「久しぶり、安芸先生!」
「!...そ、園子...様...!?なぜこちらに...?」
「さすがの私でも探すの苦労したんですよ~?少しずつ少しずつ情報を集めて......っと、そんな話は置いといて~」
園子たちがいたのは大橋付近にある英霊碑だった。園子はずっと待っていたとでも言うかのように英霊碑の中心に立ち、一方安芸は英霊碑の手入れをしに来たのか、何か道具を持って階段の上に立っていた。
「......安芸先生、覚えてます?二年前、私がタイムリーパーだってことを話したとき。」
「...はい。そのことはしっかり頭に刻まれております。」
「......。ねえねえ、そんなにかしこまらないでくださいよ~。あの時みたいに話してください!ほら、リラックスリラックス!」
「でも......」
「いいですから!そうしてください!」
安芸は神妙な顔をしながらも園子の言うことを聞いた。
「......わかったわ...。あの時と同じように話します。」
「そう、それでいいんよ~。......今日ここに来たのは英霊碑のお手入れのためでしょ?この世界を守ってくれた、勇者や巫女たちが眠ってる場所だからね~。」
「確かに、その通りだわ。」
「......私のもといた未来では、ここにミノさんの名前も刻まれていたの。」
「...!!」
「だけど、今はこの通りミノさんの名前はない。私もめっちゃ頑張ったからね~。本当に、それはそれはよかったんよ~!」
「......乃木さん、私に話したいことって...?」
園子はコツコツと足音をたてながらゆっくりと階段を登り、安芸の耳元で囁いた。
「...私に、協力してくれませんか?」
「......えっ...?」
園子はそれから本題について話し始める。
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「.........。??????」
「あ、情報量多すぎですよね~?...本当、毎回何も知らない人に1から教えるのは骨が折れるんよ...。」
安芸が落ち着いてから園子は再び話した。そして安芸にして欲しいことも。
「...二週間後に、その内容のメールを送ればいいのね?」
「はい。大赦からのメールなら天の神も疑わないはず。...それから勇者システムもまたすぐに元に戻しておいてくださいね!それがないと話になりませんから!」
「...私がそれをやるのは結構大変だと思うけど...なんとかやってみるわ...。でも、急に勇者システムを戻すなんて言ったらそれこそ怪しまれない?」
「そのときはまた、『バーテックスが再び攻めてくるっていう神託が来た』とか言えばいいです!」
「そう?...わかった。じゃあまた近頃会いましょう。」
「はい。ありがとうございます、安芸先生!」
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「この方たちが...勇者...!」
「この人たちが...防人...?」
またある日のこと、この日は勇者と防人の顔合わせの会を行っていた。その場所はなんと勇者部行きつけのカラオケボックス。
「どーもはじめまして!勇者部部長の犬吠埼風です!今回はあなた方と協力していただくという話で...」
「お姉ちゃん緊張してる...?」
「フーミン先輩、そんな堅くならなくていいんですよ~。みんな同年代の女子中学生!これから友達になるだけなんですから~。」
「そうですよ、風先輩。...弥勒さんたちだって勇者本人たちと会うと聞いて少し緊張してますから。」
園子と芽吹は中間に立って勇者組と防人組、二組の間をとる。
「よ、よろしくお願いしますでございますでございますわ!わたくし、弥勒夕美子と申すものでございまして...ゴールドタワーで防人をやっている者でございます!」
弥勒はカチコチと立ち上がり、ロボットのように90°でお辞儀して自己紹介をした。
「弥勒さんが間違いなく一番緊張してるね...。いつものお嬢様言葉がめちゃくちゃ。ございます言いすぎだよ~。」
そう言ったのは雀だった。そのとき、夏凜があることに気づく。
「あれ......?あなた...どっかで...............あっ!!」
「あ...思い出しました?そうです!以前お世話になった加賀城雀ですぅ!」
雀は昔、勇者のことが気になって讃州中学周辺を嗅ぎ回っていたことがある。それがバレてしまい、その際に彼女は勇者部に招待されて全員の顔を知っているのだ。
「...えっ?にぼっしーたちチュン助のこと知ってるの?」
「ええ。前に讃州中学に招いたことがあってね。...私たちを尾行してたの。......そっか、園子はそのときいなかったものね。」
「えへへ...その節はどうも...。あとチュン助ってなんすか!?」
「あ~、今決めたあだ名~。雀ちゃんだから、チュン助~。」
「あぁなるほどぉ...。は~、おもしろい人だねぇ、園子さんは。」
「私...山伏しずく...。みんなよろしく。」
「しずくは園子と銀、東郷と同じ神樹館小学校出身なのよ。」
