ありふれぬ悪魔狩人は世界最強 アフター   作:クラウディ

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レッドグレイブ市、観光。

第5弾。


Secret Mission レッドグレイブ市 観光 5

 また先程と同じく、車で疾走しているのを追いかけながら過去の映像を流していく。

 

――Vが待ってるからな。安全運転で頼むぜ。

 

 ニコにそう言ったネロは遠くを見据える。

 やがて着いたのは、どこかの商店街だった。

 

――こっからは……車じゃ無理だな。

――そうか、なら歩いていくさ。

 

 車の前方に巨大な穴が開いている所為で進めないとこぼしたニコに、歩いていくと言い、車の外に出ようとするネロ。

 

――ちょっと待った! 忘れてた。

――なんだ?

 

 ネロを引き留めたニコは、後方にあった作業場に置いていた手紙を渡す。

 

――これは?

――モリソンから、お前にお手紙だ。

 

 渡された手紙を読んでいくネロ。

 

 手紙の部分を拡大し読んでみると、こう書かれていた。

 

 

〝手紙なんてガラにもない物を書くのは

 ざっと30年ぶりだ。

 生憎とタイプライターも持ってなくてな。

 汚ねえ字で申し訳ないが、

 我慢して読んでくれ。

 

 お前がレッドグレイブ市に戻ると聞いて、

 俺にも何かできる事はないかとあれこれ

 考えたんだが、俺は腕っぷしが強いわけでも、

 殊更に頭が切れるわけでもない。

 

 俺にできるのは、情報屋らしく、お前に

 とっておきのネタを教えてやる事ぐらいだ。

 この情報が、果たしてどれだけの価値が

 あるかどうかは、正直なところ、

 俺にはよく分からんが……

 少なくとも無意味ではないだろう。

 

 俺が初めてダンテと出会った時、ヤツは

 今とは違う、別の名を名乗っていた。

 トニー=レッドグレイブってな。

 

 どうだ? グッと気になってきただろう?

 レッドグレイブ市と

 トニー=レッドグレイブ……

 これはただの偶然なのか、それとも必然なのか、

 生憎と俺には判断しかねる。

 

 だが、現地に赴くお前には、それを判断する

 材料となるかもしれん。だから、これから

 俺が知るダンテの情報をお前に

 与えようと思う。

 

 俺がタダで情報を提供するなんて、

 滅多にある事じゃない。

 せいぜい感謝ぐらいはしてくれよ。〟

 

 

「「「「「「「「「へぇ~~!」」」」」」」」

 

 手紙に書かれていた内容を見て、納得したような声を上げる一同。

 確かに、ダンテの息子であるジャックが町の名前である〝レッドグレイブ〟を名乗っていたことについて少し疑問に思っていたのだ。

 今回の観光で明かされることになるのか……。

 少し楽しみになった一同であった。

 

――さて、仕事の準備だ。

 

 画面の向こうでは、読み終わったネロが立ち上がり下ろしていた荷物を取りに後方に移動する。

 

――待ってたよ。……いらっしゃい。ご注文は?

 

 そこには、まるでカウンターのように改造された作業場があり、奥のテーブルには様々な部品が転がっている。

 ニコがカウンターに義手型兵装〝デビルブレイカー〟を置いていく。

 それにハジメは目を輝かせていた。

 

「……装着してからすぐに動くようになってたのはどういうことだ? 俺の義手には疑似神経が組み込まれていて馴染むのにかなり時間がかかった。それもかなり時間をかけて作りだしたのに、ニコさんはそんなものをポンポンと……。そして、使い捨てとはいえ雑魚悪魔を即死させる威力の電撃が放てる内部構造。クソッ! もっと聞いておけばよかった……!」

「ハジメ君がすごい生き生きとしてる……!」

「……ん、新しいライバルの登場?」

 

 異世界で義手を作ったハジメだったが、ニコのような使い捨ての義手は作ったためしがない。

 そんなものを作るより、今あるものを発展させればいいのだから。

 

 だが、ニコのデビルブレイカーは、ハジメが装着している義手のように多機能ではないが、壊れたとしてもすぐ付け替えることが出来てなおかつ高威力なのだ。

 

