:磁力怪獣 アントラー 登場
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――エリアS-市街地-――
誰も居ない深夜の街にはフードを被ったベレトがチェーンが巻かれ鍵がかけられている、ぶ厚い本を持ちながら歩いている。
「さて…ここら辺で良いでしょうか。」
南京錠の上に手をかざすと、術式が浮かび上がりガチャりと音を立てて鍵が開く。中にはかつて幾多のウルトラマン達を苦しめて来た怪獣や宇宙人が描かれ、その能力や戦術、更には死因さえもが事細かに書かれている。
「ふぅむ…どれにしましょうか。ゴモラに匹敵するような怪獣…グランドキングなんて良さそうですが、余りに生贄が多すぎますし……」
ペラペラとページをめくっていると『ある怪獣』に目が移り手が止まった。
「『磁力怪獣 アントラー』ですか…太古のバラージを滅ぼしあのウルトラマンのスペシウム光線を受け付け無かったと。イイじゃないですか!弱点のバラージの青い石はもう存在しないみたいですし、苦しませる分には丁度良さそうです。フフフフ…」
不敵な笑みを浮かべアントラーの描かれたページを破り地面に貼り付け再び手をかざす。今度は手に紫色のオーラが纏い呪文を唱え始める。
「レェガミヨ ヨウュジイカノチ! アントラー!!」
貼り付けられた紙は紫の閃光が走り砂となり消えた。
………………………………………………………
久しぶりに夢を見た。
ある日お父様が私に青い石をくれた。その時の夢だ。
『バラ――』と呼ばれた古代の国に伝わる、ノアの神から頂いた石。その石はとある戦いで使われ、もうこの世から無くなっていたはずが怪獣の残骸から欠片が発見されお父様はその一部を頂いて来たらしい。私はその石を貰ってから人生が変わった気がした。
目を覚まし青い石のネックレスが飾った石の台座を見たその一瞬だけ、石がキラリと光った気がした。
………………………………………………………
――エリアS-市街地-――
午前7時、エリアSの市街地にて巨大な蟻地獄が出現。それと同時に大規模な通信障害が発生した。GUYSは市街地に急行。そして砂塵の竜巻と共に市街地に出現したアントラーの対応に追われていた。
「コイツ…硬すぎる!それに対策を聞こうにも通信が繋がらない!」
ガンガルーダに搭乗し攻撃を続ける龍也達はアントラーの強固な甲殻に殆どの攻撃が通じず苦戦していた。
「(…アン…ラーの磁力…線の影響で……ほぼ全ての電…機……使い……なり……ん!)」
恐らく日佐人と思われる声が途切れ途切れにフェニックスネストから通信が入る。だが超高性能なGUYSの通信も使い物にならない程だった。
「くそっ!こうなったら!」
右手にブレイブレスが出現し光のウルトラストーンを填めクリスタルサークルを回転させる。
「ブレイブゥゥゥゥウ!!!」
光のオーラが龍也を包み込み、光の玉に変わりアントラーの目の前に急降下。中からウルトラマンブレイブが出現しアントラーに立ちはだかった!
――ディレクションルーム――
「ブレイブだ!」
「よし!これで…」
茜と日佐人が歓声を上げる。日佐人に関してはブレイブの登場で安心しきっていた。
「キシャァァアァア!」
「セァァアァ!」
アントラーは雄叫び上げながらブレイブに向けて突進していく。それに対してブレイブも駆け出す。互いが衝突する直前ブレイブは大きくジャンプしアントラーの頭上を飛び避けると後ろに回し蹴りを繰り出しアントラーを蹴り飛ばした。
「キシャォオォオ!」
一瞬怯んだアントラーは雄叫びを上げるとブレイブに向けて砂ぼこりを吐き出しながらブレイブを痛めつけドンドンと後ろに引き下がらせていく。そのすぐ後ろにはアントラーが作り出した蟻地獄が。
「セアッ!?」
右足が沼の様に緩んだ地盤に足を取られ、左足も埋まり次第に中心へと引きずり込まれ身動きが取れない。その一瞬の隙を突き、地面に潜ったアントラーはブレイブが捕まっている蟻地獄の中心から飛び出し巨大な顎で脇腹を挟んだ。
「ブレイブを援護する…」
「ブレイブ!今助けるわ!」
ガンブレイカー、ガンバスターの両機が捕らえられたブレイブに近づきアントラーにアルタードブレイザーとバリアブルパルサーで攻撃を繰り出すも、やはり効いている様子は無かった。
――ディレクションルーム――
「なんで攻撃が通用しないんだ!?」
ブレイブが登場した時は余裕そうだった日佐人の顔も今では、必死に弱点を探す焦り顔に変わり果てていたのだった。大吾も仲間達の無事を信じ定点カメラの様子を見ている。
――エリアS-市街地-――
今なお、脇腹を挟まれ続けているブレイブ。カラータイマーがピコンピコンと赤く点滅を始め力がドンドン抜けていく様に感じる。
「シェアァ……」
ウルトラマンの姿で闘えるのは約3分間、その短い時間の中で命を削りながら敵に立ちはだかる。3分というが実際に計測すると時間帯や状況、ウルトラマンの容態によって3分きっかりの時もあれば4分、2分30秒などとバラバラ。結局は精神論で、『誰かを守る』『この星を護る』その様な気持ちでウルトラマンは闘うんだ。
「…僕達は負ける訳にはいかないんだ…!」
「ハアァァァァアア!!!」
強固に挟まれたアントラーの顎を鷲掴みにし気合いと根性で少しの隙間を空け、蟻地獄から脱出する。蟻地獄の向かい側に着地し膝を付いてしまう。その姿勢を保ちながらブレイブレスを横に引き両腕にエネルギーを貯め両手を十字に組みブレイブシュートを最後の力を振り絞り放つ。だが胸部に命中し爆発するが効いている様子は無かった。
