「くっ......!...ぅぅ...。」
「どうしたのそのちゃん。さっきはもっと強くなかったっけ?」
(にぼっしーたちとの戦いを見ていてわかってはいたけど......やっぱりさっきと比べて別人みたい...!相手の動きが読めない...あの速さについていけない...!!)
「園子...!」
銀は膝をついている園子の側へ駆け寄ろうとする。
「ダメだよ銀ちゃん!危ないよ!」
「でも...でもこのままじゃ園子が...!」
雀は無理やりにでも銀を止める。
「私たちが行ったって...邪魔になっちゃうだけだよ......。」
「じゃあ...ずっとこうして園子が傷ついていくのを見ているしかないのか!?」
「ミノさん!チュン助!」
後ろで言い合っている二人に、園子は声をかける。
「大丈夫、だから。私は負けないよ!」
『...!』
「フン...いい加減諦めたらいいのに。力の差、まだわからない?」
「だって私は...ひとりじゃないから...!!」
「...?」
園子がそう言った次の瞬間、右方向から光の形をした銃弾が飛んでくる。
キンッ!
友奈は冷静にその銃弾を弾き、それが飛んできた方を見る。
「あれ?なんで私に向かって撃ったの?...東郷さん。」
「はぁ...はぁ......!」
それを撃ったのは東郷だった。彼女はどうしてか息を切らせている。
「あなたが手元を狂わせるなんてあり得ないだろうし......これはどういうこと?東郷さん!!」
友奈は異常な剣幕で東郷を睨んで怒号を浴びさせる。
「...友奈ちゃんはこんなことしないし、そんな怖い顔もしない...!友奈ちゃんの体を使って好き勝手しないで!!...そのっちは私が守る!」
「ちっ......生意気な...。」
「言ったでしょ?私はひとりで戦ってるわけじゃないの。......行くよわっしー!!」
「......。...ええ!」
園子は積極的に攻め、東郷は後ろから援護射撃。
(クソっ...これは厄介だな。非常に戦いにくい。)
「すごい...!園子ちゃんの動き、まるで東郷さんがどこに撃つかわかってるみたい...!コンビネーションよすぎだよ!」
「須美と園子のコンビだ。これくらい当たり前よ!」
銀は自分のことのように自慢気に言う。
「あーもう!これじゃらちがあかないよ!!」
友奈は地面を殴り、砂を巻き上げる。それによって園子の視界は一瞬にして奪われる。
(!!......これってもしかして...!)
悪いことに園子の予感は的中した。彼女が行動を起こす前に友奈は背後から園子を羽交い締めにして動きを封じた。
「...ふふっ♪さっきのそのちゃんの技、使わせてもらったよ。」
「うぐっ...!」
「園子!!」
「......。」
東郷はなんとかして園子を救おうとするが...
「駄目だ...どこに撃ってもそのっちに当たる...!」
「撃ってみなよ東郷さん。...私に当てられるものならね。」
「わぁぁ~!園子ちゃんが人質に!!どうしよどうしよ!誰か~!!」
雀は喚いて助けを呼ぶが、まだ周りの星屑たちの殲滅は終わっていない。
「......私をこうしてどうするつもり?ただの時間稼ぎになるだけだよ。わっしーが撃てなくてもそのうちみんながバーテックスを倒して戻ってくる。」
「もちろんわかってるよ。...だからこうするの。」
友奈はそう言うと、何を思ったのか手の力を緩くした。
(えっ...?)
その瞬間を見逃さなかった園子は困惑しながらも拘束を解き、振り返って友奈の喉仏に向かって槍を振るう。だが......
「当然、そうするよね。」
「...!!!」
園子の動きは読まれていた。槍は友奈に掴まれ、攻撃は不発。そして......
「そうそう、この距離だよ。あんなに近いんじゃ威力でないからね。......そのちゃん、ちょっと痛いけど我慢して。」
「.........っ...!!」
友奈はそう言い、拳を強く握ってから園子の顔面に向かってものすごい速さの裏拳をくらわせる。
バギッ!!!
