バカとテストと召喚獣 PA18外伝   作:Mr.ペンギン

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~前回のあらすじ~
試召戦争を終えた翌々日の日曜日、明久達は夏海の命令により交流会を行い、映画を見に行ったりご飯を一緒に食べたり満喫していた。ところが、そこに島田達Fクラス勢の妨害が入り、急遽逃げざるを得なくなるも、機転を利かせて学校で召喚バトルを行い撃退した。そしてその後、美月の何気ない提案でお互いを名前(ニックネーム)で呼び合うようになり、そして連絡先の交換を行う等更に親睦を深めていった。


第漆話 変人教師登場

〜明久side〜

 

ふわぁぁ〜……。

 

交流会から一夜明けた月曜日。時計は7時40分を指している。朝ご飯を手早く済ませた僕は登校の準備をしていた。えっ?遅刻の常習である僕が何でそんな時間から起きてるって?失敬な!僕にだって遅刻せずに行った日はあるよ!ただ、数える程しかないけど……。まぁでも、確かに今までの僕ならこの時間もまだ夢の中だろうね〜…。けど今日からはそうもいかなくなったんだっ!

 

と言うのも―

 

ピンポーン

 

おっと、噂をすれば来たみたい!あんまり外で待たせるのも申し訳ないから足早にドアへ向かう。ドアに付いてる覗き窓をみると、予想通りの人物がいた。

 

優子「明久君、予定より少し早いけど来たわよ~。」

 

明久「大丈夫大丈夫!でも優子さん、まだ準備が出来てないから中に入って待っててくれるかい?」

 

優子「ありがとう。ならお邪魔するわね。」

 

実は今日から、優子さんと一緒に登校する事になったんだ〜!そのきっかけは、寝る直前の僕に掛かってきた一本の電話だった。

 

~明久の回想~

 

昨日の夜、僕が今気に入っているRPGをやってる最中のこと―

 

ピロロロロ~ン!

 

明久「ん?こんな時間に電話?誰からだろ…?」

 

突然携帯から着信音が鳴り、ゲームを中断して携帯を手に取った。サムネイルには『木下優子』と書かれていた。何故に電話を掛けてきたのか疑問を抱きつつ、電話に出た。

 

明久「もしもし優子さん。どしたの~?」

 

優子「こんな夜遅くにごめんね。明久君にちょっと聞きたい事があってね。」

 

聞きたいこと…?はて、何のことだろう…??まぁ、聞けば分かるか。

 

明久「えーっと…、何かな?」

 

優子「明久君って、いつも何時頃に学校に行ってるの?」

 

明久「そ、そうだね~…。大体時間ギリギリだよ。人に言うとかなり恥ずかしいけど…。」

 

自業自得とは分かってはいるけど、改めて今の登校時間を誰かに言うのは何となくちょっと気恥ずかしいなぁ~…。ましてや女の子に!そりゃあ普段から遅れて行く僕が悪いんだけどさ~……。それを聞くと優子さんは「そう…。」とだけ言って何やら少し考え込んだみたいだった。本当にどうしたんだろ…?なんて思っていると、再び口を開いた。

 

優子「じ、じゃあさ…!明久君が良かったらで良いんだけど、明日からアタシと一緒に登校しない?」

 

な、何だって……!?優子さんからそんな魅惑的な誘いが…!!僕個人的には途轍もなく嬉しいけど…。

 

明久「それは良いけど…、でも何でまた??」

 

優子「アタシは今まで明久君の事を噂通りマイナスの人としか見てなかった。でも、明久君と実際に関わってみたら、マイナスばかりか寧ろ優しくて思いやりのある素敵な人だって言う事を知ったの。明久君のお陰で、ウチのクラスは学力が全てじゃないって事をやっと理解したの。ただ、今でも成績とかそう言う表面上のものだけでしか見ていない人もいる。だから汚名返上する為に、今からでもちょっとずつ生活を改めようって思ったの!だからその…、一緒に登校しない?あ、勿論明久君が迷惑じゃなかったらよ?!別に強要するつもりなんてないのよ!」

 

優子さん…!!僕のことをそんなに考えてくれてるんだ…!!生活改善も然り、何より優子さんのような美少女と一緒に登校できるって、僕に対してメリットが多すぎるんだけど良いのかな??あ、ちゃんと答えを言わなきゃ!

