乃木園子は勇者である ~リベンジの章~   作:てんぱまん

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本当に、部長になった樹は強すぎるので毎度扱いに困ります。


【第53話】Human vs. God ~second half~

 

天の神vs.三ノ輪銀&三好夏凜

 

「......今だっ!」

 

「おおおおおおっ!!!」

 

銀の合図に合わせ、夏凜は突っ込む。

 

(スピードは緩めるな...!緩めるな!このまま突き抜け、あいつにこの攻撃を...!)

 

「うおおおおおおっ!!」

 

「おおおおおおおっ!!」

 

『やああああああああああああっ~!!!』

 

近づけば近づくほど天の神による攻撃の鋭さが増し、夏凜の装備はボロボロになって崩れ落ちていく。

 

(緩めるな...緩めるなあああっ!!)

 

それでも夏凜はスピードを落とさずに突き抜ける。そんな夏凜を見た銀は斧を巨大化させ、二人でそれを掴んで進む。その間にも二人は少しずつ傷を負っていく。

 

(くっ...ううっ...!)

 

(ぬうっ...うんんっ...!)

 

傷が深くなっても、我慢した。耐えた。痛い苦しいしんどい...頭の中で浮かぶマイナス言葉を振り払い、力を振り絞った。目の前のこいつを倒すために。斧を掴む手は何が何でも離さず、たった一度のチャンスを逃さまいと目をしっかり開けて狙いを定めた。

 

『これが勇者の...』

 

「気合いと!」

 

「根性と!!」

 

『魂ってヤツよっ~~!!!!!』

 

 

バギンっ!!!

 

 

鈍い音を立て、巨大化された斧が天の神の中心に突き刺さる。

 

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同時刻 防人隊

 

「...たった今勇者の攻撃が天の神に着弾したのを確認!」

 

「よし...。」

 

その報告を聞いた芽吹はブンっと右腕を横に振って発射の合図を出す。そして...チャージされた千景砲は赤い光を激しく放ちながら天の神に向かって、発射。

 

「受け取れええええええっ!!!」

 

 

ズドドドドドォォォー!!!

 

 

バギ......バギバキッ...!

 

 

こちらも見事着弾。二つの大きな攻撃を受けた天の神のその体にヒビが入る。

 

------------------------------------------

 

同時刻 銀&夏凜

 

(よし...このまま行けば倒せる...!)

 

(あと...もうひと踏ん張りだっ...!)

 

『うおおおおおおおおおおおおっー!!!』

 

銀と夏凜はさらに力を入れ、このまま天の神の体を貫こうとする。が...

 

 

ドンっ!!  

 

 

『!?』

 

突然感じたことがないほどの力で押し返され、地面に向かって急降下。あまりにも強い圧力にグワンと目眩が起こり、二人は意識を飛ばしそうになる。

 

(なんだこの力っ...!)

 

(これじゃ受け身がとれな...)

 

 

ガシッ!

 

 

『...!』

 

そんな二人を受け止めたのは樹だった。満開を使い、ワイヤーをネットにして衝撃を和らげ、無事キャッチしたのだ。

 

「ありがとう...助かったよ樹...。」

 

「...!待って後ろ...!!」

 

樹は夏凜に言われて後ろを振り向く。そこには、火山が噴火したかと思うくらいの赤い炎がどんどん迫ってきていた。

 

「なんじゃあこりゃあ~~!!!」

 

銀はその光景に思わずそう叫ぶ。

 

「樹!このままじゃ巻き込まれる!せめてあんただけでも...」

 

「何言ってるんですか夏凜さん!みんなで帰るんです!!夏凜さんと銀さんは...私が必ず守りますっ!!」

 

「そんなこと言ったって......うわっ...」

 

「あちっ、あちぃ~!」

 

火はもうそこまでだ。樹は最高速度で逃げ続ける。

 

「...!あそこなら...!」

 

樹は樹海の隙間に入り、深い場所まで潜る。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ.........

