少年少女のアカデミアには血が流れている   作:gamama

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お気に入り100件突破…………ありがとう……ありがとう……。
まだまだガンガン、は無理かもだけど、続けていくので。時々待っててください。
 


EPISODE 6 センチメンタル・VSBOOM

  

  

   

 

 

――――絶対に…離さない この繋いだ手は――――

 

 

 ――皆さんには、“口が勝手に動いた”って経験、ありますか? 

 

 例えば、思わず余計なことまで言っちゃって、慌てて「今のナシ!」とか取り消そうとした

りするんだけど、結局は相手の機嫌を損ねちゃってー……みたいな。

 

 私は時々あります、お恥ずかしながら。

 いや、私に限らず誰だってきっとあると思うんです!

 

 

 でも。

 

 

――――こんなにほら 暖かいんだ ヒトの作る温もりは――――

 

 

 “口が勝手に歌い出す”、なんてこと……そんなことまであると思います???

 

 

 普通思わないですよね!?

 私も思ってませんでした。ていうか考えもしてなかったです!

 

 ……ついさっきまでは。

 

 

――共鳴する Brぇっ、うわぁわっ!? え!?何っ!?」

 

 

 未来、お母さん、お祖母ちゃん。

 三奈ちゃん切島君クラスのみんなと先生とあとお父さん。

 

 私、気が付いたらヒーローみたいな格好になって、歌いながらノイズから逃げてます。

 ちょうど今、小さな子を抱えながら、工場の屋上から()()()()()とこ。

 いやいや違うよ!?今生を儚んでとかじゃないよ!?足に力を入れたら飛んでたんだよぉ、

こう、ポーンッと!

 

 わけ分かんないよね!?

 

 

「うわわわわわわぁぁぁ――――ッッ!??」

 

 

 おまけになんか私、すっごい頑丈になってるみたい!

 さっきまでいたとこ、7階建てくらいあるよね!?ちょっと足にズンッてきたけど、あっさ

り着地できちゃった!

 

 

――――進むこと以外 ――うわぁぁあぁっ、だッッ!?」

 

 

 降ってきたノイズを躱して地面を転がっても、どこにも擦り傷さえ無い。

 槍のように形を変えて襲ってきたノイズを跳んで避けたら、ビルより高く大ジャンプ!

 そのまま勢いよくなんかのタンクにぶつかっちゃった。でも、たいして痛くも無い。

 

 そうして、私はまた歌い出す。口が勝手に動いて――でも、私自身の意思で歌っているんだ

とも思える。

 胸の奥から歌詞が沸き上がってきて、歌おう歌いたい歌わなくちゃ!って感じなんだ。

 

 

 タンクの陰から、大きなノイズがのそりと現れた。鋏のような腕を振り上げて襲って来る。

 飛び降りて回避、そのまま着地するけど、何度もたたらを踏んじゃった。 

 

 気付けば、また後ろにノイズの大群。一匹――手足の付いたオタマジャクシみたいなの――

が飛び掛かってきた。

 

 ……躱せない! それでも!

 私がこの子を、守護(まも)らなきゃ! 

 

 

――――響け! 胸の鼓動! 未来の先へ――――

 

 

 そう歌いながら、ほとんど反射的に振り抜いた私の右腕は――ノイズを砕いた。 

 ()()()()()()()()()()()()、ノイズを。

 

 私自身は何ともない。炭素にもならない。ノイズだけが、一方的に炭になった。

 この子を守れた、それは良いけど。

 

 

 ……本当にどうしちゃったの?私ってば。

 

 

 すると、けたたましい、エンジンが唸る音が聴こえてきた。ハッとして前を見れば、ノイズ

を跳ね飛ばしながら、()()()バイクがこちらに向かって来ている。

 

 

 一台は私の前で急ブレーキをかけ、後ろのタイヤを浮かせながら回転して止まり、もう一台

は私の横を通り過ぎ……大型ノイズにそのまま突っ込んでいった!

 ノイズと衝突したバイクはそのままドカーンって爆発して、乗ってた人はぶつかる前に飛び

上がって、

 

 

――――Imyuteus amenohabakiri tron――――

 

 

 歌いながら、宙返りで私たちのところに降りてきた。青く長い髪を、風になびかせて。

 

 この人は――そうだ、この人は!見間違えるはずが無い!

 

 

惚けない――死ぬわよ

 

「へっ?」

 

「歌満地、その子たちは任せるわっ」

 

「了解ッ」

 

 

 それだけ言って、長い髪の人――翼さんは、ノイズたちに向かって走っていく。途中、今の

私と同じような姿に“変身”しながら、脇目も振らず、一直線に。

 

 

 

 

 

 そこからはあっという間だった。

 

 変身した翼さんは、取り出した剣を大きくしたり、ビームみたいなのをズババーッって出し

たり、小っちゃい剣をたくさん降らせたり、とにかくもうバッサバッサとノイズを斬り倒して

いった。もう本当にすごかった!

 

 私と女の子の近くにいたノイズは、翼さんに『ウタミチ』って呼ばれた人がやっつけた。私

や翼さんのとは違うけど、こっちの人もヒーローみたいな恰好をしている。

 いつの間にか、真っ赤だけど、翼さんと同じ形の剣を持っていて、それでノイズを斬ってい

る!手首からこれまた真っ赤な糸を出したり、翼さんみたいに短剣(これも真っ赤っか)を雨み

たいに落としたり。

 

 そして、二人とも、さっきまでの私みたいに歌っていた。

 

 

 訳が分からないことばかりで、昨日までの常識なんて全部ふっとんじゃったみたいで。

 でもはっきりしてるのは、やっぱりあの日、私は翼さんたちに助けられたんだってこと。

 

 ……そうだ、思い出した。

 あの日、あの時、あの場所には、確かもう一人――

 

 

 

     ■

 

 

 

 それから20分もしないうちに、辺りには自衛隊の人や謎の黒服さんたちが忙しそうに行き

交っていた。

 

 多分、黒服の人たちは特異災害対策機動部の人たちだろう。ノイズが出現()た後の事後処理の

現場なんて初めて見たなぁ。基本的に発生現場は処置が済むまで封鎖されるもんね。

 

 私が助けた女の子も、無事に保護された。親御さんが迎えに来るのを笑顔で待っている。

 

 ……本当に良かった。助けることができて。

 

 

「あのぉ」

 

「ふぇ?」

 

あったかいもの、どうぞぉ

 

「はぁ、あったかいもの、どうも」

 

 

 一安心していたら、横から紙コップを差し出された。真っ黒なコーヒーが、ふわふわと湯気

を立てている。

 

 受け取って、渡してくれた人をよく見ると、何とビックリ、私と同い年くらいの女の子だっ

た。彼女はにっこり笑うと、私に手渡したのと同じものをちびちび飲み始めた。

 

 

「……ふぅ。 うーん、まあまあ。65点ってとこですね」

 

私が飲む前に言っちゃうの!?

 

「あおいさんのは100点です。だから味は保証しますよ。むしろ、現状のベスト?」

 

「いや私あおいさん知らないんだけど……」

 

「国の防衛バリスタオペレーターさんです」

 

言ってること、全然分かんないよ!?

