オーバーロード~異世界転移!!? 嘆きの亡霊は帰りたい 作:嘆きのラジオ
なんとか八本指拠点襲撃作戦から
逃げ出したクライは走っていた・・・
あてもなく、夜目も効かないので闇雲に走り続けた
「不味い、不味い、不味い」
逃げださなければ、ハッキリ言って裏社会、しかもかなり有名な大勢力など敵にまわしたら一体どれだけの刺客を送りこまれるのやら
今、仲間も半分しかいないなか、セーフリングだけでは命が危ない
もつれそうになる足を必死に動かす、市街地は不味いと思い、森に逃げ込んだのだが、
どうやら上手くいったのか人の気配はない
一度状況を把握するために、止まるべきなのだが、森の中では別の不安が残る
走り続けるなかようやく、木々の隙間から屋敷のようなものが見えてきた
立派な屋敷だ、一応アダマンタイト級冒険者といえば事情を察して泊めてもらえるかもしれない
クライはあと少しでゴールだと、足を進める
森を抜け、道なりに出る
そこで、思いもよらない光景に
目を見開く、蒼の薔薇のガガーランとティア?という冒険者チームが一人の?虫女のような魔物と交戦していたのだ
どうやら苦戦しているようすだ
虫女は一切ダメージがなく、蒼の薔薇は切り傷など大事には至らないだろうが出血していた
逃げようと思った
ここで僕が参戦しても、戦闘力皆無の自分では足で纏いにしかならない
それなら僕がいない方が良いだろう
(まぁ逃げられないんだけどね)
既に長い時間走っていたせいで体力は底をついている
足がプルプルと震えている、座りこまないでいるのは
緊張感と空気を読んだためだ
ガガーランが僕に気づいたのか、顔を僕のほうにむける
「おう!クライか!わりいが手伝ってくれねぇか!」
いや、無理だろ
断りたい
僕には無理です、といって逃げ出したい
だがそれは難しい、既にこの場にいる全員が僕に視線をむけている、蒼の薔薇は助かったという、虫女は不思議そうにこちらをみる
「わかったよ」
全てを諦めたように、僕は頷き
彼女らのもとに歩いて向かう
いきなりの乱入に虫女は警戒してるのか僕を見ているだけだ
一歩踏み出すことに、死の危険が迫り、冷や汗が止まらなくなる
重い足取りのなか彼女らを庇うように前へでる
「だぁれぇ?」
虫女は目の前に来た僕に不思議そうに問う
当然だろう、何せ僕は武装らしい武装をなにもしていない、
体を埋めつくのは宝具といえども端からみれば装飾品の数々
戦闘向きの格好じゃない
「アダマンタイト級冒険者、嘆きの亡霊、クライ・アンドリヒ」
質問に答えるように僕はハードボイルドに言うが、
心臓がばくばくと鼓動を早める
僕の見かけ倒しの名声で撤退してくれないものか
そう祈るしかない
だが僕の祈りは神に、届かなかったようだ
「ふーーん?強いんだ?なら保存食にしようかなー」
僕の希望を砕くように物騒なことを言う
食料か・・・魔物には人間を主食とするやつもいると聞いたが
「僕なんておいしくないよ?」
つい口に出てしまった
そんな僕の軽口に驚いたように視線を向ける二人と表情が変わらない目を向ける一匹
「そんなの、食べてみなきゃわかんないよー。君面白いねー」
楽しそうに話してくる。表情は変わらないが
なんか好評価だ、見逃してもらえないかな?
「君面白いから、今日は君を食べてあげる」
うわぁ、要らねぇ
まさかの今日の夕食は僕で決まってしまったようだ
こんなに嬉しくないことは初めてだ
虫女の手に剣のような形をした虫が張り付く
同時に虫女は踏み込み一瞬で僕との距離を0にする
動くことが出来ない
あまりの早さに後ろの二人も驚きの言葉をあげる
水平に振られた剣が僕に襲いかかる
当然、避けることは出来ず、それは無防備の僕にモロに直撃する
ガキン!とう金属音
それと共に剣は弾かれ、虫女は後ろに後退した
弾かれた虫女は不思議なものをみるように変わらないが表情の顔をこちらに向ける
「あれぇーー?」
二度三度首を傾げた彼女は再び僕に斬りかかる、
だがそれは僕に届くことはない、攻撃が当たる瞬間に結界指が起動し僕を守るからだ
僕に近接攻撃は通用しないと悟ったのか
距離を空ける
「爆散符」
虫女は服の袖から呪符のような札をとり出し
僕へ投げる
札とは思えない、綺麗な放物線を描き、一直線に僕に直撃する
轟音が、閃光が僕の目を焼くと同時に、結界指が起動した感覚がした
そうして初めて、僕は自分が攻撃されたのだと認識した
爆発をうけ、それでも無傷な僕に、今度こそ虫女は警戒したように構える
先程とは雰囲気がまるで違う緊迫した状況
蒼の薔薇の二人も驚いている様子だ。怪我が治ってるなら攻撃してほしいものなのだが、、、
呆然とした二人を横目に僕は虫女に提案をする
