ありふれぬ悪魔狩人は世界最強 アフター   作:クラウディ

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今回はジャックが、ハジメの家に遊びに行く回です。


Mission3 訪問

「ここが、ハジメの家……変わってねぇなぁ……」

 

 ジャックがハジメ達の高校に転入してから数日経った後、休日になったということでジャックはハジメの家に遊びに来ていたのだ。

 あの後、クラスの何人かとも仲良くなり、順風満帆な学生生活を送っていた時にハジメから提案されたのである。

 

「……なんでか魔王城って呼ばれてるらしいけど、まぁ関係ないか」

 

 そう言って扉のインターフォンを鳴らす。

 数秒経って、誰かが歩いてくる音が聞こえた。

 ガチャッという音を立てて、扉が開くと出てきたのは――

 

「あ~! パパのお友達なの~! こんにちわなの~!」

「こんにちわ。えっと……君はミュウちゃん…だっけ?」

 

 少女だった。

 しかし、ハジメの妹というには髪の色が違うし、そもそもハジメに妹がいたなんて話は聞いてない。

 だが、ジャックは知っていた。

 ハジメが異世界である少女と家族になったというのを。

 このことから、ジャックは目の前の少女をハジメの娘である〝ミュウ〟と判断したのだ。

 

「そうなの! 今日はパパがすごい楽しみにしてたから誰が来るのかな~って思ってたけど、案外普通そうないい人なの~!」

「普通って……一応、デビルハンターっていう仕事をやってるんだけどなぁ……」

 

 初対面で案外普通そうといわれるデビルハンターがここにいる。

 ダンテならばミュウと出会った時なんか、いきなりたかいたかいとかして遊んであげそうだが、ジャックは周りの人間が、大分イかれている人達が多かったため、まともにならないとと思い、世間一般的に言う〝凡人〟になったのだ。

 ……悪魔と戦っている時は、まさしく悪魔のような力と笑みを浮かべて殲滅するだろうが……。

 

「そんなことはどうでもいいの! 速く入ってくださいなの!」

「……どうでもいいか……フフッ……あれ? なんで泣いてるんだ俺?」

 

 どうでもいいと言われて俯くジャックの目には涙が浮かんでいた。

 子供の言葉は、時として悪魔の攻撃以上に心をえぐるものである。

 

 ミュウに案内されて家に上がったジャックはリビングに向かった。

 流石に友人の家の構造は五年前に数回入っただけとはいえ忘れていないものである。

 

「そこで待っててくださいなの~。今からパパを呼んできますなの~」

 

 そう言われてジャックはしばらくソファーに座ったまま待っていると、友人であるハジメが入ってきた。

 

「よう、ジャック。元気か?」

「ああ、さっきミュウちゃんに心を抉られたけどな……」

「それはご愁傷さまで……」

 

 ジャックの対面に座ったハジメはいつも通りの会話を繰り広げる。

 やれ、政府がうるさいだの。

 やれ、両親の嫁騒動が起きただの。

 やれ、借金が減らないだの。

 

 ……普通とは言い難い会話が続いていたが、彼等にとってはこれが普通なのだ。

 

「……さて、本題に入ろう……」

「そうだな……」

 

 何やら腕を組み、俗に言うゲン〇ウポーズをするハジメ。

 ジャックも何やら重要な話をしようとしているようだ。

 しばらく沈黙が続いた後、二人が懐に手を伸ばし、あるものをテーブルに置いた。

 

「これが例の物か……」

「ああ、俺の知っている中で一番腕のいい人に作ってもらった特注品だ……」

 

 ハジメがジャックの置いたものを手に取り、それ――自動式拳銃を眺める。

 ジャックもハジメの置いたリボルバー――ドンナー&シュラークを手に取り眺めた。

 

「……すげぇな、異世界でも見たことのない材質で出来ていやがる」

「当たり前だろ? そいつは魔界で取れた素材をふんだんに使い、魔力を周囲から取り込むことで弾丸を生成し、更に魔力を込めることで強力な弾丸を撃ちだすことが出来る特別製だからな」

「くっ! これを作った人にはどこで会える! 教えてくれ!」

「まぁ、待て。今日は他にもあるんだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃねぇか?」

 

 そう今日の用事は、二人の持つ武装についての話である。

 

 ハジメが魔道具を使い、遠くの映像を映し出せるということと、それでジャックが日本に来る前に悪魔と戦っていたというのをジャックに言ったのだ。

 その時に、ジャックの使っていた武装に興味を示したハジメと、ハジメが異世界で生み出したという兵器の類に興味を持ったジャックは、

 

「「今度見せ合おう!!」」

 

