アークナイツグローバル3.5周年、登臨意、皆さんは楽しめていますでしょうか。私めは大陸の異格エイヤに心を撃ち抜かれております。そうだね、感染者なんだからそりゃ症状進むよね
「見つからないねぇ」
「こればかりはしかたない」
「少し休みましょう。闇雲に探しても効率が悪いわ」
「そうですね、こういう探し物って慌てて探している時よりもふとした時に見つかる事の方が多いと思います」
ユウティラヌスのテイムより既に二日。
事前に見つけてある洞窟を攻略し残すところ後一つとなった洞窟を探して四人は焦土の地を奔走していた。
この二日の間、洞窟の攻略に勤しみアーティファクトを獲る事に成功している。狭い場所での戦闘、ラップランドが率先して前線に出向き洞窟特有の虫生物にはフォリニックのメガテリウムがバグキラーを発揮するおかげで障害になりえない。ロックエレメンタルの亜種、テイムできないラブルゴーレムが出てくる事もあったがマドロックが対話する事で無力化に成功していた。
唯一、今の彼女達を悩ませているのは最後の洞窟の入り口だった。洞窟そのものが見つからなければ挑みようが無い。
「よくよく考えてみればノーヒントで洞窟を探せって中々辛いところだよね。最初の二つは偶然見つかったようなものかな」
「一応集めた手記からも手がかりが無いか調べてるけど、それっぽい記述が無いのよね」
四人は現在、焦土南東に広がる廃墟郡にいる。岩の荒れ地が広がる内地とは違い外周は尽きる事の無い砂漠の景色がどこまでも広がっているが、完全な殺風景という訳でもない。所々オアシスが点在しているし、かつての先駆者の遺跡なのか朽ちた建造物が建てられているところもある。四人が今いるのはそうした廃墟郡の中でも最も大規模な地域だった。
「ただの探索ならアルゲンタヴィスに乗れるんだけど探しているのは洞窟の入り口なんだよねぇ……」
「友人達にも手伝ってもらったが、芳しい成果はない。少し甘く見ていたようだ」
「ロックエレメンタルを使った人(?)海戦術でも見つからないとなるといよいよお手上げってところなのよね。正直マドロックの"お友達"に頼るのは最終手段だと思ってたんだけど……。スズラン、どうしたの?」
「いえ、さっきから何だかここで違和感がするというか……。ここの廃墟にしたってなぜか生き物が極端に少ないしどうしてか落ち着けないんです」
そうやってスズランが辺りを見回した時だった。
地鳴りが砂の中から突如として響いてくる。遅れて周囲の地形も大きく震えている。
四人は言葉を交わす事もなく目配せをするだけで即座に戦闘態勢を整える。四人が今いるのは幾つかある廃墟の屋上で垂直な建造物に並みの生物では登ってこれないはずだった。
だが地鳴りの主はその地形すら無視した。地鳴りがより一層大きくなったかと思えば突如として四人の足場が崩れ去る。突然の落下にフォリニックとスズランはパニックを起こしかけたが歴戦の戦士であるマドロックとラップランドがそれぞれを抱き抱える事で無事に着地する事が出来た。
「……生物が極端に少ない理由ってこういうことだろうね」
「なんて、厄介な……」
「赤いオーラを纏っているな」
「これ逃げられませんよね……」
崩れる現場から急いで距離を取る四人。
崩壊する建造物から姿を現した生物は感情の無い複眼で彼女達を睥睨した。
時は少し遡り場所はワイバーン渓谷。
ワイバーンの子育てに励むチェンだが終わりが近付いていた。しかし彼女の表情に楽観的な色は見られない。原因は大きくなった
(
もう成体と変わらない大きさに成長した
成長するに従って調教を施したチェンだが調教の終わりには必ず甘えさせるようになっていた。無理に突き放したり冷たい態度を取ると頑固なのかいつまでも鳴き続ける。むしろ調教のご褒美に甘えさせ誉めてやる方が物覚えが良いので割りと自由にさせていた。
だがこれが良くなかった。今日の調教の終わり際、いつものように可愛ろうとすると少し勢いをつけ過ぎたのだろうか
幼い頃の感覚が抜けきらず意図しない形とはいえ母親であるチェンを傷付けた事に大きなショックを受けた
(ウェイ……は論外としてフミヅキさんならこういう時どうしたんだろうな)
チェンから一方的に近付いても
渓谷の北側の突き当たり、溶岩の滝が流れている場所まで来たチェン。チェンが拠点にしている
(あの子が元気になってくれれば、こことおさらばだ。それにしても今日は静かだな……!?)
