プライベートの事情で執筆作業が滞っておりました....。
この作品を待ってくださっていた方々みなさんにお詫び申し上げます。
「いい?まずは向こうにバレないように三方向からあいつを囲む。私は正面、わっしーは右側、ミノさんは左側!わかった?」
「うん!それでそれで?」
銀はうずうずしながら園子の話に食い入るように聞く。
「それで、最初に横からわっしーが弓で攻撃する。向こうにはバレてないし、横からだから多分あいつは攻撃を防げない。もろに食らうと思うよ。........でも、わっしーの弓じゃあいつを倒せるほど強くない....。あいつは、攻撃されたらわっしーに気を取られてわっしーに攻撃してくると思う。」
「えっ!?それって....鷲尾さん大丈夫なのか!?」
「........わっしー....そこはしょうがないんだけど、あいつの攻撃は比較的遅いから、それは走って逃げて避けてくれる?」
「........。初戦からかなり重役ね。でも.......任せて!やって見せるわ!」
須美は少し緊張している様子だったが、弓を握りしめてそう答えた。
「で!?その後は....?」
また銀が聞いてくる。
「その後は、私が攻撃する。わっしーに気を取られてる間に正面からズドーン!だよ~!」
「おおっー!豪快ー!」
「大丈夫かしら....」
「私のその攻撃で向こうはだいぶダメージを負って隙ができると思うから、その隙にミノさんが....」
「トドメっ!....だな!?」
「うん!そう~!」
銀のノリに園子は楽しそうに答える。
「ちょっと二人とも!あいつの攻撃方法がわかってるからっていっても緊張感なさすぎよ!これは私たちにしかできない大事なお役目なんだからね!?」
須美はプリプリしながら二人に注意した。
『ご、ごめんなさ~い....』
二人は声を合わせて謝る。
(つい....ミノさんと話すのが懐かしくて....。でも、そうだよね!わっしーの言う通り、昔は勝てたからって油断はできない....)
「よしっ!じゃあみんな!変身するよー!」
「ええ!」 「ああ!」
園子の呼びかけに、二人は勇者システムを起動する。光に包まれ、三人はそれぞれの勇者服をまとった。
「おお!かっけー!あたしがあの伝説の勇者だなんて....!」
「三ノ輪さん、気持ちはわかるけど落ち着いて!」
「それじゃ、みんな!作戦通りにいくよ~!」
『オー!!』
園子のかけ声で、三人はそれぞれの立ち位置につくために別々の方向へと動き始める。
(一番大切なのはバーテックスにバレずに定位置につくこと....!それさえできればあとは勝てる....。ここは二人を....二人を信じよう!)
まだ堅苦しい須美と興奮中の銀。園子は多少の不安はあったものの、二人を信用することにした。
三人は樹海の特殊な地形を利用し、うまく隠れながら移動できている。そして....
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『こちら、準備できました!』
『あたしもOKだ!』
携帯で連絡を取り合い、園子は二人から報告を受け取る。
「よし、まだみんなバレてないね!上出来だよ~」
『なんで乃木さんに上から誉められてるのかしら....』
『鷲尾さん....今それ気にしたら終わりだよ....』
「じゃあ....わっしー、3、2、1の合図で弓を射って!」
『....!....了解!』
須美はそう返事すると電話を切った。
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見晴らしの良いところに立ち、バーテックスめがけて弓を引く。
(大丈夫....私ならできる....鍛錬通りにやれば....。私がやらなきゃ、ダメなんだ!)
「南無八幡........大菩薩っ!」
須美の放った弓は光のように一直線に早く、神樹に向かって進むバーテックスに直撃する。
(よし!当たった!)
すると次の瞬間、須美に向かってバーテックスが水泡を飛ばしてきた。
(!?こんなに早いの....!?)
園子からは遅いと聞いていたが、それは須美の思っていたスピードを超えていた。どんどんこちらに近づいてくる。
(逃げなきゃ....!)
須美はすぐさま行動し、地形の陰に隠れる。
「ふぅ....あ、危なかった....」
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「さすがわっしー。ちゃんとやってくれたね~!」
園子はそうつぶやくと体に精神を集中させ、力を溜める。それに反応した園子の勇者システムは持っている槍を大きく変形させた。
「私も負けていられないよ~!くらえっーー!突撃ー!!」
園子はそう叫んで思いっきり飛び上がった。自分ごと突進。園子自体が槍となり、遠くから見たらそれはもう紫に光るミサイルだった。
ズバーン!!
