ありふれぬ悪魔狩人は世界最強 アフター   作:クラウディ

20 / 26



久しぶりに書いてみたからあんまりおもしろくないかも……。






Mission11 陰陽師騒動

 

 

「ぜはー……!ぜはー……!」

 

 ここは世界のどこかにある墓地。

 少なくとも日本ではないことは確かということを裏付けるように、墓の形が日本にある物とは違うのである。

 天候は雨が降りそうな程に悪く、ジメジメとしていた。

 そんな場所の中心で息を切らしているのは、この世界を探しても早々いないであろう悪魔と人間の血を継ぐ〝魔人〟というべき存在である少年。

 名を〝ジャック・レッドグレイブ〟と言う。

 

 彼は、自身の身長ほどもある大剣を杖にしてやっと立っているような状態だ。

 無理もない。彼は先ほどまで人知を超えた化け物達と斬った張ったの殺し合いをしていたのだから。

 

「あら? もうこれで限界なのかしら坊や?」

「だ、誰のせいだと……ゲホッゲホッ……!」

 

 そんなジャックに近づいてきたのは、体に張り付くような服を着た妖艶な女性。

 彼女の名は〝ベヨネッタ〟と言う。

 ベヨネッタは両手に青い拳銃〝ラブイズブルー〟を持ち呆れたようにジャックに声を掛ける。

 そんなベヨネッタに息も絶え絶えになりながら悪態をつこうとするも、体が酸素を求めてジャックをむせさせる。

 

 一見すれば、女性の無茶振りに振り回される少年かと思われそうだが、実際はそんなことよりも数倍危険な状況だ。

 

「フッ!」

「チィッ!」

 

 二人の背後からハルバードを構えた人型がその手に持った獲物を振り下ろしてくる。

 常人なら気付くこともなく両断されそうな一撃を前にして、ジャックとベヨネッタは容易く回避して見せた。

 ジャックは、持っていた大剣を素早く奔らせてハルバードを受け流し、振り下ろされる勢いを利用して距離を開ける。

 対してベヨネッタは、バレエ選手のような側転で回避して見せた。

 芸術的な側転だが、ただ回避したのではない。

 

 攻撃を食らわないタイミング、それも()()()()でだ。

 

 ならば……

 

「遅すぎるわ!」

 

 彼女の時間(ウィッチタイム)が始まるのも道理だ。

 

 途端に彼女以外の時間が遅くなり、急激に引き延ばされた時間の中でベヨネッタは動いた。

 ハルバードを振り下ろした状態で固まっている人型――〝アフィニティ〟に向かって、銃を突き出した状態で突進し勢いよく突き飛ばす。

 だが、時間が遅くなっているからかあまり遠くへと吹き飛びはしない。

 

「ハァッ!」

 

 吹き飛んでいくアフィニティに銃撃を加えて近づいていくベヨネッタは、スライディングでアフィニティの下に潜り込んだかと思えば、サマーソルトキックにより蹴り上げ、空中に浮かんだアフィニティに追い付いたかと思えば、かかと落としを食らわせて頭を砕き割る。

 生命として重要な器官が潰されたことで絶命したアフィニティは血しぶきを撒き散らしながら爆散した。

 血しぶきが瞬間的に霧散し、ベヨネッタを欠片と汚すことなく、ただその場に金色に輝く輪〝ヘイロウ〟を残したアフィニティは特に何の成果もあげることなく、この世からお亡くなりとなってしまったのである。

 

「ハァ……退屈だわ。そう思わない、坊や?」

 

 今人型のアフィニティを瞬殺したとは思えない気軽さと、心底つまらないと言わんばかりに溜息を吐いたベヨネッタは、アフィニティに邪魔されるまで喋っていたジャックに問いかける。

 

「生憎のところっ……! 俺は退屈は感じてないけどっ、ハァ、鬱陶しいとは思っていますねっ……!」

 

