最も不器用な三冠ウマ娘   作:Patch

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樫のように堅く

 鈍色の目が光り、俺を見る。

 獣のような目であった。

 

 

 

「どういう意味ですか……。」

 

 

「そのままの意味です。」

 

 

 

 理事長は微笑みを浮かべたまま続ける。

 

 

 

「貴方ほどのトレーナーが、ひとりのウマ娘に悩まされることはありません。BHGAが貴方に興味を持っているのです。これは栄転でもあるのですよ。」

 

 

「しかし、ミスターシービーには三冠が──」

 

 

 

「ご理解頂けていないようですね。」

 

 

 

 

「貴方にも、自覚があったのではないですか?」

 

 

彼女(ミスターシービー)にふさわしいトレーナーになれていないと、そう思いませんでしたか。」

 

 

 

 

「貴方は彼女にふさわしいトレーナーではないのです。」

 

 

 

「貴方はこのトレセン学園を導いていく逸材なのです。ひとりのウマ娘に才能を潰されることなど、あってはなりません。」

 

 

 

「ミスターシービーを想う心が、いつか貴方の道を閉ざします。トレーナーとウマ娘は一時的な契約に過ぎません。しかし貴方には、その先に未来がある。」

 

 

 

 

 確かにそうだ、俺はシービーについて知らないことが多すぎた。そのせいで、彼女をあんな目に遭わせてしまったのかもしれない。

 理事長の言葉は正しく、的を射るようなものばかりだった。しかし、俺には何よりも譲れないものがあった。

 

 

「確かに、俺はシービーにふさわしくないかもしれません。でも、アイツの未来はどうなるんですか!菊花賞は!」

 

「シービーはいつも楽しそうに走るんです。俺はそれを曇らせたくはない。自由に走ることが、シービーの幸せであり、夢なんですよ!」

 

 

「俺は、アイツの夢を叶えさせてやりたいだけなんです。シービーは俺と契約する時に言いました『トレーナーさんとならもっと、面白いものが見られる』と。」

 

「俺は、もっとシービーに面白いものを見せてやりたいだけなんです……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならば、どうして先行策を取らせないのですか。」

 

「貴方は彼女(ミスターシービー)に、()()()()()()()()()()のですよ。」

 

 

 

 そのひとことは重く、それでいて鋭かった。俺の心を折るには十分すぎるそれを、理事長は俺を見もせずに言い放った。

 

 

 

「雨が強くなってきましたね。」

 理事長はカーテンを閉めながら言う。

 

 

 

「理事長、貴女は……、シービーの何を知っているのですか……。」

 

 

「今の彼女(ミスターシービー)では、力を付けたカツラギエースを前にして勝つことはできないでしょう。良くて入着といったところでしょうか。」

 

 

「シービーの想いも、何も知らないで……。」

 

 

 俺が呟いた言葉を、理事長は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

「いいえ、知らないのは貴方、トレーナー自身よ。」

 

 

「走るという悲しみも、ターフを去るという安堵も、貴方達には分かりはしないわ。」

 

 

 

「猶予はあります、それまでは職務に励むように。」

 

 

「下がりなさい。」

 

 

 

 その声は静かでありながらも彼女自身の堅い意志がこもっていた。

 

 俺は、言われたままにその部屋を立ち去ることしかできなかった。薄暗い部屋の中で見た彼女の顔は、悲しみを帯びているようにも見え、額の白髪はウマ娘の流星のように白く光を反射させていた。

 

 

 

 







ランキングに乗ると低評価つけられるよね


もっと高評価いれて褒めて
心折れるわー


コメント書くと限界オタクの激重返信が来るぞ!
いっぱい書いてくれ!
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