 実際、先のクリフォトルーツ戦では、電撃を放つデビルブレイカー〝オーバーチュア〟を殴って相手の肉体に埋め込んで、爆破させるという手段もとったのだ。

 言うなれば、通常は電撃を放てる使いやすい義手で、いざとなれば相手に埋め込んで内部から爆発させる爆弾になるのである。

 

「確か……オーバーチュアはある悪魔の器官を再現したことで、小型ながら強力な電撃を放てるって言ってたな……」

「あっ! また新しいのが出てきましたよ!」

 

 画面では、オーバーチュアとはまた違ったデビルブレイカーが出ていた。

 

「あれは……〝ガーベラ〟。名前の由来はあれの展開した時の形が花のガーベラをイメージしたからだって」

 

 そう言ったジャックは画面に視線を向けると、ニコがネロにガーベラについて説明していた。

 

「複合式反射炉!? あれほど小型のものでか!?」

「うわぁ……衝撃波で人が飛べるって、どういうことですかぁ……」

 

 ガーベラは展開した時の形が花の形に似ていたことからその名がついたデビルブレイカーだ。

 オーバーチュアの電撃を放つという特性とは違って、ガーベラは衝撃波を放つ。

 その威力は、成人しているネロを空中に飛ばすことが可能なレベルに強力だ。

 

 更に、

 

「なに!? ビームが撃てるのか!?」

「ニコちゃんてば、ロマンが分かっているわね!」

「法律違反……ってレベルではないですね……」

「うむ……ハジメ君の技術にも目を見張るほどだが、ニコ嬢の技術も素晴らしい……」

 

 南雲夫妻が興奮する、光線が撃てるのである。

 これを肘から先という少ない容量でこれだけの技術を詰め込んだニコに戦慄する一同。

 ネロが腕を失ったのは約1か月前だったが、その期間でこれほどの物を作製するニコに惜しみない称賛をする。

 

 それから、ネロが先に進み、ジャックはニコを護衛する形でこの街を捜索することに決まった。

 

「こっからは俺も知らない場所が出て来るんで、ネロ兄を追う形で行きましょう」

「「「「「「「「「は~い」」」」」」」」

 

 そして、映像のネロを追いながら先に進んでいく一同。

 道中、崩壊していて通れそうにないときは、空間魔法で転移したりして進んでいく。

 

 やがて、ある場所に辿り着いた時に見えるものがあった。

 あのクリフォトのようなものだ。

 だが、纏う雰囲気が似ていることからあれはクリフォトの一部なのだろう。

 

――やれやれ、クソみてぇな木だな。

 

 ネロがそれを酷評する。

 実際、その通りなのだから。

 

 途中に、ある電話ボックスから電話が鳴っていた。

 渋った顔をしながらも電話に出るネロ。

 

――電話線は無事なのか……。

――さっさと出ろ! このアホ! 何コール目だと思ってる!

 

 電話に出るといきなり怒鳴られる。

 声からして、電話の向こうにいるのはニコのようだ。

 

――これからはお前が掛けて来い! そうすりゃ駆けつけてやるよ。

 

 電話が切られて、静寂が訪れる。

 だが、次の瞬間には電話ボックスの反対側にあった地形変化でズレている道路から車が飛び出してきた。

 そして、勢いよく車を横にしながら急ブレーキをかけ、横転寸前で止まる。

 後ろにある扉が開いてジャックが出て来る。

 何故かボロボロだった。

 

――よっす……ネロ兄……頭痛い……。

――ハァ……大丈夫か?

――大丈夫……じゃない……ニコ姉、運転荒すぎるよ……。

――仕方ないだろ? そこの坊やが芸術品がなくて泣いてるかもしれないと思ったんでな。

 

 どうやら、向かっている途中の道が悪路だったようで、そこを無理やり突破したニコの運転に酔ったらしい。

 溜息を吐きつつ、消耗したデビルブレイカーを補充したネロは先に進む。

 降りようとしたネロに何かを思い出したジャックが、あるものを渡す。

 

――あっ! ネロ兄! これ持ってって!

