「う……ん……?」
「zzz……」
「……はぁ」
ワイバーン渓谷から脱出するために、子ワイバーン改め
「おまえ……明らかに逆鱗のような鱗が喉元にあるだろうに……」
「グゥォウ?」
「ああ、起きたか。おはよう
「ギャーッギャッギャッギャ!」
「朝から元気だな、おまえは……」
今なら無理やりどかせるが流石にもうチェンの腕力ではきつくなりはじめていた。このままだとその内寝ている間に押し潰されそうだという懸念と、無邪気に翼をバタつかせて起きたチェンを喜ぶ様子の
普段のチェンらしからぬ、諦観の境地に達した心境であった。
とりあえず、まずは興奮している
「ふぁ~。良く寝た……」
「おはよう、ラップランド」
「おはよう、フォリニック。君は朝早いんだね。他の二人はどうしたの?」
「ロドス本艦にいたころの習慣でね。スズランはまだ子供だから、下手にこの時間に起こして睡眠時間が短くならないようにしてるの。マドロックは付き添いね。起きてはいるけど、スズランが起きた時に周りに誰もいないのは寂しいから」
「ふぅん。随分と大事にされてるんだねぇ、あの子」
「大事というか、あの子の努力に応えてあげたいだけよ。昨日の授業の様子を見て分かるでしょう?」
「……まぁ分からない事もない、かな」
ところ変わってこちらはラップランドとフォリニック。
根を詰めた授業から一夜明けたラップランドはフォリニックと話しながら改めて自分がいるウォルモンド組の拠点を観察する。適当に藁の小屋を建てただけのラップランドのそれと比べれば雲泥の差であった。オベリスクの周辺はオアシスになっていて崖がそれを取り囲んでいる。その周辺の一番高いところに大型の箱型拠点が建っていた。拠点のほとんどは鉄で出来ている。普通ならこの焦土の地で藁かアドベ以外の建築を建てようものなら暑さが籠って住んでいられないのだが、それを一部居住区画のみアドベで覆う事で解決していた。外観を重視しない徹底的に合理化された建築は、焦土に来る前にExtinctionで議論の末に決められた設計である。Extinctionから建材を持ち込む事でウォルモンド組は現地における活動効率の大幅な向上を見せていた。
屋上の一部にはガラスの屋根がかかっていてテラス席のようになっている。そこでラップランドとフォリニックは朝の挨拶を交わしていた。
「それにしても凄い建築だね。僕の藁小屋とは全然違うよ」
「貴方は来たばかりだから仕方ないわよ。誰だって最初は藁小屋からスタートするもの。おかしい事なんて何も無いわ」
「ここを拠点に選んだのは山が近いからかい?」
「その通りよ。基本的に本格的な拠点は石の建築から始めるのが定石なんだけど、地域によっては鉄の方が採取効率がいいから鉄でやったっていいの」
「資材集めは臨機応変にってことなんだね」
「正直便利な拠点を求めるだけならキリが無いのよ。あれもこれもって全部詰め込んだら元となる素材集めと建築で1ヶ月以上は余裕でかかっちゃうわ。それは私達の本分じゃないから、なるべく作業は定量化していきたいのよ」
「本分っていうのは、手記集めやボス戦なんだよね。昨日たまたま洞窟を一つ、僕の拠点の近くで見つけたけど行くのかい?」
「勿論洞窟には挑むけど挑むのはそっちの方じゃないわ。実はこの山にもアーティファクトがある洞窟があるのよ。貴方に出会う前、最初にここを訪れた時に見つけたの。拠点の建設が完了して状況が落ち着き次第、入ろうって話になってたのよ。そろそろ行こうかっていう時に貴方が来たからちょうど良かったわ」
「へぇ。中々面白そうだね。どんなやつがいるか楽しみだなぁ」
ラップランドは拠点の背後の山を眺める。基本的に茶色ばかりの風景が多い焦土において全体が黒い山は非常に目立つ。そのあちらこちらに、あからさまに不自然な茶色の岩が全て同じ形で点在している。マドロック曰くあれらは全て"友"とのことだ。野生のロックエレメンタルは通常の生物には敵対せず、生存者にのみ敵意を向けてくるとのことでたまたま出会わなかった幸運にラップランドは感謝した。
「さて、問題になるのは貴方が騎乗する生物ね」
「僕のペットかい。ループス繋がりであの狼達をテイムしたんだけど、君らの見解じゃあの子達は弱いみたいだね」
「高いレベルのダイアウルフを揃えられるのなら弱くはないんだけど、貴方の場合は事情が違うようだし。何より重要なのは襲われないってことなのよね」