 

明久「うん、勿論良いよっ!そしたらよろしくね!」

 

優子「本当っ!?アタシに任せてっ!!………やった!///」

 

ん??最後の方は小声でよく聞き取れなかったぞ…?っていやいや、そんなことよりも―

 

明久「いやー、これから優子さんみたいな可愛い美少女と登校出来るなんて、僕は相当ツイてるなーっ!!」

 

優子「えっ……///」(ボンッ!!)

 

あれ??今度は思いっきり膨らませたお菓子の袋が破裂したような音が聞こえたのは気のせいかな……??

 

明久「ならさ、8時頃に僕の家に優子さんが来るって事で良いかい?」

 

優子「う…、うん!!分かったわ!じゃあまた明日ね。お休みっ♪」

 

明久「うん。お休み~。」

 

心なしか、優子さんの機嫌が良くなってた気がした。でも気のせいだと結論付けて、その日はRPGの続きを少しだけやり、キリが良い所でやめてすぐに寝た。

 

~明久の回想終了~

 

そして今に至るってワケさ!折角優子さんが僕の為にああ言ってくれたんだもん!こっちもそれに応えなきゃね!よし、後はお茶を入れた水筒を鞄に入れてっと!

 

明久「お待たせ優子さ~ん!行こっか!」

 

優子「うん!行きましょ!」

 

僕達は玄関で靴に履き替え、学校へと出発した。いやぁ~これが毎日の日課になるって思うと、登校の時点でテンションが爆上がりだね~!

 

~明久sideout~

 

~優子side~

 

今日から明久君と登校できるなんて、幸せ過ぎるわね~!うふふっ♪

 

昨日帰ってから、秀吉にそれとなく明久君のことを聞いてみて正解だったわ!明久君ってば、本当は物凄く他人思いで真っ直ぐな優しい人なのに、「観察処分者」って言う肩書が独り歩きしちゃってるせいで何かと冷ややかな目で見られちゃうんだから、それが堪らなく悔しいし悲しいのよね…。だから、ちょっとでもそんなことが無くなるように張り切っちゃうんだから!!

 

そういう訳だから電話で言ったことに嘘偽りはないけど、本当の目的はちょっとでも明久君と一緒にいられる時間を作ることっ!!いくら仲良くなったとは言っても、やっぱりクラスが違えばその分一緒にいられる時間も限られちゃうから、今回のことを提案してみたの。正直言ってダメ元だったんだけど、そんな不安とは裏腹に明久君はあっさり快諾してくれた。そればかりか―

 

優子『可愛い美少女……、かぁ~………♪』

 

昨日のやり取りを思い出して、またしても胸が高鳴ってしまう。明久君ってば、どこまでアタシの心を搔き乱したら気が済むのよ!?//対面してる時もそうだけど、電話越しでもあんな恥ずかしいことをポンポン出すなんて反則じゃない!!///それに明久君のあの口振りからして、明久君も楽しみにしてくれてるって分かったから、殊更提案してみて良かったって思う!やっぱ言ってみるものねっ!

 

明久「優子さん?」

 

優子「ひゃい!?//なななっ、何かしら明久君?!///」

 

急にアタシの顔を覗き込んできたからびっくりしたじゃない!//あ、でも何か無邪気な子供みたいで可愛いわね……。////

 

明久「どうしたの??さっきから急に黙り込んじゃったりなんか百面相したりしてるけど…??それに顔まで赤いよ?」

 

どうしたもこうしたも、そりゃもれなく片思い中の男子が隣にいるんだし、貴方のことを考えてたんだからそうなっちゃうに決まってるでしょ!?///でも、超絶鈍感な貴方はそれに気が付かないんでしょうけど…。

 

優子「だっ、大丈夫よ!ほら!本当にダメなら明久君の所に行く前に休むって伝えるしっ!ね?」

 

明久「それもそっか!あ、でも本当にダメっぽかったら言ってね?」

 

