最近この小説を書いていなかったからのリハビリ回でもある。
時系列としては、レッドグレイブ市観光後ということにしています。
ベヨネッタ3、めっちゃ楽しみ。
UA10,000回ありがとうございます。
これからも「ありふれぬ悪魔狩人は世界最強 アフター」をよろしくお願いします。
休日の南雲家。
その地下にある作業場に俺、ジャックはいた。
服装は親父とお揃いの赤コートに動きやすいズボンを穿いたいつものデビルハンタースタイル。
いつもなら、季節に合わせた服装をしているが、今日はある関係で正装を着ていくことになったのだ。
それが正装かだって? 細けぇことは気にすんな!
「……皆さん、本日はお集まりいただき誠に感謝します」
そんな俺の前には巨大なモニターが空中に投影されており、そこには様々な人達が映っていた。
クラスメイトとその家族やスーツを着た人や神父服を着た人などが映っている。
確か……リモート会議だったっけ?
自宅にいても離れた人と会議できるっていう優れもの。
やっぱハジメすげぇわ。
と、そんなことより今日は……
「では、私、スパーダの孫こと、ジャック・レッドグレイブ主導による〝この世界の悪魔や天使事情〟の講義を始めたいと思います」
そう、今日は俺による世界の悪魔や天使などの情報を講義として発表する会なのだ。
参加者は、ハジメ達(主に遠藤)が関わってきた人達で、この世界の裏の事情――悪魔や天使のことを知っている者達である。
じゃあ、なんで俺が話してるのか?
みんなそういう情報を集めて、活動していた組織だっていうのに今更俺が話す必要なんてない気がするのだが、ハジメに言われて仕方なくやっているのである。
なんでも、俺達が知っているのとお前の知識じゃ齟齬があるかもしれないって。
まあ、いいか。
「ではまず、世界がどのような形をしているかについてです。ハジメ、頼む」
俺は、まず話の大本になる世界の形から話し出す。
ハジメに指示を出して、傍の壁に俺がまとめてきた情報を映像として出す。
映し出されたのはテレビでよく見る、宇宙から見た地球。
それと、赤黒い球体に、黄色と白で彩られた楽園のような球体。
それらが、地球と隣り合うようにして存在している。
「はい、この青いのが我々の住んでいる【人間界】です。そして赤いのが【魔界】で、白いのが【天界】になります」
そう、これが大雑把に作った世界関係だ。
見てくれている人たちが映る画面から「ほぉ~」という声が聞こえる。
取り敢えず、掴みはOK。
「それでは、最初に紹介させてもらうのは、皆さんも関わった悪魔達についてです」
まずは、ハジメ達も関わったっていう悪魔についてだ。
壁に映し出されたのは、見るも醜悪な悪魔達。
まるで虫のような悪魔〝エンプーサ〟と骸骨のような悪魔〝ヘルカイナ〟が映し出される。
これを見た瞬間俺は顔をしかめる。
何を好き好んでこいつらの紹介をしなくちゃならないんだ。
そう思いながらも画面に視線を移動させると、そこに映る皆も顔をしかめていた。
無理もないだろう。
悪魔ってのは、人の潜在的嫌悪感を煽る見た目をしているからな。
「これが雑魚悪魔達。特に紹介するつもりはありませんが、この雑魚悪魔達でも、並の攻撃じゃ歯が立ちません」
そう言って直後、壁に映し出された映像が変わる。
そこには、軍の人達が銃を手に持ち、必死に抵抗している光景が映し出された。
だがその銃弾は、悪魔達の皮膚に弾かれるかめり込んだとしても浅いところで止まってしまうため効果がなさそうに感じられる。
「このように、軍に支給されている銃じゃ、雑魚悪魔すら殺すことが出来ません。ですが、我々デビルハンターは銃も使います」
続いて映し出された映像はネロ兄が〝ブルーローズ〟で先ほどの悪魔達を銃撃しているシーンや、俺が〝ストーム&サイクロン〟を連射し、悪魔を穴だらけにしているシーンである。
先程の人達とは違い、放たれた弾丸は悪魔達の頭を撃ち抜き、一撃で絶命、もしくは、体を貫通させていた。
このことにはスーツの人達や神父服の人達の驚愕した様子が画面越しに伝わる。
「なんで効いてるのか? という表情ですね。何故かというと、これらは対悪魔用に改造もしくは製造されたものだからです」
ネロ兄のブルーローズに『改造』、俺のストーム&サイクロンに『製造』のテロップがつく。
「私の従兄であるネロの持つブルーローズというリボルバーは、バレルが二本存在し、それぞれから二種類の弾丸が発射されます」
画面にも変化が現れた。
ブルーローズがクローズアップされ、その銃口から形の違う弾丸が発射されている。
ある程度進むと、今度は弾丸がクローズアップされた。
「一発目は悪魔の硬い外殻を破壊する弾丸。二発目はそこから内部に侵入する貫通力の高い弾丸が発射されます」
そういうと画面が動き出し、画面の弾丸が悪魔に直撃し、貫通して飛んでいく様子が映し出されている。
「ですが、そういう特性を持つ弾丸だからといって、発射時の勢いが無くてもいいというわけではありません」
今度は俺のストーム&サイクロンをクローズアップした。
それをマネキンのような人型が持ち、構えている。
今回、ハジメやハジメのお父さんである愁さんに協力してもらって、ゲームの物理エンジンを用いてシュミレーションを作ったのだ。
「俺の物もそうなんですが、この対悪魔用の兵装は反動が凄まじいです。具体的に言うと、一般の成人男性が引き金を引こうものなら反動で肩が外れるくらいです」