「襲われない?」
「野生の生物にも襲う・襲われるの関係があるのよ。生態カーストというのだけど、それはテイムした子達にも言える。私が乗ってるメガテリウムやスズランのテリジノサウルスは生態カースト上位の生物で、貴方のダイアウルフ達を全滅させたティラノサウルスぐらいじゃないと襲おうっていう生物はいないのよ。ただ探索するだけにしろ、一々敵と戦わなきゃいけないのと無視して歩き回れるのとじゃ後者の方がずっと楽でしょ?」
「あー。要するに僕の狼達はその生態カーストってのが高くないから一々襲われると。確かに色々と襲われた覚えはあるよ。全部蹴散らせばいいと思ってたからあんまり意識してなかったけどね」
「さしあたっては貴方の、襲われない生物のテイムね。いくつか候補があるけどどうする?」
さてどうしようか。そう二人が考え出した時、山から雄々しい咆哮が響いてきた。それはあの暴君にも似た猛々しさを併せ持った咆哮である。ラップランドは笑みを浮かべるとちょうど良いといつもの哄笑を上げた。
「タイミングが良すぎるね。君が昨日の授業で教えてくれたボス戦に有用な生物がいるみたいだよ」
「……そうみたいね。ボス戦に連れて行くからにはレベルは吟味したいところなのだけど」
「それは行ってみてからのお楽しみだよ。スズランが起きたら作戦を練ろうじゃないか」
「そうしましょう。……キブルの消費が重いのよね。背に腹は変えられないから仕方ないのだけど」
「おや、もしかして特級キブルってやつかい? 作るのが一番面倒って言ってたけど」
「Extinctionからの持ち込み分しかないのよ。面倒な分全てのキブルの代用になるから、生産体制さえ整えれば非常に使い勝手の良いキブルなんだけど、肝心の卵がね」
「……特級キブルの材料になる卵ってここだと誰なんだっけ?」
「今からテイムしに行くやつと、ここ特有の生物であるワイバーンね。……ワイバーンのテイムもしたいのよ。やる事が多すぎるわ……」
「みなさん! おはようございます!」
「みんな、おはよう」
「あら、おはよう。そう、もうこんな時間なのね」
「二人ともおはよう。早速だけど、今後の指針がある程度決まってね。少し僕のテイムに付き合ってくれるとありがたいな」
合流から翌日、既に馴染みつつあるラップランド。
ラップランドを加えたウォルモンド組一行は焦土北西の山で空から件の生物を探していた。
「こんなに大きな鳥に乗れるなんてねぇ。何から何まで準備が準備がいいな」
「アルゲンタヴィスはとりあえずテイムしておいて損の無い生物よ。重量が高いから輸送に困らないし、豊富なスタミナは長距離輸送に加えてこういう時間をかけた探索にも便利だわ。希少な生物でもないから高いレベルを探して優秀なステータスを持つ個体をテイムできるのも強みね」
「……スズラン? 君は高いところが苦手なのかい?」
「あ、あまり得意ではないですけど頑張ります!」
「スズラン、本当に無理そうならちゃんと言うのよ」
「で、マドロックはというと……」
ラップランド・フォリニック・スズラン達が見つめる先にいるマドロックは地上で相棒のロックエレメンタルと共に山に生息する野生のロックエレメンタルを次々と起こし探索の邪魔にならないよう先導していた。マドロックに不思議なシンパシーでも働いているのかなぜか敵対せず大人しくついていくロックエレメンタル達の行軍。先導するマドロックは両手を上に掲げて儀式めいた仕草をしておりその顔はご満悦といったところだった。
「……アルゲンタヴィスが三羽しかいないって聞いてさ、悪いなと思ったんだよね。でもまぁ結果オーライみたい」
「マドロックさん、とても楽しそうです」
「流石に凄いわ。一度敵対したら振り切る以外基本的に対処できない相手だから嬉しいんだけど……あれ何か呟いてないかしら。サルカズの言語?」
「沃土よ、巌よ、我が声に応えるならば行進せよ。果ての果てまで」
Extinctionから連れてきたアルゲンタヴィスはウォルモンド組三人分しかいない。当たり前と言えば当たり前なのだが、マドロックは焦土で仲間にしたロックエレメンタルを大変気に入っており山での探索の際いの一番にアルゲンタヴィスをラップランドに譲った。これには三人共苦笑するばかりである。
