ありふれぬ悪魔狩人は世界最強 アフター   作:クラウディ

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書いてみたかったんだ……!


プロローグ Devil May Cry

 世界の最初の姿、混沌が切り分けられて、三つの世界が生まれ、気の遠くなるような時間が過ぎた時。

 三つの世界の内の一つ、【魔界】を統べる者である〝魔帝ムンドゥス〟はある時、こう言った。

 

「元々一つだった世界、この私が統べずにどうする」

 

 そうして始まったのは【人間界】への侵略。

 ムンドゥスは悪魔を生み出す力があり、その力によって生み出された無数の悪魔によって、人間達はなすすべなくやられていきました。

 

 人々が悪魔の脅威に怯え、勇気ある者は次々と死んでいき、残された人々はただ祈るだけでした。

 

 しかし、今からおよそ二千年前。

 人々の祈りが通じたのか、ある一人の悪魔が立ち上がったのです。

 

 

――その者の名は、スパーダ

 

――伝説の魔剣士

 

 

 魔帝の右腕とも言われたスパーダの力は強大で、たった一人で魔界の軍勢に立ち向かい、ねじ伏せ、両断し、遂にはムンドゥスを封印することに成功しました。

 

 魔帝が封印された後、彼は自身の力を使い、人間界と魔界を切り離し、そして姿を消しました。

 

 人間界に平和がもたらされ、人間達はスパーダを英雄として讃えました。

 

 長い時間が過ぎ、スパーダのことを知る人も少なくなってしまいましたが、それでも、おとぎ話として語り継がれている。

 

 そんな彼は、人間の女性――エヴァとの間に双子を授かりました。

 

 兄を〝バージル〟弟を〝ダンテ〟と名付けて。

 

 平和な人間界で、幸せな家庭を築いていくスパーダ。

 

 

 しかし、彼は突如として家族の前から姿を消しました。

 

 

 不安そうにする子供たちを、安心させようとするエヴァ。

 また家族四人で仲良く食卓を囲める日を願う、バージルとダンテ。

 

 

 ですが、その願いはかないませんでした。

 

 

 悪魔たちがエヴァたちを襲ったのです。

 

 偉大な父の血を継いでいるとはいえ、バージルもダンテもまだ子供。

 

 バージルは一人でいたところを襲われ、ダンテは悪魔たちに見つからないようにとエヴァに隠され、その時に名前を変えて生きていくようにと言われました。

 

 それからというもの、

 バージルは力を求め、ダンテは〝トニー・レッドグレイヴ〟と名を変えて生きていました。

 

 しかし、力にとらわれたバージルは弟すらも利用して力を手に入れようとしました。

 

 父親スパーダから受け継いだ魔剣「閻魔刀(ヤマト)」を手にし、スパーダが封印した力さえも手に入れようとします。

 

 しかし、そのために魔界の封印の一部が解き放たれてしまうもものでした。

 

「俺達がスパーダの息子なら、受け継ぐべきは力なんかじゃない。もっと大切な──誇り高き魂だ! その魂が叫んでる。あんたを止めろってな!」

「悪いが俺の魂はこう言っている──もっと力を(I need more power)!」

 

 そして、ダンテとバージルは2人の望むものが異なり、雌雄を決することとなります。

 激しくぶつかり合う剣戟。

 相殺する魔力。

 実力は拮抗していました。

 

 しかし、勝敗は突然決まります。

 勝ったのは誇り高き魂――ダンテでした。

 

「これは誰にも渡さない。これは俺の物だ。スパーダの真の後継者が持つべき物──」

 

 敗れたバージルは母の形見であるアミュレットと共に魔界へと落ちていこうとしています

 

「お前は行け。魔界に飲み込まれたくはあるまい。俺はここでいい。親父の故郷の──この場所が──」

 

 ダンテが手を伸ばしたものの、それをバージルは拒んで魔界の狭間へと堕ちていきました。

 

 ダンテは地上に戻り、涙を流す。

 そんなダンテに裏で暗躍していたアーカムと言う男に復讐しようとしていた〝レディ〟という女性が問いかけます。

 

「泣いているの?」

悪魔は泣かない(Devil may not cry)

 

 この一件の後にダンテは「Devil may cry」という便利屋を開きます。

 

 便利屋として働く裏で悪魔を狩り、母の敵ムンドゥスの情報を集め始めました。

 

 

――――――――――――

 

 

「ん?」

 

 もう夜も深まり、住宅の明かりも消える頃。

 