 

 

 思わずツッコミを入れちゃうけど、女の子はそれをスルーして『ウタミチ』さんにも紙コッ

プを渡している。あと、いつの間にか私の恰好は元の制服姿に戻っていた。

 

 えぇーっ、何なんだろうこの子。会ったこと無いタイプだぁ、つかみどころが無い。

 

 ……あれっ?

 よくよく見たらこの子どこかで、出会ったような……ていうか最近目にしたような?

 

 私のとは違うけど、学生服だ。知ってる、あれ雄英の制服…………。

 

 

「って、あぁーーーーーーっ!?」

 

「?」

 

「友達だよね!? 三奈ちゃんと切島君の!」

 

〈Speeeeeeww!!〉

 

 

 私が尋ねた途端、『ウタミチ』さんが明後日の方向に思いっきりコーヒーを噴いた。

 

 

「だいじょぶですか、灯志くん」

 

「えフッ、だいじょばなぃっ、ゲホッ、気管入った……」

 

 

 うわぁっ、そんなベタな吹き出し方する人ホントにいるんだ。

 なんて思ってたら、こっちに翼さんが歩いてきた。

 

 

「何をやっているの、貴方たち」

 

「灯志くんがむせてます」

 

「見れば分かる……ではなく、そもそも何故貴女が現場にいるの」

 

「いちゃ悪いんですか」

 

「そうよ。貴女の役目は此処には無い」

 

「いいじゃないですか。お手伝いくらい」

 

「……」

 

「……」

 

 

 翼さんに睨まれて、雄英の制服の子は不満げな顔でそっぽをむいた。

 な、何だろう。空気が重たくなってきてない?何で?

 

 と、どうしたらいいのか分からなくて視線を彷徨わせていたら、視界の端に、私が助けた女

の子が母親らしき人と抱き合ってる姿が映った。喜び、涙を流しながら、お互いに無事を確か

め合っている。

 あぁ、良かった。本当に良かった。改めて、そう感動していた、ん、だけど。

 

 そこに自衛隊の人たちとはまた違った制服の女の人が来て、タブレットを見せながら何やら

感情のこもってない事務的な口調で言い出した。

 

 

「それでは、この同意書に目を通した後、サインをしていただけますでしょうか。本件は国家

特別機密事項に該当するため、情報漏洩の防止という観点から貴女の言動および言論の発信に

は今後、一部の制限が加えられることになります。特に外国政府への通謀が確認されますと、

政治犯として起訴され、場合によっては――」

 

 

 ・・・・・うん。

 私には難しい単語ばかりだけど、一発で分かる。とても面倒かつ物騒な話だって。

 

 

「アハハ~……、それじゃあ、私はそろそろこの辺でぇ~……」

 

 

 戦略的撤退に踏み切った私の手元から、 ガチャン! と音がした。 

 

 

「……え?」

 

「悪いけれど、貴女をこのまま帰すわけにはいかないわ」

 

「へあ?」

 

「特異災害対策機動部二課まで、同行してもらいます」

 

 

 腕を組んで、そんなご無体なことを言ってくる翼さん。

 いつの間にか、私は黒服の人たちに隙間無く取り囲まれていた。

 そして手首には手錠。

 

 え、嘘。なにこれ。やだこれ。

 

 手錠?手錠ナンデ?

 

 というかこれ本当に手錠?ゴツくない?コンクリートブロックみたいダヨ?私の知ってる手

錠違うヨ、コレ?

 

 

「すみませんね。――貴女の身柄を、拘束させていただきます」

 

 

 一人だけサングラスを掛けてない黒服の人が、困ったように笑いながらも私に言う。

 そうして私は黒塗りの車に乗せられて、ハイウェイをすっ飛んでいきました。

 

 

なぁぁぁぁぁああぁぁぁんでぇぇええぇぇぇぇぇぇぇ!??

 

 

     ⇔

 

 

「……なんか聴き覚えあるね。このドップラー効果」

 

 

 遠ざかっていく黒塗りの車の一団を見送りながら、灯志くんがぽつりと呟いた。

 

 

「私は手錠なんかしてませんでしたよ」

 

「気にするのはそこじゃないと思う」

 

「……何なんでしょうね、あの子」

 

 

 どうしてあの子は三奈ちゃんと切島くんのことを知っているんだろう。どうして私たちが二

人の友だちだって知ってるんだろう。私が雄英の制服を着てたから?

 多分、違う。そんな気がします。

 

 

「ねぇ、灯志くん。あの子はひょっとして……」

 

「皆まで言わなくていいよ、渡我さん。俺も同じ考えだ」

 

 

 着けていたバイザーを外しながら、灯志くんは私の言葉を遮った。

 

 

「……けど、それとは別に、もっと嫌な予感がしてる」

 

「嫌な予感?」

 

「……あの子は、多分、いや、十中八九……」

 

 

 そこまで言って、灯志くんはちょっと躊躇って、けど顔を青くしながら言葉を続けた。

 

 

奏さんが――最後に助けた子だ

 

「!」

 

 

 奏さんが、最後に?それってつまり2年前の、あの事件の生存者?

 そんな子が、なんで国家機密のシンフォギアを……?

 

 何か、どこかが痛いのを耐えるような、そんな顔で護送車が去っていった方を見ている灯志

くんに、声を掛けようとして、でも何を言ったらいいのか分からなくて。

 

 

「……私たちも、行きましょう?」

 

「…………うん。そうだね」

 

 

 結局、出てきた言葉は、お互いにそれだけ。

 本部に戻るまで、灯志くんはずっとだんまりでした。

 

 ……ホントに、何なんでしょうね、あの子。

 

 

 

     ■

 

 

 

 学校の地下に秘密基地。

 男の子なら無条件でテンションが上がりそうだが、生憎立花響は女子、花も恥じらうお年頃

である。彼女の場合、花より団子、色気より食い気の方が勝っている気もするが、それこそ言

わぬが花だろう。 

 

 リディアン音楽院の地下へと伸びる、底が見えないほどに巨大・長大な縦穴を、風を切るほ

どの速度で降下し始めたエレベーターの中で、響は本日何度目かの悲鳴をあげていた。

 

 

「私はもう慣れちゃいましたけど、遊園地にあるアレみたいですよね」

 

「フリーフォール?」

 

「ですです」

 

「あ、あはは……。ごめんなさい、うるさくしちゃってーはははー……」

 

 

 乾いた笑いを洩らす響に対し、翼が冷たく忠告する。

 

 

「――これから向かう処は、牙無き人々を護る為、己を(つるぎ)と定めた者たちが集う砦。

愛想など無用と知りなさい

 

 

     

 

 

 

 

 パン、パパァン。ピープードコドコドコ!

 

 

 

よぉうこそッ!人類守護の砦、特異災害対策機動部二課へッッ!!