山全体を歩き回りながら進むマドロック率いるロックエレメンタルの行軍は、時間が進むごとにその数を増やしていく。まるで大名行列といったところだろうか。
「あれ最終的にどこへ行き着くんだろう」
「放っておいたら延々とやってそうね」
「巻き込まれる他の生き物がちょっと可哀想です……。何匹か踏まれちゃってます……」
「攻撃を食らうならともかく、踏まれたくらいじゃ死なないわよ。可哀想だけどあまり気にする事じゃないわ」
「ま、あれのおかげで探索は楽になりそうだし、さっさと探そうか」
ウォルモンド組三人の拠点の裏手、焦土北西から南西にかけてはワイバーン渓谷と中央を切り分けるかのように峻険な山岳地帯が広がっている。北西部は焦土において最も標高が高い地域である。
ここに生息する生物は肉食生物ばかりだ。比較的安定している東部と比べると、迂闊にここに踏み入るのは自殺行為に他ならない。アイランドでも見かけるユタラプトルやカルノタウルスを始めとして昏睡攻撃を仕掛けてくるプルモノスコルピウスや屍肉漁りに勤しむ野生のアルゲンタヴィスもいる。ワイバーンやロックエレメンタルを除けば頂点捕食者と言って過言ではないティラノサウルスも徘徊しており、文字通り焦土における難所として設定されたかのような地域であった。
「マドロックが最初に会った時に、ティラノサウルスにダイアウルフ達を殺されたそうだけどそのティラノサウルスには乗るつもりが無いのね?」
「恨みがあるわけじゃないんだけど、なんていうか趣味じゃないんだよね、あれ。それに君達だって割りと好きに乗り回してるみたいだし、そういうのは好みで選んじゃっていいのかなって」
「テリー君は、Extinctionで初めて一人でテイムした子なんです。そこからずっと愛着が湧いて一緒に過ごしてますね」
「私のメガテリウムは……正直に言うとテイムが楽だったのよね。建築した罠に嵌めて眠らせて、それで必要な餌がキブルじゃなくてハチミツだったから効率が良かっただけよ」
「その割には体毛のブラッシングとか結構しっかりやってない?」
「そりゃあ騎乗するんだもの。汚れてたり変なもの引っ付いてたりして臭かったら嫌だからやってるだけよ」
「でもフォリニック姉さんにお世話されてるメガテリウム、とっても気持ち良さそうですよ」
「わ、私の事は良いのよ。スズランだってテリジノサウルスの爪磨きとか丁寧にやってるじゃない。それと変わらないわ」
「ふふっ。爪はテリー君の一番の武器ですから。あの子は私にとってとても思い入れのある子だから、大事にしたいんです」
「……僕ももうちょっと狼達と触れ合っておけば良かったかなぁ」
「大丈夫ですよ。これからテイムする子を大事にしてあければいいんです」
「それもそうだね……。ん? あれじゃない?」
「あら、見つけたの?」
「ほら、君達が言ってた通りカルノタウルスってのが3体集まってるところに」
木々がほとんど生えていない剥き出しになった山には整備こそされていないが道がいくつか曲がりくねって存在している。そのいくつかの一つ、黒い岩壁に囲まれた開けたところでティラノサウルスに似た、しかし羽毛の生えた恐竜が3頭のカルノタウルスを従えて闊歩していた。
「いたね。あれが今回のターゲット────ユウティラヌスだ。レベルは……135。これにしよう」
「お供のカルノタウルスがちゃんといるわね。いなかった方が楽なんだけど、まぁ手筈通りにやりましょうか。咆哮には要注意よ」
カルノタウルスがまるで護衛のようにユウティラヌスの周囲を一定の範囲内で歩き回っている。フォリニックは岩壁の高くなっている位置から気付かれないよう注意しつつ愛用の特製薬刃弾をカルノタウルスに放った。異変に気付いたユウティラヌスが咆哮しカルノタウルスらに指示と共に活力が与えられる。カルノタウルスは高台にいる届きもしないフォリニックへ一直線に突撃していきその後ろを、ユウティラヌスは悠々と焦る様子もなく睥睨していた。
そんなユウティラヌスの背に軽い衝撃が走る。首だけ振り向いたユウティラヌスは直後、一秒にも満たない刹那の判断に体を反転させ衝撃の主へ噛みつかんとした。衝撃の主────空からユウティラヌスの背に降り立ったラップランドはケラケラ笑いながら後ろに跳躍しユウティラヌスのアギトを躱す。
