映画のように出会った。カッコよくて真似した。貴方の歌は刺激的だった。
────変わっていくね、関係性。
どうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして私はどうしてどうしてどうしてどうしてどうして手どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてわからないどうしてなんでどうしてどうしてどうして手どうしてなんでどうしてどうしてどうしてなんでなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして手どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして私はどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして教えてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてなんでどうしてなんでどうしてどうしてどうしてわからないどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
…………二度目のケンカは、デートをすっぽかされたのが理由だった。
駅前にパウンドケーキの専門店ができて、オープンしたら行ってみようかな、って灯志くんが
言うから、二人で行ってみたいです、って私が言って。
けれど約束した日、2時間前に駅に着いて1時間待ってた──家からいっしょにお出かけする
のはもうしてたし「好きな人と待ち合わせ」って憧れでしょう?──私に、灯志くんは、「急に
バイト先に呼び出されたから今日は行けない」って。
本当はアルバイトじゃなくて、ノイズが出て、戦わなきゃいけなかったから……だったんです
けど。この時はまだ二課の事は秘密にされてたので、アルバイトだなんて嘘をつかれて。
いえ、仕方なかったんだって、今は分かってますよぉ? ええ、本当に。
だから、つまり、その時は分かってなかった、ってことです。
「仕事と私、どっちが大事なの?」なんて本当に言う人、いるわけないと思ってたのに。
その後も度々灯志くんはアルバイトって嘘ついていなくなって、LANEの返信も来なくて。
問い詰めても謝るばっかりで、じゃあ私もそのアルバイトしますって言ったら難しいとか資格が
いるとか今は人員募集してないとかでダメだって反対して。
今思えば、「納得できる説明をしてください」って、もっと理屈ぽく攻めることを思いついて
たら押し切れた気もしますけど、その前に刺しにかかってたので。
一周、ううん、何週も回って回った頭で思い出してみれば……灯志くんから始めるようなこと
は無かったです。灯志くんは謝るばかりで、最後には私にチウチウされるばかりで。
というか、もしかしてあれもそれもケンカですら無かったんじゃ……?
イッポー的に私が刺しに行ってただけなんじゃ……?悪いのは灯志くんですけど。
お互いの意見が違って、同じにできないから、傷つけて。
それをケンカというなら、先週の水曜日、あれが本当の2回目で。
仲直り出来ないままなのは、初めてのこと。
もう何日も、灯志くんから血を飲んでいない。“個性”用に輸血パックを貰ってはいるけど、
それも我慢できなくて飲んじゃって、あと一個しか無い。
苦しくて苦しくて仕方ない。寂しくて寂しくてたまらない。
なのに、どうして、今までみたいにできないんだろう。
早く彼に触れたいのに。抱き着いて噛み付いて、血を飲みたいのに。
傷をなぞって、背にもたれて、顔を覗き込んで眉間のしわを数えていたいのに。
どうして、私の手は、どうして…………────
────────ガ…………トガ………………────おい、渡我ッ!」
……えっ?
「渡我ちゃん危ないっ!」
はっと気づいた時には、私の身体は後ろに投げ出されてて。
パッと、鮮やかな飛沫が散ったのです。
■
「まったく────無理するから、そぉなるんだぜ?イレイザーヘッド」
両腕を左右に開き、肩をすくめるジェスチャーをしてみせる「手首の男」。
その向かい側で、相澤は脳無に圧し掛かられて動けずにいる。
中央広場の戦闘は、いよいよ決着の様相を呈していた。
「常に使い続けることはできず……その上、使うたびに発動時間が短くなる。そうだろう……?
その“個性”は集団との長期戦闘に向いてない……。普段の仕事とは勝手が違うんだろうに……
それでも単身突っ込んできたのは、生徒を安心させる為か……?」
「──────カッコいいなぁ……カッコいいなぁあ、ヒーロー……!」
馬鹿にするように、あるいは
一方の相澤は、自身を押さえ付ける脳無に対して“抹消”を発動する。
だが、しかし、脳無はまるで意に介した様子を見せない。
無造作に手のひらを振り降ろし、まるで小枝でも
「でも残念。“個性”を消せる……ステキだけど、なんてことは無いね。圧倒的な力の前では……
つまりはただの無個性だもの」
そう言って嗜虐的な笑みを浮かべる「手首の男」。
──“抹消”は確かに効いた……!