 復活をしようとした母の仇である魔帝ムンドゥスを再び封印し、父であるスパーダを超えたと言われる男〝ダンテ〟はいつものように害虫駆除(悪魔狩り)を行った帰りに、誰かの泣き声を聞きました。

 

「……赤ん坊か」

 

 ダンテはその常人離れした聴力で声の主が赤ん坊であることを理解します。

 特にやることもなくなったとはいえ、こんな夜に赤ん坊が泣いているなら気になってしまうもの。

 ダンテは口笛を吹きながら、声のする方へ歩いていきます。

 

 やがて着いたのは、ある廃れた教会の前。

 そこに、赤ん坊が入りそうな大きさの籠が置いてありました。

 

「よぉ、ベイビー。ママはどこに行ったんだ?」

 

 怖がらせないようにと優しく話しかけるダンテ。

 ですが赤ん坊は泣きやみません。

 どうしたものかと首を傾げていると、ダンテは振り向いて背中に背負っていた大剣〝魔剣リベリオン〟を持ち、辺りを警戒します。

 ダンテがこのように警戒するのは、ある存在が近くにいるからと決まっています。

 

 

 そう、悪魔です。

 

 

 辺りの土が盛り上がり、それが形を成していく。

 まるで鎌を持った死神のようなそれは、〝ヘル=プライド〟と呼ばれ、下級の悪魔に分類される者達です。

 それが、おおよそ十数体。

 

「……この赤ん坊が狙いか」

 

 殺意を持った悪魔たちに囲まれながらも冷静に状況を判断するダンテ。

 そんなダンテにヘル=プライド達は跳びかかり、鎌を突き立てようとします。

 普通の人なら、その鎌に命を刈り取られて、無残な死体となってしまうでしょう。

 

 

 しかし、ここにいるのはただの人間ではありません。

 

 

「ハッハァ――ッ!!」

 

 

 ダンテはその手に持つリベリオンを振り回し、悪魔たちを切り刻んでいきます。

 その速さはすさまじいもので、跳びかかって来ていなかった悪魔達も、剣を振るったことにより発生した衝撃波により諸共に吹き飛ばされていく。

 切り刻まれ、吹き飛ばされた悪魔達は、存在を保てなくなり、元の土塊に戻っていきます。

 

 悪魔とは泣かないことで有名ですが、この場にいる悪魔達は明確にある感情を抱きました。

 

 それは恐怖です。

 

 絶対的な力を持つ者に殺されるという恐怖。

 彼等はその感情を知った瞬間、すぐさま逃げ出したい感情にとらわれてしまいました。

 

 ですが、そんなこと目の前の悪魔狩人(デビルハンター)が許すわけありません。

 

This party getting crazy(イかれたパーティーの始まりだ)……」

 

 まるで楽しいパーティが始まるとでもいうかのように笑うダンテの姿は、

 

 

Let`s rock(派手に行くぜ)!!」

 

 

 まさしく悪魔のようでした。

 

 

――――――――――――

 

 

 ジリリリリリリッ!

 

「んぁ……?」

 

 ここは、レッドグレイブ市のとある事務所。

 

 二階の部屋にあるベッドに少年が寝ていた。

 銀髪と透き通るような碧眼を持ち、顔は非常に整っている。

 

 そんな少年はついさっきまで寝ていた。

 ベッドのすぐ傍にある目覚まし時計がけたたましい音を立てていたために、無理やり起こされたのだ。

 

「……もうこんな時間か……」

 

 目覚まし時計を止め、寝ぼけ目を擦り、ぼやけていた視界が鮮明になって目覚まし時計の指す時間を確認した少年は、一度体を大きく伸ばすとベッドから降りて、床に落ちていたワインレッドのコートを着る。

 

 少年は部屋を出ると、朝食を摂るために階段を下りて一階に向かった。

 

「さぁて、今日は何をしようか――」

「よぉ、〝ジャック〟遅かったな。親父がいなくて寂しかったのか?」

 

 少年は一階に下りてすぐさま目に飛び込んできた人物を見て固まる。

 その男性はこの事務所のデスクに足を乗せて座りピザをかっ食らっていた。

 デスクには、大量のピザの空箱が山積みになっている。

 

「…………寝ぼけてるんだな。なんで魔界に行ったっきりの親父がいるんだよ……」

「ヘイ!ジャック!ほぉらパパの胸に飛び込んでこーい!」

 

 硬直から復活した少年――ジャックは踵を返して、自室に戻ろうとする。

 そんなジャックの周りを走り回る、ジャックと同じく銀髪碧眼赤コートの髭の生えた男性。

 