 ということに決めたのである。

 

 そして現在では、和気あいあいとした雰囲気の中、互いの武装について語り合っているのだ。

 

「……ハジメのもやべぇな……ハジメの天職…確か錬成師だっけ? 鉱物を加工できるっていう魔法が使える、ありふれたものだって……それなのにまだ成人もしてない学生がこんな化物を作り出せるってな」

「当たり前だろ? 死に物狂いで生み出し、そして最後まで戦ってくれた相棒なんだから」

「俺の知ってる限りではこんなに大事にされてるの、親父の〝エボニー〟と〝アイボリー〟しか知らねぇぞ」

「へぇ……あの人、拳銃持ってるのか」

「というより、その〝ストーム〟と〝サイクロン〟は親父のをモデルに作ってもらったんだからな」

「マジか。それもお前の言う一番腕のいい人に作ってもらったのか?」

 

 話の途中、ハジメは気になって銃の出自を聞く。

 

「いんや、俺の知り合いに〝ニコ〟って人がいるんだけど、そのおばあちゃんに作ってもらったらしい」

「……その人の名前は?」

「ニール=ゴールドスタイン……もう死んじまってるってさ」

「そうか……すまねぇな」

 

 おそらく人間であろう人物が、この化物みたいな拳銃〝ストーム&サイクロン〟の原型を作り出したことに興味がわいたハジメはジャックに聞いてみる。

 しかし、その設計者はもう亡くなっていることに落胆してしまう。

 これほど素晴らしいものの元となっているなら、それはもはや芸術品ともいえるだろう。

 

「いや、確かに残念だけど、その人の孫が遺志を継いでいるから、俺としては何でもないんだけどな。ってか、聞いてくれよハジメ! そのエボニーとアイボリーが出来た経緯が面白くってさぁ!」

「そんな面白いのか?」

「面白いんだよ! 何でも、親父がそのニールさんの店の拳銃を使ってたんだけどさ、親父が拳銃をマシンガンみたいに連射する所為で毎度ぶっ壊していたらしいんだよ! しかも、セミオートの拳銃をな!」

「はぁ!? セミオートをマシンガンみたいに撃つ!? 馬鹿じゃねぇのかそれ!」

「そうだろそうだろ! んで、毎度ぶっ壊す親父にニールさんが〝拳銃はね、マシンガンみたいに撃つもんじゃないんだよ〟って言って、そんな親父専用のものとしてエボニー&アイボリーが出来たってさ」

「はぁ~……なんだそれ。規格外にもほどがあるっていうか、そんな親父さんが使っても耐えられるものをただの人間が作り出したって言うことに驚けばいいのか……」

 

 実際、ダンテが普通の銃を使えば、一回の戦闘でぶっ壊れることになるだろう。

 他にも、アンブラの魔女と呼ばれる一族、そして、今なお天使を狩っている現代の魔女も拳銃を使っているが、よくぶっ壊すので、ジャックの銃を作ったという男〝ロダン〟の作った特注の銃を使っている。

 

「はぁ~……ん? そういや流しちまったけど、孫が遺志を継いでいるってどういうことだ?」

「そういや言ってなかったな。多分ハジメと気が合うと思うぜ。何でも〝武器アーティスト〟を自称していたからな」

「へぇ……そう言われちゃ黙っていられないな」

「ハジメもスゲェとは思ってるけど、ニコ姉は〝魔具〟も作り出したんだぜ! 魔力を持っていないのにさ!」

「魔具? なんだそりゃ?」

 

 ハジメが首を傾げていることに気付いたジャックは話始める。

 

「魔具っていうのはだな、簡単に言うと〝悪魔の武器〟なんだよ。ハジメたちに言わせてみればアーティファクトだっけ?」

「な!? マジかよ!?」

「マジだぜ。俺もニコ姉が作った魔具を持ってるし。……見せようか?」

「ああ、頼む。俄然興味がわいた」

 

 ハジメが言ったことを聞いて、ジャックは腕を光らせる。

 光が収まると、その手にはスーツケースが握られていた。

 しかし、普通のスーツケースじゃない。

 表面には溝があり、そこに光が奔っているのだ。

 

「それも魔具ってやつか?」

「そうだ。これは後で説明するわ。……え~っと確かこの辺に……」

 

 スーツケースを開け中身を探るジャック。

 明らかにそこをぶち抜いているであろう程に腕を入れてるはずなのにテーブルの下には腕が突き出していない。

 〝宝物庫〟と似たものだろうと判断したハジメは黙って様子を見る。

 やがて、お目当てのものを掴んだのか取り出すジャック。

 その手には、籠手のようなものに大きい鉤爪の付いた武器だった。

 