 ジャックもジャックで、ハルバードを持ったアフィニティを両手で振るう大剣〝魔剣ファフニール〟で両断しつつ、他のアフィニティを二丁拳銃〝ストーム&サイクロン〟で穴だらけにしていく。

 だが、ベヨネッタのように余裕というわけではなく、少し、疲労の色が見えるようだ。

 

「一応言っておきますけど、俺、さっきまで()()()()の帰りだったんですけど? それなのに……有無を言わさず戦場へ強制連行。心底やめて欲しいですね」

――それは同意ですねご主人様。私としましても新しくできたご主人様と一緒に、キャッキャウフフなハンティングライフを味わいたかったんですけどねぇ……。

 

 愚痴るジャックに同意する声がどこからともなく聞こえてくる。

 

「あら? ロダンから新しいオモチャでも貰ったのかしら? それとも、ダンテからかしら?」

 

 流石にその存在を知らなかったのか、不思議そうにジャックを見るベヨネッタ。

 

「違いますよ。修学旅行の時に突然彼女に呼ばれて、ご要望通りに行ってみたら契約してくれって言われたんですよ。んで、今は魔具という形で契約しています。ほら玉藻。自己紹介」

――お初にお目にかかります。私、日の本にて悪名高い妖怪として知られておりました。〝玉藻の前〟と申します。〝九尾の狐〟と言った方が分かりやすいかもしれませんね。

 

 そう言って、ジャックは掌に赤い炎を灯らせると、狐のお面を出現させた。

 普通の人ならそれだけでも驚くのだが、さっきまでどこからか聞こえていた声が、今度はお面からしっかりと聞こえる。

 そんな吃驚仰天な現象を前にして、ベヨネッタは……

 

「へぇ……中々可愛い声をしているじゃない。ねぇ狐ちゃん、私と契約してみる?」

――すみませんが、契約するのはご主人様ただ一人とさせていただきます。それに……あなたは既にたくさんの方と契約されているようなので、私の力は必要ないかと。

「あら、フラれちゃった。ま、いいわ。坊やがいるから別に問題はないわね」

「トホホ……あの時、契約なんてしなきゃよかった……」

 

 驚くどころか契約を持ちかけてきた。

 そして、ジャックに流れ弾が当たる。

 憐れジャック。

 彼の不憫さはこれからも変わらないのであろう。

 そんな和気藹々とした会話をしている間にも、アフィニティ達〝天使〟は集まってくる。

 

「さぁて、ダンスパーティーはまだまだこれからよ!」

「畜生! デビルハンターはブラックだ!」

――行きますよ、ご主人様!

 

 ベヨネッタの宣言と共に駆け出した彼等は、各々の武器を振るって天使と相対していく。

 天使たちがこの場からいなくなるのに、そう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「陰陽師ぃ……? なんだ、今度は東洋のマジシャンたちが出てくるのかよ?」

 

 ここはBAR〝The() Gates(ゲイツ) of(オブ) Hell(ヘル)〟。

 その店内にて、ふくよかな体躯の男性〝エンツォ〟が椅子に座って、脚をテーブルに乗せながら訝しげな声を上げていた。

 ちなみにエンツォは、このゲイツオブヘルの常連で、ここに入り浸っているベヨネッタに天使関連の情報を持ってくる情報屋だ。

 

「そうなんだよ! 俺がこっちに来る前に修学旅行のバスの中で、クラスメイトの一人がそれらしきことを言ってたんだよ!」

「どわぁ!?」

 

 そんなエンツォの対面に座る話題の提供者ジャックは、テーブルから身を乗り出して興奮したように告げる。

 ジャックの勢いに押されたのか、エンツォが椅子から転げ落ちてしまった。

 

「なぁエンツォさん! なんか情報はないのか!?」

「待て待て待て! お前らがいるのは日本だろうが! ここと日本は海を跨いだ場所にあるんだぞ!」

「えぇ~!? そこはエンツォさんのコネかなんかで何とかできないのか!?」

「無理なもんは無理だ! クソぉ……! こういう無茶なことを言ってくるのがベヨネッタに似てきちまってる……」

 