「…………フンッ!」

「ガッ!?」

 

 走り回る男性をうっとおしく思ったのか、右手で殴りつけるジャック。

 腰の入った右ストレートは、男性の胸の中心にクリーンヒットしぶっ飛ばす。

 勢いよく飛んだ男性は数メートル先の段ボールの山に直撃して全身を段ボールに埋もれさせる。

 男性を殴ったジャックはしばらく掌を開いたり閉じたりを繰り返し、溜息をついた後、段ボールに埋もれる男性に声を掛ける。

 

「で、なんでいるんだよ親父」

「おいおい……久しぶりの挨拶だってのにずいぶん熱烈じゃないかジャック」

「何が熱烈だよ、借金滞納親父」

 

 段ボールの海をかき分けながら現れた男性――ダンテは殴られた痛みなど感じていないかのように話しかけてくる。

 そんな様子のダンテを見てまたため息を吐くジャック。

 

「借金滞納親父ねぇ……俺が滞納してるのはそれだけか?」

「数え切れる訳ねぇだろ。はぁ……俺もネロ兄みたいにクソ親父って呼ぼうかな……」

「で、なんで俺が帰って来てるかだがな……」

「話すのかよ……」

 

 げんなりとした様子でダンテの話を聞くジャック。

 

 

――――――――――――

 

 

 何が起こっているかよくわからない人に説明しよう。

 

 ジャックはダンテの養子であり、〝デビルメイクライ〟という事務所で何でも屋という職業を親子二人でやっているのだ。

 

 そして、ダンテは今年の六月に突然失踪をかまし、今まで見つかっていなかったのだ。

 

 なのに、ジャックがダンテの知り合いである〝モリソン〟や〝レディ〟、〝トリッシュ〟達に協力してもらいつつ、必死にこの事務所を維持していたって時に、ダンテが突然帰ってきていて何でもないかのように、失踪する前から定位置として座っていたデスクでピザを食っていたのである。

 

 散々心配させた挙句、いつの間にか帰ってきていて、うざったらしく絡んできたら、そりゃ一発殴っても仕方がないであろう。

 

 

――――――――――――

 

 

「……おいダンテ。仕事を持ってきてやったぞ……って、ジャックもいるならちょうどいい」

「モリソン、どうしたんだ?」

「よぉ、モリソン」

 

 ダンテが話し始めようとしたときに事務所の扉が開き、ダンディな黒人男性が入ってきた。

 彼が、ダンテの知り合いであり、この万年金欠な事務所に仕事を持ってきてくれるもの好きな男〝J・D・モリソン〟だ。

 

「お前等〝デビルハンター〟になんと遠いジャパンから依頼が来たんだよ」

「へぇ……それがジャックとどう関係があるんだ?」

「なんでも、ある高校生達の監視を頼みたいんだそうだ」

「監視ぃ?悪魔でも呼び寄せるやつがいるのかよ?」

 

 訝しそうにする二人にモリソンは懐からある手紙を取り出す。

 それを受け取ったジャックは表紙に書いてあった文章を読む。

 

「え~なになに……『あなたの実力を見込んでこの依頼を送らせてもらう』……」

 

 書いている内容を簡潔にまとめるとこうだ。

 

・日本のある高校の生徒達が日中に突然いなくなるという事態が今から約一年前に発生した。

・その高校生達が今年に帰ってきた。

・なんでも、「異世界に神を名乗る存在によって召喚され、それを倒して帰ってきた」と言う。

・洗脳の類は見られず、彼らは正気であった。

・なんかいろいろ好き勝手しているので、彼らを止められそうな実力のある人物をクラスに潜入させようと偉い人たちで決めた。

・それにぴったりなのが、何でも屋をしているジャック達だったので、今回の手紙を送らせてもらった。

・滞在中の資金はこちらで援助する。

 

「……報酬は……!? い、一千万ドル!?」

 

 手紙の最後に書かれていた報酬の額を見てジャックは飛び上がるようにして驚いた。

 

 一千万ドル。

 一ドル、百円だとして、総額十億円。

 デビルメイクライの借金を軽く払える額のお金だ。

 ただでさえ、週休六日を掲げ、悪魔関連の仕事ならタダでもやるダンテの所為でたまりにたまった借金を軽く払えて、なお余りあるほどの金額。

 今までこんな金額は見たことのあるジャックだが、それらはほぼ悪魔が裏で手を引いていて、手に入れたことなど一度もなかった。

 更に、報酬の前に書いてあった「滞在中の資金はこちらで援助する」これも非常に魅力的だった。

 要するに、今まで我慢してきた旨いものが食えるということだ。

 