 

 

「「「…………」」」

 

――ヨシ。帰ろう

 

「ダメです灯志くん、ちゃんと向き合ってください。あれが貴方がお義父さんと呼ぶ人です」

 

「知ってた。こういう人だって知ってた。でも無理、温度差で風邪ひく……!」

 

 

 二課本部に到着した響たちを待っていたのは、乱れ舞う紙吹雪とクラップ音だった。

 

 室内は色とりどりの折り紙のわっかや『熱烈歓迎!立花響さま』『ようこそ2課へ』などの

横断幕で飾り付けられ、テーブルにはたくさんの料理や飲み物まで用意されている。

 おまけに花環やフラワーアレンジメント、極めつけに達磨(だるま)まである。いったいいつの間に用

意したのだろうか。

 

 笑顔と拍手で出迎える大勢の人々を引き連れているのは、勿論二課司令官である風鳴弦十郎

だ。いつもの赤いワイシャツを着こなす大柄で筋肉質な体躯に、パーティーグッズであろうシ

ルクハットとステッキがまるで全然似合ってない。

 

 とてもいい笑顔をしているこの漢、実のところかなりお祭り好きなのである。

 

 この完璧な歓迎ムーブに、響は目を点にして、翼は眉間を揉み、ここまで四人の護衛をして

いた二課のエージェント、緒川慎次(おがわしんじ)は苦笑い。

 歌満地に至っては胃を抑えながら来た道を引き返そうとして、それを渡我に止められるとい

う、この二人においてはなかなかお目にかかれないやり取りをしている。

 

 そして、呆気に取られる響に了子がツーショット写真を取ろうと迫ったり、

 

 

「い、イヤですよ! 手錠をしたままの写真だなんて、きっと悲しい思い出として残っちゃい

ます!!」

 

 

 響の落とした学生鞄が二課に回収されて無断で検査されていたり、

 

 

「なぁ~にが情報収集はお手の物ですかっ!鞄の中を見ただけじゃないですか!」

 

 

 エレベーター内での翼の発言を渡我が蒸し返して翼が羞恥に悶えたり、

 

 

「何でしたっけぇ? 『愛想など無用と知りなさい』、キリッ☆ でしたっけ?」

 

「ステイ!翼さんステイ!」

 

「離しなさい歌満地!おのれ、やはりその性根正してくれようぞッッ!」

 

 

 すったもんだの末、自己紹介もそこそこにようやく本題に入るのだった。

 

 

「教えてください、あれはいったい何なんですか……!?」

 

「うむ。――了子君」

 

「ええ。あなたの質問に答えるためにも、その前に二つばかりお願いがあるの。最初の一つは

今日のことは誰にも内緒にすること」

 

「はぁ。それはまぁ、確かにそうかもですね?」

 

「そしてもう一つは――」

 

 

 そこまで言って、何故か、了子は響の腰に手を回して自らに引き寄せると、その耳元に顔を

近づけて囁いた。

 

 

――とりあえず、脱いでもらいましょうか?

 

「・・・・・だからぁ、」

 

 

 響は叫んだ、腹の底から叫んだ。本日何度目かの“何で”を。

 とっくに彼女のキャパシティーは超過どころか破裂させられていた。

 

 

「またデジャヴだ……」

 

 

 傍から観ていた歌満地は胃の辺りをさすりながらそう呟く。その隣で渡我が、何やら面白く

なさそうにしているのだった。

 

 

 

     ■

 

 

 

 一夜明けて、雄英高校授業初日の朝。

 

 

「渡我、歌満地!大丈夫だった!?」

 

「「?」」

 

「揃って首傾げないっ!なかよしかっ!」

 

 

 1‐A教室に入って早々、先に来ていた芦戸さんと切島くんが素っ飛んできた。

 

 

「昨日あれからまたノイズ出ただろ!?俺ぁもう気が気じゃなかったぜ!」

 

「あぁ、そういう。ピンシャンしてるよ、俺も渡我さんも」

 

「私、三奈ちゃんにはLANEお返事したはずですけど?」

 

「それとこれとじゃ大違いだよ~!てか二人ともノリが軽過ぎ!」

 

 

 渋い顔と大袈裟な手振りで苦言を呈す芦戸さん。余程心配をかけていたようだ。

 緑谷くんと麗日さんも心配そうな顔でこちらに寄ってきた。

 

 

「はぁあ、無事で良かったよぉ……。私もニュース観てびっくりしちゃったもん!」

 

「ふふっ。ありがとうございます、お茶子ちゃん」

  

「僕もホッとしたよ、本当に良かった。……それにしても……

 

「ん?どうかしたか、緑谷くん」

 

「えっ、あぁいや……!その……っ、さ、流石だなぁって!ふ、二人とも!」

 

 

 何やらボソッと呟いたので尋ねてみると、緑谷くんはそんなことを言い出した。

 

 

「その、昨日もそうだったけど、とても冷静だなっていうか……何かこう、平常心を保つコツ

みたいなものがあるのかなって……」

 

――そう見えるかい

 

「え?」

 

「いや、そうだな……。ベタだけど、“心は熱く、頭はクールに”、かな」

 

「……!おぉぉ……!」

 

 

 誰もが言いそうなありふれたことを言ったはずだが、緑谷くんはカッコイイ……と、キラキ

ラした目で見てくる。ついでに切島くんも。

 

 申し訳ないが二人とも、平静に見えるのはそう装ってるだけなんだ。

 正直、今の俺は内心穏やかじゃない。立花さんの身体検査の結果は彼女の都合を考慮して今

日の放課後に通達されることになったからね。もうね、不安で仕方ない。

 

 

「私らの友達も無事だったみたいだけどさー、ほら昨日話した響って子!」

 

「……っ」

 

「心臓に悪いったらナイよ!ホント何なのノイズって!」

 

「まぁまぁ、落ち着けよ芦戸。……ん、どうかしたか歌満地?」

 

「イヤナンデモナイヨ?」

 

 

 危ない、顔に出ていたか?返事も固くなってしまったし、誤魔化せているといいが。

 

 

「皆!気持ちは分かるが始業2分前だ!速やかに席に着こう!」

 

 

 ナイスだ飯田くん!

 朝からしゃっきり元気な彼に促され、俺たちは各々の机に向かう。

 座って、つい短くため息をついてしまった。すると左後ろから渡我さんが身体を傾けて顔を

覗き込んできた。

 「大丈夫ですか……?」と、口元に手を当てて、こそっと耳打ちで。

 

 俺は「大丈夫」と笑って返す。

 渡我さんも「だったらいいです」と言って自分の席へ。でも、()()()()()()()

 

 ……どうも昨日の夜から虫の居所が悪いようだ。俺また何かやっちゃったか?

 

 

     ⇔  

 

 

 雄英高校は7時限制。土曜日も授業があって、週6日になる。

 今日のスケジュールは、午前中は英語・数学などの必修科目。午後はヒーロー基礎学という

特殊な科目だ。

 

 ヒーロー基礎学とは、ヒーローになるための様々な知識を養う座学や、実際に戦闘や救助な

どを行う実技から成る科目であり、ヒーロー科において一番重要な科目。

 

 そして、それを担当する教師は――

 

 

わーーーたーーーしーーーがーーー!! 普通にドアから来た!」

 

 

「オールマイトだ……!」

 

「スゲェや!本当に先生やってんだな!」

 

 

 そう!我らがナンバーワンヒーロー、オールマイトだ!

 うわぁぁ、“銀時代(シルバーエイジ)”のコスチュームだぁ……!カァッコイイ……!

 

 

「画風が違い過ぎて、鳥肌立ってきた……!」

 

 

 わかる~~~!分かるよ解る、尻尾の人!僕も今服の下ヤバいもん!

 あーっマントが、マントがはためいて!……はぁあ、カッコイイ……!

