乃木園子は勇者である ~リベンジの章~   作:てんぱまん

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【第32話】Predecessor hero

 

神世紀300年 初秋

 

「戻ってきた...けど.......」

 

「学校じゃない...よね...?みんなは...?」

 

戦いを終え、元の世界へ戻ってきた友奈と東郷。しかし、いつもは学校の屋上に戻ってくるはずが今日だけは違った。二人はあたりを見渡し、何か目印になるようなものを探す。すると、東郷が

 

「あっ.....大橋...。」

 

と呟いた。その言葉を聞いた友奈もその方向を見る。

 

「本当だ!...ってことは私たち、結構遠くに来ちゃったね~...。」

 

友奈はそう言いながら風たちに連絡をとるためにスマホを取り出す。しかし、

 

「あれ!?ここ電波...通ってない...!?」

 

東郷も同様に確認するが、

 

「私の改造版でもだめ...!」

 

数多くの異変、初めての事態に慌てふためく二人。と、その時だった。

 

「ずっと呼んでたよ~、わっしー。」

 

「久しぶりだな、須美。」

 

『!!』

 

突然後ろから声をかけられ、友奈と東郷はその方角に移動した。するとそこには大きなベッドに横たわる少女が二人、不自然に存在していた。ここは外だ。しかも大橋の横。こんな光景は誰がどう見てもおかしいと思うようは構図だった。さらに二人とも全身包帯でぐるぐる巻きになっている。右の少女は両目とも包帯で巻かれており、おそらく失明しているのだと一目でわかった。

 

「やっと呼び出しに成功したよ~会いたかったよわっしー。」 

 

友奈と東郷は少女の意味不明な言葉に困惑する表情を見せる。

 

「えっ~と......東郷さんのお知り合い...?」

 

「........。」

 

東郷はじっくり二人の顔を見ると、静かに首を振ってこう答えた。

 

「........いえ...初対面だわ。」

 

『!!』

 

その言葉を聞いた右の少女がわずかながらピクッと動いて反応を見せた。

 

「......ごめんね。わっしーっていうのは私の昔からの友達で。しばらく会えてないんだ~。...だからついこうやって彼女の名前を言っちゃうの。」

 

左の少女がそう答えた。するとまた左の少女が顔を俯かせた。

 

「......二人のお名前は?」

 

「あっ、結城友奈です!」

 

「東郷...美森です...。」

 

「友奈ちゃんと...美森ちゃん...か...。」

 

左の少女はその二人の名前を噛みしめるかのように繰り返し言った。

 

「......私たちも自己紹介しようか。...私は乃木園子。よろしくね~。」

 

「...。あたしは三ノ輪銀だ。銀って呼んでいいぞ!」

 

ベッドに横たわる二人は見た目に反して元気よく自己紹介した。右の少女が一拍おいて言ったのが少し気になったが。

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「あはは、そんなに緊張しなくていいんよ~。」

 

「そ、そうですか?......えっとじゃあ.........なんでこんなところにベッド...?」

 

「まあ、それは今気にしないでおいてくれ。」

 

「う~ん......じゃまず手始めに、二人とも『いつもバーテックスとの戦いの後は学校の屋上に帰ってくるはずなのに今日はなんで大橋にいるんだ?』って顔してるから教えてあげる。...私たちがね、そこにある祠を使って二人を呼んだんよ~。だからあなたたちだけここにいる。...あ、大丈夫だよ~他のお友達はちゃ~んと学校に送られたから~。」

 

「!!...私の考えていることが読まれた!?あなたたちは一体、な、何者なんですかぁ!?」

 

「ちょっと待って友奈ちゃん...!今この人たち、『バーテックス』って言った...!」

 

友奈はハッとして、東郷と顔を見合わせた。そして興味津々になって聞く。

 

「バーテックスを......ご存知なんですか...?」

 

「いろいろ驚かせちゃってごめんね~。........やっと成功してこっちも嬉しくて~。」

 