聞いたことのない鈍い音を立て、園子はそのまま頭からぶっ飛んで木に激突して倒れた。友奈の放った裏拳は間違いなく今までのどの攻撃よりも鋭く、重い攻撃だった。
「!!!......園子っ~!!!」
「そのっち.........嘘.........!」
銀は悲痛の叫びをあげ、東郷は絶句する。
「大丈夫、殺しちゃいないよ。しばらくは気絶してるか、脳震盪を起こして立てないかのどっちか。そのちゃんがいたら邪魔だったから、しばらく寝ててもらおうと思って。」
友奈の言うとおり、園子はうつ伏せになったまま動かない。
「...!!」
と、次には友奈が地面を蹴っていた。その瞬間...そのときには既に東郷の目の前に立っており、銃を奪い取って投げ捨て、キスするくらいの近さで東郷に言った。
「東郷さん...あなた何してるの......?」
「......ぇ...?」
「東郷さんはそのちゃんと私、どっちの方が大事なの?どっちの方が好き?」
「.........。」
「答えてよ東郷さん。もちろん私だよね?東郷さんは...私の味方で居てくれるよね...?」
「......も、もちろん私は...友奈ちゃんの...味方......」
「じゃあどうして私に撃ったの?おかしいよね?矛盾してる。東郷さんは私のこと大好きなはずでしょ?大好きな人に銃を撃つなんてどうかしてるよ。」
友奈は早口で攻め立て、東郷は思わず腰が抜けて尻餅をついてしまう。そんな彼女を見た友奈はしゃがみ、また顔を近づける。
「だって......それは友奈ちゃんのためなのよ...!!あなたを救うために...」
「それは間違ってるよ。......私を救うために必要なことは、私を倒すことじゃない。」
友奈はそう言うと、銀たちのいる方向を指さした。
「あの人間たちを殺すことだよ。」
「!!......何言ってるのよ...。いい加減にして!!」
「...いい加減にするのは東郷さんの方だよ。」
友奈は両手で東郷の頬を包むようにして訴えかける。
「いい?私は友奈だよ。いつも一緒に遊んでたじゃない!いろんなことしたよね~。...初めて会ったとき覚えてる?入学前は一緒にお花見行って、入学してからは勇者部に入っていっぱい活動したよね。勇者部五箇条も考えて...。勇者のお役目がきてからは大変だったけど、みんなで乗り越えた。苦しかったけど散華にも耐えたしみんなで頑張って戦ったよね。......今までたくさんの思い出を東郷さんと作ってきた。たくさんの時間を東郷さんと過ごした。...私にとって東郷さんは他の何にも変えられない...かけがえのない親友。少なくとも私は、あなたを一番愛してる。......あなたはどう?東郷さん...?」
友奈は目を潤しながら東郷の目の中に入り込んでしまうのではないかと思うくらい近くで言った。
「私のこと...どう思ってるの...?」
「ゆ、友奈ちゃん...?」
「そう、私は友奈。...姿も声もそうでしょう?他の何者でもないよ。」
「須美っ!惑わされんな!天の神の演技だ!!」
「銀ちゃんも冗談やめてよ。私が友奈かどうかは、一番長い時間一緒に過ごした東郷さんが一番よくわかってるよ。」
「......ゆ...友奈ちゃん...私も......!!」
「ん...?なに、東郷さん。」
「私も......あなたのことが大好き!一番の親友で...一番大切に思ってる...!!友奈ちゃんも同じように思ってくれてるなんて、とっても嬉しい...!!」
その言葉を聞いた友奈はニッと笑ってみせる。
「そう...。そうだよね。東郷さんはそうじゃなくっちゃ。安心したよ、てっきり嫌われたかと。」
「私が友奈ちゃんを嫌いになるわけないじゃない!!」
東郷の目は先ほどのものとは違っていた。
「おい...嘘だろ須美...!」
「東郷さん...おかしくなっちゃったの...?」
銀たちは遠くからその光景を見ることしかできなかった。
「じゃあじゃあ東郷さん!さっき私にしたことは許してあげるから、代わりに私のお願い聞いてよ!」
「友奈ちゃんの頼みなら、なんでも聞くわ!!」
東郷は自信満々にそう答える。もうすっかり洗脳されてしまっているようだった。
「なんでも?本当に?」
「ええ!そうよ!なんでも!!」
「そっかぁ...。じゃあ......」
友奈はまたニッコリ笑い、東郷の肩に手を置いて告げた。
「私のために......今ここで死んで!」
「..................え......?」
友奈のその言葉を聞き、東郷は当然ながら困惑する。
「なんでも聞いてくれるんだよね?だったら私のために死んで欲しいの!わかるよね?」
「え...?ちょっと...え...?ごめんなさい、わからないわ...。死んでって...友奈ちゃんは私のこと親友だと思ってくれてるんでしょ?一番好きなんでしょ...?じゃあなんで...」
「だからだよ!」
ますます彼女の言っていることがわからなくなってくる。
「......好きだから殺すの。そうすればあなたは一生......私の物...♪」
「そんなことしなくたって私は友奈ちゃんの...」
「え、ねぇなんでも聞いてくれるんでしょ?」
「......!でもそれはさすがに...」
「話が違うよ。また私を怒らせる気?」
「ち、違う!そんなつもりはなくて...えっと、その...。」
「まあ、いいや!...東郷さんが自分でできないなら私がしてあげる!」
「......へ...?」
すると友奈は拳を上げ......