しずくの自己紹介の後、芽吹がすぐに裏情報を伝えた。
「まじで!?......う~ん...でも見覚えないかもなぁ...悪いけど......。」
銀はすかさず反応する。
「......。...あなたは、印象的だった。他のクラスだったけど...その明るさは学校全体で見ても大きかった。」
「あたしってそんなに目立ってた...?」
「そうだよ~!ミノさんはクラス全員と友達だったじゃない~!」
「また会えて...嬉しい。二度と会えないかと思ってたから。」
「おう。...これからよろしくな、しずく!」
銀は立ち上がると、しずくに手を差し出した。
「うん...!よろしく...!」
しずくは嬉しそうに手を握り返し、握手を交わした。
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「これで全員、自己紹介は終わったわね。」
「そう言えば園子、今日東郷は?」
「わっしーは今ゆーゆとお二人でデート中なんよ~!ショッピングショッピングぅ~」
「その東郷?さんって方も結城友奈さんが中身が天の神だってことは知っておられるのですわよね?」
「そうだよ~。わっしーはそれを知りながら怪しまれないようにゆーゆと一緒にいるからね~。......あ、もちろんわっしーともいつかまた会わせるよ~。」
「東郷のおかげで、今私たちがこうやって集まれているからね。彼女には本当に感謝だわ。」
「東郷さんって人、なんか複雑じゃないのかな...。中身がまさかの人類を滅亡寸前にまで追いやった超本人だなんて...。そんな人と遊んでるわけでしょ...?」
「すべては天の神討伐と友奈を取り戻すため!今須美には我慢してもらうしかないのさ...。須美もそれをよくわかって頑張ってくれてるし。」
カラオケボックスの中は、また自然と暗い空気になってしまった。と、そのとき園子がパンパンと手を叩いて飛び上がるように立って言った。
「ほらほら!今はそんなに暗くならないでって!今日は勇者と防人の顔合わせ会、仲良くなる集まりなんよ~!」
それを聞いた芽吹も立ち上がり、
「そうよ!園子の言うとおり!これから大変になるんだから、今日のうちに思う存分楽しんでおくのよ!早速歌いましょー!!」
芽吹はそう言ってマイクを手に取った。
「誰も歌わないなら、私がトップバッター行くわよ...?」
「め、メブがノリノリだ...!!そもそもメブがカラオケで歌うこと自体信じられないよぉ~...!」
「芽吹さんのこんな姿、見たことありませんわ...!というか、想像もできませんでしたわ...!!」
「讃州中学の楠は...ゴールドタワーの楠と別人...。すごくいきいきしてる...。」
その芽吹を見た防人たちはまた驚いていた。
「これがいつものメブーだよね~?.........いーよいーよ!!どんどん上げてこー!イェーッ!!」
「やっぱり一発目は芽吹の十八番、聞かせてくれよ!!」
昔の芽吹を知る者は当然のごとく、その場をいつも通り盛り上げようとする。
「なんかよくわかんないけど、楽しめるのは今のうちってことね。」
「そうですね。今日ははしゃいじゃいましょう!」
「芽吹!その曲なら私も結構得意よ!デュエットするわよぉ!」
「臨むところです、風先輩!」
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この日の夜 ゴールドタワー
「あっ~!今日は楽しかった~!...ずっとこんな感じでいいよ~。神様とかと戦わないでさ~。」
「讃州中学の方々、みんなとっても良い人たちでしたわね!」
「すごく...仲良くなれそう。」
「そうでしょ?...戦いが終わった後も、たまに彼女たちと遊びましょう。」
「賛成っー!けど戦いには反対っー!」
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その頃 東郷宅
「もしもし?そのっち?」
『もしもしわっしー。...今日もありがとね~。ゆーゆ、何か異変はない?』
「大丈夫。なにも疑ってる素振りは見せてないわ。...今日一日楽しかったし。」
『......。...わっしー、無理してない?』
「...えっ?」
『私、わっしーが心配になっちゃってさ...。今までのゆーゆはゆーゆじゃないんだし...。一番つらいのはわっしーなんじゃないかって。』
「......。」
『わっしー、よかったら明日から私が...』
「大丈夫よ、そのっち。私は大丈夫。...絶対に友奈ちゃんを返してもらうんだもの。このくらい平気。......そんなことよりちゃんと進んでるの?」
『うん、順調。...もうすぐ実行できるよ。』
「そう。.........ねぇ、今日は何したの?」
『うん、みんなでいっぱい歌って楽しかったんよ~。今度はわっしーも一緒に!』
「そうね、必ず。防人のみんなと会うの、楽しみにしてるわ。」
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それから二日後。
「え...これって...?」