「ここまでにしない?お互いに暇じゃないようだし?」
僕に攻撃効かないんだから、撤退したら?と
「んーー?」
不思議そうに首を傾げる、僕からそんなことを言われるとは思ってもいなかったのだろう
悩むような仕草をする
「ッ!?」
不意に虫女は大きく後ろへ後退したかと思うと
その誰もいなくなった真上から水晶の巨大な剣が突き刺さる
「・・・」
「どうやら無事のようだな、ティア、ガガーラン」
剣の柄には仮面を被った、イビルアイと呼ばれていた少女が立っていた
「お前は・・・そうか礼を言うぞ」
そこで初めて僕に気づいたのだろう
剣から飛び降りながら、体は虫女に向け、警戒しながら言ってくる
「しかし、彼我の戦力差を考えるべきだったな、こいつはお前らよりも強く、そして」
「私よりも弱い」
「なんだと?」
虫女の口調が声色が変わる
イビルアイは飛び上がり魔法を行使する
「ヴァーミンベイン」
魔方陣が浮かび上がり、そこから濃い霧のようなものが発生し、虫女を包み込む
「グァァァァァァァ」
甲高い悲鳴が聞こえるとともに、まぁ虫女が苦しみ始める
なにかが溶けるような音と刺激匂に僕は顔をしかめる
「溶けてる・・・」
ティアはボソッと呟く
その通りだね
虫女は顔を押さえ込む、服の隙間から小さな蛭のような虫が落ちてくる
顔をらしき部分は人の口のような形をしており、そこからは可愛いらしいような少女の苦しむような声がきこえる
というか滅茶苦茶グロい、
思わず手で口を抑えてしまうほどだ
そんな僕をきにすることなくティアは話す
「口甄虫・・・人間などの声帯を貪って犠牲者の声を出す蟲・・・」
なんか説明してくれた
ふーーん、そんな虫がいるのか
身の毛がよだつとともに殺虫剤と虫除けを買うことを決める
終わったのか、虫女は顔を上げる、それと同時に抑えていた顔が剥がれ落ちる
床に落ちた顔は昆虫の足を早し二度三度動いた後に絶命した
「え?なにあれキモ・・・」
ついでてしまった感想
あの仮面も虫だったのか
緊張感のない言葉に一瞬僕をみるイビルアイ
虫女の素顔が現れたる
魔物・・・というのに相応し程に醜悪で、そして凶暴なフォルムをしている
メイド服が全く似合ってない
「よくも、人間風情がぁ!!」
激情したように声を荒らげる虫の魔物
表情は全くわからないが、明らかに怒っている
こえぇぇぇぇぇ
背中から虫の足だろうか、四本の足が彼女を支えるように生える
そのため虫女の体は宙にういている
体を揺らした後、四本足でこちらに向かってくる
「フン、水晶短剣(クリスタルダガー)」
詠唱と共に腕に魔方陣が浮かびあがり、水晶製の巨大な短剣が放たれ、一直線に虫女の元へ向かう
避けるつもりはないのか、そのまま止まることなくこちらに向かってくる
短剣が直撃、、、するとともに砕けた
イビルアイは詠唱と共に
「飛び道具への耐性か」
「ならこれならどうだ、ヴァーミンベイン!」
先程と同じ霧を発生させる
これは効くのか、虫女はまた苦しそうに呻き声をあげる
だが、足を止めることなくこちらに突っ込んでくる
虫の、大口を開ける、中は別にみたくもないが、粘液がドロドロと糸を引いていた
イビルアイが考察するとともに口から糸のようなものを吐き出す虫女
近くに僕もいるので当たってしまう
なんとかしてくれ
「つまらん攻撃だ、水晶壁(クリスタルウォール)」
僕達を守るように水晶の壁が現れる
糸吐きが直撃し、壁が崩れ落ちる
不味い、これではこちらまで来てしまうな
「狗の鎖(ドックズチェーン」
僕は腕に巻き付けていた鎖型の宝具を起動する
鎖は自動で動くとともに犬の形を形成
そのまま、虫女のもとに向かうとともに前肢?に巻き付き動きを止めた
「うらぁぁ!!」
雄叫びとともに金属音がガキン!と響き
それとともに虫女が吹き飛んだ
動きを止めた一瞬を見逃さないように
いつのまにか立ち上がったガガーランが大槌で殴っていた
「おい、聞いたかよ今の音、俺の鎧とメイド服が同じ堅さなんてありえねぇだろ・・・」
「どうする?」
二人が僕の前に出て戦闘に参加する
どうするんだ?僕も二人に合わせるようにイビルアイをみる
「高火力で一気に畳みかける」
イビルアイは言う
どうやら作戦は決まったらしい、二人が頷いたので
僕も頷く
まぁ僕に攻撃手段なんてないのだが、
「いくぞ!!」
イビルアイの号令とともに三人が虫女に接近する
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「不動金縛りの術」
「水晶短剣」
「不動金剛盾」
「雷鳥乱舞封」
「蟲殺し(ヴァーミンベイン)」
夜空の下、戦闘音ともに三人の声が木霊する
僕は巻き込まれないよう、外でみているだけだが
勝敗は喫したようだった