ジャックが転入した高校。
その一室ではジャックが一人、椅子に座っていた。
いや、正確にはジャックの目の前には黒い布で隠され、その向こう側に誰かがいる。
まるで協会の懺悔室のようだ。
ジャックの向かい側に座る誰かが口を開く。
――それでは〝噂の転入生に聞いてみたい! ドキドキ! 赤裸々インタビュー!〟を開始します。ジャック・レッドグレイブさん、今回はよろしくお願いします。
「よろしくお願いします…………『今回』は?」
――まず最初に、匿名希望さんからです。『レッドグレイブ君は、どこから来たの?』……無難ですね……まぁ確かに、レッドグレイブさんは明らかな海外人といった見た目をしていますよね? それなら気になっても仕方がないのでしょう。レッドグレイブさん、どうなんですか?
「まぁ、気になりますよね? 俺が住んでいたのはその名前の通りにレッドグレイブ市と呼ばれるところに住んでいました」
――名前の由来になった場所ですか。レッドグレイブさんの両親はそんなにも思い入れのある場所だったのでしょうか?
「……なんていうんでしょうか……俺って拾われっ子なんですよね。それも赤ん坊のころ、教会の前に捨てられていたみたいで……」
――……嫌なことを思い出させてしまってしまい失礼しました。
「ああ、大丈夫ですよ。本当の親がいなくて寂しかったわけじゃないんで。今の家族とか、友人関係は結構良好なんで。……話が逸れましたね。レッドグレイブは親父が名乗っていた名前なんで、戸籍を作る時にその名前を継いだだけって感じですね。親父も理由を説明してくれたわけじゃないんで、特に理由は分かりません」
――なるほど……。では続いて、南雲先輩大好き勢さんからです。
「……何ですかその名前。ツッコんだ方がいいんですか?」
――話が逸れてしまうので、このままいかせてもらいます。『レッドグレイブさんは、南雲先輩とどういう関係なんですか?』……だそうです。
「……なんか別の意味に聞こえるんですがそれは。……まぁいいか、俺とハジメの関係は親友……ですかね?」
――……何故疑問形なんですか?
「いや、俺とハジメが会ったのは今から五年ぐらい前でして、その時から連絡先を交換して電話で話したり写真を送ったりするだけで、会えるとしたらコミケとかだったので、これを世間一般で言う親友とは違うんじゃないかと思っています。あっ、俺は親友だと思っていますよ?」
――……そうですか……。では続いて、元チンピラさんからの質問です。『レッドグレイブさんは、普段何をしているんですか?』……これも無難ですね。
「普段なにをやっているか……親父の仕事を手伝ったり、散歩ですかね」
――仕事とは、何をやっているのでしょうか?
「あ~……これも言わないとだめですか?」
――できれば言ってもらいたいです。
「……何でも屋をしています。何でも屋といってもいわくつきの仕事ばかりですね」
――その仕事とは、何なのでしょうか?
「……黙秘します」
――そうですか……。では、お姉さまガチ恋さんから質問です。『お姉さまに色目なんて使っていませんよね?』……。
「……ああ! 八重樫さんのことか! 使うわけないじゃないですか。人の恋人に」
――そうですか……。続いて、吸血姫さんからの質問です。『レッドグレイブさん、彼女はいますか?』。
「ブホォッ!?」
――大丈夫ですか?
「大丈夫です……水飲もうとしたら気管に入っただけなんで……で、彼女がいるかでしたね。いないですよ」
――ほう? それは何故ですか? レッドグレイブさんは顔も整っていますし、高身長、勉学も問題なし。そんなレッドグレイブさんなら南雲先輩みたいに、恋人の一人や二人いてもおかしくはないんじゃないでしょうか?
「いやぁ、そう言われると文句なしなんですけど、俺の親父が問題でして……」
――お父様に何か問題があるんですか?
「デカすぎる問題ですね」
――そこまでですか?
「はい。実は俺、借金があります。それもほぼ親父のせいでたまった借金が……」
――……聞いた方がいいのでしょうか?
「できれば聞かない方針でお願いします」
――……分かりました。……おっと、またしても吸血姫さんからの質問です。『女友達はいるの?』だそうです。
「女友達……はいますね」
――どういった方なのでしょうか?
「一人は、親父が受けた仕事で知り合ったなんか偉い家のお嬢様です。でも、俺に惚れてるわけではありませんよ? 俺よりも親父に惚れてる感じですね」
――そうですか……ん? 〝一人〟は? 他にもいらっしゃるのでしょうか?
「そうですね。後はスラム街で会った金髪の子に、一言でいうなら女騎士っていう子とかもいました」
――…………そうですか。気になるところですが、まだ質問はあるので次の質問に移ります。続いてはパワーラビットさんからの質問です。『料理は出来るのでしょうか?』とのことですが。
「できますね。といっても高度なもの……高級レストランで出て来るようなものは作れませんけどね。余りもので腹を満たせるぐらいにまともなものを作ることはできます」
――分かりました。家事能力は十分……っと、では次、リア充絶対許さないさんからの質問です。『ジャック、お前は鈍感か?』。
「……多分、鈍感ではないですよ」
――……本当ですか?
「本当です」
――……リアリー?
「本当ですってば」
――……ならいいです。続いて、ドラゴンさんからの質問です。『今まで、どんな部活に所属してたんだ?』だそうですが。
「部活……図書クラブですかね」
――本当ですか? 登校するときにパルクールをして学校に向かっていたレッドグレイブさんにしては意外ですね。
「……俺って、身体能力が高いじゃないですか。それで、ライバル達から嫌がらせを受けまして……俺だけならまだしも、部のメンバーにまで被害が行くことがあって、それでやめました」
――……すみません……。
「大丈夫ですよ。そのあとそいつらを〆に行きましたから」
――…………質問に戻ります。……匿名希望さんからですね。『レッドグレイブ君は、趣味とかあるんですか?』。
「趣味といえるものか……漫画を読んだり、アニメを見たりですかね。後、映画も見ますよ」
――なるほど、オタクというわけですね。
「いやぁ~、俺がオタクとかおこがましいですよ。本場のオタクはヤバいですからね」
――それは同意できます。さて、ここでいったん休憩を挟みましょう。
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――……個人的に聞きたいのですが、実際どんなお仕事をされているのでしょうか?
「……護衛、
――えぇ……。
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――質問を再開したいと思います。
「はい、どうぞ」
――匿名希望さんからですね。『どうして地元から遠く離れたこの学校に来たんですか?』。
「あ~……帰還者騒動を知っていますよね?」
――知っています。
「なら良かった。俺はその帰還者騒動でハジメ達が帰ってきた後、特別クラスの監視を政府に頼まれてきました」
――え?
「俺の家って、裏じゃ結構知ってる人がいるところでして、様々な事件を解決してきたって言われてるんですよ」
――はぁ……?
「それで、年齢も近い、実力もあるということでこの学校に派遣されたんですよ」
――……分かりました。次で最後の質問です。……魔王さんからの質問です。『お前は俺の友達だよな?』
「もちろん」
――……分かりました。それでは後日、今回のインタビューを掲載させてもらいます。よろしいでしょうか?
「大丈夫ですよ」
――それでは、今回の〝噂の転入生に聞いてみたい! ドキドキ! 赤裸々インタビュー!〟を終了します。お疲れさまでした。
「お疲れ様です」
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後日。
「なぁ、ジャック」
「ん?」
「ありがとな」
「……おう」
というやり取りがあったとか。
なんか質問の数が少なすぎた。
次やる時は活動報告で募集する。