「......さよなら、東郷さん。」
「や、やめて......友奈ちゃ...」
グシャッ...!!
そのまま振り下ろした。
『...!!!』
「............は......?」
それを見ていた周りの者は何が起こったのかわからなかった。なぜなら、一瞬で東郷の"形"が消えたからだ。友奈の振り下ろした拳は東郷の顔面に当たったと思ったのだが、そのときには頭ごと吹き飛んで消えていたのだ。まるで水風船のように破裂した。一体どのような力で殴ったらこんな風になるのか。赤い液体が辺りに飛び散り、胴体だけとなった体は地面にドサッと倒れた。
「............は...?...え.........?す、須美...?」
「なに...これ......うぇぇ...!」
雀は気分を悪くし、えずいて座り込んだ。
「さて...これでやっと一人目...♪」
友奈はそんな二人の反応も気にとめず、不気味に笑いながら拳についた赤い液体をペロッと舐めた。
「......おい...天の神...!」
「ん?どうしたの銀ちゃん。」
「どうしたのじゃねぇよ...!須美に...須美に何をしたんだ!!」
「えぇ?見ればわかるでしょ?...殴って殺してあげたの。まあ、力入れすぎて原型なくなっちゃったけど。」
「いや殴ってって...。パンチでこんなになるわけないだろ...!なんかのマジックかトリックなんだろ!?本物の須美はどこにやったんだ!!」
「あーあ、すっかり気が参っちゃってるね...。現実逃避?......受け止めなよ。東郷さんは死んだの。」
「嘘だ...。嘘だ嘘だっ!!須美が死ぬわけない!そんなの絶対あり得ない!!」
銀は今にも涙を流しそうな声で叫ぶ。
「須美を返せ!!返せっー!!!」
銀はそう言いながら友奈に突っ込み、ポカスカ殴る。友奈にとってはつっつかれているのと変わりない。
「自分から来てくれるなんて、手間が省けたよ。...大丈夫だよ銀ちゃん。すぐに東郷さんに会わせてあげるからね。」
「このっ!このぉっ!!よくも須美を!須美をっー!!」
銀は涙を流しながら友奈を殴り続ける。そんな暴れる銀のことを、友奈は片手で彼女の首を絞めて止めた。
「.........うぐっ...!」
そのまま体が浮き、銀は拘束を解こうとジタバタ足掻く。
「ぎ、銀ちゃん...!!」
「...量産型はそこで見ていろ。それとも、お前もこの人間のように頭部を消し飛ばされたいか?」
「......!」
その言葉を聞いた雀はまたもや動けなくなる。
「......ふん、勇者とソナタたちの違いはそこだ。」
友奈は雀を見下しながら園子が倒れている方を見た。
-------
(............う......あれ......私...やられちゃった......?)
園子は頭の中で考える。
(なに...されたんだっけ......吐き気がすごい......くらくらする......地面と空が合体してるみたいな感覚...。あ......体も動かないや...。)
園子はわずかに片目を開けながら状況を確認する。
(そうだ......攻撃を正面から受けて...。そりゃこうなるか。たぶん顔の骨も...折れちゃったかな......麻痺してたところがだんだん痛くなってきた...。)
園子はなんとかして動こうと努力する。やっとのことで首を動かすことに成功する。そこでまた気づく。
(あ......私、右目開かない...。前歯も...折れちゃってるねこれ...。あー、大人の歯なのに。......でも、みんなは...?)
裏拳で殴られた顔の右側は大ダメージを負っていた。右目は潰れ、頭、鼻、口からは大量出血。おそらく鼻の骨も折れているだろう。だがそれでも園子は諦めていなかった。
(なんとかして......体を動かさなきゃ...。私がやられて今誰が相手してる?にぼっしーたちは戻ってきた?わっしーたちは?...私の怪我はどうでもいい。誰かがやられてなきゃそれで...)
「そ~のちゃんっ!」
(...!!)
いろいろと考えている間に、話しかけられる。この声は...そうだ。妙に明るい。園子はとても嫌な予感がした。
「そのちゃん起きてる?起きてるよね!左目だけだけど開いてるもん!右っ側は血だらけだけど。...ねぇねぇあれ見てよ!」
そうすると指差す腕だけが視界に現れ、園子は声のままにその方向を見る。そこには...
