ここまで書き上げられたのもみなさんの応援のおかげです。どうぞこの物語のラストをお楽しみください!
(...!......あれ...?)
園子は一人、霧に包まれている幻想的な空間に立っていた。なぜ自分がここにいるのか、いつからいるのか全くわからない。気づいたときにはここにいた。
(園子、久しぶりだな。)
(!......あの時のご先祖様...?)
いつだか夢に出てきた例の少女が、園子の前に立っていた。今思えば髪型や外見など園子に似ている所が多々ある。
(お前は無事役目を果たした。お前と同じ能力を持つ者であり、人類の宿敵とも言える親玉を完全に倒したんだ。つまり乃木家の因縁に決着をつけた。...本当にありがとう。感謝している。実に長い戦いだった。おかげで私たちも300年ぶりにあるひとりの友達と再会できた。)
(......まだだよご先祖様。終わってない。)
(......。)
(壁の外、ちゃんと300年前の時のように元通り復興させてからじゃないと終わったって言えないよ。だから私の代じゃまだまだ終わらないかな。ごめんね。)
(そうか......。そうだな。お前の言う通りだ。)
(私たち、まだ頑張るよ。できるだけ元に戻せるように...。人類の未来のために進み続ける。)
(......。園子は頼もしいな。さすがは私の子孫だ。お前たちならきっと、いつかそれを達成できる日がくると信じている。)
(うん!たとえそれが、何百年、何千年かかったとしても...)
(お前たちの働きは後の世代へと受け継がれ、いつまでも続いていく。)
(そう!乃木若葉から...私たちのように。)
園子は少女の目を見つめてそう言った。
(...!)
(これからもまだ、勇者部の活動は続いていく。だから安心して見守ってて!ご先祖様!)
(...............。)
目の前の少女は目を閉じ、微妙ながら口角を上げた。それから彼女は光を発し、園子はそれに包まれる。そして、次に目を覚ました時には......
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「...............ぅ............あ...。」
園子は病院のベッドに横たわっていた。見たことある個室。前にも一度、ここで眠っていたことがあるような。
コンコン、ガラッ
ちょうどそこへ、ノックの後に扉がひらく音が聞こえる。入ってきた人物は...。
「...!てっちゃん...!!」
「目覚めましたか。園子さん。」
「えっ...?」
『園子さん』その言葉に園子は引っかかった。未来の鉄男は自分のことを『園子姉ちゃん』と呼んでいるはずだ。今この時代の鉄男が、この呼び方はおかしい。それにこの感じ、なんとなくデジャヴを感じる。
「園子さん。突然ですが、今日が何年何月何日かわかりますか?」
「え...えっと......神世紀301年5月15日...かな?え、てっちゃんだよね...?『園子さん』だなんて...どうしたの?」
「やはりその反応、パラレルワールドに行っていたのですね...。」
「ふぁえぇっ!?パラレルワールド!?!?」
園子は思わず変な声が出てしまう。
「覚えていますか?俺がトラックに轢かれそうになったとき、園子さんは俺を助けてくれました...。実際、そのおかげで俺はこうして元気にしています。本当にありがとうございます。」
「ちょ、ちょっと待ってよてっちゃん!!えっ、えっ、ええっ...??」
つまり、今まで見てきたことはパラレルワールドでの話だったということか。園子は頭を抱え、状況を整理しようとするも全くうまくいかなかった。
「...それで、なんですが...俺を助けた時、俺の手を握りましたよね?」
「それが原因でパラレルワールドに行ったって?」
「え...?なぜそこまで...」
「やっぱり図星なの...?......。え、嘘でしょ...!?じゃあ今までのは何!?ミノさんは!?わっしーは!?メブーたちは!?天の神との死闘も何だったの!?.........ってことはこの未来は最初のだから...ミノさんはいなくて、メブーたちとも知り合っていない世界...?」