 倒れたエンツォに情報はないのかと詰め寄ったジャックだったが、ない袖は振れぬもの。

 特に情報は得られなかった。

 だが、ここである人物が助け舟を出してくれた。

 

「おいジャック。確証性はないんだがな、風の噂で大陸の方がきな臭いと聞いたぜ」

「おお! さっすがロダンさん! 頼りになるぅ!」

 

 バーのカウンターでグラスを磨いていた店主〝ロダン〟が告げたことに喜色を表すジャック。

 ロダンはこのゲイツオブヘルを営んでいるバーテンダーでありながら、武器を製造・販売する闇商人でもあったりする。

 彼が作りだす武器は一級品が多く、その腕から魔界の名工、魔界のガンスミスなどと言われている、かなりすごい人……人(?)なのだ。

 

「なんでも、中国の方で魔力を大きく漂わせている人間が増えていると古い友人が言ってな、観光がてら行ってみたわけだ。結果は大当たり。ガセネタじゃなかったってわけだ」

「魔力を漂わせている人間が増えてるぅ? おい、どういうことだよロダン」

 

 ロダンから告げられた情報に、転げていたエンツォが疑問の声を上げる。

 

「どういうことも何も、そのまんまだぜエンツォ。ここ最近になって大きい魔力に目覚めるやつらが増えてきてるようだ。その所為か悪魔どもが一段と興奮してきてな。やれ、美味い餌が増えただののたまりやがって、武器を作るのにも一苦労だ」

「ハァ……あのおっかねぇ奴等が興奮してるとか、背筋に寒気がするぜ」

「悪魔が興奮してる……か。……面倒なことになりそうだな……」

 

 更に告げられたことで心底嫌な顔をするエンツォと、溜息を吐きながら椅子に深く腰掛けるジャック。

 悪魔とは、先程ジャック達が戦った天使とはまた違う存在であり、ジャックが主に相手をする存在のことでもある。

 

「もしかしたら、騒ぎに乗じて悪魔どもが現れるかもしれないかもな」

「……最っ悪だっ……! せっかくの休暇なのにぃ……!」

 

 ロダンがグラスを磨きながら言ったことにジャックは頭を抱える。

 何故なら、政府の依頼により、高い報酬+経費で落ちるという良いこと尽くしの留学かと思ったら、またも悪魔達が関わってくるかもしれないというからだ。

 ジャックは悪魔スパーダの血を継いでいるとはいえ、悪魔が好きというわけではない。

 むしろ悪魔は嫌いな部類に入る。

 なにせ、今までどんな依頼をこなしてきても、その裏には必ずと言っていいほど悪魔が関わっており、その所為で面倒事に関わらされる羽目になっているからだ。

 

「ところでジャック。帰らなくていいのか?」

「え? ……あ! そうだった! ベヨ姉さん送ってくだ……さ……」

 

 ロダンの言ったことに何かを思い出したかのような驚いた声を上げ、近くのテーブルに振り返る。

 そこにはさっきまで、ベヨネッタがくつろいでいたはずなのだが、影も形もなかった。

 

「……え?」

「おっと、置いて行かれたみたいだな。言っとくが、日本への門は開けないぞ?」

「あ~……いつものことだが、お前も苦労してんだなジャック」

 

 固まるジャックに、無慈悲な宣告を下すロダンと憐れむように目元を抑えながらジャックの肩に手を置くエンツォ。

 残念だが、ジャックは日本へ自力で帰らないといけないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところベヨネッタは戻ってこず、ジャックが〝竜魔人化〟を使って日本に帰ることになったのは完全な余談だ。

 

 

 

 

「ちっくしょ――――!!!」

 

 

 







次回も続きます。



ウマ娘始めました。(ゲームも二次小説も)



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。