自宅警備員をクビになったので、勇者に再就職する。   作:哀上

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二スレ目 裏 その2 『元ヒキニート、女子高生の家にお邪魔する』

 二スレ目 裏 その2 『元ヒキニート、女子高生の家にお邪魔する』

 

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 車に揺られること十数分、

 

「リョウさん、ここです」

 

 ゆうのちゃんの自宅に到着したらしい。

 

 この十数分は結構きつかった。

 ゆうのちゃんと運転手さんは会話のない空間にある程度なれているのかもしれないが、そもそもの対人経験の少ない俺にとってかなりの苦痛でしかなかった。

 

 車が止まった家は、想像以上に普通の一軒家だった。

 

 庭付きの一軒家。

 友達の家がこれだったら多少大きいなとは思うかもしれないが、お金持ちのお嬢様が住んでいるような家には到底思えない。

 高級車に乗っていたし運転手もいるぐらいなんだから、もっと豪邸のような場所をイメージしていたのだが想像とはだいぶ違った。

 

 さて、気合を入れねば。

 ここからが、最大の難関だ。

 俺のこれからの人生がかかってるといっても過言ではない。

 

 俺はこれまで一度も就職活動なるものをしたことがないが、今回のこれは初の就職活動と言えるかもしれない。

 

「ここが、ゆうのさんのご自宅ですか」

 

 ずばり、両親の説得である。

 

 自宅の警備に当たるのに両親の許可は必須。

 ゆうのちゃんは興味を示してくれているので、勇者設定でこのまま押し切ってしまいたいが、親相手にこの設定は通用するのだろうか?

 

 それが心配でならない。

 

 金持ちのお嬢様のご両親。

 とんでもなく金持ちなのであろう。

 うまくいく気がしない。

 

 でも、やらねばならない。

 そう、人生をかけて。

 

「ようこそわが家へ」

 

「お、お邪魔します」

 

 ゆうのちゃんに案内されて家の中に入る。

 

 女子高生の家、学生時代ですら女の子の家に行くことなんてなかったのに、まさか自宅警備員になってから行く機会が出来るとは思いもしなかった。

 外見は普通の一軒家だったが、中に入ると少し雰囲気があるな。

 何というか、上品とでもいうのだろうか。

 少なくとも庶民の家とは違う雰囲気を感じる。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」

 

「そ、そうですかね」

 

 いや、無茶言わないでよ。

 普通に緊張するよ。

 

 でも、勇者は緊張しないのか?

 勇者らしくないかもしれない。

 

 勇者らしいこと……

 

 目の前のツボ勝手に割ったら怒られるかな?

 

 ……やめとくのが賢明だな。

 

 それより、

 

「すいません。お世話になるので家主の方にご挨拶させていただきたいのですが」

 

「家主に?」

 

 え?

 なぜ疑問形?

 

「あ、はい。ご両親の方にご挨拶をと」

 

 普通に世話になる前にご両親に挨拶するよね。

 マナー的には何もおかしくないし、異世界でも多分違和感ないと思うんだけど。

 

「ああ、そういうことですか。この家にはいませんよ、この家は私の家ですので」

 

「え!?」

 

 ?

 家に両親がいないとは??

 

 この家が、ゆうのちゃんの家?

 それってゆうのちゃんの家族の家ってことじゃなくて、文字通りゆうのちゃんの家ってこと?

 

 マジっすか。

 金持ち過ぎでは?

 

 でも、それはラッキー。

 最大難関が勝手になくなってくれた。

 ゆうのちゃんにはかなり信じてもらってるし、これは勝ちかくやな。

 

 警備先決定!!

 

「珍しいかしら? 日本じゃちょっと珍しいかもしれないですけど、異世界だと成人の年齢低そうだし、私ぐらいの年でも立派に独り立ちしてそうなものですけど。この家はもちろん使用人とかも全部私が雇っているので、本当になのも気にしなくて大丈夫ですよ」

 

「あ、いや……」

 

 まずい!!

 

 ぼろ出した。

 そうだよな、イメージ的に異世界ならこの年で独り立ちしていても何もおかしくない。

 そう思ってると思ってゆうのちゃんもわざわざ言ってこなかったのか。

 

 何が勝ち確だ。

 思いっきりピンチじゃねぇか。

 

 やらかした。

 余計な藪突っついたせいで蛇が……

 

「あ!」

 

「え?」

 

 終わった?

 もしかして、勇者人生終了?

 

「ああ、いえ。そういえば家の中では靴を脱ぐようにと言うの忘れてしまったと思いまして。でも、普通に脱いでますね?」

 

「ああ、この世界では家の中では靴を脱ぐものなのですね。ゆうのさんが靴を脱いでましたので、この部屋は特別土足厳禁な場所かと思ってました」

 

 あっぶねぇ~

 一瞬気づかれたのかと思った。

 

 でも、またぼろを出したきが……

 

 勇者設定がガバガバすぎる。

 これは何とかしないと、ばれるのも時間の問題だぞ。

 

 しかも、とっさに余計な設定プラスした気がするし。

 

「そういう場所もあるのですね」

 

「ええ、特に宗教での重要な場所などは。服の着用すら禁止される場所も多いとか」

 

 それにしても、ゆうのちゃんなんでも信じるな。

 ここまで純粋無垢で、そのうえかなり自己裁量権があると詐欺にでも引っかかりそうで心配なんだけど。

 

 まぁ、現在進行形でだましてる奴のセリフじゃないかもしれないけど。

 

「なるほど。ある意味では、ここもそういう場所と言えるかもしれないです」

 

 そういう場所と言えるかもしれない?

 パワースポット的な?

 

 それは……自宅をパワースポットという設定にしている厨二あるあるなのか、それとも財力でパワースポットに無理やり家を建てたのか。

 

 何か、後者な感じがして怖いんですけど。

 

 これ、ばれたらどうなるんやろ。

 厨二の妄想をもてあそんでたことがばれたら、なんか想像を絶する地獄が待ってそうな予感。

 

 8のつく自由業の人とかと繋がりありそうだし。

 

「少し準備してくるから、ここで待っててくれますか? ゆっくりくつろいでくださいね」

 

 おそらく客室であろう場所に通された。

 今のうちに、設定煮詰めてのちの厨二談義に備えなければ。




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