 

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローとしての素地を作るため、様々な訓練を行う課目だ!単位数も最

も多いぞ! 早速だが今日はこれ!『戦闘訓練』!!」

 

 

 そう言ってオールマイトは“BATTLE”と記されたカードを僕らに示す。

 途端に教室の空気が熱量を増した感じがした。みんなのテンションも目に見えて上がってい

る、特にかっちゃん。

 

 

「そしてそいつに伴って……こちら!入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえ

た、君たちの戦闘服(コスチューム)だ!」

 

 

 オールマイトが僕らから見て左の壁を指差すと、その一部がせり出し、中から数字が書かれ

たケースが出てきた。こういうギミックを見るとワクワクしちゃうなぁ。数字は全部で1から

22なので、出席番号順かな。

 

 雄英高校ヒーロー科には『被服控除(ひふくこうじょ)』という、オールマイトが言ったように、要望する機能

とデザインを学校に提出すると、各生徒専用となるヒーローコスチュームを学校と専属契約し

ているサポート会社が用意してくれる制度があるんだ。

 

 ヒーローとして活動するなら専用のコスチュームが必要不可欠とは言え、ヒーローに憧れる

人なら誰しもが一度は夢に見る“自分専用のヒーローコス”を作ってもらえるなんて、なんて素

敵な制度だろうか。

 

 まあ、僕は今回この制度を利用していないんだけどね。

 

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女?自覚するのだ――今日から自分はヒーロー

なのだと! では各自、コスチュームに着替えたらグラウンドβ(ベータ)に集合だ!」

 

 

 そう言ってオールマイトは急ぎ足で教室から去って行った。……ひょっとして今日はもう活

動限界時間に余裕が無かったりするのかな?

 今朝はオールマイトの活躍を報じたニュースは無かったと思うけど……。

 

 ともあれ、気持ちを切り替えて更衣室へと向かう。

 遂にこのスーツに袖を通す時が来たんだ……!

 

 

 

     ■     

     

 

 

「あっ、デクくん? カッコいいね!地に足着いた感じ!」

 

「あ、ありがとう麗日さnォおぅッ!?」

 

「私はちゃんと要望書けばよかったよ。パツパツスーツんなった……恥ずかしい」

 

「いいじゃないですか。カァイイですよ、お茶子ちゃん!」

 

「そんな何度も可愛い言わんとって被身子ちゃん。照れるやんか……」

 

 

 グラウンドβ(ベータ)に足を踏み入れた僕に、麗日さんが声をかけてきた。けれど、その格好が、そ

の、多分宇宙服がモチーフなんだろうけど、か、体のラインがはっきり出てて、カワイイ上に

せせせセクシーというかなんというかぁあああダメだダメだ煩悩退散煩悩退散!

 

 と、兎に角!母さんが夜なべして作ってくれた、このお手製コスチュームを一目で褒めてく

れた!やっぱり良い人だなぁ、麗日さん!

 

 そして、その麗日さんを可愛いと褒めているのは、顔が隠れているけど声からして渡我さん

……だとは解るんだけど。

 その後ろに、ほぼ同じ姿の人がいる。

 

 

「渡我さん、とそっちは歌満地くん……だよね?そのコスチュームは――」

 

「えへへぇ、いいでしょう?おそろいなのです!」

 

 

 うれしそうにそう言って、渡我さんはその場でクルッと回ってみせる。

 

 全身を覆う、紫紺の戦闘スーツ。ひざ下まであるコートとフルボディアーマーを組み合わせ

たかのようなデザインだ。裾が風に翻ってとてもヒロイックでかっこいい。ただ色のせいか、

パッと見はダークヒーローって感じだ。

 特に額から人中まで顔面を覆う近未来的なバイザーが印象的で、マゼンタカラーのレンズ部

分からは目周りが全く窺えない。

 

 渡我さんの言う通り、二人の装いはまるで同じに見える。ところどころに違い―バックルや

襟の形状、装甲の大きさなど―はあるが、こうして並ばないとどっちがどっちだか分からなく

なりそうだ。

 

 

「とてもカッコイイよ!ね、麗日さん」

 

「うんうん!めっちゃ強そう!あれやね、夜景が似合う感じ!」

 

「……まあ、主に夜間の運用を想定してるからね」

 

 

 と、肩越しにこちらに顔を向けて歌満地くんは言う。

 今の段階で実際の活動内容を想定して要望を出したってこと?それって、既に将来どういう

タイプのヒーローになるかっていう展望を持ってるってことか……!

 

 

 僕が感心していると、全員が集合したことを確認したオールマイトが、訓練内容の説明を始

めた。

 

 

「さあーーって!始めようか、有精卵共! 今回の主題は“対人戦闘”だ!」

 

「対人!?」

 

「試験の時のような、市街地演習では無いのですか?」

 

「今回はそこから更に、2歩先へ踏み込む!」

 

 

 驚く僕らに向けて、ビシッとピースサインを見せるオールマイト。

 

 

「君たちが目にするヴィラン退治は基本屋外でのことだろうけど、実際には凶悪なヴィラン犯

罪ほど、統計的には屋内での発生が多いんだ。 ――真の賢しい(ヴィラン)屋内(やみ)に潜む! そこで

今回は君たちに、ヒーロー組とヴィラン組にそれぞれ二人一組になって分かれてもらい、

2対2の、“屋内戦闘演習”を行ってもらう!!」

 

 

 いきなり対人戦の訓練か!緊張してきちゃったぞ……。

 

 

「基礎訓練も無しに?」 蛙のような印象を受ける女子が、そう小首を傾げる。

 

「その基礎を知るための実践さ!尤も、今回は入試の時のようにブッ壊せばOKのロボじゃな

いってぇところがミソだ!」

 

 

「勝敗のシステムはどうなります?」「ブッ飛ばしてもいいんスか」「また相澤先生みたいな

除籍とかあるんですか……?」「全員で22人っスよね。2対2だと2人余りません?」「確

かに!分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいのでしょうか!」「このマントヤバ

くない?」

 

 

んんん~~~~聖徳太子ィィ!!!

 

 

 うわぁ、みんないっぺんに質問を……!あと青山くんだっけ?その質問に何の意味が?

 オールマイトは困ったように天を仰いでしまっている。

 

 

「オホン!では説明しよう!いいかい?」

 

 

 咳払いして、オールマイトはカンペを取り出した――カンペ!?

 

 

「状況設定は、(ヴィラン)が核兵器を隠していてヒーローがそれを処理しようとしている。勝利条件は

ヒーロー側は核を確保するか(ヴィラン)を逮捕するか、(ヴィラン)側は制限時間まで核を守るかヒーローを捕

まえるか、だ!制限時間は16分、ヒーロー側は突入までに5分の猶予を設ける!チーム分けと

対戦相手はくじで、内2組は三人一組で3on3ね! オッケー?

 

「カンペってそんな堂々と見るもんじゃないですよね」

 

 

 そこはオッケーって言っとこうよ歌満地くん!