「そーのこっ。」
一生懸命理解しようとしていたとき、病院の廊下から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。聞き覚えがある。彼女のその呼び方が好きだった。彼女に呼ばれるのが、心地よかった。そして彼女が大好きだった。
「え.........?」
病室を覗くようにしてひょこっと顔を覗かせる。それは園子の思い描いていたそのまんまの顔をした、三ノ輪銀の姿だった。
「え...ミ、ミノさん......?」
『うっしっしっしぃぃ~~!』
園子の如何にも戸惑っている反応を見た鉄男と銀は顔を見合わせ、しめしめとでも言うかのような顔で笑った。
『ドッキリ大成功~!!』
「あ、え............ええっ~~~!?!?」
鉄男と銀は肩を組み、園子の前でそう言う。
「もうっ~!びっくりさせないでよー!本気で焦っちゃったよ私ぃ~!」
「へへっ!まさかここまでうまくいくなんてなぁ!」
「うん!あの園子姉ちゃんがまんまと引っかかるなんてね。疑う素振りも全然なかったし!」
「鉄男、結構いい演技してたからなぁ!」
「え...本当...?」
「本当だよ!私本当の本当に今までのが嘘だと思っちゃったもん!」
「あははーごめんな園子~。そんな怒んなって~!」
「でもよかったよ~...!現実ならそれで満足!今のこれも幸せのうちだよ~!」
後に園子は天の神との戦いで内臓に傷を負っていたので、それの治療で入院していたことを知る。銀と夏凛はいくつかの切り傷程度で、入院するまでにはいたらなかった。風と樹は園子と同じく入院。友奈と東郷は全くの無傷で元気にしていた。
一週間後
「よっ、園子!」
「園子。元気にしてる?」
「あっ、ミノさん!メブー!」
「入院のお土産と言ったらリンゴでしょ?持ってきてあげたわよ。」
「剥くのは芽吹な!」
「銀も一個くらいは剥きなさいよ。」
「ジョーダンだよ芽吹ぃ~。」
園子が退院できるのはまだ先になりそうだ。彼女が寂しくないように、友奈、東郷、鉄男も含めた五人がよくこの病室に来てくれる。そして時々、園子は壁の外の話について世間ではどんな進展を迎えているか聞くのだった。
「相変わらず大赦は対応に忙しいみたいだぞ~。あたしの両親も最近ずっとバタバタしててさぁ。」
「私は大赦と深い関係があるわけでもないからテレビと同じくらいの情報しかないわね。防人も今は一時的に活動休止中だから。」
「ふ~ん...そっかー。」
「あ~、でもやっぱり外の調査はまだみたいだな。」
「やるとするなら、私たちに声がかかるはずだしね。」
三人でリンゴをつまみ、その後からは他愛ない日常的な会話を広げた。
それからさらに一ヶ月後...
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「さあ~!今日は食べて飲んではしゃぎまくるわよぉっ!!」
風、樹、園子の退院祝いと祝勝会を含めたパーティーを三ノ輪家で開いた。勇者部員7名プラス防人隊芽吹班4名。この人数だけで家から溢れ出そうだ。そして大きなテーブルには高級旅館にもてなされるような豪勢な料理が盛りだくさんに乗っかっていた。
『おおっ~!』
最近まで病院のベッドに横たわっていたとは思えないほどの声量で叫ぶ風に応えるように、一同は一斉に料理にかぶりつく。
「てかなんであたしんち!?」
「ミノさんの家広いから~!」
「いや絶対園子んちの方が広いだろ!」
「まあいいじゃんか姉ちゃん。こんなに人がうちに集まることそうないぜ?園子姉ちゃんちだって今大赦は忙しいから大変なんじゃない?うちだって今親いないわけだしさ。」
「鉄男、あたしだって別にダメだとは言ってないぞ!」
「じゃあなんなんだよ...!」
「そう言えば銀ちゃんの家に来るのって初めてじゃない?」
「そうですよね!私たちは今まで来たことありませんでした!」
友奈と樹がそう言い、やっと来れてよかったと笑顔を見せる。
「平和最高おおおおおっ~!!!イェーーーイ!!!」
「雀さんのテンションが天元突破してますわ。」
「いいわね雀!イェーイ!!」
風と雀は手を取り合い、酔っているかのように踊り狂う。