優子「う、うん……。ありがとっ//」

 

もー!何で気付かないの!?一応秀吉から聞かされていたけど、まさかここまで鈍いなんてね…。とは言え、良くも悪くも今回はそのお陰で助かったけど…。あ、でも明久君に優しくしてもらえたのも悪い気はしないわね…!う~…、やっぱり何か複雑な気分ね……。

 

ま、今は気付かれなくても良いわ。だってアタシが振り向かせてみせるんだもの!!だから、今は明久君と登校するこの時間を楽しむことにしましょ♪

 

~優子sideout~

 

さて、突然だがここ文月学園には、変わった教師がいる。生徒から「鉄人」やら「生徒指導の鬼」等と呼ばれ恐れられている西村宗一も例外ではないが、それに引けを取らないかそれ以上に変わった…、と言うよりは、変人教師が2人存在するのだ。ここでは、そんな変人教師を紹介していくことにする。

 

1時間目のAクラスは、美術室で行われる。翔子達が待っていると、美術準備室登校する直結しているドアが開いた。そこから大きなあくびをし頭をポリポリ掻きながら、若い男性教師が出てきた。

 

秀喜「ふわぁ~…。んじゃ号令~。」

 

翔子「…起立。気を付け、礼。」

 

『『『お願いします。』』』

 

砂辺「はぁ~あ………。何で授業しなくちゃいけね~んだか…?やっきねぇ~な~…。かったりぃ~…。」

 

とても教師とは思いがたい発言が飛び出る。

 

砂辺「まぁ良いや。本当は先週の木曜にこの授業が始まる予定だったけど、試召戦争とやらで流れちまって今日が初めてやったか?俺は砂辺秀喜。石川県の輪島市出身だ。まぁ、適当によろしく~。」

 

軽く自己紹介したその時。美術室のドアが勢いよくバタンと開いた。

 

西村「砂辺ぇーっ!!」

 

砂辺「ん?何だ宗いっつぁんか〜。どうしたっていってーっ!!何すんだよ!?何いきなり顔面パンチしてんだよ!?」

 

西村「貴様ァ!!何故俺の机の上にケシカスが山の様にあるんだ?!答えろ!それと西村先生と呼べっ!!話す時は敬語だっ!!」

 

砂辺「ん?あ~アレ?実に芸術的だろ?」

 

西村「どこがだ!!しかも俺の消しゴムを丸々1つ使いやがって!」

 

砂辺「1つじゃねぇよ、3つだよっ!我ながら力作だろっ?んなことも分からねぇとか、お前だらなんか!?その目は節穴なんか!?」

 

秀喜は何喰わぬ顔で鼻糞をほじりながら答える。その上何故か逆切れされ、いよいよ西村の怒りが爆発した。

 

西村「バカは貴様だこの野郎!!ふざけるな!!なお悪いわ!」

 

西村はもう5発砂辺に強烈な拳骨を喰らわせ、怒り心頭のままその場から去った。渾身の拳骨を喰らった砂辺はうつ伏せでダウンしたが、何事も無かったかのようにすぐに立ち上がった。

 

砂辺「たあーっ…、朝っぱらから酷い目に遭った…!クソ、あのジジィ…!!人が折角机の上に芸術作品を作ってやったのに…!やくちゃもねぇーやっちゃ…!!」

 

「砂辺先生。芸術云々以前に単なる迷惑です。」と、その場にいた誰もがそう突っ込んだが、それを直接口にする者は誰もいなかった。

 

砂辺「ま、良いや。折角だしさ、何か俺に質問とかあったりする~?」

 

学校に来て間もない教師の最初の授業にはよくある教師への質問を受け付けてみる。すると1人の男子生徒が元気よく手を挙げ、秀喜は彼を指した。

 

生徒A「先生って彼氏いるんですか?」

 

秀喜「お前今なんつった!?いてたまるかよっ!?」

 

気怠そうにしている彼でも流石にこの質問には一気に目を見開いて物凄く驚き、全否定した。まさかそんな質問が来るとは思ってもいなかったのだろう。

 