「ま、いろいろ知ってるさ。ズバリあたしたちの正体は...簡単に言ったら君たちの先輩だからな!」

 

『私たちの先輩...?』

 

「そう!昔...二年前にここ、大橋で戦ってたんだ。」 

 

「私たち、そこそこ強かったんよ~。いっぱい敵をなぎ倒して~」

 

「そうだったんですか...!......私たちの先輩...勇者としての...。」

 

「二人とももう満開はした~?」

 

「!!...は、はい!」

 

「......じゃあもう散華もしたよね..?」

 

「?......散華..?」

 

「『咲いた花はいつか散る』...二人とも満開した後からずっと、どこか体におかしいところない?」

 

『!!!』

 

「........その反応...。やっぱりね。」

 

「満開システムは、普通の勇者の姿よりもずっと強大な力を手に入れられる。...けど、その代わりに体の機能の一部を捧げなければならない...。」

 

「体の機能を...捧げる...?」

 

「元々勇者システムは大赦と神樹様が協力して作り出した発明品。...さっきも言ったとおり満開システムの力はとても大きい。その分、その力を使う分、その度に神樹様に供物として捧げる必要があるんだ。...満開する度に少しずつ...ね。」

 

「それが勇者システム。.....よりによってなんであたしらがって思うよな。でもこれは大人にはできないことなんだ。...あたしたちにしか、限られた人にしかできないこと...勇者のお役目ってのはそういうものなんだ。」

 

「いつの時代だって、神に見初められるのは無垢な少女のみ...これは昔から決まってることで。」

 

「え...ちょ、ちょっと待ってください!神樹様に捧げるって...それは、それは返ってくるんですよね!?治るんですよね!?お医者さんもそう言ってたし!」

 

『......。』

 

その質問を受け、ベッドに横たわる二人の少女は自然と顔を下に向けた。

 

「今は向こうの話を聞きましょう、友奈ちゃん。こちらもたくさん聞きたいことがあるけれど、それは後。」

 

慌てる友奈を宥め、東郷は冷静にそう言う。友奈は東郷の従い、コクッと頷いて二人の話に耳を傾けた。

 

「す、すみません...口を挟んでしまって...。お話の続き、お願いします。」

 

「ううん。こっちこそごめんね。いきなりいっぱいパニックになっちゃうようなこと言っちゃって...。......こほん、それじゃあ続けるよ。......私たち先代勇者がその一例。こんな姿になっちゃったのはバーテックスの攻撃のせいじゃなくて、その満開システムのせいだよ。」

 

『え......!!』

 

夕暮れ時に吹く、海から大地に流れる風が友奈たちに吹き付ける。

 

「そ、それって......つまり..........。」

 

「そう。あたしらは満開し続けてこうなった。ざっと10回くらいかな?もうよく覚えてないけど。」

 

「じゅ、10回も......!?」

 

東郷と友奈は絶句する。そしてさらに追い討ちをかけるようにもう一言。

 

「......で、あたしらは二年間ずっとこのまま。これは時間で治るようなもんじゃない。」

 

「そんなっ...!じゃ、じゃあこのまま一生......!?...樹ちゃんの声も、風先輩の目も、東郷さんの耳も...ずっと........!!」

 

「つまり私たちは、完全に動けなくなるまで戦わされて最終的には全身を捧げなければならないの...!?」

 

先ほどまで冷静だった東郷も、混乱して気を取り乱している。おそらくさっきも、話を聞いていて本当は怖かっただろう。

 

「...だ、大丈夫だよ東郷さん!私たち、12体のバーテックスは倒したんだし!もうお役目はないんだから!」

 

今度は友奈が東郷を落ち着かせる。

 

「それは本当にすごいよね~。私たちの頃は追い返すだけで精一杯だったから~。でもね...........たとえお役目が終わったとしても体は今の状態、そのままだよ。」

 

また先ほどのような風が二人に吹きつける。友奈も東郷も突きつけられた真実に、信じられない様子。しかしこれはすべて本当なのだ。

 