夏凜がアタッシュケースに入ったスマホを見ながら絶句する。
「...そうだよ、勇者システム。」
それを持ってきた園子は淡々と答える。
「なんでっ...!天の神は私たちが退けて、もうしばらくは攻めてこないはずでしょ!?なのにどうして...!」
「...私も大赦から連絡が来てびっくりしたんだけど、神託があったみたい。......またバーテックスが攻めてくるかもしれないって。」
「そんな...私たち、また戦わなくちゃいけないの...?満開の後遺症が残る機能はなくなったと言っても...それでも......!!」
東郷はつらそうにしながら顔を下に向ける。
「あの......お姉ちゃんも戦うんですか...?」
「......うん。フーミン先輩にはもう渡ってるみたい。」
「そうですか...。」
樹も東郷と同じ様に下を向いた。
「...またあの時と同じように、いつ来るかわからないんだよね?」
「そうだよ、ゆーゆ。...だからみんなお願い。私たちがやらなきゃ...」
「私たちがやらなきゃ、この世界はなくなっちゃうんだもんね?...だったらやるしかない!何度だって、倒せばいいよ!!」
「友奈...。」
「みんな頑張ろう!もう一踏ん張りだよ!...だって私たちは、勇者だから。」
「......。そうね、友奈ちゃん...!」
二人の説得に応じ、一同は勇者システムを手に取る。
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「いや~...ほんと、どうなるかと思ったわぁ...。」
「夏凜ちゃんも樹ちゃんもそのっちも、すごく演技上手かったわよ。」
「ふふっ、東郷さんも上手かったですよ。」
「え、須美...あたしは...?」
「銀はなにも喋らなかったじゃない。」
「そーだけど!そーだけど!」
「ま、銀は勇者に変身しないし、反応に戸惑ってたってことでいいんじゃない?」
夏凜は適当に流す。
「みんなありがとうね~!ゆーゆ、すっかり信じ込んでたよ~。」
「天の神は、何が起こっているかわからないだろうなー。『もうひとりの自分、何してるんだー』って。」
銀はニシシと笑いながらそう言う。
「...でも、これで勇者システムは手に入った。天の神に対抗できるわ。それにしてもそのっちは何をしたの?いくら乃木家と言えど、勇者システムを持ってこれるなんて...。」
「ふっふっふっ、わっしーも知ってる人に頼んだんよ~。」
「え...?もしかして...!」
「安芸先生!?」
「ミノさんピンポーン!!」
「誰...?」
「まあ、オンシってやつだ!」
「園子さん...私たちが勇者システムを手に入れたのはいいですけど、これじゃ天の神も使えちゃうんじゃ...。」
「う~ん、私もいろいろ考えて...わっしーたちだけに内緒で勇者システムを渡してもよかったんだけど...。どこにアンテナ張ってるかわからないからね。私たちは内緒にできたとしても、大赦側にボロが出るかも知れないから。」
「確かに...友奈だけに渡してないってのがバレたら怪しまれるか...。」
「だからリスクを考えてこうしたんよ~。...ま、最初のプランが成功すればみんな変身しなくても大丈夫だから~。」
「......。」
「...大丈夫か、須美。」
「あっ、銀...。」
「わかる。わかるよその気持ち。......友奈と戦いたくないんだよな。」
「......うん。」
「中身は違っても見た目は...体は友奈だもんな。」
「もし戦闘なんてしたら...彼女の体を傷つけてしまうかもしれない。......友奈ちゃんに銃口なんて向けられないわ。」
「そりゃ東郷、私だって...友奈に剣振れないわよ...。」
「.........うんうん、みんなそうだよね。」
園子は頷きながらも、最後にこう言った。
「だからなんとしても...プランAで成功させる。」
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作戦決行日 前日
「みなさ~ん!今日はお集まりいただき誠にありがとうございま~す!!」
園子はそう言いながら総勢9名の前に立つ。
「...とても前日とは思えないテンションね...。」
この日は普通に一日を終え、一同は一旦帰るふりをした。学校を出てから再び引き返し、防人組と合流して勇者部部室に集まっているという流れだ。東郷もしっかり友奈を家まで送り届け、そこからここまで戻ってきた。
「今日はついに前日ということで、計画の最終確認を行います~!」
園子はそう言いながらバン!と黒板を叩き、黒板に描かれている図に注目するように促す。
「まず明日、この前みんなでキャンプした砂浜へ地域清掃という体で向かいます!防人組以外!」
「私たちはその間他のところで時間潰しね。」
「そこで、いっつんにゆーゆと私、二人きりになるようにしてもらいます!...ちょうど作業が終わる時間帯に、私がゆーゆの秘密を暴露!その時間にはみんな最初の集合場所にいて。」
「任せてください!」
「最初の集合場所ってのは樹が清掃分担を決めて、組み分けするところだよな。」