そうしてマネキンが銃を撃つと、勢いよく後ろに倒れるという光景が映し出される。
それも、バタッという感じではなく、ビターンッ! という感じでだ。
皆から、少し引かれたような気配を感じる。
無視して話を続ける。
「このように、悪魔用の兵装は大分魔改造されています。おっと、話が逸れてしまいましたね。では、続いて悪魔達の歴史について話します」
画面を別のに切り替えてもらい、今度はまた別の悪魔が映し出されているものに変わる。
まるで様々な色が混ざり合った球体としか言いようのないものが真ん中にある。
「この世界は元々〝混沌〟というものでした」
混ざり合った球体――【混沌】に息を呑む画面の向こうにいる者達。
「それが、何が原因なのか三つに分かれました」
【混沌】が、粘土を分けるように引き延ばされ三つになり、それぞれがごちゃ混ぜの色ではなく、分かりやすい色をする。
先程の【人間界】、【魔界】、【天界】だ。
「このように分かれた混沌は、それぞれ、我々の住む【人間界】、悪魔の住む【魔界】、天使の住む【天界】になりました。これがそれぞれの世界の生命体の誕生です」
全員が目線で続きを促してくる。
速く続きが聞きたいのだろう。
ならばそれに答えなくてはならない。
「そして、その時から何千年と経ったある日、魔界に生える大樹〝クリフォト〟の果実により膨大な力を手に入れ、魔界に君臨した悪魔、〝魔帝ムンドゥス〟はこう言いました」
画面にはまるで巨大な石像のような存在がいて、それが口をひらく。
―― 元々一つだったこの世界、私が統べずにどうする。
「そうして始まった人間界への侵略。魔帝ムンドゥスは悪魔を生み出す力を持っており、次々に強力な悪魔を生み出していきました」
画面は進み、様々な形をした悪魔達が人間を襲い、喰らい、血を啜っている映像が流れる。
スーツの人達やクラスメイトとその家族は顔を蒼褪めさせて怯え、聖職者関連の人達は顔を憤怒に染めている……って、悪魔みてぇだなあの人達。
一つ咳払いをして皆を正気に戻し、話を続ける。
「強力な悪魔達に人々はなすすべもなく殺されていき、人々の未来が暗雲に閉ざされる……そう思われていた時でした」
その映像に一条の斬撃が奔り、悪魔達が両断されていく。
そこに現れたのは、魔帝ムンドゥスの右腕とも言われた悪魔だった。
「一人の悪魔が正義の心に目覚め、悪魔達を裏切ったのです。それが――」
『魔剣士スパーダ様ですよね? ジャック君?』
俺の言葉を遮って、聖職者たちの長官であるダイムさんが言おうとした名前を代わりに言う。
言いたかったんだけどなぁ……
「……そうです。魔帝の右腕とも言われるほどの力を持つ一人の悪魔――魔剣士スパーダが魔界に反旗を翻し、人々のために戦ったのです」
画面では一人の悪魔――スパーダが、悪魔の軍勢に大立ち回りを演じている光景が映し出されている。
あくまでイメージ映像だが、これぐらいやってもおかしくないだろう。
特に、親父がやれそうだからなぁ……
「そして、悪魔の軍勢を倒したスパーダは魔帝に挑んで、見事封印し、世界を悪魔達が渡って来れないように分けたのでした」
魔帝と戦い封印した後、世界を剣で切り離すという映像が流れる。
もちろんこれもイメージだ。
そしてこのことに歓喜する人々の姿が映し出される。
「そうして平和が訪れた人間界では、スパーダを英雄として称えました。これが二千年前に起きた『魔剣士スパーダの伝説』の概要です。……ここまでが皆さんも知っていることですよね?」
そう問いかけると画面の向こうに映る皆が頷く。
「ですが、この物語には続きがあったのです」
全員が息を呑む声が聞こえた。
「スパーダの活躍から二千年後、今から約四十年前に時間は進みます」
パッと変わった映像では、とある一軒家が映し出される。
「もう、人々の記憶からスパーダの名前も忘れ去られ、おとぎ話の中だけでしかその名は残っていないようなほど時間が経った頃、今なお生きていたスパーダはある人間の女性――エヴァとの間に双子をもうけます」
画面にはある子供たちが木刀で斬り合っている映像が流れる。
よく見ればある人物に似ていて、その人物よりもかなり幼く感じるような子供たちがそこにいた。
「スパーダ達は、生まれた双子を兄はバージル、弟はダンテと名付けました。映像に映るのが彼らの幼い頃です」
『『『『『『『『『『!!??』』』』』』』』』』
全員が目を見開く。
当然か。
尊敬する人の子供、その若い頃の姿が映し出されているのだから。
『ジャック君!? これはどうやって記録したんだ!?』
『バージル様やダンテ様の若い頃の映像!?』
『国宝級の映像じゃないか!?』
『おぉ……これが光か……』
おぉう……一気に騒がしくなったな。
「どうやって記録したかについては現地に行ってから過去を再生してもらいました。後のことはハジメに聞いてください」
未だ騒がしい会場をそのままに、話を続けていく。
「そんな親父たちですが、実はこの後、悪魔に襲われてしまい、エヴァさんを殺されてしまいました」
その言葉にシンッと静まり返る会場。
なんだ、仲いいのか?
「その後のことはまだ調査は出来ていませんが、まぁ、色々あったんだろうなっていうことが分かっています。取り敢えず、いったん休憩を挟みましょう」
そう言って、俺達は休憩に入るのであった。
次回に続きます。