──つまりは、
──こんな……オールマイト並みのパワーが……!
戦慄する相澤の後頭部を掴み上げた脳無は、彼を顔面から地面に叩きつけた。
赤く染まる石畳。
脳無は血を噴き出す相澤の頭をまた持ち上げ、更に叩きつけようとして────
唐突に、「手首の男」に向かって地を蹴った。
「────は……?」
まったく予想だにしない脳無の行動に目を剥く「手首の男」をよそに、男の背後にあっという間
に回り込んだ脳無は、
風邪を切り裂いて飛来した
一瞬の出来事。
砕けながら宙を舞った槍の残骸は、風に吹かれた塵のように消えていく。
そのさまを
集めた兵隊に嬲られているはずの生徒が一人、負傷していながらも臆した様子も無しに、こちら
へと歩を進めてくる姿を見て取った。近付いてきた生徒が口を開く。
「……知性どころか理性も無さそうなくせに今のに対応するのか。しかし、まるで、そう動くよう
に予め決められてたって感じの、反射的な動きだ……成程、パブロフの犬か?」
「──……あぁーー……?」
「忠犬というより狂犬だが……よく飼い慣らしているじゃないか」
「なんだァ?おまえ……」
苛立たしげに問う「手首の男」に、首元のチョーカーに指を引っかけながら少年は答える。
「何かと言われれば……今から分かるさ」
カチリとスイッチが切られ、隠蔽装置であるチョーカーの機能は停止した。これにより、“個性”
使用に干渉していた可聴域外の妨害音波も消えて────
『奏血』は、最高性能の発揮が可能となる……!
戦士は、深く息を吸った。
「────
「“
■
「────とりあえず片付いた、か」
肩の力を抜くように呟く轟の、吐く息は白い。
USJ内・土砂崩れゾーン。本来であれば、雑に練られたチョコチップクリームのような光景が
広がる地は、今や画期的な色合いの氷原と化していた。
転移直後、待ち構えていた敵の一団に対して即座に凍結攻撃を放った轟は、見事に彼らを氷像の
ごとく拘束した。その素早い判断に慄く敵たちだったが、氷結より逃れた者たちはそれでもなお、
果敢に攻めてきた。当然、轟も応戦すべく身構えたが──直後、遅れて渡我が送られてきた。
『っ、渡我か。下がってろ!』
『………………』
『……?何してんだ渡我、動けっ──おい、渡我ッ!』
中空より投げ出された渡我は受け身を取り、上体を起こす。しかしそれ以上は動こうとはせず、
その場に膝をついたまま微動だにしなかった。
轟は、一転して守勢に回らざるをえなくなってしまう。
再三の呼びかけにもまるで反応しない渡我に、とうとう凶刃が届かんとした、その時。
『渡我ちゃん危ないっ!』
渡我は勢いよく背中から倒れ、一拍遅れて、何処からともなく空中に赤い液体が撒かれた。
『いっっ、つぅぅ……!』
『ぇ…………──透ちゃん?』
──そして2、3分ほどを経た後。
あちらこちらから聴こえる、敵たちの痛いだの寒いだのといった呻き声と、
「……ごめんねぇ、透ちゃん。ごめんねぇ」
「へーきへーきっ!ちょびっと切れただけだし!むしろ転がってこすれたとこのがあイタタタ!」
「女の子・なん・です・からっ!恰好とか!もちょっと気を付けなきゃメッ!ですよ透ちゃん!」
「ひ~~!渡我ちゃん待ってかけ過ぎ強過ぎ痛い染みる痛い染みる~~!ひぁっ、そこは怪我して
ないっ、あぁ~~っ!」
自身の後方から聴こえてくる、かしましいやり取りを、轟は努めて聞こえないフリをしつつ口を
開く。
「一先ず腑は戻ったみてぇだな、渡我。……で、弁解があるなら聞くが」
「…………、無いです」
殊勝だな、と轟は意外に思う。戦闘訓練の時の我が儘ぶりが嘘だったかのように、今の渡我は誰
の目から見てもしおらしい様子であった。
「分かってんならいいが……葉隠も飛ばされて来てなかったら、お前──死んでたかもな」
