秋の空は急速に姿を変える。その様はわがままな女に例えられることもあり、シービーの振る舞いにもよく似ていた。
彼女の好きな雨が、パラパラと振り始める。
秋雨は、春の雨よりも冷たい。
「どういう……、ことなんですか……。シービーには、あの三冠がかかっているんですよ……?」
「あの『神に讃えられたウマ娘』を超えるかもしれない逸材なんですよ……?」
「URAのスローガンにだって、『あいつを超えろ』ってあったじゃないですか……。」
「俺は、あいつと一緒に走ってきたんです……、あいつのおかげで、立ち直れたんです。ゼロからのスタートを切って、ここまで来たんです……なのに……なのにどうして!!」
女心はわからない。俺はいつだってシービーに振り回されていた。ケーキも買ったし、遊園地にも行った。寂しくないようにと、毎日見舞いにも行った。
それもこうして、全てひっくり返されてしまう。
「私にも、知らされていませんでした。これが出た際に反対したのですが、そういった権限もなく……。」
たづなさんが伏し目がちに答える。
たづなさんはひとりの秘書でしかない。決定権が無いのも、当然のことだ。
「これをお請けすることはできません。理事長にお返ししてきます。」
「私にも同行させてください。」
理事長室の扉は重く閉ざされている。ノックをしても響くような音はしない。
乾いた樫の木が3回鳴ると、その内側から声がした。
壮齢の女性が大きな机を前にして座っている。彼女がこのトレセン学園の理事長であり、名前を秋川と言う。
「ようこそいらっしゃいました、トレーナーさん。ごゆっくり、くつろいで行ってください。」
そう言った彼女の前髪は過労からなのか、ウマ娘の流星のように一部が白くなっていた。
「まずはグレード制の導入の可決、おめでとうございます。」
威圧感に体が震える。理事長は今でこそ柔和に笑っているが、トレセン学園の舵取りを先頭に立って行ってきた女傑である。
彼女の決定ひとつで、俺の首が飛ぶことすらあり得るのだ。
「トレーナーさんにお褒めいただくことではございません。ウマ娘が走り、トレーナーが支える。私どもはその環境を善くしていくことこそが使命であり、グレード制の導入は私の悲願でもありました。生徒会の後押しもあり、実現に至ったということです。これからは興行、技術ともに更なる飛躍を遂げるでしょう。」
「では、この決定はどういった経緯なのか、ご説明願えますか。」
封筒を差し出すと、理事長はそれを予期していたかのように、小さく笑った。
「日本は未だIFHGAの格付けにおいて、パートⅡ国となっています。グレード制と言えば聞こえはいいですが、国際グレードではなく、当面の間は独自グレードによる格付けが行われます。」
「そこで、優秀なURA職員を海外に派遣し、得られたデータをもとに早急に国際グレードの獲得を進めるということが決定致しました。」
「我が学園からはあなた、そしてもうひとり、カノープスの正トレーナーがアメリカへ渡ることが決定致しました。栄誉ある職務にふたりも選出されたことを、私は誇りに思っています。」
「お褒めの言葉、誠に恐縮ですが、これをお請けすることはできません。」
腹に力を込めて言葉を発する。すると、強風が吹いたかと見紛うほどの威圧感とともに、紺碧の眼光が俺を睨んだ。
「
「いいえ、
柔和な笑顔はそのままで、理事長がそう言った。
なんか最近すごいUAとお気に入り増えるけど何があった?