「そうだよミノさん。...それから天の神がどうするかわからないからここからは憶測。......でも、正体がバレてしまったのならそこで私を放っておかないはず。私を襲って、殺すか...彼女自身が過去に戻るか。...天の神は自分の意志で自由に過去に戻れるのか、私みたいに何か『きっかけ』が必要なのかはわからないけど。......全部暴露してからの天の神の反応によるんだけど、もしかしたら私から仕掛けるかもしれない。...今までこんなことしてきたヤツだし......言動によっては私も抑えきれないかも...。」
「本当に大丈夫なんでしょうね...?私たちが思ってる以上に強いかも。変身する前に...なんてことされたら。」
「もちろん、私も最大限の注意を払いながら接する。それに私には、これまで戦ってきた経験と知識がある。......そこは安心して欲しい。」
「フラグ...?」
「こら雀っ!なんてこと言うの!!」
「あはは、確かにこれは言わない方がよかったかな~?......と、まあさっさと話を続けちゃうよ~。きっと私と戦闘になったらもちろん騒ぎが起こる。それが合図だよ。大きな音が続いたら砂浜に来て。......でも、すぐに戦いに参加しちゃダメ。私がピンチだったら助けてほしいけど。...運良く私が勝った場合、そのまま天の神を泳がせておいて。」
「...これまで天の神は、私たちに対して遊び感覚で接してきた...。園子が勝った後もまだ何かしてくるかもしれないってことよね。」
「あたしには思いつかないけどな~...勝負に負けてんのにそっからの逆転とか...。」
「たぶん天の神はみんなに助けを求めるんじゃないかな~?なかなか帰ってこないし、大きな音を聞いて不思議と思ったミノさんたちが来るのを見越して。大声で助けを呼ぶと思う。」
「そのときに、私たちお得意の演技で出し抜くのね!」
風はガッツポーズをして得意気に言う。
「そう。...ちゃんとその頃には大赦からメールが行くように指示してあるから、フーミン先輩はそれをゆーゆと私に見せて。......大赦からのメールなら確実に信じるはず。その後はそのメール通りに、私は大赦に行くふりをする。わっしーを残してね。」
「それから私が言うのね...全部。」
東郷は胸に手を押きながら静かに言う。
「そう。そしてその後、みんなでバーン!って登場!!そこはしっかりかっこよく、ね!!」
「そここだわる必要ある...?」
「夏凜!かっこいいは正義...!一番大切だろ!」
「...まぁ、銀はそうでしょうけど...。」
「そこでわたくしたちも登場ですわね!」
「行きたくない行きたくない行きたくない。」
「かっこよく......かっこよく.........。...?」
「そこまでが一連の流れね。その後は...。」
「まずはプランA、それがもし失敗したらみんなで戦うプランB。...............そして、最悪の場合のプランC...。」
「......絶対Aで成功させましょう!」
一同は円を作り、片方の手の平を下に向けながら前に差し出し、それぞれの手のひらどうしで重ねた。そして風が掛け声を言う。
「みんな!明日は絶対絶対成功させて、天の神倒して友奈を救うわよーっ!!...勇者部&防人ぃ~......ファイトーーーーっ!!!」
『ファイトーーーーっ!!!』
全員が全員個々を鼓舞し、翌日の準備は整った。
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現在
「......。」
「まあ、これでざっと全部話したよ。」
「......なるほど。三週間も前から全員知っていたのか...。全く気づかなかった。集まる機会をなるべく減らし、常に我の側に誰かを置いておくことで怪しまれないようにしたか...。改めて褒めてやろう。よくぞここまでやった。」
「...あなたに褒められても嬉しくないよ。」
「しかし...なんなのだ?プランAというのは。ソナタ、それだけは話さなかったなぁ。......その作戦が成功するのが一番いいと言っていたが...。それは現在進行形なのか?」
「......。」
「...ふっ...図星か。どれ、それは一体どんな......」
「きっともうすぐ起こるよ。」
「......?」
園子がニヤっと微笑んだとき、ある程度の距離がある位置にいたはずの夏凜が少し近づいていて、ダッシュして友奈に掴みかかった。
「くっ...!いつの間にこんな近くに......!?」
「気づかなかった?あなたに私の考えた作戦を話す前、私は隣にいるミノさんに合図を送った。...それに気づいたミノさんはこっそりスマホでにぼっしーにメールを送ったんだ。...後は簡単。私の話に夢中になっていたあなたは、にぼっしーが少しずつ近づいていていることはおろか、私のすぐ隣にいるミノさんが手を後ろに回してスマホを操作していることにすら気づかなかった。」
「ソナタ...!!」
「人間でいる期間が長くて感覚が鈍ったんじゃない?か・み・さ・ま・?」
(めっちゃ煽るじゃん園子...!)