「実際、あたしらがそうだからな~。」

 

「......治りたいよね~..。私も治って友達を抱きしめに行きたいよ~。」

 

「......。」

 

その視線は自然と東郷に向けられている気がした。

 

「...友奈ちゃん、だっけか。君も満開したんだろ?なら、体におかしいところがあるはずだ。それなのに君は人の心配ばかりする。........それはなんでだ?」

 

「えっ........?」

 

唐突に、銀は友奈に問う。

 

「それが友奈ちゃんのいいところよ!なぜそんなことを聞くの!?」

 

東郷は銀を睨みつけ、少し声を荒げてそう言った。

 

「おっと........ごめんごめん...。決して怒らせるつもりはなかったんだ。あたしもどちらかと言ったら友奈ちゃんに似てるからな。人からもよく言われる。...人のために、自分を犠牲にしてでも行動する...それは『その人』が大切だから。大切な人が悲しんだりするのは、自分が苦しむよりもずっとつらいから。...違うかい?」

 

「!!...そ、そうです...!」

 

「ははっ、やっぱりな。........けどな、警告しておく。あまりひとりで無理しすぎるな。これは今までの人生、あたしが実際に経験してきたから言えることだ。」

 

「えっ........?」

 

「え........。」

 

その言葉に、友奈だけでなく園子も同じように反応した。

 

「その行動が、その性格が原因で一周回って自分の大切な人が苦しむ........。あたしはこれまで生きてきてそれを思い知った。その気持ちを痛感した。勇者のお役目をしているならなおさらだ!...くれぐれも気をつけろよ。」

 

「あなた、さっきからなんなんですか...!友奈ちゃんのこと、まるごと否定して...!」

 

「大丈夫だよ東郷さん。そんなにプンプンしないで!...あの子の言っていることは間違ってないし、私たちのことを思って言ってくれてるんだから!」

 

「でもっ...!」

 

「......なんだか、懐かしいな。」

 

銀は静かにそう呟いた。

 

「......はい?」

 

「...いや、なんでもない!」

 

東郷に怒られること...それは彼女にとってとても懐かしいことで、大切な思い出の一つだった。

 

「......。わ、わかりました...先輩のお言葉、肝に銘じます。」

 

友奈は似合わない丁寧な敬語を使い、自信なさげにそう言った。その時、

 

「友奈ちゃん!」

 

東郷に呼ばれ、友奈は彼女の方を向いた。

 

「!!」

 

そこには、こちらに向かってくる多くの大赦関係者たちの姿があった。この人数が集まるなんて異常だ。ただでさえ怖い仮面と服装なのに大勢集まったらさらに不気味さが増す。

 

「この人たち...大赦の人...?」

 

彼らは友奈たちを囲み、東郷と友奈は自然とくっついて自分らを囲む彼らを見回した。

 

「彼女たちに何かしたら許さないよ~。」

 

と、園子が一言。その言葉を聞いたとき、大赦職員たちは彼女の方を向いて一斉に頭を地面につけた。彼女のその時の声質は先ほどとは打って変わって少し覇気があった。しかし二人はそんなことよりも大赦職員が園子にこれほどまでの忠誠を誓っていることに驚いていた。

 

「私たちね、今は神様みたいに崇められてるんだ~。」

 

「なにせ、神樹様にこれほどの体の機能を捧げたから神に近い存在になったとかならなかったとか。...あたしは未だにこういうの慣れないけどな。見えないし。」

 

「ごめんね勝手にこういうことしちゃって~。何度言っても会わせてくれなかったから、自力で呼んだんよ~」

 

園子のその言葉を聞いても、神官たちはピクリとも動かなかった。

 

「あ、あの........」

 

「大丈夫だよ~この人たちはあなたたちに何もしないから~。元の家に帰してくれるよ~。........大赦が勇者システムの真実を隠してたのもね、この人たちなりの思いやりだとは思うんよ~。............けど...」

 

ポタポタ...