秀喜「ほい他誰かあるか~って、またお前かよ?今度は何だってんだ?」

 

次の質問を受け付けると、同じ生徒が再度手を挙げた。他に手を上げている生徒がいなかったので、怪訝そうな顔をしつつも彼に指した。

 

生徒A「先生って彼氏いるんですか?」

 

同じ生徒が同じことを質問した。今度はニヤつきながら。

 

秀喜「はぁ!?いる訳ねぇっつってんだろーが!?さっきからこんのクソガキがぁ!!ぶっ殺してやろうかゴルァ!?」

 

流石に秀喜は頭に来てかなり言葉遣いが汚くなった。確かに確信犯で同じことを面白がって聞いてくる男子生徒にも非はあるが、それに対する罵詈雑言の数々は教師としての品格があまりにもなさすぎる。

 

尚、運悪くこの発言が偶々廊下を歩いていた西村の耳に飛び込み、一瞬で15発もの拳骨を喰らい、大仏のような状態のまま授業が進められることとなった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そして、次に2時間目は教室で生物。2時間目スタートのチャイムが鳴ってしばらくすると、何故かモゾモゾ動く布の袋を傍らに持った若い男性教師が姿を現した。

 

文太「よっしゃ号令っ!」

 

翔子「…起立。気を付け、礼。」

 

文太「え~っと、僕は天登文太。香川県の多度津って言うド田舎の出身や。よろしく~。」

 

この先生はマトモだなっと思ったその時、教室のドアが勢いよくバタンと開いた。

 

西村「天登ぉーっ!!」

 

文太「お~、こりゃあこりゃあ西村先生。どうしやした~って痛っ?!何するんっすか!?何で僕おがっしゃげられんといけんの!?」

 

西村「貴様ぁ!?何で俺の机の引き出しにひよこが20匹もいるんだ!?答えろ!」

 

文太「だって先生、愛嬌ないんですも~ん。」

 

西村「要らん世話だ!人の机の引き出しにひよこを飼いやがって!」

 

文太「失礼なっ!!鞄にもあと13匹生まれたてがおったでしょうがっ!!鳴き声も聞こえんとか、あんたのその耳は飾りなんちゃん!?」

 

西村「なお悪いわ!」

 

西村は再度文太に強烈な拳骨を喰らわせ、その場から去った。

 

文太「いたた~…。動物を可愛がって何が悪いんだよ…。」

 

この人も破天荒だな。この時、その場にいた誰もがそう思った。すると袋から何か出てきた。それは―

 

『『『コ……、コブラーーーッ?!』』』

 

そう。コブラだ。小柄ではあるのだが、コブラがにゅるにゅると袋から姿を現したのである。

 

文太「ぬあっテメェ!?誰が出て良いっつった?!」

 

そう言うと彼は、コブラの背後に回り込んで背後から足をかけて剄部に手を回し、コブラの胴体を挟んで締め付けた。

 

生徒B「すげぇ…。コブラにコブラツイストかけてやがる…。」

 

そうして彼は無事コブラを捕まえ、袋に戻した。しかし―

 

西村「…………………………。」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

『『『あっ……………。』』』

 

そんな文太の背後に、西村が一際強い殺意のオーラを発しながら仁王立ちして佇んでいた。しかし、当の文太本人はそれに全く気付くことなく、汗を拭った。

 

文太「ふぅ~……。ったく、世話が焼けるぜ~…!」

 

西村「それはお前のことだ大馬鹿者っ!!!!」

 

文太は力が目一杯込められた西村の拳を15発程喰らい、その場に暫くダウンした。その後すぐに復活したものの、半殺し状態のまま普通に授業が行われることになろうとは思ってもみなかったAクラスの面々は、どうすれば良いのか分からない状態だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

更に場面が変わって三時間目終了後の休み時間。明久と雄二が自動販売機コーナーから教室に戻っている時、あの二人が西村に追われている所に遭遇した。しかも、自分達に向かって。

 

西村「コルァ貴様ら!!室内をローラースケートで移動するなーーーっっ!!!」

 

秀喜&文太「「ぎょえぇぇーーーっ!!」」

 