(......え.........なに...あれ......)
「...ふふっ、東郷さんだよ。」
(............え...?)
「.........ソナタが守りたかったものは、また守れなかったのだ。我がまた壊してやった。...ソナタの大事なものの中のひとつだろう?」
「............う......かっ............くぅっ.........!」
園子は何か訴えかけようとするが声に出ない。先ほどから聞こえてくるのは声のみ。声の元はどこにいるのかわからなかった。すると...
「...実はあなたに見せたいものが、まだあるんだ!私を見て!」
と言ってきた。園子は無理やりにでも首を動かして先ほどから声が聞こえてくる方を向いた。
「............あ......!」
そこには首を掴まれ、そのまま宙に浮いている銀がいた。銀はずっと苦しそうにあがいており、友奈は余裕の表情を浮かべながら銀を見ていた。銀を支える支点は首だけ...相当な不可がかかっているに違いない。
「......さて、これからどうしようか。このまま首を絞めて殺すのも悪くないが...ソナタがあることを行えばやめることも考えなくはない。」
「......!」
「ソナタたちは我を殺そうとした。だからこれは正当防衛だ。人間の法律でも本来ならば許されること...。それを我はソナタが行動を起こせば許すと言っているのだ。乃木の末裔よ。」
「.........な、......なに.........を............した...ら......」
顎の骨も外れているのか、口が上手く動かない。
「わからないのか?簡単なことだろう。それともそんなこともわからぬ頭脳なのか?悪い行いをし、許しを乞いたいとき人間はどうする?東郷は殺してやった。だがまだ三ノ輪銀は生かしておいている。それをされたくないときどうする?」
「............や...やめて......!......ミノさんを......はな...して......!」
「そうじゃないだろう...?」
友奈はそう言うと額に血管が浮き出、握力を上げる。
「うっ.........!かあっ.........。」
銀はさらに苦しんでジタバタ動く。それを見た園子は我慢できなくなり、慌てて言い直した。
「ごめん...なさい......。ミノさんを......放して......ください......!」
その言葉を聞いた友奈はニッと口角を上げてにやけた。
「なんだ...?聞こえなかったなぁ...?」
友奈はわざとらしくそう言う。逆らえない園子はもう一度言った。
「ごめんなさい...。」
「なんだ?まだ聞こえんぞ。」
「ごめん...なさい......!」
「もっと大きな声で。」
「すみません...ごめんなさい......。」
「まだまだだ!小さいぞ声が!!」
友奈は怒鳴りつけ、園子の顔を足で踏みつけた。そのままグリグリと動かし、園子はさっきの怪我をさらに傷つけられて悲鳴をあげる。
「あ......あああああっ......!」
「それくらいで我が許すと思ったか?ソナタがやろうとした行いは『神を殺す』という大罪!...いつから人間はそうなってしまった?自分たちの目の前には現れてくれないが、それでも神の存在を信じ、尊び、敬い、祈り...崇高していた頃の人間はどこにいった!?我はいまだに信じられぬぞ!ソナタのような人間が生まれたことが!!」
友奈は興奮し、さらにグリグリと足を動かすスピードをあげ、力も込める。園子はそれに比例してさらに苦しんだ。
「許しを乞ったところで...許すわけあるまい。我はただ我が絶大なる力に屈し、心が折れたソナタの情けない言葉を聞きたかっただけだ。おかげで今は清々しい気分だ。......だが足りぬ。我がソナタから味わさられた屈辱に比べればな。」
「ごめん...なさい......ごめん...なさい......お願いだから...ミノさんを...放して......!もう殺さないで......。もう、やめて.......。地獄はこれ以上...見たくない......!」
「フン、最初に言ったとおり皆殺しだ。それは変わらない。これがソナタの味わう最後の地獄だ。たっぷり味わえ。」
友奈はそう言い、園子の顔の上から足をどけた。すると今度は彼女の顎を掴んで強引に首を上げさせる。
「よ~~く見ていろ。ソナタが命懸けで守った親友が、せっかく変えた未来が一気に壊される景色を。」
「......ダメ...!」
そしてそのまま銀の首を掴む力を入れる......ときだった。
「やあ~~!!」
ドガッ!!