「こんな豪勢な料理はそう食べられないから...。ちょっとは静かにご飯食べたい...。そうだよね、金太郎くん。」
そう呟き、自分の膝に銀と鉄男の弟である金太郎を座らせながら、料理をパクパク口に運ぶのは山伏しずく。
「今夜は寝かせないぜー!」
今までにない盛り上がりをみせる一同。隣に人が住んでいたら間違いなく苦情がくるだろう。
ついにはマイクを取り出し、夏凛と芽吹によるデュエットが始まった。それに合わせて東郷と友奈、園子は手拍子をし、風と雀は肩を組んで音楽に乗り、樹としずくと夕美子は彼女らの歌にノリながらそれを笑顔で見守る。この大騒ぎの中にも関わらず、しずくのぬくもりがよほど気持ちよかったのか、金太郎は彼女の胸の中で眠っていた。
そんな時だった。
「園子姉ちゃん...。」
鉄男が園子の服の袖を引っ張って彼女の名を呼んだ。園子は後ろを振り返り、「...うん?」と言った。
「ちょっと...いい...?」
その時の鉄男の顔は少し赤くなっていた。恥ずかしがっている感じで園子に目を合わせようとしない。そしてそのまま園子を二階へと連れていき、自分の部屋に招いた。鉄男と園子...この部屋に二人きり。一階は先ほどのドンチャン騒ぎだから、二人がさり気なくいなくなったことは誰も気づいていなかった。
「おおっ~。ここがてっちゃんの部屋~?私初めて入ったかも~!」
園子は呑気に彼の部屋の中を見渡した後、鉄男の方を見る。
「...てっちゃん?」
「...!」
園子は彼の顔をのぞき込むようにして顔を近づける。それに対して鉄男はまた目をそらし、そこから逃げてベッドに座った。
「どうしたのてっちゃん...?」
「え、えっと.........あ、あのさ!俺が園子姉ちゃんをここに連れてきたのは......二人で話がしたくて...。下は...ほら、騒がしいし?」
「...うん。」
鉄男は緊張している。それは園子にも伝わってきた。すると鉄男はベッドに置いていた拳をギュッと握った。それによってシーツにしわができる。ようやく話す覚悟ができたようだ。
「こんなこと、今になって言うのも恥ずかしいんだけど.........園子姉ちゃんが過去から初めて戻ってきたときに、『園子さんはよそよそしいから別の呼び方にしてほしい』って言っただろ?そんでさ、俺そっから園子姉ちゃんって呼ぶことになって...。」
「あ~。そうだったね~。」
「その時さ、俺......すんごく嬉しかった。」
「...。」
「その時の世界はさ、姉ちゃんがバーテックスに殺された世界で...。姉ちゃんいなかったから。」
「...そうだったね。」
「だから俺、『園子姉ちゃん』って呼び始めてから、自分にもうひとりの『姉』ができたって思うようになってさ......すごい気持ちが楽になったし、それからの生活が楽しくなった。だって園子姉ちゃん、俺のこと本物の弟のように扱うんだもん。こんな気持ちになっちゃうのもしょうがないよ。......だからね、今となってはもう...あなたのことを本当の姉ちゃんだと思ってる...!」
「......!!」
「俺がいきなりこんなこと言って、気持ち悪いって思っちゃうかもしれないけど......これからも、俺の姉ちゃんとしていてくれませんか...!?」
「.........てっちゃん...。」
「.........あっ、いや俺...やっぱ何言っちゃってんだろうな...!こんなキモいこと...。」
「当たり前だよ。」
「えっ...?」
「てっちゃんにそう言われなくたって、そうするつもりだったよ。私だって、もうてっちゃんのこと本当の弟のように思っちゃってるし。」
「じゃ、じゃあ...また会いに来てくれる!?天の神倒したから会うきっかけがなくなるんじゃないかと心配で...。」
「そんなの何回でも来ちゃうよ~!私だっててっちゃんに会いたいからさ。」
「...!!」
その時、鉄男は心の底から嬉しそうな表情を園子に見せた。彼の気持ちも与えられた苦しみも、園子はすべてわかる。自然と二人の気持ちは一致していたのだ。
「それじゃ、下に戻ろっか。」
「うん...!」
二人は扉を開け、階段に向かおうとする。が...