 

 

「くぅっ、歌満地少年てば辛辣(しんらつ)ぅ!」

 

「くじ!?そのように適当でよろしいのですか!?」

 

「プロは実際の現場で鉢合わせになった時に即席でチームアップすることも多いから、そうい

うことじゃないかな?」

 

「なるほど!先を見越しての判断!失礼致しました!」

 

「いいよ!早くやろう!」

 

 

 飯田くんの他に質問をする人はおらず、僕らはそのままくじ引きを行った。

 その際、渡我さんがやたら念入りにくじの箱を掻き回していたのが印象的だった。

 

 

     ⇔

 

 

 ぶっすぅ~~~~。

 

 

「渡我さん、そんなむくれたってどうにもならないからね」

 

「……同じが良かったのに」

 

 

 灯志くんと同じ組になれませんでした。ヤル気その気が失せました。

 ていうか対戦相手です。ヤル気その気がちょっとだけ戻りました。

 

 

 最初の対戦カードはAペアとDペア。出久くんとお茶子ちゃん、爆豪くんと飯田くんです。

 順番待ちの間は演習場のビル地下のモニタールームで観戦です。残念ながら音声は拾えない

みたいですけど。

 

 始まるまで時間があるので、チラ、と灯志くんとチームになった二人に目を向ける。

 例のブドウ頭――峰田くんはさておき、問題はもう一人の百ちゃんという名前の子です。

 この子のコス、とても露出が多いのです。胸元からおへそ辺りまでぱっくり開いたレオター

ドにベルトだけとか、大胆にもほどがあります。

 

 

「……。百ちゃん、寒くないんです?それ」

 

「えっ?……あ、私のことですの?」

 

 

 一拍遅れてお返事をくれた百ちゃんはちょっと気恥ずかしげに口元に手を添えた。

 

 

「申し訳ありませんでしたわ、渡我さん。その、そのように可愛らしい呼ばれ方はあまりされ

たことが無かったものですから……」

 

 

 ――やだ、この子カァイイです。

 

 

「いいですよぉ、気にしないでください」

 

「ありがとうございますわ。それで、このコスチュームのことですわね?何ら問題ありません!

心頭滅却すれば火もまた涼し、ならば冷気に対しても同じことが言えましょう!ヒーローを目

指す者ならば、そのような心構えであらねばなりませんから!」

 

 

 そう言って、ふんすと胸を張る百ちゃん。真面目さんですねぇ。

 

 

「それに、私の個性は肌から直接物体を創り出すので、必然的に衣類は邪魔になるのです。そ

れにこちら、()()()()()()()()()()()()()()()()()いますのよ。まったくもう……」

 

「え゛っ」

 

 

 危うく「そんなえっちぃのに?」って訊きそうになりました。

 えぇ―……?改善されてまだそれなんです?

 

 確かに昨日、身体から大砲とかバイクとか直で出してましたね。んー、“個性”のせいで羞恥

心が薄い……というよりかは露出に抵抗が無いのかな?

 私も『変身』する時は基本はだかんぼにならないとなので、服が邪魔って気持ちは分かりま

すけど、あれ正直恥ずかしいのに。

 

 

 あぁ、そうだ。このズレ、当たり前だって感じることが違うこと――それを、変だな、って

……この気持ちが私に向けられてたものです。

 きっと、もっと、私が想像できるより、大きく鋭く固く重く厚く、痛く悪く……。

 

 

「――百ちゃん」

 

「はい?どうされましたの?」

 

「マントなら、創る時に邪魔にならないんじゃないかなって思うんですけど。いざって時は簡

単に外せますし」

 

「…………」

 

 

 百ちゃんはきょとんとして、その発想は無かった、って顔してます。マジですか。

 

 

「妙案ですわ渡我さん!肌寒い時節に際してはそのように致しますわ!」

 

 

 違います、そうじゃないです。いや違わないですけど、違うんです。

 

 

「(私の健康を気遣ってくださったのですわね。渡我さん、お優しい方ですわ)」

 

「(まあ、なんか嬉しそうですし、いっかな)」

 

 

 でもさっきから百ちゃんの胸を峰田くんが凝視してんですよねぇ。

 ……よし、後で勝負する時にお仕置きしましょう。

 

 

「それはそれとして、寒さへの対策が必要なのは私よりも葉隠さんでは?」

 

「それはそうなんですけども」

 

「私ィ?あははっ、大丈夫だよ~!ほらこのとーり元気元気っ!ぶいっ!」

 

 

 百ちゃんといっしょに透ちゃんの方を見る。手袋とブーツしか見えません。

 そう、透ちゃんはその二組しか着けてないんです。『透明』だから見えないけど、全裸

なんです。手袋とブーツが空中で踊ってるようにしか見えません。

 集中すれば“そこにいますね”って気配で分かるんですけど、やっぱり女の子が人前で全裸は

良くないと思うんですよ。

 

 

「百ちゃん百ちゃん、透明な服とか創れません?」

 

「私も創れたならば、とは思うのですが……生憎(あいにく)と材質や構造などを私自身が理解していな

い物は創れないんですの……」

 

「じゃあ無理ですねぇ。 何とかなりません?灯志くん」

 

「何故そこで俺にふる」

 

 

 だって灯志くんなら何とかしてくれそうですもん。

 

 

「……。そうだね、自身の体細胞、と言うか個性因子――この場合は毛髪だな、それを使用し

た線維でなら、肉体に直接発動する“個性”が衣類にも適応される。その手のタイプの“個性”の

プロヒーローは、そうやってコスチュームを製作してるよ。『巨大化』のMt(マウント).レディとか」

 

「・・・・・マジ?」

 

 

 手袋とブーツが動かなくなりました。透ちゃん、地味にショック受けてるみたいです。

 ちなみに私のコスチュームも、その特殊繊維が使われてます。アーマーの部分はそのまま残っ

ちゃうんですけど、実は最初から小さく薄めになってて、コス姿の灯志くんに変身することで、

その装甲と組み合わさってより防御力が上がるというステキ仕様です。

 本音を言えば、やっぱり全部同じが良いのですけど、それはそれ。お義母さんが気を利かせ

て設計してくれた、本年度マイグッドデザイン賞なのです。

 

 

「ただ……問題は、透明な髪の毛で衣装を作れるのか、ってことだけど」

 

「あー……それは……どうなんでしょう?」

 

「……何にせよ、一度先生方と相談してみるべきですわ、葉隠さん」

 

「う、うん。そーするよー……」

 

 

 あははー、と力無く空中で小刻みに移動する手袋。頭を掻いてる動作ですね、これ。

 と、そうこうお話している間に、最初の勝負がもう始まっていました。

 

 曲がり角の死角からの爆豪くんの奇襲。でも、それは失敗。続く攻撃も躱され、カウンター

を受けました。豪快な背負い投げを観て、切島くんが興奮してます。

 

 

「うおぉ!やるじゃねーか緑谷ァ!」

 

「出久くん、入試の時や昨日より動きが良い気がします」

 

「確かに今の背負い投げはキレがあったな!」

 

「爆豪くんの攻撃に先んじて反応している。予測しているんだ、次にどう動いてくるか」

 

「緑谷は爆豪の動きを読んでたってことか。でもどうやって?」

 

「……昨日緑谷くんが言ってた通りなら、彼にとって爆豪くんは最も身近な“壁”のはずだ。

――この演習、タダじゃ済まないかもな」

 

 

 

     ■

 

 

 

「いつまでも、出来損ないの木偶の坊じゃないぞ……! かっちゃんッ、僕はッ!」

 

“頑張れ!”って感じのデクだッッ!!