「ちょっ……轟くん、言い方!」
「事実だろ」
轟の指摘に、ぐっと顔をこわばらせる渡我。押し黙ったまま、素早く丁寧に包帯を巻いてくれる
彼女と冷ややかな視線を向け続ける轟とを交互に見て困り果てる葉隠。気まずさが空気に溶けて、
三人の口唇を引っ付ける。
……しかしそれもほんの数秒のこと。轟が
「どこ行くの、轟くん!?あんまり動かない方がいいんじゃ……」
「お前らはどっか隠れてろ」
葉隠が不安と心配から呼び止めるも、轟は素っ気ない態度で返す。
「怪我してる奴とビビってる奴……碌に動けやしねえだろ、その方が安全だ」
「…………ビビってる……?」
轟の言葉に、渡我がポツリと
彼は歩みを止めて肩越しに渡我を見る。
「誰のこと……言ってます?それ……」
「お前は怪我してねえんだから、お前だろ」
そう言って、轟は何故か明後日の方角に顔を向けた。
「つぅか──さしものお前でも、本物相手は怖ぇんだな」
⇔
こえぇ…………?
こわい……。 怖い。 ……怖い?
「トガが? トガが怖がってる?」
何を言ってるんでしょうか。
「ふ、ふふ。……おかしいこと言いますねぇ。トガは何も怖がってなんかないのに。トガが何を
怖がってるって言うんですかぁ?何を根拠にそんな──」
「手、震えてんぞ」
言われてパッと手を見る。確かにプルプルしてて、思わずバッともう片方の手で握る。
「顔もちょっと青くなってる!私もだけど!」
さむさむ~って笑いながら上下に動く透ちゃん手袋(多分二の腕をさすってる)。
それひょっとしてギャグで言ってます?
「……怖くなんかありませんよ、あんないかにもな三下さんたちが怖いわけないじゃ無いですか
透ちゃんと同じです寒いだけですよだってここだけ氷点下じゃないですか誰かさんが辺り構わず
冷やかすから」
「お前その
「ぐぬぅ」
ぐぬぅ。
「……まあ確かに、こいつらが三下ってのは同意するが。どう見ても“個性”を持て余してる
以上には見受けられねぇ。お前ほど
「……何なんですかぁ、さっきから?ケンカ売ってますぅ?売ってますねぇ?」
「そうだよ女の子相手に太いとか戦争もんだよ轟くん!即総力戦だよ!」
「いや体形の話はしてない──」
「「表現の問題!!」」
「…………そうか。悪ぃ」
「だが、あの黒い奴は別格だった。そうだろ」
「うわぁ、話の戻し方が雑……」(……あの降ってきたのですか)
「渡我ちゃん逆、逆!」
「……此処にいる俺らだけかもしれねぇが……即死するような高所から落とさなかった分、あの
靄の奴はまだ理知的だ。“個性”で対応されると考えたか、嬲り殺すっつってたから、単に趣味が
悪ぃだけかも知れねえが……あのデカブツは違う。一目見ただけだが──あれからは“暴力”しか
感じなかった」
「…………」
「歌満地が身を挺してなかったら、俺らは訳も分からねぇ内に吹っ飛ばされて、分断されてた。
最悪、あの場で全滅してたかもな」
そう言って、
「……だから、別に怖がんのも無理は無ぇだろ」
………………。私は。
「トガは、怖くなんてありませんよ」
そうですとも。大きいのが、力が強いのが、殺しに来るのが、何だって言うんですか。
「あんなの、怖くも何ともありません。あんなものに、灯志くんは負けません」
「かもな」
えっ。
思わず轟くんに顔を向けました。ふんわりでも肯定するなんて意外。
「確かに、歌満地は強え。
……お前にとっちゃ、「一番信頼できる」奴なんだってのも分かる」
けどな、と区切って、轟くんは私が考えてもいなかったことを言った。
「だからって、心配してねぇわけじゃ無いんだろ」
「……あ」
その言葉は、ストンと私の心に収まった。
「お前が怖がってんのは、連中じゃ無いなら、歌満地が連中と
“もしも”があること……なんじゃ無ぇか? ……まあ、なんとなくだが」
(そんなこと)