「いやぁ、早い早い。僕じゃなかったら噛み殺されてたよ。そんな君の実力を見込んで是非ともご足労願いたいんだけど、よろしいかな?」
ユウティラヌスは天高く咆哮した。ラップランドの言葉に返事をするわけでもない咆哮は、フォリニックに引き寄せられたカルノタウルス達を引き戻す意味を持っている。
だが────。
「行かせません!」
渺然たる狐火。
フォリニックの陰に隠れていたスズランが頃合いを見計らって極東由来の独特なアーツを使用する。スズランのアーツ範囲内にいたカルノタウルス達は一斉に動きを絡めとられ思うように動けない。カルノタウルス達の様子に憤慨するかのような息を漏らしたユウティラヌスは下手人の一人であるラップランドへ追い縋る。
「さぁ鬼ごっこを始めよう! 君が鬼で、僕を捕まえられたら君の勝ちだよ! 君にできるかな?」
ユウティラヌスを煽りつつ誘導するラップランド。坂を跳躍するように駆け下りて山を降っていく。道中生身で駆け抜けていくラップランドを見て山に生息する多くの肉食生物が襲いかかろうとしたが後からやってくるユウティラヌスの咆哮に全て蹴散らされていった。焦土においてティラノサウルスやワイバーンと同格の上位捕食者に手を出そうとする不届き者などいないのだ。
「ユウティラヌスとカルノタウルスの分断、成功ね。後はラップランドが上手くやってくれると良いのだけど」
「フォリニック姉さん、あのカルノタウルスさん達の事で提案があるんですけど……」
「どうしたの? スズラン」
「私のテリー君とフォリニック姉さんのメガテリウムで倒せるとは思うんですけど、出来れば倒すんじゃなくて……」
「……なるほど、良く見ればレベルは悪くはないわね。スズランの提案も悪くないかも」
「いいんですか? 一応アイテムや餌は持ってきてあります」
「いいわよ、これくらい。戦力が増えるに越した事はないものね」
「ほら頑張れ? もうちょっとで僕に追い付けるかもしれないよ?」
相変わらず煽るラップランド。言葉が通じないと分かっていても口に出てしまうのはそういう
坂を高速で降るラップランドだが道中変則的な機動をしているとはいえ、体の大きいユウティラヌスの方が一歩に踏み出せる距離は多い。必然的にラップランドとの差は徐々に縮まっていく。
「さぁ、あと少し!」
ほぼ山を下山しきり青のオベリスク付近へ近づきつつある一人と一頭。お互いの距離はもう10mも無い。
ウォルモンド組の拠点へ向かっていくラップランド。ユウティラヌスの牙がラップランドへ届かんとしたその直後、一瞬の浮遊感と共にユウティラヌスの視界は石で出来た人工の壁に閉ざされた。無我夢中で追いかけていたユウティラヌスだったが四方を石の建築物で囲まれている。建築物には誘導した生物を中に落とすための登り坂と、人一人が通れるだけの隙間が空いておりラップランドはそこから脱出していた。
「建築には拠点を建てるだけじゃなく、こういう使い方もある。勉強になるね」
「綺麗にテイム用トラップにハマってくれたわね。後は麻酔矢を撃ち込むだけよ」
「おやフォリニック。思ったより早い到着だね。スズランはどうしたんだい?」
「あの子、ユウティラヌスの取り巻きだったカルノタウルスをテイムしたいって言い出してね。レベルも130、140、145とかなり良い方だったから任せたの。護衛に私のメガテリウムも残してあるわ」
「そりゃまた博愛主義者なことで」
そこから無事にユウティラヌスを眠らせた二人。およそ1時間かかるテイム時間の間にカルノタウルス達のテイムも済ませ、今まで拠点周辺の地理しか知らないラップランドのためにアルゲンタヴィスで東部を中心とする探索時間すら設けられた。ラップランドは以前の藁で出来た小屋に戻り唯一生き残った自身のトビネズミを確保する事も出来た。
ユウティラヌスのテイムが終わったのはマドロックが帰ってきたのとほぼ同時だった。マドロックは新たに増えた仲間の新戦力に未だに連れ歩いていたロックエレメンタル達と独特な動きで褒め称えた。
「歓迎する。王者の咆哮は、私達の良き助けになってくれるだろう」
「……ありがとう。それはそれとして後ろの"友達"はどうするんだい。拠点の周りを囲うように集まってるけど本当に大丈夫なんだよね?」
「問題無い。彼らは私の声に応えてくれる。……大丈夫、今は私のために集まってくれているだけだ。離れるように言えば聞いてくれる」