 

 

 床に叩きつけられ、()()()()()()()()()()()爆豪に、()()()緑谷は腹の底から叫ぶ。

 それはいじめられっ子からいじめっ子への、挑戦の宣言。

 

 

 ――ビビッてブルッちまってるくせによォ……。

 

 されど、爆豪には挑発、反逆の意思表示だと受け取られる。

 

 

そういうとこが――ムカつくなァア……!!

 

 

 軽い爆破と共に両手を叩きつけて即座に起き上がり、更に後方へ爆破を起こすことで加速、

一気に緑谷との距離を詰めた。そのまま爆豪は空中で左回し蹴りを放つが、緑谷に腕を盾に防

がれる。

 

 

「麗日さん、行って!」

 

「余所見たぁ余裕だなこの……――ッ!?」

 

 

 目を見開いて驚く爆豪。緑谷に受け止められた左脚に、相手を確保したことを証明するテー

プが回されていたためだ。一瞬の交差の隙に、引っかけられていたのだ。

 

 ――このまま麗日さんといっしょに2対1……もアリだ。

 ――でも時間制限が怖いし、乱戦になればかっちゃんの動きを読みづらくなる!

 ――僕がかっちゃんを食い止めて麗日さんは核に向かってもらう――これがベスト!

 

 焦って奇襲した時と同じように、大振りの右腕を突き出す爆豪だが、これも読んでいた緑谷

は確保テープを外しつつ回避。そのまま逃走して、爆豪とのタイマンに持ち込もうとする。

 

 

「! 待てコラデクゥ!!」

 

(食いついてきた!)

 

 

 ――やっぱりさっきの奇襲はかっちゃんの暴走だ。

 ――飯田くんと連携が取れてないなら、勝ちの目はある……!

 

 入り組んだ建物内を隠れながら逃げる緑谷。その動きは爆豪にとって、意外なほどに機敏。

 結果、早々に彼を見失い、苛立ちに追われながら、爆豪は叫ぶ。

 

 

「俺をずっとダマしてたんだろォッ!!楽しかったかァ!?ずっとよォーーッ!!」

 

「……!」

 

「随分と派手な“個性”じゃねーかッ!使ってこいや、捻じ伏せてやる! ――俺の方が上だか

らよォオ!!!」

 

 

 ビルの中に響き渡る怒声。

 ドカン、ドカンと、手当たり次第に扉を吹き飛ばしながら、爆豪は緑谷を探すが、しかし中々

見つからない。時間がどんどん過ぎていく。

 ズキズキと鈍く痛む背中と、この状況を構成している何もかもが、彼をどうしようもなくイラ

つかせていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 なんでお前ら、こんなことも出来ないんだ。

 

「かっちゃんはすごいなぁ、なんでもできるんだ!」

「こんなのカンタンだって。おまえはホントになんもできねぇなぁ、出久(いずく)

 

 俺がすごいからか。

 

「知ってっか?出久って、“デク”って読めるんだぜ?」

「勝己くん漢字よめるの!?すごい!」

「んでもって、デクってのは“何も出来ねぇヤツ”って意味だ!」

 

 俺以外はすごくないんだ。

 

「いいなぁ、かっちゃん……!個性カッコいいもんなぁ……!僕も早く出ないかな」

「ハッ!デクの個性がどんなでも、俺には一生敵わねぇっつーの!」

 

 そんで、

 

「――オイ知ってる?緑谷、個性が無いんだって。“無個性”って言うんだってさ」

 

 デクがいっちゃんすごくない。

 

「大丈夫……?」

「……っ」

「頭打ってたら大変だよ……?」

 

 ――すごくねぇんだッ!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 ――石ッころだっただろ……!

 ――なんも出来ねぇ、いっちゃんすごくないヤツだろォが……!

 ――そのテメェが!

 ――あんな目で、俺を見やがって!

 

 

「見下してんじゃねぇぇええぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことするもんか!」

 

「!?」

 

 

 背後からの返答――まさかまさかの、緑谷からの奇襲!

 

 先程の、爆豪からの二度目の攻撃が蹴りであったことから、懐に潜り込まれることを警戒さ

れていると判断した緑谷は、逃げながらも爆発音から爆豪の位置と移動ルートを予測して――

賭けではあったが――爆豪の後方に回り込むことに成功していたのだ。

 

 普段の爆豪であれば、怒りながらも、ある程度は冷静さを失うことは無かっただろう。

 しかしここまで緑谷にダメージを与えられていないのに、自分はイイのを一発食らってしま

っている――その事実が彼の思考を鈍らせていた。

 

 それでも、並外れた戦いのセンスを持つ爆豪は、不意を突いた程度では抑えられない。

 テープを手に突っ込んできた緑谷に対し、爆豪はまた右の大振りのモーション――と見せか

けて、右腕を引いた反動で左の(てのひら)を胸の前へ持っていき、爆破を起こして目くらましと同時

に距離を取ってみせた。

 

 

「うわっ!?」

 

「……っ!クソがァ……ッ!」

 

 

 ――右をエサにしてきた!?……流石だ、かっちゃん!

 

 ――下がっちまった……!デクなんかに!

 

 

 両者は体勢を立て直し、再び睨み合った。

 その時、緑谷の無線に麗日からの通信が入る。

 

 

『――デクくん、ごめん!飯田くんに見つかっちゃった!』

 

「麗日さん、場所は?」

 

『5階の真ん中フロア……!』

 

「! ……ほぼ真上……」

 

「無視してんじゃねぇぞ、デク!」

 

 

 両手から小刻みに破裂音を出しながら、緑谷に向かって地を蹴ろうとする爆豪。だが、その

腕に装着されている、手榴弾を模した籠手が赤い光を放ったのを見ると踏みとどまった。

 自分に向き直った緑谷に対し、爆豪は怒り眼のままニヤリと笑って見せる。

 

 

「なぁオイ……、テメェのストーキングなら!もう知ってんだろォがよォ~~~?俺の『爆破

は、手のひらの汗腺からニトロみてーなもん出して爆発させてる! ……そんで、この、籠手

だけどなァ……!」

 

 

 話しながらも、爆豪は右腕を真っ直ぐ前方の緑谷に向けて構え、撃鉄に相当する部分を後方

にスライドする。すると、その中から“安全ピン”が露出した。

 緑谷は気付く。自身に向けられた、その籠手には――銃口らしき穴がある!

 

 

「要望通りの設計ならッ!この籠手はそいつを()()()()()()ッ!」

 

『――ストップだ爆豪少年!殺す気か!?』

 

当たんなきゃ死なねぇよッッ!!