園子の体を呈した攻撃は、バーテックスの体を貫通。不意打ちの大ダメージを負ったバーテックスは、体を斜めに傾けてバランスを崩す動作を見せる。
「たあっ!!」
次に園子は槍を傘状に変形させ、それを用いて着地時の衝撃を和らげ、ストッ....と静かに地面に降り立った。
「あとは....トドメだよ!ミノさん!!」
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「三ノ輪さん!」
二人は最後の仕上げを決める、少女の名を呼ぶ。
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「二人ともすっげーな!あたしも負けてられないね!」
銀はそう言うと体に力をこめる。
「うおおおおお........!!」
銀の武器は魂のごとく燃え上がり、熱い炎を発する。
「トドメだっ!!バーテックス~~!!」
銀は高く飛び、体を傾けるバーテックスに向かって行く。そして....
「銀様の乱舞、くらいなっーー!!」
銀は何度も何度も敵の体を斬りつけた。目に見えぬほどの斬撃。銀の攻撃をまともにくらったバーテックスはバラバラになった。
「どうだっーー!!」
銀はそう言いながら背中から落ちていく。そこをすかさず園子が飛び出し、銀の体を抱きかかえてキャッチ。そして着地した。
「おっ、乃木さんサンキュ!」
「ミノさん!別に勇者になったからっていって、バリアとかついてないんだから、着地もしっかりね!あの高さで背中から落ちたらケガしちゃうよ~」
「あはは....どうも、お気遣いありがとうございます....」
銀は苦笑いしながらそう答えた。
「それで........そろそろ降ろしてもらえる?」
「あっ!ごめん~」
銀と園子がそんな会話をしていると、
「ん?なんだ....?」
「ああ、きっとこれは鎮火の儀だね~」
「わぁ....」
幻想的な風景に、銀も思わず見とれていた。
(これを見るのも....懐かしいな....)
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「綺麗....」
須美はひとり、遠くでこれを見ていた。そして、バーテックスの残骸が消えたのを目にする。
「あっ、消えた....」
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「消えた....な....」
「うん。消えたね~」
「ってことは....」
銀は園子の手を取った。
「やったー!私たち、勝ったんだー!」
「あ、うん!勝った勝ったー!」
二人は飛び上がって喜びあった。
(本当に懐かしい....。こんなことも........あったな....。)
「!?乃木さん、どっか痛いとこあるのか!?」
「え....?」
「乃木さん、泣いてるぞ!」
「え....あ....」
自分でも気づかなかった。こうしてまた、銀と手を取り合って喜び会えたこと、普通に話せること。それが嬉しくて、嬉しくて....いつの間にか無意識に泣いていたのだ。
「あ、はは....そうなんだよ~ちょっと腕痛めちゃって~」
「大丈夫か!?ちょっと見せてみろ。」
「あ、いや、別に大したことないって~」
「いいから、見せろ。」
「........。わかった。」
こういう優しいところも変わらずミノさんだ。
するとその時、
「うおっ!?今度はなんだ!?」
「....戦いが終わったから樹海が解けるんだよ~」
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「う、うん....?あっ!ほんとだ!ってここ大橋じゃん!学校じゃないじゃん!」
「そっか~学校に戻されるんじゃなくてここに戻ってくるんだね~」
「あっ、やべ~....上履きのままだ~....」
「とりあえず、学校戻ろっか~」
園子と銀はそんな会話を交わす。
「........。」
「....?わっしー....?」
須美だけは依然、ずっと黙りこくっていた。
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鷲尾家宅
バシャ!
この日の夕方。須美は、毎日の日課のお清めをする。そして、今日のことを振り返って反省していた。
(乃木さんの的確な作戦と指示がなければ....あの二人がいなければ勝てなかった....。私一人じゃ勝てなかった....。私がちゃんとしなきゃいけないのに。私が頑張らなくちゃいけないのに....。私が、私が....)
須美は何度も水を被る。そして、須美は一つの疑問を抱えていた。
(けど....巫女の力ってあそこまでわかることなのかしら....。バーテックスの攻撃方法も、樹海化だって初めてのはずなのにまるでわかりきってるみたいな言い方だった....。そこまで巫女がわかるなら、普通事前に大赦から敵の情報が送られてくるはず....。乃木さんだけ特別ってこと....?それとも、彼女は何か隠してる....?)
園子への疑問と自分一人じゃなにもできない無力さをひしひしと体に刻み込みながら須美はなんども水を被るのであった。
(第四話へ続く)