 

 

激しい地響きが鳴り、やがて収まった。

 

「はぁ...はぁ...助かった...?」

 

「なんだったんだよアレぇ...レオの火球とは比べものにならないくらいのデカさだったぞ...。」

 

「でもみなさん無事でよかったです!」

 

三人はその隙間から出て辺りを見渡した。

 

「これ...ひどい...。」

 

「ああ...。ここら一帯、樹海が真っ黒焦げだ。」

 

「でも、どうやらあの火は樹海の上を掠めただけみたいですね。直撃していたならもっと樹海が抉れているはずですし、私たちへの衝撃もさらに大きくなっていたはずです。」

 

「確かに...直撃しなかっただけマシか。」

 

「でもさ、あたしたちはやるべきことやれたよな?成功したよな?」

 

「ええ!そりゃもう完璧よ!天の神の足止めは!しかも、結構ダメージ与えられたんじゃない?」

 

「お二人ともすごかったですよ!防人のみなさんも、がんばってました。」

 

「そうね...芽吹たちのサポートがなかったらもっと危なかったかも...。」

 

「ああ、本当その通り。」

 

銀はそう言って頷いた。それから神樹の方を見て呟く。

 

「......どうだ園子。十分時間は稼げただろ?」

 

---------------------------------------

 

その頃 防人隊

 

「やった...!どうやら作戦せいこ.........あれ?」

 

芽吹はそう言って振り返るも、後ろには誰もいなかった。先ほどまで横にいたシズクも、向こうでバーテックスと騒いでいた夕海子も、ずっと震えて弱音を吐いていた雀も...どこにもいない。

 

(時間切れか...。)

 

芽吹きは『ふぅ』とひと息吐く。

 

「あとは頼んだわよ...みんな...!!」

 

そう言い残すと、芽吹もそこから姿を消した。

 

---------------------------------------

 

神樹内部

 

「やっと気づいた?自分の状態に...。」

 

「こっ、これはっ!?どういうことなのだぁっ!!!」

 

天の神は自分の体を見て驚く。いや、もう自分の体ではない。結城友奈の体は、天の神の視点から見て下にあった。つまり...

 

(我と...結城友奈の体が......分離している...!?)

 

「くっ...なんなんだ...なぜだっ!!」

 

天の神は友奈の体に手を伸ばそうとするが、

 

(...!!)

 

「手がない...!?いやこれは......我が魂だけになったから...?」

 

友奈の体はどんどん下に落ちていく。対して天の神の魂は上へ上へと浮き上がっていく。距離がさらに広がっているのだ。

 

「何をした......何をした乃木の末裔っ!!!」

 

「私は何もしてないよ?あなたが自分でやったんじゃない。」

 

「...!?」

 

「なんならね、私たちがここに辿り着いた辺りから分離は始まってたよ?...ただ、それに気づいて対策されて欲しくなかったから今まで私たちがやってきたことの種明かしをして、注意をこちらに向けてもらってただけ。」

 

「で、ではつまり......この現象は...?」

 

「『目には目を、歯に歯を』...」

 

「...?」

 

「人が作った有名なことわざ。知ってる?...意味は『人が誰かを傷つけた場合にはその罰は同程度のものでなければならない、もしくは相当の代価を受け取ることでこれに代えることもできる』...。あなたはこれまでバーテックスを使って、人間及び神樹様を倒そうとした。何百年という月日も...神樹様にダメージを与えてたんだよ。」

 

「...それがなんだというんだ...!」

 

「『神様には、神様を』...だよ。」

 

「...!!」

 

「私、思いついたの。あなたと同じタイムリーパーの私には、あなたとゆーゆを離すことはできなかった。だったら同じ神様ならどうなるのかなって。そしたら思った通り。...神樹様はゆーゆの体だけ欲してる。ゆーゆの中に入り込んでいたあなたは、神樹様にとって不純物...!当然あなたなんかいらないから、ゆーゆの体から追い出した。」

 

「...っ!...ならば、最初から...我の計画は成功するはずのない夢物語だったというわけか...。」

 

「観念しなさい天の神!!...友奈ちゃんの体を使ってあんなことやこんなことをしたあなたは(ああ、羨ましい...)...私がぁっ、絶っっっ対にぃっ...!!!」

 

東郷は鬼の形相で天の神の魂を睨みつける。

 

「だがまだ......我は諦めんぞ!!かすかな希望に賭けるっ!!」

 

天の神はその場から一目散に逃げ出した。神樹の外へと向かうため。

 

「...!!逃がすもんか...!!」

 

園子は後を追うため泳いで魂を追う。

 

「わっしーはゆーゆをお願い!!...頼んだよ!」

 

「ええ任せて!!そのっちもよろしく!!」

 

「うんっ...!絶対に逃がさない...!」

 

園子は全速力で泳ぎ続ける。明らかに差は縮まってきている。

 

(えいっ...!)

 

園子は槍を伸ばし、天の神の魂を貫く。

 

「!!」

 

だが、手応えはなかった。その一突きは確実に当たっているはずなのに。

 

(もしかして...魂だから...!?)