チェンとしては珍しく、気が抜けていたのだろう。もう既に知り尽くしたと思っている地形。散々眠らせてきた野生のワイバーン。そして自身の持つ実力。
いつもならワイバーンが飛び交いたまに落ちてくる他の生物を狙って野生のワイバーンのブレスが放たれるような混沌とした地域が何の理由もなく静かになる事など有り得ないのだ。
「後ろかっ!?」
急いで振り向いたチェン。確かにそこには野生のファイアワイバーンがチェンを捕捉し飛んでいる。直前まで気が付かなかったチェンは戦闘態勢の整えようとして────即座にその場から飛び退き横合いから放たれた一条の雷が先ほどまでチェンがいた場所を通りすぎるのを横目で確認する。勘で次の襲撃を予感したチェンはしかしそれよりも早くチェンの向かう先に緑色の毒ガスが充満している事に一瞬足を止めてしまった。
(しまっ────)
ガブリ。
久しく忘れていた赤い鉄錆びの臭い。
音も無く、肉薄してきたアギト。
痛みと衝撃で、衝動的に動いたチェンは少し遅れて状況を把握した。
(右腕を、持っていかれたか)
チェンの右肩が大きく抉れている。指先は多少動かせるが肩が全く上がらない。滴る流血は
三種のワイバーンとは別にもう一頭口から鮮血を垂らすワイバーンがいる。その姿はファイアワイバーンとよく似ているものの一回り図体は大きく体には赤いオーラを纏っていた。
(なるほど、ワイバーンの
チェンの知るワイバーンならこういう戦術的な行動を行わない。
(厄介だな。このまま巣に逃げ帰るわけにもいかない)
状況は最悪と言っていい。利き腕を潰され逃げるにも四頭ものワイバーンに確実に捕捉されている現状を覆す手段が見つからない。チラッと覗き見程度に望遠鏡で確認した限りでは各ワイバーンともレベル100を優に超えていた。レベルが高ければステータスが高いのも当然で、眠らせるのに必要な麻酔矢もそれ相応に必要になる。チェンの手持ちの麻酔矢では全く足りていなかった。
(いっそ死に戻るか)
死に戻り。或いはリスポーンシステム。死ぬと自分が作ったベッドから復活できるシステム。
ケルシーからARK全体の概要をチェンが聞かされた時に最も驚いたのがこのシステムである。死とは一度きり、という当然の概念に真っ向から歯向かうこのシステムはARKが作られた世界である事を如実に示していた。ケルシーがどうやってリスポーンシステムを把握したのかは知らないが、ロドスのメンバーも知ってはいても誰も試したがらない。当たり前である。
チェンとて進んで死にたくはない。潜り抜けた数々の修羅場、死を覚悟して臨んではいたが覚悟するのと死ぬ気でいるのは訳が違う。ベッドから復活した後は自分の死体が消えているなんてことはなく肉食生物が食べている事もあるが、場合によっては死ぬ前まで持っていたアイテムを取り戻すために自分の死体を漁る事になる。精神と倫理に対して人によってはあまりに冒涜的だと捉えるだろう。
(仕方がないが、死ぬのならあの四頭から見つからない位置でなければならない)
敵性生物に殺された場合、場合によっては自分を殺した生物と鉢合わせる可能性が高い。そしてアイテムが無いまま不利な状況で襲われると前回の焼き直しになり結果として死のループが発生しかねない。単に死ぬだけでは余計な労力を増やしてしまう。
チェンは今、壁を背にしつつ絶えず移動を繰り返す事で何とか攻撃は避けている。彼らの棲み家である渓谷だが複数のワイバーンが同じ場所で固まって飛ぶには狭い。それを理解しているのか、リーダー格の
だがジリ貧だった。先ほどのように背後を取られる事だけは避けた形だが反撃の余地が無い以上ただの延命に過ぎないのだ。
(出来れば溶岩に落ちる事だけは避けたいがっ……!)
何度目かになるか分からない回避。しかしここまでの無理が祟ったか、チェンは一瞬体勢を崩してしまう。その隙を逃すまいと
「舐めるなよ、この私を!」
炎を割いた赤霄はそのまま
(浅い、だがこれで良い!)