「よし! モリソン、今すぐ行くから受けるって連絡しておいて~!」

「おう、分かった」

 

 ジャックは逸る気持ちを抑えて、朝食を摂るためにキッチンに向かった。

 残されたダンテとモリソンはしばらく無言を続ける。

 沈黙を破ったのはダンテだった。

 

「……で、どんな奴ら何だ、その帰還者とやらは?」

「ん? ああ、そうだな。知る訳ねぇもんなお前達は。これがその帰還者の中でも中心人物って言われてる〝南雲ハジメ〟って少年だ」

「ナグモ……あぁ! あいつか!」

「なんだ、知ってるのか?」

 

 モリソンが懐から取り出した写真をダンテに渡す。

 それを見たダンテは少し考えた後、何かに合点がいくように嬉しそうな声を上げた。

 

「知ってるぜ。俺達が魔界で暴れていた時に……」

 

 そう言って話始めるダンテ。

 

 

 それはつい数日前の出来事だった。

 

 

――――――――――――

 

 

「フンッ!!」

「ハァッ!!」

 

 赤と青という対照的な色をした魔力がぶつかり、空間を揺らす。

 赤と青がぶつかり合った場所は、地面がめくれ上がり、ビルのようなものが周りに吹き荒れる魔力によって根元から持っていかれる。

 赤と青が互いに武器を持ち、斬りあっている、その衝撃波だけでこれほどの被害が起きているのだ。

 

「イィヤァッ!!」

「シィイイッ!!」

 

 赤はまるで生物のような金属のような材質の大剣〝魔剣ダンテ〟を突き出し、青はそれを刀〝魔剣閻魔刀〟によって受け止める。

 だが、赤の突きの威力が高かったのか、十メートル程弾き飛ばされる。

 

「ハァ…ハァ…ダンテ選手、一点リード!」

「算数からやり直せ…同点だ」

 

 青を吹き飛ばした赤――ダンテが青――バージルに嬉しそうに人差し指を立てる。

 バージルも嬉しそうにそれを訂正することを要求した。

 

「……あれからどれぐらいが経ったか……」

「さぁな……ざっと一か月だろう」

「だがな……」

「あぁ……」

 

「「そんなことは関係ない!!」」

 

 一旦和やかな空気になるかと思ったら、そんなことはなくすぐさま斬り合いを再開する二人。

 

 

 しかし、

 

 そんな二人を邪魔するかのように横合いからビルを粉砕して、無数の弾丸が飛んできた。

 

 

「なぁ!?」

「チィッ!」

 

 一瞬驚愕した二人だったが、すぐさま切り替えてその迎撃に当たる。

 幸いにも〝奥の手〟を使うほど強力ではなかったため、簡単に切り捨てられた。

 しばらく、弾丸を切り払っていると突然弾丸の雨が止まった。

 そして、今まで互いしか見ていなかった二人は弾丸の飛んできた方向に上級悪魔に匹敵する魔力を感じた。

 

「……へぇ…こんな魔力を持つ奴がいたとはな」

「だが、悪魔のものではないな。どうする? 俺はそんな奴に興味がある。お前はどうするんだ、ダンテ」

「へっ、こんな面白そうなやつを放っておいておけるかよ!」

「フッ…!」

 

 そう言って二人は駆けだした。

 だがただ駆けるのではなく、時折瞬間移動をしたかのように別の場所に現れる。

 二人は悪魔の血――それも最上級の魔剣士スパーダの血を継いでいるのだ。

 単純な身体能力だけで空間転移などお手の物である。

 

 約三十秒後に辿り着いた場所には数人の男女がいた。

 

「ヘイ! そこのお嬢さん達! こんなところでどうしたんだ?」

 

 まずダンテが話しかける。

 出来るだけ警戒させないために気さくな言葉で尋ねた。

 突然知らない誰かに話しかけられて、すわっ敵かっ!? と警戒した団体だったが、二人が目に入ると驚愕の声を上げる。

 

「え!? なんで人が!?」

「嘘!? なんで生きてるのこの人達!?」

「おいおい、俺はれっきとした人間だぜ? まぁ、半分だけどな」

「……」

 

 黙っているバージルの代わりにダンテが話していく。

 そんな中、

 

 

「……あんた達、何者だ?」

 

 

 ダンテ達を殺気交じりに見つめる、先ほどの魔力と同じものを纏う少年がいた。




次回に続きます。
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