 

園子の頬をつたった涙が何粒も下に落ちる。

 

「........私はそういうの...ちゃんと先に伝えてほしかったな...。それがわかっていれば...もっともっと、三人でたくさん遊んで日常を楽しみたかった...。」

 

「........園子...!」

 

園子の本音を聞いた銀は思わず貰い泣きしそうになる。その時だった。東郷は車いすを動かし、園子の隣まで動いて彼女の涙を手で拭ってあげた。

 

「...!ありがとう...。......!...美森ちゃん...そのピンつけてくれてるんだね。」

 

「え...これ...?」

 

東郷は髪に留めているピンを触る。ピンクの花柄の可愛らしいピンだった。

 

「ミノさん、わっしーはミノさんのピンを大切にしてくれてるよ。...二年経った今も、つけてくれてる。」

 

「!!........本当か...!?園子...!」

 

「うん。...とっても似合ってるんよ。」

 

友奈には聞こえないくらいの小声で二人は会話した。

 

「ごめんなさい...。私、これが大切なものってことだけは覚えてて...。」

 

「須美......。」

 

その瞬間、銀の目に巻かれている包帯が滲み始めた。やがてそれは溢れ出し、園子と同じように頬を伝ってポロポロ流れ落ちる。

 

何が起こっているか分からない友奈は突然のことにちょっとだけ慌てる素振りを見せる。

 

「!........ミノさん...。」

 

「ぐすっ......。ごめんな、急に泣いちゃって。二人ともびっくりしちゃったよな。」

 

すると、東郷は先ほどと同じように銀の涙も拭ってあげた。

 

「........!!!」

 

そして二人の手を握った。その時銀と園子はとても安心した。温もりがある柔らかい手に包まれ、二年前に手を繋いだ時を思い出した。懐かしい感触。あれほど会いたかった友達が今、目の前にいる。手を握ってくれている。だが、その友達は自分たちのことを覚えていない。

 

「本当に...久しぶりだ...。...なあっ!!須............」

 

「............ミノさん...今はまだ我慢...して........。」

 

銀は気持ちが爆発するギリギリのところでこらえた。歯を食いしばり、ふうっと息をついてすぐに落ち着いた。

 

「...いつでも会いに来ていいから~。私たちは待ってるんよ~。」

 

園子は最後に笑顔でそう言い、神官たちに友奈と東郷を元の町へ返してあげるように指示した。

 

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友奈と東郷は送り返される大赦の車の中で二人から聞いた話を思い返していた。そしてそのうちに実感し始め、恐怖の感情がじわじわと湧いてきた。小刻みに震える東郷。友奈は彼女に寄り添い、抱きしめて言った。

 

「東郷さん...。大丈夫!なせば大抵なんとかなる、だよ...!」

 

「........ぅぅ...友奈ちゃん...!」

 

東郷は涙を流し、車中で号泣する。

 

「とりあえず最初に、風先輩に相談しよう。...大赦から何か聞いてないかって。」

 

「うん...そうだね...。」

 

家に着く頃にはもうすっかり夜になっていた。いろんなことがあった一日。友奈は今日も早くに床についたが、なかなか眠ることはできなかった。

 

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「........これで、よかったのかな。」

 

「うん。...大丈夫だよ。きっと二人は明日にでもフーミン先輩に相談して、フーミン先輩は大赦周辺を嗅ぎ回ると思う。........そして...。」

 

真実を知った風は、大赦を潰すために行動する。しかしそれは部員たちが止めてくれるので問題ない。問題はそれと同時刻に起こったもう一つの『大事件』なのだ。

 

「........。ごめんな、園子。...あたしつい興奮しちゃって須美にいろいろ言うところだった。」

 

「気持ちはよくわかるんよ~。わっしーが私たちのことを思い出したときには、いっぱい言ってあげていいからね~。」

 

「...その時はもうすぐ来るんだろ...?」

 