「あれ、ミノさん?」
銀が鉄男の部屋の外に立っていた。それも、壁にびっちりと体をつけて。
「あ、やべ。見つかった。」
「も、もしかして姉ちゃん......全部聞いてた...?」
「え~?なんのことかな~?」
銀はべーっと舌を出して階段を軽い足取りで降りていった。そして階段を降り終わった後、
「あたし以外にもお姉ちゃんができてよかったな!」
と言って居間に入った。
「ミノさん、全部聞いてたみたいだね~。」
園子は振り返り、鉄男にそう言う。鉄男は顔を真っ赤に染め叫んだ。
「姉ちゃんの............バカ野郎っ~~!!!」
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数日後
この日、園子、東郷、銀は安芸と共に英霊碑を訪れていた。手入れと、戦いが終わった報告をするためだ。
「いやぁ、安芸先生と会うのも久しぶりですね!」
「三ノ輪さん、元気にしてた?」
「はい!そりゃもちろん!あたしはいつも元気いっぱいですよ!」
「それにしても安芸先生、近頃ご多忙ですよね?今現在大赦はどうなっているんですか?」
「壁の外の調査に乗り出そうと、計画を立てているところだわ。何より神樹様のご加護がなくなって食料不足などで貧困化が進むのが一番最悪だからね。活動領域を壁外にまで広げないと解決できないから。」
「それだけじゃないですよね...?神樹様への信仰心が強い方...ご年配の方なんて特に。突然神樹様が消えたなんて言われて混乱してるんじゃ...。」
「確かにその通りだわ。ストレスや精神的ショックで心の病気になる人たちが急激に増えてる。それはすぐにどうにかできるっていうことではないからね。」
「天の神をやっつけたらやっつけたらで終わりじゃないんですねぇ。あたしらになんかできたらいいけど...。」
銀はそう言いながらブラシでコンクリートの地面をこする。
一方園子はあるひとつの石碑の前で突っ立っている。それが気になった東郷は、その石碑がある段まで登り、
「そのっち...?」
と声をかけた。園子が見ていた石碑は『乃木若葉』と書かれた石碑だった。
「あ......わっしー。」
「『乃木若葉』...?確かお正月にそのっちが見せてくれた勇者御記の...。初代勇者...?」
「そう。...彼女にもいろいろお世話になったからね~。」
「えっ...?」
園子は一番下の段に降り、何も書かれていない石碑の前に立ってその前にしゃがんだ。
「?...どーした園子?」
銀と東郷が彼女の側に駆け寄って後ろに立つ。園子は石碑を見たまま、背中で語り始める。
「私が最初にいた未来ではね...ここにミノさんの名前が刻まれてた。」
『...!』
「戦いが終わった後にね、わっしーと一緒にミノさんに伝えに来たの。大橋の戦いの前にクラスメイトたちから貰った横断幕とお花持って行ってさ。......『やっと終わったよ~、長かったね~、大変だったね~』って。」
海から吹いてくる風が、ここにいる全員の髪と服を靡かせる。もう夏が近づいてきており、そよ風が涼しい。
「その時...私思わず泣いちゃってさ。終わったと思ったら...つい、感極まっちゃって。ミノさんにすごく会いたくなっちゃって。ずっとそれまで我慢してきたのにな~。あのときはわっしーに慰めてもらっちゃったんよ。...その後安芸先生見つけてね。安芸先生もミノさんにお花持ってきてたの。私たちと会うのが気まずかったのか、一回逃げようとしてたけどね。」
園子はそこで立ち上がる。そのタイミングでさらに風が強くなった。
「......でも今は違う。」
振り返って二人の顔を見、ニッと笑って言った。
「今はミノさんがここにいる!わっしーもいる!...三人でここに立ってる。三人で一緒に、戦いが終わったことをご先祖様たちに報告しに来てる。......それがどれだけ幸せで、嬉しいことか。」
園子は自分で掴み取った幸せを手繰り寄せるように、東郷と銀にいっぺんに抱きついた。
「もう離さないよ。...二人はずっと私と一緒。」