無理な体勢で抜刀したのが良くなかったのか赤霄は
逆立つ鱗、つまり逆鱗に触れた訳だがその慣用句に間違いは無いようだ。致命傷に至らないとはいえ大きな外傷を負った
「はぁ……はぁ……。何とか、奴らの視界からは外れたか」
戦場になっていた溶岩の滝付近、そこから少し離れたところにチェンはいた。左手で自身の体を抱くように右の肩口を抑えている。
チェンからすれば一撃入れた事よりも、親玉である
(血を流し過ぎている。このまま、隠れながら、少しずつ巣の方へ近付こう。リスポーンする時、なるべく死体の位置が近い方が楽……)
少なくとも、歩けるつもりでいたはずのチェン。だが気概に反して体は言うことを聞かず灼熱の大地に横たわる。神速の歩法、それだけでも今のチェンの体力を消費しきるには十分な技だった。
(不味い、な。思考が、定まらない。死ぬのなら、もう少し、ワイバーン達から、離れた、位置でない、と)
周囲の暑さに対して徐々に冷えていく自分の体。チェンは柄にもなく、死ぬ瞬間を体験することに腐れ縁とも呼べる
ふと頭だけを動かし何とか空を見る。遠く離れた空には種類も分からないワイバーンの影が飛んでいた。
(あれに気付かれたら、意識があるまま、喰われる事になるんだろうな)
そんなチェンの思いに応えるかのようにワイバーンの影はチェンへ近付いてくる。もうチェンに目を開く余力すらない。静かにその時を待つ。
やがて地面にそれが降り立つ音がする。いずれとも知れぬワイバーンは、チェンの前で立ち尽くしていた。
(なんだ……襲ってこない……のか?)
チェンは薄く目を開けるが逆光でワイバーンが影になってしまっていて判別がつかない。
ピシャリと水がチェンの体にかけられた。よだれを垂らしたワイバーンの物かと思えば違う。よく見ればワイバーンが何かを咥えているのが分かる。カバンと水が入った皮袋だろうか。
そこまで理解したチェンは違和感に気付く。痛みが無い。先ほどまで死の淵にいたというのに意識がはっきりしている。
(違う。さっきかけられたのはよだれじゃない。これは────私が作ったメディカルブリューだ)
メディカルブリュー。赤いベリーを麻酔薬と煮込む事で作られる即効性のある外傷薬。緊急時に手っ取り早く傷を治すのに使われる生存者のアイテム。チェンはこれを日々活動する中で少ない水を何とかやりくりしながらもしものために備えていた。そんな大事なアイテムをチェン以外で知っている者。
遠くからワイバーンの咆哮が響いてくる。遅れて先ほどチェンを襲った四頭のワイバーン達がやってきた。横たわるをチェンを今度こそはと厳しい目で
1分にも満たない時間で瞬く間に三頭の敵ワイバーンを無力化した黒いワイバーンをチェンは誰よりも知っていた。この渓谷に降り立ってからずっと育ててきた甘えん坊の可愛い我が子。
「おまえ、
「ギャオオオオオオオオッッッッッッ!!!」
黒いワイバーン────
(右腕の感覚が戻った。今ならいける……!)
「
「オオオン!」
一瞬で配下を殺された
メディカルブリューにより回復したチェンはいつもの二刀流の構えで
「オオオオッッッッッッ!!!」
「
激しい空中戦が始まる。
(まだ大人になったばかりの
「
空中で取っ組み合っていた二頭だが
大陽が逆光となり
────赤霄・絶影
絶影の剣、棄つるに当たりて即ち棄つ。
先ほどは逃げるのに使った神速の歩法。今度は本来の形で振るわれ
「気付けば、随分遠くまで来ていたな」
「私の血の臭いを覚えていてくれたんだろう? ありがとう、
「ギュオォン!」
「ハハッ、甘えん坊は相変わらずだな」
(男子三日会わざれば刮目して見よ、だったか。三日どころかたった数時間で大きく成長したよ、フミヅキさん)
極東の慣用句を思いだし恩人を思い浮かべるチェン。よくよく考えてみればミルクを取りに出かける以外で
「グォウゥ……」
「どうした? 何か気になる物でもあったか?」
「オォン」
「あれは……」
高高度を飛ぶ特性からか
「こいつ、随分とタフだね!」
「それはそうよ! 通常のデスワームですら厄介な相手だっていうのに
「……防御はともかく、火力が足りていない。友人達も近くにいない」