 

 

 小型無線からオールマイトが制止する声がするも、爆豪は構わずピンを抜く。

 直後、籠手の銃口――否、砲口から、凄まじい勢いで爆炎が噴出した。

 

 

     ⇔

 

 

 地下、モニタールームまで伝わる振動。観戦していた生徒たちに動揺が走る。

 

 爆発による粉塵が晴れ、再度画面に映ったビル内部はひどく荒れ果てていた。壁には大穴が

開き、その穴に向かって真っすぐ床が抉られている。

 その破壊痕の脇に転がる緑谷は、コスチュームこそ大きく破損しているものの目立った外傷

は無かった。一方、爆豪はじりじりと緑谷に近づいていく――その左腕の籠手も、赤く発光し

た。

 

 

「~~~ッ!先生、止めた方が良いって!爆豪アイツ相当クレイジーだぜ!」

 

 

 このままでは本当に殺してしまうのでは、と、オールマイトに演習の中止を訴える切島。

 しかしオールマイトは爆豪に対し、籠手のギミックの使用禁止を通告するに留める。

 画面内の爆豪は癇癪(かんしゃく)を起こしたかのように身をよじった後、両手から爆破を起こして、緑

谷に襲いかかった。

 爆豪の突進に対して、緑谷は上出来なタイミングで右の拳を突き出すが、爆豪の奇怪(きっかい)な動き

によって回避され、逆にカウンターを受けてしまっている。

 

 

「なっ、何だぁーっ!?今の動き!?」

 

「……考えるタイプには見えねぇが、意外と繊細だな」

 

 

 左半身を氷で覆ったかのような装いの生徒――轟焦凍(とどろきしょうと)が冷静に分析する。

 

 

「目くらましを兼ねた爆破で軌道変更、背後に回り込んで……即座にもう一発」

 

「そうですわね。慣性を殺しつつ有効打を加えるには、左右の爆破の威力を微調整しなくては

なりませんもの」

 

「(なるほどなぁ。)才能マンだ、才能マン……ヤダヤダ」

 

 

 モニターに目を向けると、緑谷の右腕を右手で掴んだ爆豪が、もう片方の手で連続した爆破

を起こして素早く半回転、その勢いを利用して緑谷を背中から床に叩きつけた。

 遭遇時の背負い投げの、意趣返しのつもりであろうか。

 

 

「もうリンチだよ、これ!テープ巻けば捕まえたことになるのに!」

 

「――ヒーローの所業にあらず」

 

「もう止めた方が良いですよ、オールマイト。()()()()止めるべきです」

 

 

 歌満地はそう進言するが、オールマイトはマイクを握り締めるばかり。

 

 ――先生としては止めるべき……。

 ――だが……、止めてあげたくない……!

 

 表情こそ変わらないように見えるが、彼は内心悩んでいた。教師としての自分、緑谷の師と

しての自分を天秤にかけて逡巡してしまっている。

 そんなオールマイトの様子を観て、歌満地は昨日のシェム・ハの発言を思い出した。

 

 ――今の爆豪くんは、明らかに状況設定を無視して暴走……止めない理由は無いはずだ。

 ――なら、緑谷くんの方にそれがある?

 ――ハーさんの言った通り、やはり彼とオールマイトは特別な関係にあるのか?

 

 歌満地が画面に視線を戻すと、起き上がって距離を取った緑谷は、爆豪に向き直ったまま、

相手が歩を進める都度、窓際へと後退していっている。

 誰もが、緑谷は逃げているのだと思い、仕方が無いと嘆息する。

 

 

「――まだですね」

 

「ああ、まだだな」

 

「「え?」」

 

 

 渡我と歌満地の言葉に、周囲の生徒が疑問符を浮かべる。

 

 

「どういうことだよ?どう見ても逃げてんだろ」 

 

逃げることと、戦いを放棄することは決してイコールじゃない

 

 

 どんどん後ろに下がっていく緑谷の顔をじっと観て、二人は声を揃えて言った。

 

 

「「緑谷/出久くんの目はまだ諦めてない」です」

 

 

     ⇔

 

 

 とうとう窓際まで追い詰められた緑谷に、爆豪は距離を詰めながら怒鳴り散らす。

 今までずっと騙していたのか、そうやって自分を見下していたのか――と。

 

 

「……違う!」

 

 

 顔を背けず、歯を食いしばり、こぶしを握って、緑谷もがなり返す。

 

 

「そんなことしないよっ、できるもんか!昔からずっと、君はすごい人なんだ……!」

 

 

 緑谷の脳裏に、爆豪との今日までの日々がフラッシュバックする。

 目に涙を湛えながらも、緑谷は沸き上がってきた激情のままに叫んだ。

 

 

「だから勝ちたいんじゃないか!勝って、越えたいんじゃないかッ!バカヤローッッ!!

 

「……ッ!その面やめろや――クソナードォオォ!!!

 

 

 二人はお互いに向かって、同時に地を蹴り、バネのように飛び出した。

 

 

「うああぁぁぁあああぁぁぁああああぁぁぁ!」

 

「ラァァアアアァァアアッァァアアアァァァ!」

 

 

 緑谷の右腕に、稲妻めいた赤い光が浮かび上がる。

 爆豪の右掌に、白煙を立てるほどの熱が集中する。

 二人はお互いに右手を限界まで引き絞り、それぞれの胸の内を、言葉にもならない雄叫びで

ぶつけ合う。

 

 あっという間に両者の距離は埋まり、そして、遂に激突する瞬間――オールマイトが中止を

宣言しようとした、その時。

 

 

「行くぞッ麗日さんッッ!」

 

『!?』

 

「――SMASH!!」

 

 

 緑谷は右腕をアッパーカットに構え直し、爆豪では無く――天井に向けて振り抜いた。

  

 

 『ワン・フォー・オール』100%を発動した拳によって生じた風圧は、天井を砕き、その

上の天井も砕き、更に砕いて砕いて――5階、麗日と飯田がいる広いフロアの中心を貫き、ビ

ルの屋上をも超えて、快晴の空まで見通せる、大きな穴を穿った。

 

 

核ゥーーーーッ!」 核ゥーーーーッ! 核ゥーーーーッ!

 

 

 幾許かの間を置いて、風穴の向こうから飯田の絶叫が聞こえてきた。混乱に乗じた麗日に、

仮想核兵器を奪取されたのだ。

 

 驚愕し、そして怒りに体を震わせる爆豪。彼は悟る――全て、緑谷の作戦だったのだと。

 

 

「……最初(ハナ)っから、テメェ……ッ!そういう……ッ!!」

 

「やっぱナメてンじゃあねぇかァアッ!!」

 

 

 自身がぶつけた爆破の、煙の向こうの緑谷に食ってかかる。

 

 

「……これ、だけは……使わない、つもりだったんだ……。“全力”は、身体が衝撃に耐えられ

ない、から……!」

 

「!」

 

「相澤先生にも言われてた……けど、これしか無かった。……君に、勝つには……」

 

 

 姿を見せた緑谷の左腕は、真っ黒に(すす)けていた。

 腕を盾として、爆豪の攻撃を防いでいたのだ。

 自分の行動はまた読まれていた――そう理解し、爆豪は絶句した。

 

 

「……やっぱり……やっぱり、まだ、君の方が、すごいけど……」

 

もう、負けない、ぞ……かっちゃ、ん…………

 

「――――――――」

 

 そう言って、気力が尽きたのか、オールマイトがヒーローチームの勝利を宣言する中、緑谷

は倒れ伏すのだった。

 

 

     ⇔

 

 

 同じく5階でも麗日が自身の“個性”、『無重力(ゼログラビティ)』の副作用で吐き気を催し、飯田に介抱さ

れている。負けた方がほぼ無傷、勝った方がボロボロというちぐはぐな状況だ。

 

 

「勝負に負けて試合に勝ったというところか」

 

「訓練だけど」

 

「……どうかな。どちらとも、緑谷くんの勝ちだと思うよ」

 

 