情けない声と共に、横から盾で体当たりされて友奈の体は地面に転がる。そのおかげで銀は彼女の拘束から解かれた。
「ゲホッ!ゴホッ!......はぁっ...!はぁっ...!」
「ミノさん...!よかった......。」
「へへっ...ありがとな、雀。」
銀は盾をもってブルブル震えている雀にお礼を言った。友奈に体当たりをくらわせたのは雀だったのだ。
「私......怖いのはイヤ...。死ぬのも怖いけど......でも、それよりも...友だちがどんどん殺されていく方が怖い...!どっちもイヤだけど!今はやるしかないと思ったからぁ!」
雀は声を震わせながらそう叫んだ。
「ぐぬぅ......。ソナタだけは邪魔をしないと思っていたが...。図に乗るなよ、量産型ァ...!」
「ひっ...!」
「いいだろう...それほど殺されたいなら、先に殺してやろうっ...!!」
「ヤバい...やっちゃったやっちゃった...!私殺されちゃう~!!」
雀はまたそう言って泣き始めた。友奈が雀を睨み、地面を蹴ろうとしたとき、
ザシュッ!
「ぐうっ...!?」
友奈の背中に一振りの斬撃が入る。牛鬼がそれを守り、また満開ゲージが減った。
「くっ...もう戻ってきたか...。いや、時間稼ぎはできた方か...。」
ダメージを与えたのは夏凜だった。夏凜は何も喋らずに友奈を睨んでいる。そして周りを見渡せば、いつの間にか他の勇者たちも友奈を取り囲んで同様に睨んでいた。
「......。状況は元通り...か。」
夏凜はまた友奈に斬りにかかり、友奈はそれを避けて囲まれている中の中心に立った。そして夏凜は園子の前に立って言う。
「園子。もう二度と、あんなヤツなんかに頭下げんじゃないわよ!!」
「......!」
「私たちが謝る義理なんてない。悪いのは全部、あいつなんだから...!」
夏凜は東郷の亡骸をチラッと見ると、歯を強く食いしばって続ける。
「...行きなさい園子。作戦は失敗...芽吹も依然、目を覚まさない。プランCに移行よ...!」
「.........。」
園子は自力で立とうとするが、まだ視界はぐらぐらしたままで上手く立ち上がれない。
「立てるか、園子。」
と、そこへ銀が駆け寄ってきて園子に肩を貸す。
「ありがとう...ミノさん......。」
「......あたしも戦えたらな...。自分が無力すぎて...悔しい...!...できることはこれくらいしかない。鉄男のところへ行くぞ!」
「加賀城もついて行け!」
「え、私も?」
「そうだ!ここにお前がいたってしょうがねェだろ!」
「ごもっともです、シズクちゃん。」
前線から離れられるとなると雀はすぐに言うことを聞いた。
「ソナタたち、我が見逃すこと前提で何を話している...?逃がすわけなかろう。また過去に戻られて新たな計画でも練られたらとんだ迷惑だ。」
「いいや、園子さんたちは私たちが逃がします!」
樹はそう言って園子たちに逃げるようにアイコンタクトを送る。
「よし...行こう、ミノさん...チュン助!」
「だから......逃がさんと言っておるだろう!!」
「園子さん!残念ですけど、計画は失敗しました...。過去に戻るなら、もう無茶してもいいですよね!?」
「い、いっつん...!?」
「満開っ!!」
樹はそう叫び、香川県上空に大きな花を咲かせる。現実世界で満開をしたら、特大花火と同じくらいだろうか。緑色の光が夕方の砂浜と近くの町までも照らす。
「何っ!?満開だと...!」
友奈もそれは想定外だったらしく、
「園子さんたちを...追わせはしません!!」
樹はそう言って空に手をかざす。すると次の瞬間、糸が雨のように降ってきて友奈を取り囲んだ。
ザッザッザッザッザッ!!
降ってきた糸は激しく音を立てながら砂浜に突き刺さる。
「な、なんだこれは...!?」
「やあっ!!」
そしてまた糸を操って檻状にし、友奈を閉じ込めた。
「すごいわ...樹...!」
「本気になった我が妹は...いつからこんなに恐ろしくなったのだろう...。」
友奈は殴って破壊しようとするが、それを躊躇った。
「少しでも触れたらバラバラになりますよ。...あなたはこの檻を壊せません...!」
「......。そのようだな。ソナタの武器の恐ろしさは我もよく理解している。...やってくれるではないか。」
樹の活躍もあり、園子たちはその間に逃げることに成功する。
-------
----
--
「ごめんみんな...!ありがとう...!」
「それでそれで!?逃げたはいいけどこれから私たちどこ行くの!?」
「とりあえずあたしの家に行こう!鉄男が待ってるはずだ!道は案内するから。」
園子はもう動けるようになり、銀を背中におぶりながら最速スピードで三ノ輪家を目指す。
(第45話に続く)