

 ましてや、犯人がこんなにくっきり写ってる写真なんぞ、処分するために狙われても良いモンだ。

 どうやらこの傭兵、土壇場での運は相当良いようだ。

 

 

「…お前、名前は?」

 

「マランドと申します!」

 

「そうか、マランドか。覚えておこう。

 ……よくこの写真を持って帰ってきてくれたな」

 

「………こ、光栄で、あります」

 

「ああ。とはいえ……だ。アリサ、何か言いたげだな」

 

「っ!!?」

 

 

 アリサの肩がぴくりと震えた。

 表情もなんだか、浮かないような表情をしている。………その理由は、なんとなく想像つくけどな。

 

 

「あの、マランドさん…貴方……その子供はどうしたの? これ…間違いなく致命傷だよ………そんな子供を、ちゃんと助けたの?」

 

 

 そう。この写真が撮られたということは、この場面でカメラを構えていたと言う事。無垢な子供が凶刃に倒れたその場面で、傷の手当より先に、写真撮影を行ったことを意味している。

 それが、命を軽んじているようで、アリサは疑問を覚えずにはいられないのだろう。マランドは、アリサの質問に対して、しばし俯いていたが、やがてぽつりぽつりと話しだした。

 

 

「何を言っても、言い訳にしかなりません。自分がこの子を見捨てたのは……事実であります」

 

「ッ…! この…馬鹿ッッ!!!」

 

「ぐあっ!!!?」

 

 

 自分は、子供を助けなかった。

 すべては、写真を届ける為に。都で起こった悲劇を、もみ消させない為に。

 そう言ったマランドの頬に、アリサの拳が突き刺さった。マランドが椅子からふっ飛ばされ、ゴロゴロと転がる。

 

 

「子供を見捨てて、平気だったって言うの!? あんな残酷な場面を目の前で見せられて……戦おうとしなかったのッ!!? だとしたら……私は、貴方をっ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろアリサ! 気持ちは分かるが……拳を引け」

 

 再びマランドに殴りかかろうとしたアリサの手を、ギリギリのところで止める。

 目の前で死にかけた子供を相手にどうするか……きっと、アリサなら迷わず助けに入るに決まっている。俺でもきっとそうしただろう。

 目の前で消えかかった子供の命を前に、背を向けること。それに、何の感情も湧かなかったとしたなら……到底許すワケにはいかない。そういうことなんだろう。

 

「どうして!!!」

 

「人を思いやること……それは、アリサの強さだ。でも…今はこの場を、俺に預けてくれないだろうか。

 これは、この襲撃で奪われた命すべての為であり……ここに写っている、許しがたい女を一刻も早く捕えるためなんだ」

 

「………」

 

 

 写真の女を捕えるため、そして芸術の都で再び起こったと思われる虐殺の被害者たちのため。

 そう言ってしまえば、流石のアリサも拳を緩め、マランドとの距離を離して、席に着いた。

 子供を見捨てた彼に非はあろう………だが、それ以上に一番悪いのは赤髪の女であり、虐殺を始めた連中なのだから。

 

 

「さて。アリサ。お前は確かに聞いたな、子供を見捨てて平気だったかと。

 だが、マランドがこの写真を撮るだけして逃げ出すことに、罪悪感を覚えなかった筈がないんだよ」

 

「え、それは……どういう?」

 

 アリサは、俺が「罪悪感を覚えているに決まっている」と言うと、理解できないようにきょとんとした風にそう聞き返してきた。

 

「まず……彼から聞いた限り、芸術の都は瞬く間に戦場になった。詳しくは現場にいた彼にしか分からんだろうが……誰かを助ける余裕はほぼ無かっただろう。無理をして自分が命を落とせば、情報も伝わらなくなる………そうだったんだろ?」

 

「……正直に申し上げると。自分の無力さが情けなくて仕方ありません」

 

「そう重く考えすぎないで、マランド。それに………最初にそのことについて聞かれた時、潔く自分のやったことを認めたのは立派だったわ。ああいう時、人は言い訳のひとつやふたつはしたがるもの」

 

「そうだね……君の任務は、最初から情報収集だった。やれる範囲で誰かを助ける分には良いけど……人助けは、自分が命を落としたら意味がなくなっちゃうからね」

 

「そうだな。もしマランドがあそこで死んでたら、俺らがこの情報を得ることも出来なかったわけだし」

 