――あ? なんだこりゃ?

――〝バスターアーム〟。ネロ兄と言えば、バカみたいなパワーだからね。

 

 今まで出てきたものとは全く形の違うデビルブレイカーを渡されて疑問を浮かべるネロだったが、ジャックの言葉に不敵な笑みを浮かべて先へと進んでいく。

 

「バスターアーム?」

「ほら、ネロ兄って悪魔の腕があってそれで豪快な戦い方してたじゃん?」

「まぁ、確かに。あんなパワー……シア以外できないだろ」

「そうそう。で、盗られた右腕の代わりになるものを作れないかな~ってニコ姉にお願いしたら作ってくれた悪魔をぶん投げたり掴むためのデビルブレイカー。威力はこれから見れると思うよ?」

 

 そう嬉しそうに話すジャック。

 画面はその間にも変わっていて、教会の屋上らしき場所に着いた。

 

 周りを見ながら警戒するネロに、頭上から車が降ってきた。

 

 危ない! そう思う一同であったが、ネロを圧し潰して転がっていった車の中からネロが出てきた。

 ユエが巻き戻して、今度はスロー再生をする。

 

 落ちてくる車。

 空いていた扉に吸い込まれるようにして入るネロ。

 そのまま転がっていく車。

 止まった車から、ネロが扉を蹴破って出て来る。

 

――くっせぇ車だな。

――人間か! まだ生き残りがいたとはな!

 

 車の振ってきた方向から声が聞こえて見上げると、そこから何かが飛び降りてくる。

 ネロが回避した車を踏みつぶしながらそいつの姿がわかった。

 全身を覆う体毛に、熊のような体躯。

 そして腹には、複数の眼と大きな口が付いていた。

 

 その悪魔の踏み付けを回避したネロは尋ねる。

 

――生きてて悪かったな。それより、男を見なかったか? 待ち合わせしてんだ。杖を突いた奴……食ってねぇよな?

――食うものか…。人間の血は何よりも大切な贄だ。この俺が……魔界の王となるためのな……!

 

 そう言って、ネロの立っていた場所を破壊する悪魔。

 また回避して、別の場所に移動するネロ。

 

――〝王〟? お前が? どうかな、確かにデカいけど、特技もねぇし頭は空っぽだろ? ガラじゃないぜ。やめとけよ?

 

 座るついでに、流れるように煽っていく。

 ハジメ達が覚えている、あのミレディに比べれば生温いというしかないが、それは比較対象が悪すぎる。

 だが、この悪魔には効果覿面だったようだ。

 

――人間め……この俺を知らんと言うのか…? 覚えておけ…! 俺が、大悪魔のゴリアテ様だ!

 

 怒った悪魔――ゴリアテは、ネロの座っていた場所を蹴り砕き、爪を振り回し砕いていく。

 掠り傷一つ負ってないネロをよそに、ゴリアテは砕いた瓦礫を腹の口に突っ込んでいく。

 腹の口を開けると、あまりの熱気に陽炎が出来ていた。

 醜悪な光景に顔を引きつらせる一同。

 

「うわぁ……気持ち悪い……」

「べるちゃん達とは全然違うの……」

 

 初めて見たジャックと、ミュウが呟いた。

 やがて飲み込んだのか口を閉じるゴリアテ。

 腹部の口からは溶けた瓦礫が零れ落ちている。

 

 それを不思議そうに見るネロをよそに、ゴリアテは何かの構えに入っていた。

 

 次の瞬間、

 

 高熱により溶岩となった瓦礫を吐き出してきた。

 見た目はアレだが、威力はあるようで壁を爆散させる。

 

 回避したネロが回避してゴリアテに尋ねた。

 

――ハッハッハッハッ! 手品か! おい! 他に特技は?

 

 ネロの煽りに更に激昂するゴリアテが咆哮を上げて向かってくる。

 それをあしらいながら、確実に一撃を加えていくネロ。

 途中、足場を砕かれて教会の中に落ちたネロだったが、

 

――どうだ! 俺の力は!

――自分の墓荒らして楽しいかよ?

