素晴らしい世界に天下無敵の荒くれ者が殴り込む!   作:飴玉ベジット

1 / 3
スクライド20周年記念で勢いで書きました。超亀更新だと思うので、気長に待ってください。


プロローグ

 

 

 青年が目を覚ますと、周りが真っ暗で地面は灰色の霧の様なものが見える。

 

 「なんでこんなところに白い長椅子とテーブルがあるんだ?それと俺の後ろに赤茶色の椅子もある…どういうことだ?……ん?誰だ?」

 

 男は何者かの足音が聞こえたので後ろを振り向く。

 

 「佐藤和真さん。ようこそ死後の世界へ。貴方はつい先程亡くなりました。」

 

 (コイツ一体何を言ってんだ?確かに俺の名前は()()()だけど、()()()ってなんだ?あの甘いやつか?)

 

 赤髪の男が言うには佐藤和真と言う名前では無いらしい。そうとは知らずに話し掛けて来た青い髪の少女は、青年の目の前にある白の長椅子に座り込み語る。

 

 「短い人生でしたが貴方は死んだのです。」

 

 (そ、そうなのか。)

 

 「さっきからずっと黙って…余程ショックでしたか?」

 

 「あ、あぁ。(いつかはそうなるとは思っていたけど、こんな早くにくたばっちまったのか。)それで死んだ原因は何だ?」

 

 

 「憶えていないのですか!?」

 

 「あぁ。(誰に負けたのか、気になるからな。)」

 

 「まあ…その簡単に言いますと、ショック死です。……それも()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 「はぁ?」

 

 あまりにも自分が思っていた死因とかけ離れていたので、思わず変な声を出してしまった。

 

 「ぷっ、あっあははははははははは。」

 

 (こいつ!ムカつかな!!)

 

 少女が笑い出した。

 

 「あはは、あたし永くやって来たけどこんな珍しい死に方をしたのは貴方が初めてよ。くすくすくす……あはははははは。」

 

 (この野郎…言わせておけば……)

 

 「貴方は轢かれそうになった恐怖で失禁。気を失い近くの病院に搬送。医者や看護師に笑われながら心臓麻痺、あっはははは。」

 

 (もう我慢できねぇ!!)

 

 とうとう青年の怒りが、爆発した。

 

 「現在、貴方の家族が病院に駆け付けて「おいガキ!!」あら?恥ずかしいからって話を逸らしちゃったら、弄りがいが減るじゃ無い?」

 

 まだまだと恥ずい話で弄る少女。だが、青年は既に怒り心頭の様子だった。

 

 「さっきから俺を見下してんじゃねぇぞ。そんなに殴られてぇのか?」

 

 「急に何なの?あ、やっぱり死因が死因だから恥ずかしくなって「後悔すんなよ…」へぇ?」

 

 すると、青年の周りに虹色の光が集まり、椅子と机が消えた。その後、青年の右腕が縦に三枚おろしになっていき、その腕が更に赤と黄色の装甲のようなものに覆われた。同時に背中に3枚の赤い羽のような物が生え、髪の毛が逆立った。

 

 

 「あの……佐藤和真さん?コレは一体……?」

 

 「ふん!!」

 

 少女は、急に変わった青年の腕について尋ねようとすると、そのすぐ隣で強烈な風が吹いた。それが青年の拳で起こしたものだと気づくと、少女の顔が一気に青ざめた。

 

 「すすすす、すいません!!!ま、まさかそこまで怒るなんてお、お思いもしなかったのです!ほ、ほんとにすいませんでしたぁぁぁぁ!!!」」

 

 殺されると思った少女は必死になって謝罪した。

 

 「そうかい…それであんたの名前は?」

 

 「うえ〜ん、怖ぁいよ〜、和真さ〜ん。」

 

 「泣くなよ。話が進まねぇじゃねぇか。」

 

 それから少女が泣き止むまで数分が掛かった。少女が泣き止んだ後、名前を教えて貰った。その少女の名は()()()と言い、そのアクアは日本において若くして死んだ人を導く()()らしい。

 

 「ふーん…死んだ人間を導く神様ね〜。それともう1つ、日本って確か本土のことだよな?」

 

 「え?…貴方日本人の佐藤和真ですよね?だったら名前からして日本人では…」

 