明久&雄二「「ぎゃあぁぁあーー!?」」

 

明久と雄二も反射的に、秀喜と文太と共に西村から逃げ出した。

 

秀喜「ん?何だお前ら?お前らも何かやらかしたってか?」

 

明久「違いますーっ!ただの反射ですーっ!」

 

文太「そうなのかっ!けど、早い話が前科者ってヤツか?」

 

雄二「まぁ、間違いじゃないがな!!っとおわっ!?」

 

逃げながら会話をしていると、行き止まりに来てしまった。

 

西村「よぉし追い詰めたぞ…。……って何で吉井と坂本がいるんだ?」

 

明久「あははは……、鉄人がこっちに向かってきたものだからつい……。」

 

西村「全くお前らは……。取り敢えずお前らは下がってろ。今回用があるのはそっちの馬鹿2人だからな。それと西村先生と呼べと何度も言っているだろうが…。」

 

そう言って、西村は秀喜と文太をボコボコにした。

 

砂糸「「いってぇぇ~~…。」」

 

明久「うわあぁぁ………。これ滅茶苦茶痛いヤツだよ~………。」

 

雄二「まさか教師で鉄人に目を付けられてるヤツがいるとはな……。」

 

西村の鉄拳制裁を喰らった教師2人を、憐みの目で見る明久と雄二であった。だが、同時に自分達も人の事を言えないと気付き、何とも言えなくなったのは内緒だ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

明久「―ってことがあったんだ~。」

 

優子「そ、そんなことがあったの…。」

 

愛子「アハハッ!やっぱりあの2人、凄く面白いんだね~!」

 

時は変わって昼休み。明久達は屋上で昼食を取り、その時に休憩時間に起きた出来事を話した。因みに今回、転入生組は別件があるということで一緒ではなく、ここには明久、雄二、康太、秀吉、優子、翔子、愛子の7名だけがいる状況だ。いつもなら一緒なのだが。

 

秀吉「じゃが、お主らもとんだ災難じゃったの。」

 

康太「……反射的に逃げるあたり、流石だ。」

 

明久「あはははは……。そりゃ僕らは普段追われる側だからね~……。だから条件反射でそうなっちゃうんだよね~つい…。」

 

優子「も~、明久君ってば……。」

 

優子が呆れたように明久をジト目で見据えると、明久はあははと乾いた笑いしかできなかった。

 

雄二「それはそうと、あの2人は何者なんだ?教師でありながら鉄人にマークされるなんて、前代未聞じゃねぇか……?どうやったらそうなんだよ…??」

 

翔子「……生徒とのゲームや漫画の貸し借り、色んな動物の放し飼い、生徒教師問わない罵詈雑言の数々、落書きとその他諸々。」

 

明久「う、嘘でしょ………?下手したら僕や雄二より酷い気がするんだけど……。」

 

翔子の発言を聞き、呆気にとられる明久。しかし愛子が、「あっ!でもー。」と言葉を発する。

 

愛子「色々やっちゃってるけどさ、あの2人って何だかんだで生徒からの人気は凄いんだよー?」

 

「「「えっ?」」」

 

彼女の言うことに、一同がきょとんとする。すると秀吉と優子も何かを思い出したようにあぁと溢した。

 

明久「それってどういうこと?ゲームの貸し借りする位だから距離が近いってこと?」

 

優子「確かにそれもあるわよ。でも一番の理由は、どんな時でも自分の仕事よりも生徒を優先するから。ちょっと前にね、砂辺先生が職員会議を無断欠席したことがあったの。当然他の先生は良いと思わなかったし、それが判明した途端西村先生も連行しようとしたんだけど、いざ探してみると、ウチの学園の生徒が他校の生徒からいじめられてたみたいで、そのいじめていた生徒をボコボコにしてたんですって。他校とは言え、生徒であっても一切容赦しなかったみたいよ。つまり先生が職員会議に出なかったのは、その前にいじめの相談を受けてて、いじめっ子を懲らしめる為ってことよ。」

 

雄二「おいおいマジかよ…!んなことがあったのか……!?」

 