 

 特に問題はなく、しかし、狭いところで戦うのは不利になると判断したのか外に出る。

 

――痺れろ!

 

 外での戦いは、突進してきたゴリアテをオーバーチュアの一撃で打ち返したり、

 

――フッ!

 

 ガーベラの衝撃波で火球を撃ち返す。

 

――人間、ごときに…!

――俺に言わせりゃ、〝悪魔ごとき〟だぜ?

 

 果てには、

 

――口がくせぇんだよ! 

 

「ジャイアントスイングなの!」

 

―― 一生、閉じてろ!

 

 ゴリアテの頭をアッパーカットで上にあげ、尻尾を掴んで振り回し、先ほどまでいた廃教会に向かってぶん投げた。

 教会の瓦礫をかぶりながら、ゴリアテは

 

――こんなところで、死んでたまるか…! あの果実は俺のだ…! 俺が、ヤツより先に…!

 

 そう言ってもゴリアテの全身には傷があり、もう戦えないのが明白だった。

 そんなゴリアテをいっそ楽にしてやろうと銃を構えるネロ。

 

 だが、その横を何かが通った。

 カラス…? いや、それにしては青みがかっている。

 突然の乱入者は、ゴリアテの周りを飛び回り、攪乱していた。

 

 その時、誰かの声が聞こえる。

 

――『我は、嘆き悲しみ、自らの星を呪う。我が愛しき人を斯くも高め、我を、低めし星を』

 

 Vがそこにいた。

 Vは右手に持った杖をゴリアテに向けると、刺青の一部が粒子となり、杖の先端に集中する。

 そして、粒子が一層集まると、黒豹の姿をした悪魔が飛び出した。

 その悪魔はゴリアテに向かって駆け、その身を刃に変え、ゴリアテの体を切りつけていく。

 

 その悪魔が離れると、ゴリアテの体が白く変色する。

 

 もはや虫の息のゴリアテにVは近づいていき、杖を構える。

 

――何故……お前が……!?

――『迷い子よ……家へと帰れ』……!

 

 ゴリアテの頭に突き立てられた杖はあっさりと半分以上を埋め込んで、抜き取られる。

 そうすると、今まで見てきた悪魔達と同じように消えていく。

 

――食われちまったのかと思ったぜ。……腹の口でな。

――遅くなって済まない……少し、読書に耽っていてな……。

――あっそう。すげぇ面白そうだ。

 

 全くそう思っていないような声色で返すネロ。

 

 そんな二人をよそに、ネロが言うには〝クソみてぇな木〟がクリフォトルーツの時みたいに崩壊していく。

 

――それより…ダンテはあの中か?

 

 ネロがクリフォトを指差す。

 

――ユリゼンに敗れていたとすれば……今頃とっくに奴の体は、クリフォトの養分だ。

――……なんだって?

――クリフォト。魔界に生えるあの大樹の名だ……。人の血を吸い成長する……。血を吸われた人間は……

 

 Vが杖で指し示した先には無残な姿の被害者がいた。

 

――見ての通り……あの有様だ……。

――……とにかく、行ってみるか……。ダンテが生きてるってんなら、助けりゃいい。

――待て……。

 

 進もうとしたネロを押しとどめるV。

 

――その前に……まず、クリフォトの根を駆除するべきだ。

 

 それを聞いてネロは進もうとするが、Vの傍に寄ってきたグリフォンとシャドウが気になって足を止める。

 

――V……お前、何者だ?

 

 Vが答える前に、後ろから高速でトレーラーが向かってきた。

 また横転しそうなスピードと角度で止まった車からニコが言う。

 

――遅刻だが、文句は無しだ。道が狭くてな。…おい、お前がVか? それ取ってくれ! それそれ足元の!

 

 そう言って、ニコはVの足元に転がっていたゴリアテの爪を指差す。

 Vが杖を器用に使って、投げ渡す。

 

――……いいねぇ! こいつは傑作が生まれる予感だな!

――……よく嗅げるな……何か分かってんのか?

――お前のクソ?

――……作戦会議だ。

 

 ネロとVが車に乗り込み、場所を移動する。

 

 

 




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