「ごめんなさい、アーツが保たなくてそろそろ切れそうです!」
「リサ、貴方は無理しなくていいから休みなさい!」
廃墟郡での攻防。
四人を襲ったのは焦土外周部の砂漠地域に生息するデスワームであった。主に砂の中に潜み獲物が近くを通れば振動で感知してそれを襲う巨大な肉食性の芋虫。その
「マドロックのロックエレメンタルが重装を担ってくれているけれど、それがいつまで続くか分からないわ」
「いやぁ、僕達の弱点が露呈したねぇ。雑魚戦は得意だけど、まだボス戦に行かないからってこういう"強い一"に対する強力な戦力がいないのが辛いところだよね」
軽口を叩きながらもラップランドはユウティラヌスに騎乗し味方全体を助けるためのバフ咆哮を上げさせ続けている。ラップランドが得意としている戦いは主に対人戦、もしくは常識に収まる範囲内の大きさの生物である。朽ちているとはいえ建物を容易に崩す巨体芋虫が相手では土俵が違い過ぎるのだ。
「おや、空から何か飛んで来ないかい?」
「あれは……ワイバーン!? こんな時に……!」
「待って下さい。背に誰か乗っていませんか?」
前線でデスワームと取っ組み合っているロックエレメンタルとそれに乗るマドロック以外が空から飛来するワイバーンに気付く。ワイバーンに対して迎撃の構えを見せたフォリニックだがスズランの指摘でそれが普通のワイバーンでない事に気付けた。
ワイバーンは四人に一切目も暮れず、デスワームの後ろから圧倒的火力を吐き付ける。そうして、デスワームが炎にのたうち回っていると直後にはバラバラに切り裂かれ燃えた肉片が辺りに散らばるだけとなった。
「ヒュウ♪ ︎流石、近衛局の隊長さんだね。あ、今は辞めてたんだっけ」
「貴方は……龍門のチェンさん!? え、ワイバーンをテイムしたの……?」
「ドクターが言っていた、龍門の龍人か」
「ええっと、チェンさん、助けてくれてありがとうございます」
「無事か? ……本当はもっと早くに君達と合流するつもりだったんだがトラブルが重なってな」
当初の目的であるウォルモンド組との合流をようやく果たしたチェン。偶然か彼女達が嘆いていた火力不足を補う大役にピッタリと当てはまる。
「なるほど、洞窟を探していたのか。悪いが私はずっとワイバーンのいる渓谷にいて、全く探索できていないんだ」
「あの……崩れた建物の中に地下へ続く入り口のような物があるんですけどもしかしてこれって……」
「道理で、友人達を総動員しても見つからないわけか」
「アッハハハハハッ! 1日に幾つも起こりすぎだよ。退屈しなくてサイッコーだね!」
「チェンさん、救援ありがとうございます。一度拠点に戻って洞窟攻略の準備をしたいのですが一緒に来て頂けますか?」
「勿論だ。君達の旅路に、是非私を加えさせてくれ」
焦土の生存者一行は四人から五人に。
最後の洞窟を攻略出来れば次はいよいよボス戦である。
焦土での日々もいよいよ終わりが近付いていた。
登場した生物紹介
デスワーム
焦土外周の砂漠地帯に生息する巨大な芋虫。おそらく元ネタなっているのはモンゴル・ゴビ砂漠に生息すると噂されるUMAモンゴリアン・デスワーム(現地語名オルゴイ・ホルホイ)と思われる
テイム不可の完全な敵性生物。普段は砂の中に隠れていて姿を見せず付近をサバイバーかテイム生物が通ると砂の中から地響きと砂が盛り上がるような描写と共に近付いてきて姿を見せる。戦闘能力が非常に高く、ティラノサウルスやワイバーンなどの大型生物でないと討伐は難しい。ロックエレメンタル同様石の建築にダメージを通す事が出来るので焦土外周で拠点を建てる際は高い位置に金属建築とアドベ建築を工夫して混ぜる必要ある。必ず地面から現れる関係上飛行生物さえいれば逃走自体は容易。基本的に厄介な敵キャラという位置付けだがカマキリのテイムには倒すとドロップするデスワームの角が必要。高レベルのカマキリはテイムに複数のデスワームの角を要求するのでカマキリをテイムしたいなら確実に倒す必要がある。
α種が存在しておりより強力な怪物に仕上がっている。強大な分倒した際の見返りも良くなっており一匹から一つしか取れないデスワームの角がα種だと一度に20個もドロップする