秀吉「それだけではない。ウチの部の後輩から聞いた話なんじゃがの、そやつは両親に…、所謂モンスターペアレンツに悩まされておったんじゃ。放課後に1人愚痴を溢していた時に偶々それが天登先生に聞かれて、そのまま打ち明けたそうなのじゃ。するとどうじゃ、冷静ながらも血相を変えて無理矢理両親の職場に案内させては、職場に押し掛けて両親をその場で叩きのめしたそうじゃ。それもその日はかなり重要な職員研修があったのじゃが、にもかかわらずそれをすっぽかしてまで来たそうじゃ。それ以来、両親は完全にトラウマになってしまいすっかり考えを改めたみたいで、お陰でそやつ自身も元気を取り戻したぞい。」

 

明久「うわああぁぁ~……!凄いね……!!」

 

愛子「でしょ?普段こそ手を焼かされている西村先生も、周りの目を気にせずに自分のことよりも生徒のことを第一に考えて一切の躊躇いなく実行に移せる所は凄く感心してるんだよ。でも、やっぱりちょっと強引な所もあるから冷ややかに見る先生もいたりはするけど、学園長をはじめ西村先生、高橋先生、福原先生みたいに一部の先生からは高く評価されてるんだって。」

 

康太「……人は見かけによらない…か…。」

 

彼らの知らない2人の一面を知り、感嘆する一同であった。するとここで、優子からある提案が出る。

 

優子「ねぇ、今日から定期的に勉強会でもやってみない?」

 

明久「?どうしたの突然?」

 

優子「だって、せめて来年は皆一緒のクラスが良いもの!その為には、今以上に学力が必要でしょ?」

 

明久「うー確かに…!僕らなりにやってみ始めたのは良いけど、やっぱりそれじゃあどうしても限界があるからね~…。」

 

愛子「良いじゃん良いじゃん!ボクも来年は皆で同じクラスが良い!だからその話、乗ったよ!」

 

雄二「そうだな。ならお言葉に甘えさせていただこうじゃねぇか。お前らも良いよな?」

 

康太「……愚問。」

 

明久「当然じゃないか!僕だって来年は優子さんと同じクラスになりたいしさ!」

 

秀吉「わしも問題ない。しかし、部活の時だけは参加できんことを許してほしいのじゃ。」

 

優子「できるときにやれば良いだけだからその辺は大丈夫よ。」

 

意見が纏まり、全員一致で定期的に勉強会を行うことが決まった。と、ここで愛子が疑問を投げかける。

 

愛子「やるって決めたは良いけど、いつからやる~?」

 

愛子の質問に、明久が答える。

 

明久「今日からやろうよ!折角決めたんだから早速やってみようよ!」

 

雄二「だな。折角モチベーションが高まったんだもんな。鉄は熱いうちに打てってヤツか?」

 

翔子「……愛子と秀吉は今日大丈夫なの?」

 

愛子「今日はプールの点検がある関係で無いよ~。」

 

秀吉「こっちはそもそも今日は部活の日ではないから大丈夫じゃ。」

 

優子「なら決まり!早速今日やりましょう!」

 

翔子「……今日はウチに来ると良いわ。……大人数になるでしょうし、その方が多分ちょうど良い。」

 

明久「分かったよ。ならこれ、光輝達にも伝えなきゃね!」

 

かくして、明久達の学力アップ計画が始動することとなった。「皆で同じクラスになる」と言う来年の目標に向けて―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
旧作との主だった変更点はありませんが、オリキャラである2人の教師について詳しく書いてみたのと、旧作では次話の冒頭部分に描いていた昼休みと勉強会の定期開催の下りを今回の末尾に持ってきました!これは試行錯誤の末、2人の教師を詳しく書くにはこうする必要があると判断したからです。
それでは、ここで今回登場した方言を紹介します!
・やっきねー:やる気がない(石川)
・だら:馬鹿(石川)
・やくちゃもない:滅茶苦茶な、とんでもない(石川)
・おがっしゃげる:ぶん殴る(香川)
・~ちゃん?:~じゃないの?(香川)



~次回~
第捌話 勉強会 in 霧島家 

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