今回の二人のお仕事:金属の鉱石の採取と輸送
Case1:ペンギン急便
「…………」
一人の女が雪山の山頂に佇んでいる。
年の頃二十歳を越えた辺りだろうか。煙草を口に、紫煙を燻らせながら分厚いコートの中に手を入れゆったりとしていた。彼女の目の前には不可思議な丸い金属の土台とその上にこれまた不可思議な巨大な黒い柱が青い光を発して宙に浮いている。
女の姿もまた、ただの人間ではなかった。美しい汚れ一つ無い黒髪の頭には獣の耳がツンと立っている。腰を見ればさらりとした尻尾が流麗に垂れていた。
ふと、女が後ろを振り返る。遅れて激しく雪を踏みしめる音が聞こえてきた。荒い息の音も聞こえる。程なくして、山頂へ駆け上がる斜面から狼の群れがやってきた。
女へ駆け寄る五頭の狼達。ただの狼ではない。大きさからいって2mは優に越えている。これだけの巨躯を前に常人であれば一頭でも怖じ気づきそうなものを、女は怯むどころか慈しむように彼らの顔を撫でていた。
「おーいテキサス~!そっちは集まった~!?」
「エクシアか。仕事は終わらせてある」
「残念だけど追加発注だってさ。ここの鉱石掘り尽くしちゃってるから別のとこ行かないといけないよ」
「分かった。すぐに集める」
上空からまた別の女の声。下にいる寡黙な黒髪の女────テキサスとは違い溌剌とした様子の赤髪の彼女────エクシアは巨大な鳥の背に跨がりながら彼女らが所属するコミニュティの仕事の話を振っていた。彼女の頭上にある光輪と翼が随分と眩しいのか、目を細めながらテキサスはぶっきらぼうに返事をする。
五頭いる内の一頭の背に跨がったテキサスは行くぞ、と一声かけて狼達を走らせる。山の斜面を凄まじい勢いで降っていく彼らに様々な生物が襲いかかったが彼らの敵ではなかった。雄々しい狼の咆哮と共に、群がる雑魚が蹴散らされていく。
一直線に麓まで駆け降りたテキサスとその下僕達を出迎えたのは緑溢れる草原とそこを縄張りとする巨大な肉食竜だった。不躾に己の領域を侵された暴君はその名に違わぬ咆哮を狼達へ向ける。狼達もこれまで屠ってきた雑魚と同じようにいかないのが分かっているのか、距離を離して囲むように身を構える。
にじり寄る暴君。だが群れの長であるテキサスに焦りは無かった。特徴的な源石剣こそ抜刀しているものの、向ける事なくだらんと下げていてゆっくりと跨がる狼に後退を促している。テキサス達に戦意が無い違和感に気付くこともなく、暴君はそのアギトで以て彼らを噛み千切らんと襲いかかった。
「ロックンロール!」
大口を開けた暴君が喰らったのは血肉ではなく弾丸。
上空からエクシアが愛用の守護銃を撃ち込み暴君を大きく怯ませる。それを合図にテキサス率いる狼達も、自慢の牙で喰らいつく。不意を突かれた暴君はあっという間にただの獲物に成り下がりその巨体を肉片へ変えていった。
「ここ、放っておくと度々こういうの湧くよね」
「もう片付けた。さっさと行こう」
「せっかちだなぁ。もうちょっと見て回らない?
「仕事を終わらせた方がゆっくり見てられる。遅れていい理由にはならない」
「真面目だなぁ、テキサスは」
ペンギン急便。テラではないこの世界でも彼女達の業務は変わらないのである。
登場した古生物紹介
ダイアウルフ
北米南部と南米北部の草原や森林などに生息していたとされるオオカミの仲間。ARK内だとやたらでかいが現実で発見された化石に2m越えるような巨体を持ったやつはいない。こいつに限らず発見された化石などに準拠しない大きさを持ったARK生物は多い
ARKに登場する多くの生物は生物ごとに合ったサドルを作成して装備させないとせっかくテイムしても乗ることが出来ないがこいつにはサドル無くても乗ることができる。が、代わりにサドルは生物の鎧としても機能するのでサドルを付けられないダイアウルフはその点で他の生物より打たれ弱いという欠点がある。群れボーナスの概念があり一定範囲内にダイアウルフを複数集めると数に応じて群れ全体の攻撃力が上昇する。上限は5体
アルゲンタヴィス
部分的な化石しか見つかっていないが恐らく発見された中で飛行能力を持つとされる鳥類では史上二番目に巨大な猛禽類。翼開長6.5mと推定されている
ARK内では飛行する古生物としてお馴染みのプテラノドンより遅い飛行速度だが代わりにスタミナや重量などのステータスが高い。プテラノドンよりずっと多くの物資を持って輸送できるため終盤までお世話になるサバイバーは多い。また一部の他の生物を嘴や足で掴んで運ぶこともできる。何から何まで空路輸送に向いた空の運び屋
ティラノサウルス
恐竜好きで無くとも誰もが知る恐竜界のスーパースター。この話では噛ませ扱いになってしまった。
今も尚学会や研究機関などで身体能力に議論が重ねられているがARKに登場するこいつは映画「ジュラシック・ワールド」を意識したのかあらゆる全てのステータスが高い。野生のこいつに生身で狙われると単身では助かる術がほぼ無くなる。地形に嵌めたり大きい獲物を優先して襲うので他の生物にヘイトを押し付けたりすれば逃げられる。テイム後はそれまでの戦闘生物を置き去りにできる戦闘能力を誇りこれより格上はギガノトサウルスやティタノサウルス、MAP各種のボス生物などのごく僅かな生物しかいない。参加できるあらゆる戦闘コンテンツではクリア候補の筆頭に上がるのでARKを始めてみたらまずはこいつのテイムを目標に進めてみよう