最も不器用な三冠ウマ娘   作:Patch

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違えた道

 引退は避けられない道である。これまでも、これからも、歴史を作ってきた名ウマ娘も、勝ち星を上げることができなかったウマ娘も、そのすべての競争生命は、始まり、そして終わっていく。

 その胸にどのような夢を抱いていたのか。勝利をもって、なにを成そうとしていたのか。その全てを知る由はない。いや、知るわけにはいかない。

 

 アスリートは徹頭徹尾エゴイストでなければならない。憐憫は足元を掬う縄となる。どれほどの夢を摘み取ろうとも、輝かしい未来を壊そうとも、それは脚を止める理由にはならない。

 勝者は勝者たる能力を有していた。そして敗者は勝利に足る能力を有していなかった。ただそれだけが現実として存在するのみである。

 私は幾度となく勝利を挙げてきた。この学園の改革、そして全てのウマ娘の幸福のため、走り続けてきた。

 走ることは、私たちの全てだ。草原で生まれた私たちは最も速く、そして自由に駆け抜けることができる霊長である。その喜びを謳歌できるものは私たち、ウマ娘しか居ない。

 幼い頃は、走ることが好きだった。それだけで私は満ち足りていた。吹き抜ける風を従えながら、草原をこの脚で切り拓いて進むその感覚は、何物にも替えられない至上の喜びだった。

 

 だが、いまの私はどうだろうか。三冠を果たしても尚、満たされない思いだけが募るばかりで、私の夢との乖離を見せつけられる。

 私はただ、この幸福を分かち合う友が欲しいだけだ。

 

 ミスターシービーは私の友だ。また、目標でもあった。三冠を果たし、自由に駆け抜けるその姿は誰もを魅了した。それは私も他ならない。

 何物にも縛られないその姿は、原初のウマ娘(私たち)だ。競争も、闘争もない。ただ駆け回るという幸福をその身で体現していた。私はそれを望み、成し遂げようと追い縋った。

 

 彼女が変わってしまったのは、いつからだろうか。あのとき見た彼女の顔は、忘れることなどできない。

 もしも、これは考えたくもないことではあるが、「もしかしたら」の話ではあるが、レースが彼女の在り方を歪めてしまったのではないだろうか。

 最も自由であった彼女は私たちの本来の姿を見せてくれた。走るために生まれてきたウマ娘(私たち)は、その走りでしか得られない幸福を求めて走る。

 だが、そうであるならば、彼女は泣いてなどいなかっただろう。

 

 レース場はかつてのウマ娘(わたしたち)が駆けていた草原ではない。だがウマ娘(わたしたち)はそこでしか生きることはできない。わたしたちがウマ娘であることを求められることはそこにしかない。

 

 まやかしの草原に縛り付けられたわたしたちは、幸福と言えるのだろうか。私がトゥインクルシリーズで成し遂げようとすることに意味があるのだろうか。

 そんな疑念がわたしの思考を支配して止まない。




創作意欲がない

理由

・次回作はビワハヤヒデとアグネスタキオンのレシピ付きお料理小説を予定していた。レシピを作って準備しており、あとは文字起こしのみの段階にあった。
 しかし公式がゴチウィークを開催し、超本格的な料理レシピを公開したため、単なる二番煎じどころか自分の作ったレシピがとても稚拙であり、小説の内容や発想も凡庸であるということが分かったため


・ジャングルポケット実装に伴い、上述のプロット作成と並行して処女作である『report:超光速の粒子とその行方』の再編集版の構成を練っていたところ、劇場版ウマ娘の公開が発表されたため


最も不器用な三冠ウマ娘を完結させたら当分書かなくなると思います
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