一スレ目 裏 その5『元自宅警備員の勇者と、中二病な女神』
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「なるほど……突然あたりが真っ白になり、気が付いたらここにいたと。で自分の国に早く帰りたいと。たぶんですけど、しばらくは帰れないと思います。あなた異世界に転移しちゃったみたいなので」
はい、勝ち確イベント入りました。
疑ってないどころか、少し同情してくれている。
ゆうのちゃん結構中二病入ってる感じですね。
卒業途中なのか、卒業し損ねたのかはわからないけど、現中二病ってだけで成功率が違う。
というかたぶん中二病以外には通用しない。
「帰れない? 異世界転移? 一体どういうことですか」
俺はそんなもの知らないし、よくわからない、そう異世界の勇者はこれでいいのだ。
ここで徹底的に印象付けておけば、後でいくらぼろを出しても許される。
逆にここで違和感を持たれるとアウトだ。
第一印象を覆す手間は半端ではない、そして完全に覆すことは不可能だ。
ソースは中学時代の俺、3年になり中二病から卒業したがもはやどうすることもできなかった。
学年で俺=中二病の図式が成り立っていて、俺は中二病だと思われたまま卒業した。
「えーと……わかりやすく説明すると、あなたの元居た世界とは違う世界に来ちゃったんだと思います。ありえないことじゃないですけど、かなり珍しいことですね」
何がありえないことじゃないけどかなり珍しいだ、100%ないよ。
もし異世界に行けたり異世界からこの世界に来れたりするんだったら、世間に知れ渡ってるはずだ。
まあ、火のないところに煙は立たないともいうし、異世界系の作品が多い以上何かあるのかもしれないが。
でも童貞が魔法使いになる国のことわざだし、あまりあてできるものではない気もするが。
「違う世界、帰れない、そんな……」
顔は斜め下を向き、できるだけ寂しそうに、悲痛そうに、絶望した演技をする。
ここ数日ずっと感じてた感情だ、完璧にできている自信がある。
こんなもんでいいか。
元の世界に帰れなくなったかわいそうな勇者はこれで完成だ。
「何か魔法で元の場所に転移できたりしないんですか?」
おっと、そうだった。
これもはっきりさせておかないと。
「さっきからいろいろ試してはみてるんだけど……たぶん世界が変わった影響で、魔力がないのか質が違うのかまったく魔法が使えなくて。魔法さえ使えれば……」
使えないものは使えない。
世界が変わって魔法が使えなくなる理由は知らんが、なんか使えなくなだよ。
これならなら、魔法を使えるようにし元の世界に戻るというお手軽目標もセットで作成できる。
なんで使えなくなったのかもわからない魔法を使えるようにするなんて、はたから見たら努力してるのかどうかさえ分からない。
「そう……」
がっかりしてる。
そうだよね異世界の勇者なら魔法期待しちゃうよね、でも無理なものは無理なんだ。
「そうだ、どうせ行く当てもないんですよね。よかったらうちに来ませんか? 異世界の魔法のこととか、ほかにも異世界のこといろいろ興味あるりますし。それに魔法が使えるように私が協力します!!」
キターーーー!!
うちに来ない来ました。
でも、ほんとに大丈夫なのだろうか。
両親は娘が連れてきた得体のしれない男を家においてくれるのだろうか。
かなり絶望的な気がする。
でも、希望の光にすがるぐらい許してくれ。
今はただうまくいった、よかったこれでホームレスも終わりだ、そう思いたい。
安心したら足に力が入らなくなって、地面に座り込んでしまう。
「大丈夫ですか!? どうかしましたか?」
やけに心配してくれるな。
少し罪悪感が、いやでも生きるためだし、それにこの子に夢も見せてるわけだし。
そう、これはウィンウィンの関係だ。
そういえば、俺の体力のなさは勇者にしては怪しいかもしれない。
これは弱体化フラグを立てるべきだな。
「この世界に来てから体が重くて、安心して力が抜けたら……」
ほんとニートにも務まる簡単な仕事だな、異世界から来た勇者は。
これいくつかの作品の主人公、実は自分が勇者だと思い込んでるだけのニートなんじゃないのか?
「体が重い……重力が違うのかしら」
あ、そっち?
弱ってることさえ分かってくれれば、別に何でもいいけどね。
とにかくこの子の家にダメもとでもいいから行ってみないと。
おら、足動けや。
せっかくつかんだチャンス無駄にする気か?
「いろいろあって疲れてるでしょうし、ちょっと待っててください。いま迎え呼びますので」
え、そこまでしてくれるんすか。
あなたは天使ですか。
たとえ両親に断られたとしても、ゆうのちゃんのやさしさを糧にしばらくは生きていける気がする。
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