 そこにシュールさんとシュナップさん、そしてロシンが援護射撃を行うことで、アリサの説得に加わる。

 俺の予想通り、写真を撮った張本人も罪悪感がなかったわけでもないので、情状酌量はあるだろう。そこら辺は、後で団長と副団長に処遇を決めてもらおう。

 

 

「―――とはいえ、この写真が、1人の子供が命を落としたっていう決定的な証拠でもある。

 この写真を新聞の記事や更なる情報収集に使う前に、いったん皆で黙祷を捧げてあげよう。

 それが、僕たちにできる、この子への手向けだと思うよ」

 

 

 シュナップさんによって、黙祷の時間が作られる。俺達は静かに祈りを捧げてから、為すべき作業を再開した。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 黙祷の後、俺は「確かめる事があるから」と言って、言ノ葉の神殿の牢獄に一時的に戻ってきていた。用があるのは、牢屋の中の囚人だ。

 

 

「よう、住み慣れてきたんじゃあないか、ここに」

 

「……新手のイヤミなの?」

 

 

 そう、ヒナゲシだ。

 最近は虐待の跡も癒えて来たのか、軽口なら付き合ってくれるようになった。

 そして、俺がここに来たのは……リアリストと、例の写真の女が関係あるのかを聞き出すためだ。

 

 

「それはそうと…聞きたいことができたんだけどさ。

 この写真に載っている赤髪でボインな女………コイツに見覚えってあったりする?」

 

 例の写真を見せながら、ヒナゲシに問う。

 ヒナゲシはそれを見た瞬間、目を見開いて動揺したかのように呆けた。

 ……が、すぐさま表情を取り繕ってこう言った。

 

「……………お、教えないの。私と貴方の持っている情報は交換する……そーゆう契約なの」

 

 ……ふむ。『契約』を取り付けてからちょっとだけしたたかになったな、コイツ。ちょっと前まではうっかりポロっと情報を話してくれたりして、ラッキーな状況とか起こったんだがな。うっかり話す前に『契約』を持ちだされたら、こっちもそれを守るしかない。

 

 

「…それもそうだな。じゃあ、俺からは非公開にしてる魔道具……その設計図を1枚やろう」

 

「ありがとなの。それで、その写真の女の人だけど……()()()()()()()

 

 

 契約の対価として(出来たものがゴミ過ぎて使えないから)非公開にしてる魔道具の設計図をあげて、ようやくヒナゲシが口を開く。それで彼女は、写真の女なんか知らないとのたまった。

 俺はその様子を見て………ナメてんのかコイツ、と思った。目は泳いでいるし、声の調子もいつもより震えている。そんな()()()()()()で、()()()()()()()()()()で、この俺をダマせると思っているのか?

 その様子を見て、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()、もう一度尋ねた。

 

 

「…本当に何も知らないのか?」

 

本当に知らないの

 

「この期に及んでウソをついてるとかしてないよな?」

 

しつこいの。その人はリアリストとは関係ないって言ってるの!

 

「…今から俺の言う事を復唱しろ。

 『俺は男だ・水は武器だ・温泉卵は世界一』、はい」

 

「???……『私は女だ・水着はビキニだ・ゆで卵は日本一』……あれ!!?」

 

 フフ、気づいたか。だがもう遅い。

 

「俺の嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)は正常に起動している………である以上、お前の「この女を知らない」「リアリストとは関係ない」はウソだな。さぁ、本当のことをキリキリ吐いてもらおうか?」

 

「ど、どうして……い、いったいいつの間に…私に何をしたの!!?」

 

「教えても構わない。ただし、嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)のことを知りたいなら、その対価として……『お前らリアリストの最終目標』を話して貰おう。

 勿論、ウソはなしで、だ…!」

 

「!!!!」

 

 

 飴玉型変形取付魔道具・嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)

 飴玉のような形と甘味でカモフラージュされたこの魔道具は、口に入れたヤツの舌に憑りつき、起動中には『憑りついたヤツの本心とは逆のことを強制的に言わせる』能力を発揮する、某スタンド能力を完全再現した代物だ。

 最初のご飯の時にデザート代わりにあげたので、現在ヒナゲシの舌にはコイツが憑りついている。それを利用しさえすれば、契約を徹底的に守らせることくらいわけないのだ。

 ヒナゲシが『契約』に慣れ始めたら、ウソをついてくる可能性は考慮していた。既にこっちは手を打っているということよ!