園子のささやきを聞き、東郷と銀はそれに応えるようにして抱き返した。
少し遠くからそれを見ていた安芸は静かに大赦の仮面をつけて顔を隠すのだった。
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それからまた1ヶ月と数日。夏祭りの季節がやってきた。この季節になると夜でも少し暑い。蝉の鳴き声が減り、家々の灯りがつきはじめる時間帯。
園子たちは浴衣を着て屋台を回っていた。そう、今日は大橋で行われる夏祭り当日。彼女たちは実に三年ぶりにこの夏祭りにやってきた。
「よ~し諸君、アレはしっかり持ってきているな?」
「もちろん!」
「忘れるわけないわ!」
銀の問いかけに二人はそう答え、
「それじゃ、せーので一斉にだぞ!せーのっ!」
銀の合図で、三人は持ってきたモノを取り出す。それは三年前、園子が射的で当てた三種の色違いの猫のストラップだった。
「あら、銀はてっきりなくしてるかと。」
「おい須美ィ!いくらなんでもひどくないか!?そんなわけないだろ!」
「今年も何かおそろいで買おっか~。」
「なら、また射的ね。」
「須美お得意のα波が見れるな。」
一回で三発、弾を撃てる。銀は東郷のα波を拝めると期待していたが、そうはいかなかった。
パンっ!パンパンっ!!
園子の射的の腕は予想以上に上がっており、神業で連続三発目標に撃ち込み、見事撃ち落とした。
「やったー!やったよわっしーミノさん~!!」
「そのっち...!私より上手いんじゃ...!?」
「マジか...。さすが、元タイムリーパーは格が違うな...。これが人生経験の差か...。」
「あれ、二人とも喜んでない?」
「いやその...喜びよりも前に驚きがくるわ...。」
大きな賞品を撃ち落とした園子は三年前同様、三つの色違いのグッズを選んだ。
「そろそろ花火の時間だな。例の場所、行きますか!」
「そう言えば銀もそのっちももうタイムリープはできないのよね?ならタイムリーパーに手に入るもう一つの能力はまだ使えるの?」
「ああ、それがなぁ...。」
「天の神を完全に倒した後から、もう全く使えないの。」
「そうなんだよな~。もう幻作れないし。」
「わっしーとかミノさんの体に触れても何にも感じ取れないんよ~。」
「そうなのね...。ってことはすべての発端は天の神だったってことかしら?」
「でも天の神自身も何でこんなこと起こったのかわからないんだろ?」
「たぶん...神様と人間の体がひとつになった奇跡が原因じゃない?ほら、ゆーゆってそういう神様とかに好かれがちだから。タイムリープとか引き起こしても不思議じゃないっていうか...。」
「毎回毎回面倒くさいことばかり友奈ちゃんを巻き込むのはやめてほしいわ!!でももうどちらも消えて神霊的な何かは関わってこないから安心よね!!」
「待て待て...それじゃなんで園子は?」
「あ、確かにそのっちは...?鉄男くんと手を繋いだことが始まりでしょ?全然関係ないわよね?」
「それが......それだけはわからないんよ~。でも私は、この最高な未来にするために神様が起こしてくれたんだと思ってる。神樹様でも、天の神でもない神様が。」
そんなことを話しているうちに目的地に到着した。そこは相変わらず人が少なく、今でも隠れスポットのようだ。
着いてすぐにヒューという高い音が聞こえてくる。そして空に咲く大きな大きな一輪の花。それを発端に次々に花が咲き誇り、空を七色に彩る。
「わ~~...!」
「綺麗ね~...!」
「久しぶりに見ると迫力違うな!」
三人はそれに見惚れ、打ち上がるのが終わるまでずっと空を見上げていた。
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「花火最高だったね~!」
「う...。ずっと上見てたから首ちょっと痛いぞ...。」
「銀、ちょっと揉んであげようか?」
「おっ、須美ぜひぜひ頼む~!」
東郷は銀の肩と首筋あたりを親指で押し、念入りにマッサージする。
