最も不器用な三冠ウマ娘   作:Patch

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パロディ多めのネタ回にするつもりだったのですが、
スインギーがいいこなので1話増えました

次こそネタ回です


甘い精算

「おやつって何円までだっけー?」

「遠足じゃないからたくさん買っちゃおう。いいよね、トレーナーさん?」

 

「んー、ああ、好きにしろ。」

 

 

 

「あれ!?でもバナナっておやつに入らないんじゃ……。」

「じゃあ今日だけバナナもおやつに入れちゃおう。特別ルールだよ。」

「やったー!!」

 

 

 スインギーは昨日のことが嘘であるかのようにはしゃいでいる。これくらいの年頃なら、思い悩むよりもこうして元気なほうがいい。

 

「ねえ!おじちゃん!」

「どうした?スインギー。」

 

「これ……、買っちゃダメかな……?」

 スインギーの手にはプラスチックのケースがある。中には小さな苺のショートケーキがふたつ入っていた。

 

「ダメだ。腐っちゃうぞ。」

「でも…、昨日……、ケーキを台無しにしちゃったから……。」

 

()()買わないからな。」

 

 スインギーは昨日のことに責任を感じているようだった。それでも俺は心を鬼にしなければならない。()()()()()()なんてことをしたら、彼女の償いではなくなってしまうからだ。

 

 

「ごめんなさい……。」

 

 思わず溜め息が出る。

 

 

「だが俺は、()()()()()()には何も言わない。プライバシーとかあるからな。」

「ぷらいばしー……。」

 

「もしもスインギーの持ち物におもちゃが入っていても何も言わない。ケーキが入っていても、俺は何も言わない。なーんにもだ。怒ったりもしない。」

 

「買っていいの!?」

「車の中ってさー、すげー退屈だよなー?あまーいケーキでも食べたいよなー?車の中でシービーにあまーいケーキでもプレゼントしたら、すごーく喜ぶんじゃないかなー?買ってすぐに食べるなら腐ったりしないもんなー?」

 

「ありがとう!おじちゃん!」

「すぐに食えよ?腐っちゃうからな。」

 

 スインギーは小走りでレジへと走っていった。

 

 

 

 

「あれ?スインギーは?」

 カゴに山盛りになったお菓子を持ってシービーが言う。

 

()()をしに行ったよ。」

 

 小さなショートケーキの値段はそれほど高くはない。

 高級な素材が使われている訳ではない。一般的な材料が使われ、保存性を高めるために砂糖が大量に入っているだろう。

 パティシエが作ったものでもない。工場のライン作業によって機械的に作られた、どこにでもあるショートケーキだ。

 味が特別良い訳ではない。悪い言い方をすれば大味で甘ったるい。ホテルのスイーツビュッフェで食べたものと比べれば数段劣るだろう。

 

 だが、そのショートケーキは彼女に買われたことで大きな意味を持った。それは値段には変えられない。昨日のケーキよりも大切なものになった。

 

 

 

 

「よし、出発するぞ!」

「はーい」

「安全運転でね。」

「ありがとうございます、先輩。」

 

 全員が車に乗った。出発する前に、スインギーに声をかけておこう。せっかく買ったのに、話を切り出せませんでした、という結果ではケーキが浮かばれない。

 

「そうだ、スインギー。シービーに渡すものがあるんだろ?」

 

「シーちゃん!これ!」

「えっ、何?ケーキ?」

 

 

「昨日、ケーキを台無しにしちゃったから……。」

「いいよいいよ。全部食べられたんだし。」

 

 

「受け取ってやれよ。謝りたくて、自分のおこづかいで買ったんだ。」

 

 

「そう言われると弱るなぁ。」

 シービーが苦笑いする。嬉しさと困惑が半分づつ混じった顔は彼女の素直な気持ちだろう。

 

 

「じゃあ、はんぶんこにしようか。一個がスインギーので、もう一個がアタシの。」

 

「食べていいの……?」

「もちろん。独り占めするより、みんなで食べたほうが楽しいでしょ?」

 

「じゃあ、みなみんにもあげるね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナーさんも、食べる?」

 

 

 しばらく車を走らせてから、後ろから声がかかった。

 

 

「じゃあ、ひと口だけ。」

「はい。」

 

 首の横あたりから細い腕が伸びてくる。白くて綺麗な指先はプラスチックのフォークを持っていた。

 

 ゆっくりと近づき、口もとで止まる。

 

 

「美味しいよね。」

「そうだな。想像以上だ。」

 

 

 ひとことで言うならば、優しい味がした。

 

 




この話でいちばん甘いのはトレーナーさんだと思うの


スインギーウォークのキャラクター像がぼんやりしているみたいなのでイメージイラスト制作に取りかかります

連載は早めに完結させたいので、イラスト完成はかなり後になるかもしれません

追記

キャラデザとか無理でしたわ…
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