無い──なんて、言えませんでした。だって、灯志くんは間違いなく闘おうとするから。自分
がどうなったって、誰かを守ろうとする人だから。
灯志くんはきっと勝ちます。けど、きっと傷付きます。
ボロボロになった灯志くんはとても素敵でドキドキするけれど、同じくらいギュッてなって。
自分のことを大事にしない彼に、いつの間にかドキドキよりもムカムカよりも、ソワソワとか
ハラハラを覚えるようになってた。
……言葉にされて、その気持ちの呼び名を、ようやくはっきりと理解した。
「…………そっか。怖かったんだ、私。……そっかぁ」
「……渡我ちゃん?大丈夫?」
ひょこっと視界に入ってくる透ちゃんの、二つのグー手袋。声音を聞けば、どんな表情なのか
は見えなくても分かります。きっと、八の字まゆです。
「大丈夫ですよ、透ちゃん。……ありがとう」
パシッと、軽く両手でほっぺを挟んでみて、私は立ち上がった。
「──ヨシッ! 行きましょう、轟くん。灯志くんが、心配、ですから!ほら早く!」
「待て、何で俺が時間取ってたみたいに言ってんだ」
細かいこと言いますねぇ。将来髪が薄くなりますよぉ?もしもバランス悪く片方だけ減ったり
したら致命的ですよ?
「お前……今何かすげぇフザケたこと考えてるだろ……」
「まあまあ、二人ともその辺で!ねっ?」
「……結局お前もついてくんのか、葉隠」
「いやぁ、私だって未来のヒーローだからっ。そりゃあ行くよー……出口に!」
「そうですねぇ。透ちゃんなら気付かれずに外に出られるかもですね」SOSヨロシクです
「あっ、う、うんっ!任せといてっ!」
二人と足早に歩きながら、掴めなかった手のひらを、じっ、と見る。
この手が
それは灯志くんのことじゃなくて、彼と手をつなぐことでもなくて。
(また、手が離れちゃったら……離され、ちゃったら)
灯志くんのことが好き。今までも、今でも、そしてこれからも。
まあ、時々、少しだけムカッとなったり、グスンとなったり、そういう時もある。
それでも、この手だけはつないだままだった。彼はずっと握っていてくれた。
だから、あんな風に、離されてしまうなんて思わなかった。
きっと昔の私なら、あの場で灯志くんを刺してた。
そうしなかったのは、命懸けでノイズと戦う灯志くんを見てきたから。私を助けてくれた灯志
くんが、誰かを助けられない現実を目にしたから。
その後で、吐くほど泣いてることを知ってしまったから。うわ言のように何度も、居もしない
誰かに──もういない誰かに──謝っているのを聞いてしまったから。
灯志くんがそうしているから誰かを助けようとしたとして。それで助けられなかったとして。
多分、私は、「灯志くんみたいにできなかったから」落ち込むのだろう。
命を守ること、守れないこと、あるいは奪ってしまうこと。
それがどれくらい重いのか、痛いのか──それは灯志くんになっても分からなかった。
ずっと抱えていかなきゃいけないって、灯志くんは言っていた。
だから、曖昧でも、想像してみるしかない。どんなに痛いのか、辛くて苦しいのか。
イコール、つないだ手が離れてしまう痛さ?
イコール、伸ばした手が届かなかった痛さ?
……それらは違うものだ。多分、似てはいる。だけど、灯志くんの痛みは、きっと想像以上。
どれだけ灯志くんになっても、心は同じにならない。
私の心は、私のまま────灯志くんの言った通り、だから多分、背負えないんだろう。
──別にいいじゃないですか。
心のドコかで、『私』が囁く。
──私はヒーローになりたいんでも、人助けがしたいんでも無いんですし。
──灯志くんがそうするから、そうしてるだけ。
──そうすれば灯志くんと同じだから。
──私は灯志くんになりたいだけなんだもの。
そうですね。 ──でしょう?
でも。 ──……でも?
