病衣のまま連れて行かれたのは整形外科の検査室だった。
まずはサンダルを脱ぎ、身長を測る。166cm、前年と変わりはない。成長期が終わってしまった。もうちょっと身長が欲しかった。
そしてそのまま体重計に乗る。
ん?
もう一度体重計に乗る。
病衣が重いのかもしれない。ワンピースタイプの病衣は布面積が大きい。ポケットに何か入っている可能性も否定できない。
下着姿になってもう一度乗る。
あれ……??
マズい……。このままではプールに行けない……。これはちょっと本当にマズい……。
入院生活は案外快適なものだった。走らずにゴロゴロとしていることはなかなかに良いものだった。その結果がコレだ。
今思えば気づけないわけではなかった。脚を閉じれば太もものあたりにもっちりとした感触があった。動くたびにワキの下と二の腕がもっちりと擦れる感触もあった。
ダービーに向けて絞ったから、こうなるのもしょうがないかと思っていた。しかしこれではもっちりとしすぎている。
学校指定の水着なら体型を隠せるかもしれない。だが、それでプールに行く意味はあるのか?泳ぐだけなら、学園のプールを使えばいい。本来なら海に連れて行ってもらう予定だったんだ。せっかくならかわいい水着を着たい。
ここまでの増量はレースにも影響が出るかもしれない。予想印ももらえないだろう。勝負服が入らないかもしれない。
そもそも勝負服はヘソ出しだ。このもっちりをレース場の全員に見られてしまう。
絞ろう、絶対に絞ろう。そう思って顔を上げると、私の姿が大きな鏡に映し出されていた。
もっちりしている。全体的に丸みを帯びている。胸はデコルテ部分が少し大きくなったかもしれない。だがそれ以上に体の各部にもっちりが付着している。自慢だった腹筋のセパレーションは薄くなり、くびれも目立たなくなった。薄く浮いていたアバラ骨に関しては見る影もない。極め付けに、腰の上には可愛らしいもっちりが乗っかっていた。
頬と顎の下もやはりもっちりしている。私はこんな状態でトレーナーに会っていたのか。
何が、何が『絞ったから綺麗なうちに見てほしい』だ。絞ってももっちりしたら意味が無いじゃないか。
トレーナーはきっと、スリムだった私が時間とともにもっちりしていく様子を見て笑っていたに違いない。そうだ、絶対にそうだ。トレーナーは気の利いた言葉なんてかけられないトーヘンボクだ。
「ミスターシービーさーん?レントゲン撮りますよー?」
「あーっすみませんすぐに向かいます!」
検査技師の声でようやく現実に戻る。現実に戻っても、私の体がもっちりしていることには変わりない。
この後もレントゲン撮影やエコー検査などが行われたが、私の頭の中はこのもっちりをどうするかという問題しか無かった。
「気管支の影もありませんし、筋繊維なども至って正常です。明後日あたりには退院できるでしょう。」
医師はそう言って二枚のレントゲン写真を光るパネルの上に掲げた。気管支の白い影がなくなっていることと、ウエスト幅が広くなっていることが目についた。
やはりもっちりしている。現実は無情だ。
退院の日、トレーナーが迎えにやってきた。
「よおシービー、これ快気祝いな。」
トレーナーがまた白い箱を持ってきた。今日はタバコの匂いがしない。美味しそうなカスタードクリームの匂いがする。嬉しそうにニコニコ笑う姿がムカつく。
箱を開けると、シュークリームが入っていた。
「食わないのか?うまいぞ?」
「やめとく。」
車の中でトレーナーが言う。やっぱりコイツはデリカシーのない最低の男だ。
「プールにも行かないとな。どこ行きたい?」
「それもやめとく。」
私の反応にトレーナーが首を捻る。だがすぐに何かに気づいたようだ。
「あっ、お前もしかしてふとっ──」
「言うなバカ!!」
トレーナーは大きな声で笑った。
悔しいけど、私もつられて笑ってしまった。
笑っているうちに、どうしてこんなに体重を気にしていたのか自分でもよくわからなくなってしまった。
「練習すれば体重も減るだろ、ここから追い込んでいくぞ。」
「うん、よろしく。トレーナーさん。」
結局、ふたりでシュークリームを食べた。
ガッチガチに仕上がった現実の競走馬
死ぬほどカッコよくて好きです
春天のライスシャワーの腹部とか
マジで細くて筋肉しか無くてびびる
引退してもっちりした現実の競走馬
めちゃくちゃ可愛くて好きです
メジロドーベルやメイショウドトウ
あとグラスワンダーとかのんびりしてる姿が可愛い
もっちりしてて、表情も穏やかで
健康的でかわいいんだよな