――ディレクションルーム――
「そんな!?」「ブレイブシュートが効かない!?」
驚きの声を上げる茜と日佐人、苦虫を噛み潰したような顔をする大吾。
――エリアS-市街地-――
「キシャァアァア!!」
アントラーは勝利の雄叫びを上げ蟻地獄の中に潜ると蟻地獄は無くなり電波障害も徐々に消え始めた。そしてブレイブも光に変わり消えた。
――ディレクションルーム――
アントラーが消えて四時間が経った。GUYSは再びアントラーが現れた時の対策ミーティングを開いていた。
「機体の攻撃がアントラーに通用しなかったのはやっぱり磁力光線の影響なのか?」
「はい。これを見て下さい。」
煉の質問に答える様に日佐人は自席のコンピュータを操作しモニターに映し出す。そこに映し出されたのは過去のアントラーの情報だった。
「アントラーは過去にドキュメントSSSPに記録されている磁力怪獣と呼ばれる怪獣です。この発達した顎から磁力光線を放って攻撃の威力を弱めたり攻撃の向きを変更させているんです。」
「でも、それって発射された物に鉄とかが含まれてた時だけじゃ無いの?」
(「確かにそうだ。バリアブルパルサーもアルタードブレイザーもどちらも粒子砲のはず…なんでだ?」)
龍也もそう考えたその時。
「その通りです!!」
と日佐人は咲に対して指を指し今回の戦闘データを開き、モニターの表示を変更してその疑問に対して答え始めた。変更されたモニターにはアントラーの周りに水色のドーム状の物とアントラーの顎から虹色の放射されている物が。恐らく虹色の方が磁力光線なのだろう。
「このアントラーが放射している虹色の物を見て下さい。アントラーの磁力光線は普通の磁石とは違い、人の鉄分まで寄せ付けてしまう程です。奴は機体を引っ張り攻撃の向きを変更していたんです。」
「次に水色ドーム。これはアントラーが出現した時からあったもので、電磁パルスの様な役割をになっていて攻撃が当たる直前で分子を分散させていると考えられます。」
「だから電子機器が使えなくなったり攻撃が通らなかったりした訳か…言うなれば見えない壁だな。それで、対策方法は?」
「はい。それが…」
日佐人は言いずらそうに考え込み、2分程考えた後踏ん切りを着けたのか申し訳無さそうに話し出した。
「無いんです。」
その一言は周りのメンバー達を震撼させ、それと同時に落胆させてしまった。そんな様子を見ながら日佐人は話を続ける。
「厳密に言うと無くなったんです。アントラーは約5000年前の地球でも1度観測されていて…その時は『バラージ』と呼ばれる町がアントラーに襲撃を受けました。」
日佐人はモニターにバラージの情報を表示しながら、バラージの歴史を語り出す。
「アントラーに襲われ壊滅の危機に瀕しましたがその時戦ったのが『ノア』と呼ばれる光の巨人。その巨人が残して行った物が『バラージの青い石』と呼ばれた石で、その石は二度目に出現した時に投擲されアントラーを倒しているんですけど……」
「バラージ…青い石…」
咲はその二単語に違和感を覚え、その二単語についてを考え込む…そうしていふと見覚えのある場所がパッと思い浮かんだ。自分の部屋だ。それもお父様から頂いた青い石のネックレスが飾ってある石の台座を。
「私、持ってます!バラージの……青い石!!」
「えぇっ!?」驚く一同。
咲が自室に戻り青い石を持って帰ってくると自慢げに青い石を周りに見せつけ、日佐人は覗き込むと衝撃を受けた様子で咲に尋ねた。
「これ…ほんとにバラージの青い石…なんですか?」
「お父様から頂いたんだから、本物に決まってるでしょ!?」
疑惑の目を向けられた咲は機嫌が悪くなり、日佐人に怒鳴りつけた。突然怒鳴られた日佐人は理不尽さに悲しみながらもそのまま続けた。
「もし、これが本物の青い石だったとしてもこれじゃアントラーを倒す事は不可能です…はい……。」
その言葉に皆が黙りこんでいるとその沈黙を破るかの如く甲高いサイレンが鳴り響き日佐人がすぐにチェックし内容を報告する。
「エリアJの平原に巨大な蟻地獄が出現!恐らく、アントラーのものと考えて間違い無いでしょう。」
「対策法を考えている時間も無いか……煉と咲はガルーダ!龍也はバスター!日佐人と私はブレイカーで出撃!茜はここから我々のアシストを頼む!」
『GUYS!SALLY GO!!』
『GIG!』
全員がディレクションルームからドックに向かい、各機に乗り込む。それと同時に煉が通信を通して口を開いた。
「それで、作戦はどうします?」
「磁力光線はアントラーの二対の顎の間から発せられています。どちらか片方の顎を折ることが出来れば厄介な磁力光線は使えなくなる事が分かりました。」
日佐人が過去のアントラーのデータを再確認していたら、たまたま戦闘データが見つかり調べていたのだ。
「そうだな…バスターとブレイカーで奴を翻弄しその隙をガルーダのスペシウム弾頭弾で片方の顎を折る。これでいくぞ!」
「GIG!」
そうこうしている間に出撃準備が完了したようで、GOサインが出る。
「ガンストライカー バーナーオン!!」
「ガンブレイカー バーナーオン!!」
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─アーカイブドキュメント─
「磁力怪獣 アントラー」
身長:40m 体重:2万t 出身地:エリアS
ベレトが禁書を使い蘇らせた怪獣。蘇らせただけなので原種と性能面と弱点は何も変わっていない。