 

 この後だが、ヒナゲシは「リアリストの最終目標は言わないから、能力のことも聞かない」と言いつつ、あっさり写真の女についてゲロってくれた。

 まぁ、ウソをついても意味がないと思ったから観念したんだろうな。どんな誤魔化しも嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)の前では意味をなさないと思ったのだろうか。

 ヒナゲシは幼いからか、ウソの内容も使い方も杜撰そのものだ。さっきだって、「ヒナゲシが嘘をついた」と分かったから魔道具を使っただけだからね。

 嘘ってのは、もうちょい頭を使って使わないと、すぐに見破られちゃうぞ。教えるつもりも義理もないケド。

 

 

「さて…裏はしっかり取れたな」

 

 

 後はこの特ダネで新聞を作り、増刷するだけだな。

 さぁーて……見せてやるよ、リアリスト。

 

 

「『真実の手・左手のリコリス、芸術の都を侵略・大虐殺!』……この“真実”はキチッと全世界に届けてやるからな」

 

 

 この世界には、あらゆる武器(けん)をもってもどうすることもできない言論(ペン)が存在すると言う事を。

 お前らのような、憎悪だけで動くような単純脳味噌の行動パターンは、すべて読み切られているという事を。

 




キャラクター紹介&解説

ローリエ
 新聞社に転がり込んできた、センセーショナルなニュースをものにすべく暗躍する拙作主人公。アリサの言うように、目の前で消えそうな命は助ける主義だが、自分が八賢者であるが故に、自身が死んだら誰も助けられなくなることを理解している。

リコリス
 今回の話において、大戦犯をかました『真実の左手』。本来は誰かに証拠を撮られるようなマヌケではない筈だが、①リアリストの風評が事前に行きわたっていて人々の防犯意識が高くなっていたこと②ストレス発散用の道具(ヒナゲシ)が手元にいなかった ことで、通常時よりも冷静な判断ができなくなっていた。怒りっぽい性格の彼女が、ストレスのはけ口を得られなかったことで大爆発したさまはさもありなんといった様子だが、当然彼女自身の決定的な証拠が撮られたとはまだ気づいていない。

シュール・ストレミング&シュナップ&アリサ&ロシン
 ローリエと共にリコリスが引き起こした惨劇の写真の目撃者になった者たち。シュールやシュナップは写真で起きた光景に心を痛めつつ、写真を持って帰ってきた部下に生還したことを褒めたたえた。ロシンはほぼ無言だったが、彼の意見としては見知らぬ誰かよりも自身の命、そして写真を優先したマランドに好感を持っている。アリサの心情はほぼ本文通り。

マランド
 リコリスの凶行の決定的瞬間を撮っただけでなく、生還して写真を持って帰ることにも成功した、ユミーネ教傭兵団の一員。傭兵団には珍しく腐男子で、男の娘専門らしい。今回だけ登場のモブ。だがモブ傭兵の中でもぶっちぎりで運がいい。
 名前の由来は、パプリカの品種の1つ「マランド」から。日本では売れ筋のMサイズパプリカだそうだ。



嘘吐きの赤い舌(トーキングヘッド)
 ローリエがお遊びで開発した魔道具。飴玉状だが、口の中に入ると舌にとりつき、その人の思っている事と逆のことを言わせる。『戻れ、トーキングヘッド』の合図で口から飛び出し元の飴玉姿に戻る。「強制的に思っている事と逆のこと(ウソ)を言わせる能力」を使って、情報の真偽を確認したり、吐かせたりすることも可能。実は前作のオマケパートに登場している。
 元ネタは『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』に登場する、ギャングのボスの親衛隊員ティッツァーノのスタンド能力。というかマンマソレ。アニメ版のCVは某社長でおなじみ津田氏。海外では声優とその演技力もあってやや人気があり、ファンもいたりする。



△▼△▼△▼
ローリエ「ショッキングな写真から、センセーショナルな記事が生まれる。覚悟しろテロリスト、これでお前らの名声は地に落ちる!」

アリサ「効果はあるんでしょうか?」

ローリエ「俺が太鼓判を押そう。『予想をはるかに超えた効果が出る』。さて、そろそろその頃のきららちゃん達を見てみようぜ?」

アリサ「そういえば、きららさん達はあそこに乗りこむんですよね?……大丈夫でしょうか…?」

次回『ここは「生と死の都」』
アリサ「次回もお楽しみに!」
▲▽▲▽▲▽

オリキャラを増やす事についてどう思う?

  • 私は一向にかまわんッッ
  • やっても良いけど、背景しっかり描写して♡
  • もうお腹いっぱいだわ!
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