「あ"~...ぎも"ぢぃ~...!」
「でもさすがに友奈ちゃんのようにはいかないわ。」
「いやいやあたしは死ぬほど満足してるぞ~...たまらんたまらん...!」
銀は今にもとろけそうな顔をしてニヘェと顔の筋肉を緩ませる。
「わっしー!私も私も~!」
「いいわよそのっち。」
東郷は園子にも同じように肩まわりを揉んであげる。
「あぁ~......最高だよ~...。」
「良い顔するなぁ園子。」
それから三人は神社の境内にあるベンチに腰掛け、休憩していた。
「ねぇ...ミノさん、わっしー。二人の夢ってまだ変わってない?」
「...たまにするよなぁ、その質問。答える度に恥ずかしいんだけど。」
「ということは、銀の夢は変わってないわね。」
「...っ!!.........ま、まあ...そうっちゃそうなんだけどさ...。」
「別に恥ずかしがることなんてないのにね~。もう私たちとっくの前に知ってるわけだし~。」
「そうよ。恥じるような夢じゃないわ。むしろとっても素晴らしいことよ。」
「そっ、そういうのが恥ずかしいんだよっ!はい、あたしの話は終わり!!須美は?須美はどうなんだよ!?」
銀は半ば強引に自分の話を終わらせ、話を須美に振る。
「そうね.........私は...。今はいつまでもみんなと一緒にいたいって思ってるかな。...将来の夢について考えると、どうしてもみんなとバラバラになっちゃう気がして...。」
「えっ?じゃあ歴史学者の夢は?」
「う~ん......興味なくなったというわけでもないんだけれど...。」
「みんなと離れずに、その夢を叶えればいいんだよ。」
園子は優しく微笑んで東郷にそう言った。
「...えっ?」
「......。園子はどうなんだ?やっぱり小説家?」
「私は......そうだな。大赦のトップになろうかなって。」
「へっ!?大赦の!?」
「それってつまり...継ぐということね?」
「うん。...今の大赦のひどさ、二人もよ~くわかってるでしょ?でもね、それって最初からそういうわけじゃなかったと思うの。大赦ができた当時は...どうにかして、バーテックスに支配された世界をなんとかしようと奮闘してたんよ。混乱する世界をまとめあげたことで、今現在の平和な四国に繋がってるから。だから...大赦が忘れかけてる真髄を思い出させてあげないとね。......私が元あったはずの大赦に戻す。そしてそのうち壁の外の世界も...。」
「でもそれじゃ...園子の好きなことはできないよな!?」
「...そのっちの言いたいこと、だいたいわかった気がする。」
銀の反応とは逆に、東郷が冷静に答えた。
「さっきそのっちが言った『みんなと離れずに私の夢を叶える』っていうのは...今の勇者部全員で大赦を立て直して、その裏でまたやりたいことをやればいいってことでしょ?」
「...!そうか、それなら!」
「わっしーは察しが早いね。......頼む前に言われちゃった。私、最初の世界ではひとりで大赦を背負い込もうとしてた。でも、その時いっつんに言われて思ったの。私はやっぱり、みんながいないとダメだな~って。同時にね、いっつん成長したな~って感じちゃった。」
「確かに、あの噛み噛みだったころの樹と比べれば...今は別人だな。」
「私たちの誇れる勇者部部長だものね!」
そこで園子は立ち上がった。そして二人の方を向き、両手を差し出して言った。
「私に...協力してくれる?」
園子のその質問に対し、クスッと笑った二人は彼女の手を取って立って言う。
「当然じゃない!」
「あたしら三人はいつまでも一緒のズッ友。そうだろ?」
「......うん。そうだね!」
園子は手を握り返して抑えきれない幸せを表現する。また目頭が熱くなってきた。
「それじゃ、帰りましょうか。」
東郷がそう言って三人は帰り道を歩き始める。空は満点の星空で、真夜中に入ろうとしている。あれだけ楽しく話していたのだ。きっと彼女たちが思っているよりも長い時間が経過している。
そして、やがてやってくるあの分かれ道。