 「確かに、俺の名前はカズマだ。だけど、俺にはサトウ……ましてや名字なんかねーよ。因みに出身地はロストグラウンド。」

 

 そう、男の名前はカズマ。ロストグラウンドでは知らないものはおらず、本土の上層部にもその名をとどろかすほど悪名高い荒くれ者だ。

 

 聞いていた名前と違う人物が来たので、アクアは首をかしげた。

 

 「あれ〜?何処かで間違えたのかな〜?」

 

 その言葉を聞いたカズマはピクッと反応した。

 

 「おい…間違えたってどう言う事だ?まさかお前、その俺じゃねえ和真って奴がどんな奴なのかを知らずにただ死んだ事だけを知ってこの場所に呼んだっつーことか?」

 

 「ぎ、ぎっく!?」

 

 アクアの反応を見たカズマの顔には青筋が浮かんでいた。

 

 「ほーう、どうやら一発殴らねぇといけねぇみてぇだ「ゆゆ…許して下さい!だから殴らないで下さい!」……わーったよ。」

 

 カズマの脅迫から解放されたアクアは、自身の仮説を述べた。

 

 「ここは若くして死んだ人が来る場所です。これはあくまで仮説ですが、元々()()()この場所に来る筈だった佐藤和真さんがなんらかの原因で、まだ()()()()()()カズマさんと入れ替わった……のだとおもいます。」

 

 それを聞いたカズマは安堵のため息を吐きながら、地面に座った。

 

 「そんなことだろうと思ったよ。第一、俺はトラックに轢かれたぐらいじゃ死なねぇと思うからな。」

 

 「え!?」

 

 カズマのトラックに轢かれても死なない発言に、アクアは思わず驚愕の声をあげた。

 

 「本当ですか!?」

 

 「ああ。詳しくは知らねーけど、アルターの使いすぎでそうなったらしくてな。今じゃコンクリートぐらいなら素手でぶっ壊せるぞ。」

 

 「アルター?……もしかして、その右腕のことですか?」

 

 「そうだ。こいつはシェルブリット。俺の自慢の拳だ。」

 

 「そういや、俺じゃねえ和真がここに呼ぶには、何か理由でもあったのか?」

 

 「はい!それは……」

 

 本来、佐藤和真がする筈だった目的は天国に行くか、もしくはゼロから人生をやり直す、あるいは異世界に行き第二の人生を過ごす事、俗に言う転生である。

 

 そこで女神アクアは佐藤 和真がゲーム好きの事から、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。と、ゲームでは良くある世界だが、そんな世界を誰が好き好んで行くかと生まれ変わるのを拒否され、人が一方的に減っている現状。

 

 それを聞いたカズマは気になる事があったので、アクアに聞いた。

 

 「なぁ、その世界には、強い奴はいるのか?」

 

 「はい。特に魔王と呼ばれる者はすっごく強いです。」

 

 それを聞いたカズマは好戦的な笑みを浮かべた。

 

 「いいね。喧嘩のしがいがありそうだ。よし!俺が行ってやる!!」

 

 「今回、ご迷惑をおかけしましたので、大サービスに1つだけ何でも持って行ける権利をあげるのです!」

 

 「なんでもねぇー。ところで、その…異世界ってところに行ったとしてよ、言葉とかはどうなるんだ?」

 

 「その辺は問題無いですこのガイドブックに書いています。」

 

 カズマは、アクアに渡されたガイドブックをペラペラめくって読んだ。

 

 「なぁ。」

 

 「なんでしょう?」

 

 「文字が読めねーんだけど。」

 

 それを聞いたアクアは思わずズッコケた。

 

 「取り敢えず、これと同じにしてくれ。」

 

 ガイドブックにあった平仮名を指し、全て平仮名にしてもらった。

 

 「ふーん……ん?…それで?」

 

 「私達神々の親切サポートによって貴方の脳に負荷を掛けて一瞬で習得出来ます。それと副作用として運が悪いとパーになりますけど、後は凄い能力とか装備とか選ぶが良いでしょう。」

 

 「今なんつった?…脳がパーになるだって?」

 

 「言ってません!」

 

 ドヤ顔するアクアを、カズマは呆れた。

 

 「言ったよな?」

 

 「さあ選んで下さい!貴方に1つだけ何者にも負けない力を授けてあげましょう!」

 