 黒い鳥そのものな頭部を持つ少年の言葉に、歌満地は自身の意見を述べる。

 

 

「最後のアッパー。あれを爆豪くんに向けていれば、最後に立っていたのは緑谷くんだ」

 

「い、いや待てよ歌満地!あんなんで思いっきり殴られたら死んじまうだろ!訓練だぜ!?」

 

 

 歌満地の不穏な物言いに、切島が慌てて反論する。

 

 

「そう、これは訓練だ。だけど、どんな状況下でも“個性”を人に向けて使うなら万一は起こり

得るし、()()()()()()()()()()()()()()()。先の爆豪くんもそうだったろ」

 

「……!」

 

「そして、二人の“必ず殺せる技”は、威力は緑谷くんの方が上だ。本気でやり合っていても、

爆豪くんは負けていた。そうならなかったのは、これが訓練だってこと以上に……」

 

「出久くんが、勝ち方を選んだから……ですね?」

 

 

 渡我の指摘に、首肯で返す歌満地。

 

 

「そうだね。個人的感情だけでなく、ヒーローとして、チームとして勝つ道を選んだ。勿論、

あくまでこれは“たられば”の話だけども……、目的を達成することこそを勝利と呼ぶなら――

勝負も試合も、緑谷くんの勝利だよ」

 

「……成程、一理あるな」

 

「まっ、やり方は褒められたもんじゃないけどね」

 

「灯志くんが言っちゃいけないセリフですよ、それは」

 

「むぐ……」

 

 

 渡我に真顔でツッコまれ、思わず押し黙る歌満地。爆豪たちを迎えに行ったオールマイトが

戻ってくるまで、周囲の者たちはそんな彼に、探るかのような、困惑と感心の混ざった視線を

向けるのだった。

 

 モニターに映る爆豪が、呆然とした様子で立ち尽くしていることは――幸か不幸か、誰の目

にも止まることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で今回はここまで。次回はオリ主VSトガちゃん、withA組で第二ラウンドです。
ビッキーの健康診断の結果はその後。……年々、結果を見るのが怖くなってきません?健康診断。

デクくんVSかっちゃん第一ラウンドは原作通りデクくんの勝利。
OFA2%の使いどころは、「最初の背負い投げ」「逃走時の移動」「背後への奇襲」「からのカウンター爆破、からの離脱」「籠手の爆破の回避」の5つ。結果、かっちゃんは背中が痛くて原作以上にイライラすることに。

ちょこっと用語解説:

☆『撃槍・ガングニール』:

 響が初変身時に歌った歌。『シンフォギア』のキャラソンは設定的に聴くだけでどういうキャラなのか簡単に理解できます。 

☆爆発炎上するバイク:

 『シンフォギア』に登場するバイクは殆どの場合爆散します。主に翼が乗り捨てるのが原因。3期『GX』などではとうとうOPで乗り捨てられ、毎週爆発四散することに……。バイクが一体何をしたって言うんだ。

☆あったかいもの、どうぞ:

 元ネタはゲーム『ワイルドアームズ2』。リルカというキャラとNPCのやり取り。WAシリーズは『シンフォギア』の脚本担当、金子彰史氏の代表作であり、氏は自身の作品に過去作のネタを山盛ることで有名。元ネタでは「あったかいもの」の正体は不明だが、本作ではコーヒーである。

☆まあまあ。65点ってとこですね:

 元ネタは『仮面ライダーキバ』の2号ライダーにしてネタ(にされる)キャラ筆頭、仮面ライダーイクサこと名護啓介が、自身が指導する(と勝手に主張している)襟立健吾の戦いぶりを見て放った台詞。なお、このあと襟立にブン殴られる。

☆国の防衛バリスタオペレーター:

 『ご注文はうさぎですか?』より、迷言「町の国際バリスタ弁護士」が元ネタ。ただし、あおいさんはバリスタでは無くコーヒーインストラクターなので正確ではない。まぁ似たようなものだし……。

☆言ってること全然わかりません:

 立花響が度々使う言い回し。ここでは同年代のトガちゃん相手なので語尾が砕けてます。

☆緒川慎次:

 『シンフォギア』1期より登場する、特異災害対策機動部二課に所属するエージェント。表向きは翼と奏のマネージャー。しかしてその実態は、飛騨忍群の末裔「緒川家」の次男にして現代忍法を使いこなすNINJAだ!二足の草鞋を履きながら、どちらにおいてもとても仕事のできるデュアルイケメン。欠点らしい欠点はウカツな失言くらい、しかも本編中では一回きり。非の打ち所がない。本作ではトガちゃんの体術の指南役の一人。

☆ピンシャンしてる:

 元気でしっかりしているさま。表現としてはお年を召した方に対して使われることが多い。

☆心は熱く、頭はクールに:

 『電脳冒険記ウェブダイバー』より主役ロボ、グラヴィオンの台詞。OPのアニメーションがクソカッコイイ。

☆グラウンドβ:

 雄英高校内にある、市街地を模した広大な演習場。入試で使われた内の一つも多分ここ。

☆オリ主とトガちゃんのコスチューム:

 モチーフはスマホ向けゲーム『シンフォギアXDUNLIMITED』で「平行世界の弦十郎と了子」が使用する特殊兵装と、『メタルギア』シリーズに登場するサイボーグ、雷電の義体。を混ぜた感じ。作中でも言った通り、見た目は概ね同じだけどトガちゃんの方は軽装・軽量になってて、オリ主に変身すると装甲が上手い事組み合わさるイメージです。

☆聖徳太子:

 日本・飛鳥時代の皇族であり政治家。一度に10人の質問意見を聞いて、それぞれにきちんと回答したという逸話がある。決して「飛鳥文化アタック」とか言う人ではない。

☆カンペ:

 カンニングペーパーの略称。良い子はカンニングなんてしちゃダメだぜ。

☆違います、そうじゃないです:

 歌手・鈴木雅之の楽曲『違う、そうじゃない』から。現在ではネットスラングとして定着した感がある。
 
☆Mt.レディ:

 『ヒロアカ』1話から登場している新人ヒーロー。でっかくなれる。トーク番組で先輩ヒーローに喧嘩を売るなど、根性がずぶとい。本作では1年前時点がトガちゃんとオリ主の話で進んだため出番が減った。

☆見下してんじゃねぇ:

 用語でもなんでもないけど、ここはアニメ『スクライド』の主人公、カズマから台詞を拝借したつもりで書きました。『スクライド』は『シンフォギア』と同じく金子氏が脚本。しかも主な放送枠は『ヒロアカ』と同じ。いわば本作を形作る二作のミッシングピースなのでは……?

☆轟焦凍:

 『ヒロアカ』3人目の主役級にして公式イケメン。紅白カラーの髪、成績優秀、二重属性使い、父親がトップクラスヒーローと派手派手なのにそれの派手さを相殺して余りある陰鬱エピソードの持ち主。後々明るくなって年相応の振る舞いを見せるようになるものの、その後も色々苦悩する羽目になる。

☆逃げることと、戦いを放棄することは決してイコールじゃない:

 元は『ジョジョの奇妙な冒険』第2部での主人公ジョセフ・ジョースターの行動と、第3部での彼の台詞。逃げることも作戦の内――その後、どんな結果であれ、勝ちに持っていくのがかっこよくて、初めて読んだときは痺れました。








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