「お、あったあった。これがニコ姉が作った魔具〝氷爪フロスト〟だ」

「……なるほど、確かに悪魔の武器だな。これを錬成も使わずに作り出すとか意味わかんねぇ……」

「だろ? 他にも使い捨ての義手を作ったり、これとは別の魔具も作り出してるからな。ホント、六月の時には助けられたよニコ姉には……」

「で、その能力は何だ? 悪魔製の武器なんだから能力の一つぐらいあるだろ?」

「まぁ、あるよ? 冷気を発生させたり、魔力の籠った氷の礫を飛ばしたり。後、一番いいのは悪魔を凍らせられるってところかな」

 

 そう言ってスーツケースに入れなおすジャック。

 今度はスーツケースに話が移った。

 

「これは、〝災厄兵器パンドラ〟って言って、形を変えられる魔具なんだ」

「パンドラって、パンドラの箱のことか?」

「正確には、それを模してとある悪魔が作り出した人間界への侵略兵器なんだけどな。ま、親父が持ってたし、その辺は気にしない方針で」

「そうか……形を変えられるって言ってたけど、まさかあれか……?」

「ふっふっふっ、そのまさかだよハジメ君! このパンドラは持ち主の記憶を基に666の形状に変形するのだ!」

「マジか! さ、早速見せてくれよ……!」

 

 スーツケース型の魔具〝災厄兵器パンドラ〟の説明を聞いたハジメのテンションは、一気にマックスへと駆けあがる。

 だって、男の子なんだもん。

 変形は男のロマンだからね、仕方ないね。

 庭先に出たジャックはパンドラをガチャガチャと変形させていく。

 ボウガン、三連ロケットランチャー、ビーム砲、ガトリングガン、三又ブーメラン、と次々に形が変わっていくが、明らかに質量保存の法則を無視している。

 だが、悪魔の武器に常識を求めてはいけないのだ。

 

「なんか、この1個1個の形状に名前があるらしいんだけど、流石に666個も名前なんて覚えてられないからその場のノリで形を変えてるかな? ハジメも使ってみるか?」

「いいのか!?」

「当たり前だろ。これを見せるために来たんだから」

 

 ジャックからパンドラを受け取ったハジメは、一瞬、異世界の大迷宮の最後にある〝神代魔法〟を手に入れられる魔法陣の上に乗った時と同じ感覚を覚えた。

 その感覚の後、試しに形を変えてみる。

 まずは、異世界で自身を支えてくれたドンナーとシュラークを想像する。

 

「ん? おおお! すげぇなコレ!」

 

 発光し、変化したパンドラはハジメの腕を覆い、それに連結するかのようにドンナーに似た銃が手に握られていた。

 他にもいろいろ試してみると、ロケットランチャーやパイルバンカー等々、見覚えのある形に変化していく。

 

「すげぇなジャック! これ貰ってもいいか!」

「いや、流石に商売道具を渡すのはちょっと……」

 

 熱心にパンドラを譲ってくれと頼んでくるハジメに苦笑いをしつつ、やんわりと断るジャック。

 

 そんな彼らを陰から見つめる者達が居た。

 

「……ハジメ、楽しそう」

「ですねぇ……」

「っく、あれで吹き飛ばされたらどんな快楽が……」

「ハジメくん、すごい楽しそうだねぇ……」

「友達との久しぶりの再会だもの……少しはしゃぎ過ぎだけれども……」

「パパ~、ミュウも~」

「ふふ、ミュウも後で一緒に遊んできたらどう?」

「ハジメ! 父さんもそれ使ってみたいぞ!」

「うふふ、ハジメがあんなに楽しそうなんていつ振りかしら?」

 

 ハジメの嫁~ズと両親たちであった。

 

 その間にもジャックとハジメの会話は続いていく。

 

「なぁジャック。お前が乗ってたバイクはどこにあるんだ! あれも気になるんだよ!」

「キャバリエーレのことなら、ほいっと」

「うぉ~! カッケェ~~!」

 

 そうして彼等は久々の休日を楽しんだのであった。




オリジナル魔具の〝氷爪フロスト〟が出ましたが、格闘武器とは違って、出が早い代わりに、威力の軽い武器としています。

勿論基となった悪魔は、フロストです。


それと、余談なのですが、
スパーダに興味を持ったハジメ君は、二千年前のことなのに未だ目の仇にしている悪魔達と、同じくらい古い悪魔であるデモンレンジャーが今なお生きているのなら、スパーダも生きているだろうと〝導越の羅針盤〟で見つけようとしたら、誰かに両断されるような幻覚を見ました。
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