銀が横目でそう思っている間に、夏凜は友奈の制服のポケットに手を突っ込んでそのままスマホを取り上げようとする。
「スマホは、渡してもらうわよ!」
「させるか...!うっ...!」
友奈も抵抗を続ける。
「意外と力はあるようだな...!」
「完成型勇者を舐めないでちょうだい!日々の鍛錬の賜物よ!」
「樹、私たちも夏凜のサポート!」
「あ...う、うん!」
風と樹も二人の元へ駆けていき、夏凜の手伝いに向かう。
「まずいな......さすがに三人は。」
友奈は夏凜に対して抵抗していた右手を離し、パチン、と指を鳴らす。
「よし!取っ.........。......!?」
ようやく取り上げられたと思った瞬間、夏凜の背筋が凍る。その一瞬を見逃さなかった友奈は、再び夏凜の手からスマホを奪い取った。
ザッパーン!!
イルカが跳んだのかと思うくらいの水しぶきが海から湧き出る。そこにいたのはイルカではなく、バーテックスだった。通称星屑。
もちろんそれを見た一同は目が飛び出るほど驚く。
「ええっ!?海からバーテックス!?」
「ま、待って...ここは結界の中よ!普通、樹海化が起こるはずじゃ......。」
夏凜の元へ走っていた風も樹も、思わず足が止まってしまう。
「さあ、食え。」
(!!......まずい...!)
星屑は友奈の命令通りに動き、大きく口を開けながら夏凜に向かって突っ込んでいく。
「逃げて!!夏凜!!!」
風は喉が枯れるほどの大声で夏凜に向かって叫ぶ。夏凜は持ち前の身体能力で後ろに飛び退き、なんとかかわした......と思ったが、
「えっ......!?」
食べようとしていたのは夏凜ではなかった。星屑の口の中に入ったのは、 友 奈 だ っ た 。
「あいつ、何考えてんの...!?」
「違うよみんな!」
園子は少し冷や汗を掻きながら全員に言う。
「......最悪だ。天の神は本当に...自由にバーテックスを生み出せる。それがたとえ神樹様の結界の中だとしても...。そしてプランAは.........。」
ボッガガガガッーーン!!!
次の瞬間、星屑の内部が爆発したかのように爆散し、中から両手を広げながら 彼 女 が出てきた。バーテックス特有の、消滅したときに出る七色の光に照らされながら、まさに神だとでも言うかのように空中から降りてきてストッと着地する。
「わざわざ粋な演出までさせちゃって...!」
「この状況でも余裕があるか...!」
全員天の神をにらみつける。...そう、バーテックスが内部から爆発するかのように消えたということは...。つまりそれは勇者への変身が完了してしまったということだ。
「プランAは......失敗だ...!!」
「なるほど...なるほどなるほどなるほどぉ...。勇者システムを起動する前に、我からこの機械を取り上げようとしたわけだ...。そうすれば我と戦わずに済むものなぁ。だが......残念だったな!我はこの通り変身した!さてこれからは...」
友奈は再び不敵な笑みを浮かべ、舌でペロッと唇を舐めてから言った。
「諸君、我と戦う覚悟は...できているのだろうな?」
「やるしか......ないのか...!」
全員同時にスマホを手に取る。すると友奈は、さっきとうって変わったいつも通りの笑顔を見せて言う。
「みんなったら!そんな怖い顔して私を睨まないでよぉ!大丈夫、安心して。みんな離れ離れになりたくないもんね。すぐに終わらせてあげるから。.........一人残らず...全員仲良く......皆殺しだよ☆」
(第43話に続く)
次回からようやく僕の書きたかった内容を書いていけます...!更新をお楽しみに。
昔と今どっちがおもしろいですか?
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昔
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今
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昔も今も変わらず同じ