 話を逸らすように、アクアはカズマにどんな力が欲しいか尋ねた。

 

 「要らねーよ。神がくれる力より、俺はこっちの方が気に入ってる。」

 

 「デスヨネー……シッテマシタ。」

 

 カタコトで喋るアクア。それを無視してカズマは再度尋ねた。

 

 「因みにコレは願いなんだな?」

 

 「はい!そうですが……ありましたか?」

 

 「じゃあ、あんたで。」

 

 「…………ん?」

 

 カズマの足許には水色の陣らしきモノが展開される。

 

 「はい、それでは魔法陣に出ない様立ってて……って今何て言いました?」

 

 突然上から何故か光り出しそこから何かが現れそれは金髪に金色の羽でまるで天使の様な女性が現れた。

 

 「ん?…あんた誰だ?」

 

 「承りました。では今後アクア様のお仕事はこのわたくしが受け継ぎますので。」

 

 「へっ?」

 

 「佐藤和真さん、もといカズマさんの希望は受諾されました。」

 

 「え?」

 

 「お!そいつはよかった。」

 

 すると、突然アクアの足許にも魔法陣が展開されカズマとアクアの魔法陣は光り出し包み込む。

 

 「ちょ、何コレ?え、え嘘でしょ?いっやいや…可笑しいじゃん!女神を連れて行くなんて反則だから!てかカズマさんだけで充分たからね!何で一緒に行くの!無効よね?無効だよね!待って待ってえぇぇぇ!」

 

 「いってらっしゃいませアクア様。無事魔王を倒されたあかつきには迎えの者を送りますわ。」

 

 ニコっと笑う天使だが、アクアは更に喚いた。

 

 「あたしは女神なんだから、誰かを癒す力が有っても誰かと戦う力は無いんですけど!魔王討伐とか無理なんですけど!って言うよりカズマさんといる必要性も無いんですけど!…って!?待ってよ!」

 

 魔法陣の中にいるカズマとアクアは宙に浮いた。未だに喚くアクアの肩に、カズマは手をポンとおいた。

 

 「悪いが、俺と関わったからには、腹ぁ括ってもらうぜ。」

 

 「それはどう言う意味ですか?!あたしが貴方を呼んだのは事故じゃないですか!なのに何で私も!」

 

 「我が儘かい?我が儘だな。だが、人違いとはいえ、あんたは散々俺のことを見下してくれたからな。まぁ、悪い奴じゃなさそうだから、殴るのは勘弁してやる。だから、俺の喧嘩の旅に同行してもらうぜ。」

 

 「なんなんですか!?その訳の分からない理由は!?あなたは「そんなに殴られてぇのか?」ひぃぃぃ!?ごめんなさいぃぃぃぃ!!」

 

 カズマの脅迫に、アクアはガクブル震えた。これを見た天使は呆れていた。

 

 「まったく、これだからあなたは同期や先輩女神の皆様から駄目神って言われるんですよ。もっとしっかりして下さい!」

 

 「ううぅぅぅー。」

 

 この一連のやり取りを見たカズマは、天使に同情した。

 

 「なんか、あんたも色々大変なんだな……」

 

 「お察しいただき、ありがとうございます。あ、それと念の為にその腕と顔にある線は見えないようにしておきますね。」

 

 そう言われてカズマは自身の右腕を見た。すると、今まであった線が消えていた。

 

 「わりぃな。」

 

 「さあ勇者よ!願わくは数多の勇者候補達の中から貴方が魔王を打ち倒す事を祈っております。さすれば神々の贈り物としてどんな願いでも叶えて差し上げましょう。」

 

 「それ!あたしのセリフゥゥ!」

 

 またも喚き出したアクアをよそに、カズマは質問した。

 

 「なぁ、俺の元いた世界に戻ることはできるのか?」

 

 「おそらくですが、あなたは元々いた世界では死んではいないので、出来ると思います。」

 

 「OK。それがわかれば十分だ。」

 

 「さあ旅立ちなさい!」

 

 

 カズマとアクアはワープホールへと吸い込まれて行く。

 

 「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 悲鳴をあげるアクア。一方でカズマの顔は楽しそうだった。

 

 「さぁ!新しい喧嘩の始まりだ!!!」




次回から、カズマが大暴れ!!!

和真「俺の出番は?」

あるわけねぇだろ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。