 

魂は実体ではない。物理攻撃ではダメージは与えられなかったのだ。貫いているように見えるが、それは透けて当たっていない。目に見えているが触れない...煙や雲と同じようなものだった。

 

(どうしよう...。それじゃどうやってあいつを倒せる...?)

 

次の手を考えている暇などない。そこで園子は直接触れてみようと思った。ただの物体の槍で触るのではなく、生物の自分自身なら...。友奈の体に入り込んでいたように園子の体に反応するかもしれない。友奈の時のように体を乗っ取られる可能性もあるが、そうなればその時で人格をなくされる前にこの槍で自分を...。

園子は手を伸ばす。もう指先が触れる...瞬間だった。

 

「......!......あれ...?」

 

その時ちょうど、神樹の外に出た。園子はそのままの勢いで出たのでバランスを崩して樹海に転がる。が、すぐに我に返って立ち上がった。

 

(どこにいった...!?私、触れなかった...?)

 

辺りを見渡すが、先ほどのもやのかかった虹色の霧のような塊...天の神の魂は見当たらない。

 

(いや、この一瞬ですぐに遠くまで逃げきれるわけない!ましてや泳いで捕まえられるくらいの速さだったんだ...。絶対まだ近くにいる!どこかに隠れてるはず!)

 

園子は諦めずに探すがやはり見つからない。不審に思った彼女は、探している間にハッと気づく。

 

(もしかして......神樹様の中だから見えてた...?普通、魂なんて目で見えるものじゃない...。神様の力のおかげで可視化できていただけ...?だから魂だけの姿になった天の神の声も聞こえていた...?)

 

その結論に至ったとき、空が突然赤黒く光を発した。

 

「わっ...!」

 

あまりの眩しさに、園子は目を閉じて腕で顔を隠す。

 

(何この光...!)

 

やがてその輝きは収まる。園子はゆっくり目を開け、恐る恐る空を見上げた。するとそこには、一番起きてはならない最悪な情景が広がっていた。

 

「あっ......!?!?!?」

 

大きすぎて一瞬気づかなかった。四国の大空を、赤黒い雲のようなものが覆っている。そしてちょうど神樹の真上が、その全体の"目"のようだった。

 

「うそ...でしょ......。なんでこいつがここに......?ミノさんたちは......?足止めしてくれていたはず......!」

 

そう...。その空を覆っていた巨大なモノの正体は、"天の神"だった。その大きさは四国全土よりも遥かにデカく、大型台風並の大きさだった。

 

「どうして...!作戦が失敗していたらメブーから連絡が来るはずなのに...!そもそも、天の神はここまで大きくなかった!一瞬気づかないほどの大きさじゃなかった...!」

 

園子の頭に嫌な考えが浮かぶ。

 

「そ、そんな.........ありえない........."防げなかった"...?」

 

樹海を殴り、歯を食いしばる。

 

「嘘.....また...?......なんでいっつもこうなるの...!!」

 

するとまた空が赤黒く光り始める。一度園子は今の感情を捨て、神樹様から遠のいた。

 

(神樹様の中には、まだわっしーとゆーゆがいる...!何が何でも、神樹様本体に攻撃を与えるわけにはいかない...。それに今、あいつが一番恨んでいるのは...間違いなく私...!)

 

園子は目立つ場所に出て空に向かって叫んだ。

 

「天の神っ!!!私ならここだよ!!!私のこと殺したいんでしょ!?なら、私を狙いなさいっ!!!」

 

園子はそう言って矛先を空に向ける。

 

「私もあなたと同じ気持ちだから...!!今ここでリベンジさせてもらう!!!何度もいろんな未来を見てきた者同士......今度こそケリつけようよ。私とあなた!1体1の真剣勝負!!私はもう負けないよっ!!絶対に止まらない!!死ぬまで戦い続ける!!!」

 

天の神の大きさは元の二倍以上の大きさまで膨れ上がっていた。この世界に二つ存在していた天の神は一つに融合し......天下無敵の力を手に入れたのだ。

 

(第54話に続く)




ついに本格的なラストバトル開幕です!勝つのは神か、人間か...。園子はこれまでの思いをすべてここでぶつけます...!次回もお楽しみに。

今まで見てきた未来で一番驚いた未来はどれでしたか?

  • 銀が自殺した未来
  • 風が暴走した未来
  • 芽吹と鉄男が死亡した未来
  • 友奈に勇者・防人が全滅させられた未来
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