「...おっと...あたしはこっちだな。」
「銀、それじゃまた明日。」
「ああ。またね!」
「ミノさん待って!!」
園子は帰ろうとする銀の手を取って止めた。
「?...どーした園子?」
「もうちょっと...三人でいたい...。」
「えへへっ......もう園子ったら可愛いやつだなっ!」
「......見て!」
『......ん?』
園子と銀がじゃれあっているとき、東郷は空を指さしていた。東郷の指さす方を見たとき、二人は幻想的な風景を前に言葉を失った。
『............!!』
「流れ星よ...。綺麗ね~...!」
「本当だ...すごっ...。...あっ!何か願いごと!いつまでもみんなと一緒にいられますように!それからそれから...」
「焦りすぎだよミノさん~。」
「あれが神樹様の作り出したものではない本物の...。」
三人は手を合わせて心の中でそれぞれの願いごとを言った。だが、その内容はもちろん...。
「なあなあ、二人は何願った!?」
「何って...。」
「さっきミノさんが言ってたこと~!」
「えっ!?まじか!!」
「私もそうよ!」
「はははっ!なんだ~結局全員おんなじかよ~!」
「ふふふっ!でもこれなら絶対に叶うわね!」
雲一つない、空全体に広がる満点の星空。その空の下で、三人の少女の笑い声が響き渡る。彼女たちは世界を変えた勇者。だが彼女たちは、その前にごく普通の中学生なのだ。
本来あった未来を、さらにいい未来へと変貌させた。最初はたったひとりで始めた戦いだったが、次第に仲間が増え、この未来へと辿り着けた。これは本来のバーテックスとの戦いの裏で、もうひとつの戦いを繰り広げた、ひとりの勇者の物語。その名は『乃木園子』。そのすべては彼女の親友、『三ノ輪銀』を救うため。ここでようやく、その物語に終止符を打つ。そしてここから始まるのは園子だけではない、また新たな彼女たちの物語である。
"乃木園子は勇者である"
流れ星は止み、今度こそお別れの時がやってくる。その際に園子は背中から二人に飛びついてこう言った。
「ミノさん、わっしー、だ~いすきっ!!!」
(乃木園子は勇者である ~リベンジの章~ 完)
改めましてここまで読んでいただき本当にありがとうございます!連載期間一年七ヶ月...!長かったですね...。最後に、作品全体を通しての評価・アンケート・感想・質問したい点やこのシーンが好き!など、いろいろといただけたら嬉しいです!(作者がこの作品を書いて良かったとやりがいを感じて喜びます)都合上、返答に時間がかかる場合があると思いますが、すべての感想に答えたいと思っております。
さて、この作品を書き始めた最初の頃はここまで物語を広げるつもりはありませんでした。ただ、『もしこれまでの戦いで銀が参加していたら』というifストーリーを書くつもりだったんです。ですがそれではあまりにも平坦なシナリオになってしまい、初期(友情編)の人気は低迷していたため、オリジナル要素を次々につぎ込んでいってこのような形となりました。ラスボスが勇者部内の誰かだったら面白くなるだろうなと思い、割と早めに終盤から物語を組み立てていった感じです。
一番おもしろかった話はどれでしたか?
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友情編
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7.10作戦編
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大橋最終決戦編
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勇者部編
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神の猛攻編
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人間の反撃編