((もう、
──ああ、そうだ。そうなのだ。
『変身』するだけじゃ、足りない。同じ服、同じ趣味、同じ食事にしたって、物足りない。
彼そのものになったって、きっともう足りないのだ。
私は彼と。彼は私と。
お揃いの服を着て、一緒に音楽を聴いて、肩を寄せてテーブルに着いて……。
そして、共に歩いて、走って、駆け抜けて──終わりたい。
優しい人。血と煤が
この前の事は、彼と同じが良いからってことと──恥ずかしいけど事実だから認めますけど──
嫉妬したから、ばかりが理由じゃない。(あの子の考えの無さにむかついた……のは、私が言えた
ことじゃないので保留。ええ、そこは反省しました。本当ですよ?)
端的に言えば、焦った、のです。置いていかれる……と、そう思ったから。だから、もっと灯志
くんと同じになろうとして、奏さんのギアを持ち出した。……けれど、その結果が今です。
殺したいほど好きです。好きだから殺したいです。
でも死んでほしくない。殺されてほしくない。
ボロボロの彼はステキだけど、ボロボロになっていく彼は見てられない。
そうです。
灯志くんと同じになりたい、どんな時でも傍にいたい……でも、その気持ちと同じくらい、私は
彼のことが心配だったのです。
痛いのも辛いのもヤだって言いながら、誰かのために傷付いて、苦しみ続けている彼が。
一年とちょっと、いっしょにいて──あの日からずっと気付かないふりをしてたけど──嫌でも
分かってしまったのです。
灯志くんは考える前に体が動く人じゃない、考えてから動かしてるんだってこと。
……はっきり言って、今でも、そういうとこ「嫌い」って思うけど……、灯志くんがそういう人
だったから、私はいま生きていて、彼を好きになったのだから。だから止められない。
だったら彼と同じくらい強くなればいいと、私はそう思ったのです。そうすれば、彼を助けたり
もできるかもだから。彼と同じように傷付けるかも知れないから。
私の為、灯志くんの為──その気持ちは今でも変わりません。間違ってるとは思いません。
でも、今のトガのままじゃ、また同じことになってしまうのでしょう。
そしたら……もしかしたら……。
────もう二度と、この手を握ってはくれないかもしれない。
(……………………それだけは)
それだけは────────絶対に、イヤ。
……でも、どうしたらいいんでしょうね。
私だけの力で、灯志くんと同じくらい強くなるなんて無理でしょうし……。仮になれたとしても
灯志くんは私をノイズと戦わせようとはしないでしょうし。そもそも、ただ強くなるだけじゃ納得
してはくれませんよねぇ……うーん……。
そうやって、考え込んでいた私の耳に──聴き慣れた歌が聞こえてきた。
透ちゃんと轟くんも立ち止まって耳をそばだててる。けど、これって……。
「あれ?気のせいかな……、何か聞こえない?」
「……これは、歌……か? まさか……」
「まさか、どころじゃ無いですよ」
「渡我?」
これはヤバいです。だって言ってました……これ、
「灯志くんの胸の歌……本気も本気、全力で戦うつもりです…………!」
障子くんの素顔が公開されましたね。
もっとグロめかと思ってた、とか、全然見れるじゃん、とか、そういう感想の人はまさに「教育の賜物」ということなんでしょうね。アニメやマンガに慣れ親しんでる的な意味で。
ちょこっと用語解説:
☆パウンドケーキ:
手作りは2、3日寝かせた方がしっとりして美味しい。
☆パブロフの犬:
旧ソ連の生理学者イワン・パブロフが、自身の発見した『条件反射』を立証するために行った実験のこと。
1.イヌにある種の音を聞かせる。
2.イヌにえさを与える。イヌはえさを食べながらつばを出す。
3.これを繰り返す。
4.すると、イヌは音を聞いただけで、唾液を出すようになる。
(※作中において、脳無は死柄木の危機に際し命令無しで動いているが、恐らくドクターにそうするよう改造されているからなので、無意識的なものでは無くどちらかと言えば、いわゆる学習に依る行動。なのでオリ主の発言は比喩としては兎も角指摘としては間違っている。多分。)
☆二つのグー手袋
両手を握ります。胸の前に持ってきます。手の甲を外側に向けて前後に少し重ねます。ちょっと前かがみになります。完成。