「凄い数です。これ何体いるんですか……?」
「最初は数えていたのだが、15を越えた辺りで正確な数を把握するのが難しくなった。数にあまり大きな意味は無いと考えている」
「………………えっと、とりあえず離れてもらうように言ってもらえると助かるわ。ほら、あんまり大きな岩ばかりあるとぶつかるし、ね?」
「フォリニック、今考えるのを放棄したね」
「了解した。もし彼らの力が必要になったら言ってくれ。彼らはいつでも力を貸してくれる。沃土が身を守る壁となり、巌は敵を砕く拳となるだろう」
マドロックが一声号令をかければ集まっていたロックエレメンタル達が離れていく。散り散りに動くかと思えばそれらはオアシスを挟んだ拠点の対岸に集まりだした。そして擬態時の岩石の姿になりそれらが重なりあう事で、新たな地形が形成されていく。
「え、何やってるのこれ……」
「連綿たる山々となれ」
「あの、マドロック?」
「ああ、邪魔になってしまうしかといって下手に離れられても探すのに時間がかかるから、一ヶ所に集まってもらったんだ。フォリニック、これで良いのだろう?」
「………………えぇ。しばらくそのままにしていて。……ちょっと部屋で休んでくるわ」
人智を越えたロックエレメンタル達の挙動に流石のフォリニックも頭を抱えざるを得なかったようだ。自室に戻ったフォリニックは思わずベッドで横になり熟考する。
基本的に如何なる生物であれ、テイムの手順を踏まなければ仲間にならないはずのARKの生物達。ロックエレメンタルが生物かというと微妙なのだが、土や岩にマドロック自身の意思を介入させる古いサルカズ巫術がARKシステムに何らかの影響を及ぼしているのは間違いない。
フォリニックはかつて、Extinctionでケルシーとマドロックが再会した際自身が聞いた事の無い言語、おそらく古代サルカズ語で会話している瞬間を目撃している。会話と言っても一言二言の挨拶のような物でその後は普通に会話をしていたのだが、そもそも平然と挨拶として自然にサルカズ語らしき言語を話せるケルシーをフォリニックは気になってしまった。考えてみれば医術における師匠だというのにケルシーがどのような人生を過ごしてきたのかフォリニックは何も知らないのだ。
「サルカズ……。テラで最も古い種族と考えていいのかしら……」
気付かぬ内に疲労が溜まっていたのかそのままベッドで寝るフォリニック。寝る直前に彼女の脳裏に浮かんだのはどうケルシーに報告するかということだった。
外では親睦のつもりなのかラップランドがテイムしたユウティラヌスに騎乗し咆哮をあげさせ、マドロックとスズランが優れたアーツ操作でキラキラと綺麗な光を咆哮するユウティラヌスとラップランドを楽しげに彩る。ちょうど日が暮れる時間帯とあってかなり美しく映えているようだ。
思考の沼に沈むフォリニックとは対称的に楽しげな三人なのであった。
登場した古生物紹介
ユウティラヌス
中国で発見された羽毛を持つティラノサウルスの仲間。羽毛を持った恐竜としてはこれまでに発見された中で最大の体躯を誇り全長は8mほどと推定されている
ARKではアイランドから登場。Aberrationには出現しない。出現する全マップを通して主に山岳地域など標高の高いところに生息している。出現する際必ず複数のカルノタウルスと共に出現する。野生は戦闘の際、普通の噛みつき攻撃とは別に咆哮を行うのだがこの咆哮には味方となるカルノタウルスに対して攻撃力25%up+被ダメ20%ダウン、敵対する生物に対して逃走効果+被ダメ50%UP与ダメ50%DOWNという極めて危険な効果を持つ。逃走効果に関してはONE PIECEの覇王色の覇気みたいなものだと思っていい。野生の咆哮を完全に無力化できるのはティラノサウルスやブロントサウルスなどといったユウティラヌスに対して巨体を持った生物達になる
テイム後もその咆哮が味方してくれる。デバフ咆哮とバフ咆哮を使い分ける形になる。特にバフ咆哮が優秀で範囲内の味方生物のDPSを底上げしてくれる能力はティラノサウルスなどと並びボス戦で連れていく生物の筆頭に数えられる。またバフ咆哮には気絶値を回復してくれる効果がある。いくつかのボスは味方生物を眠らせる事で無力化を図ってくる相手もいてそのようなボスの攻撃の対策にもなる。ボス戦を有利に進めるのに特にオススメしたい生物である