「うん。だからあともう少し。......わっしーを説得するところから。」

 

 

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翌日 讃州中学校屋上

 

「えっ...?先代...勇者...?満開の後遺症はもう...治らない...?」

 

「...はい。昨日会った人がそう言ってました。」

 

「風先輩、なにか聞いてませんか?」

 

「いえ...何も........。」

 

その日から風は大赦に満開の後遺症について頻繁にメールを送った。しかし一向に返事がくることはなかった。やっと返ってきたと思ったら同じような内容ばかり。明らかに怪しかった。そして体の機能の方も全くよくならない。それらから考えれば友奈たちの言っていたことは本当で、医者や大赦の言っていることは全くの嘘になる。

そしてある日、東郷に呼び出されて彼女の家に向かった。そこには友奈もいて、例のことを知る三人が集まっていた。

 

「どうしたの...?東郷さん...。」

 

「いきなりあんたの家に呼び出すなんて、珍しいじゃない。」

 

「........。二人に見てほしいものがあります。」

 

東郷は唐突にそう言うと小刀を取り出した。鞘から除かせる銀色の光。本物の鋭い刃物だ。

 

「なにしてるの...東郷さん...?危ないよ!」

 

「あ、あんたふざけてるの...?だとしたら今すぐに........」

 

二人の話もろくに聞かずに、東郷は両手で小刀を持つ。と次の瞬間、東郷はいきなり小刀を自らの首に向かってブンと振るった。

 

「きゃっ!!東郷さん!!」

 

「東郷っ!?」

 

自殺。しかも二人の前で。鋭く尖った小刀は東郷の絹のような白い肌を貫き、中に通っている血をまるで噴水のごとく吹き出させる。大量失血であっという間に死に至る....... は ず だ っ た 。

 

「はぁっ...!はぁっ...!」

 

小刀は首もとのギリギリで止まっていた。彼女が自ら止めたわけではない。精霊だ。精霊が小刀から東郷を守ったのだ。

 

「なにやってんのよ東郷!!精霊が止めてくれなかったらあんた今頃......!」

 

そこまで言って風はハッと気づいた。彼女が何を伝えたかったのかを。

 

「私は今...自分の意志で精霊を呼び出したわけではありません...。勇者システムを起動させたわけでもないのに精霊が勝手にこの刀を止めたのです。」

 

東郷がそう説明している間にも、東郷の三体の精霊がテキパキと彼女から小刀を取り上げ、元の位置に置いた。

 

「えっ......じゃあ...?」

 

友奈は首を傾げ、東郷にさらなる説明を求める。

 

「乃木園子と名乗る少女の話を聞いてから...気になった私は、これまでにいろいろなことを試してみました。転落死、一酸化炭素中毒、溺死、窒息死、切腹...あらゆる手を尽くしましたがどれも精霊に止められました。彼らの不思議な力によって守られたのです。」

 

「ってことはやっぱり...その先代勇者を名乗る人物が言っていたことは本当...?」

 

恐る恐る聞く風の質問に対し、東郷はゆっくりと頷いた。

 

「そ、そんな...!」

 

「...私たちは生かされている。絶対に死なない...いや、死ぬことができない不死の体になったのです。...戦いの中で体を捧げる...その代償によって、それを手に入れたのです。」

 

 

バンッ!

 

 

東郷の話を最後まで聞いた風は机を勢いよく叩いた。

 

「ふざけんじゃないわよ...そんなの...!体の機能の代わりに不死の体って...私ら別にそんなの望んでないわよ!...樹の声は...どうなるのよ!!」

 

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「もうそろそろだと思うよ。」

 

ベッドに寝ころんでいる園子は唐突にそう呟いた。銀にはその言葉の意味がすぐにわかった。

 

「さて...どうなることやら。あたしらができることは全部やった。」

 

「うん......できるだけやって、彼女たちがどう判断するか。もう今の私たちには...結果を見ることしかできないからね~。」

 

 

(第33話に続く)

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