自宅警備員をクビになったので、勇者に再就職する。   作:哀上

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二スレ目 裏 その6 『女子高生の私室とガバガバな異世界設定』

 二スレ目 裏 その6 『女子高生の私室とガバガバな異世界設定』

 

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「どうぞ、こちらの部屋です」

 

 車を運転していたのとは別の使用人に案内されて、扉の前に案内された。

 ここはゆうのちゃんの私室らしい。

 使用人は入ることはおろか扉を開けることすら許されてないらしく、俺を案内するとそのまま立ち去ってしまった。

 

 こんこん

 

「リョウさん? どうぞ、入ってください」

 

 女子高生の家というのも心躍るものがあるが、私室となるとさらに特別なものを感じるというのは男のさがではなかろうか?

 まぁ、妹がいたので現実というのがある程度残酷であるというのは理解してるつもりではあるが。

 

 扉を開けると、部屋云々以前にゆうのちゃんの姿が目に飛び込んできた。

 

 和服だった。

 十二単ほどではないだろうが、それでもかなり着込んでいるように見える。

 準備と言って結構時間が空いたが、おそらくこれの着付けをしていたのだろう。

 

「似合ってます?」

 

 そう言って首を傾げた。

 

「ああ、似合っていると思う」

 

 間違いなく似合っている。

 見入ってしまう程度には似合っていて、そしてどこか自然な感じを受けた。

 

 おそらく普段からよく身に着けているのだろう。

 現代人がたまに着物を着ると起こる、着ものに着られている感というものがない。

 

 運転手付きの高級車や自分の家というのを聞いて、何となく金持ちのお嬢様なんだななんて感想を抱いていたが、着物を着たゆうのちゃんを見ると理屈なく自然と納得できる。

 所作とでもいうのか、育ちの良さというものをこれでもかと感じる。

 

 同じ人間でも、育ちでこれほど差が出るのか。

 これまで見たことのある女性たちとは大違いだった。

 本来は、俺が会話することすら敵わない立場の人間なのであろう。

 

 着物姿から見るに、古くからの由緒ある家系の娘といった感じだろうか。

 貴族のようなものだろう。

 

「そうですか? ほめてもらえると嬉しいですね。これはこの国の正装なんです。これから大事な話をするので、正装の方がいいと思って」

 

 正装……

 

 日本人が洋服を着るようになってかなりの年月が経ったと思うが、これは中二病のせいで言っているのか本気で言っているのか判断に迷うものである。

 この雰囲気からして普段正装として身にまとっていても何ら違和感はないが、中二病が起因して着続けていたとしても違和感ない。

 

 使用人がこの部屋に入れないのもそのせいかもしれない。

 雰囲気のある和室に和服を着た少女というこれだけ聞けば何も違和感ないが、それが現代日本の普通の家の中にあると思うとものすごい違和感である。

 

 ここは、もしかしたらゆうのちゃんの秘密基地のようなモノなのかもしれない。

 

「改めて自己紹介をさせていただきます。松影家長女松影ゆうのです」

 

「ゾデコ教勇者リョウです」

 

 松影家。

 どこかで聞いたことがあるような気もするが、気がするだけで特にピンとこない。

 まぁ、普通に生きてて権力者の名前を気にする機会なんてないのだし当然だろう。

 

 総理大臣ぐらいならわかるが、官房長官や副総理はわからないなんて人も多いだろうし、他区の1国会議員とかになればさらに認知度は下がる。

 選挙で決まり積極的に名を売っている権力者でさえこれなのだ。

 積極的に表に出る必要のない権力者の名前など、興味をもって調べてでもいない限り知る余地はないだろう。

 

「車の中では詳しく話せなくてごめんなさい。見知らぬ世界にきて、いろいろと知りたいことがあるでしょう? なんでも聞いてください」

 

 そう来たか。

 

 正直、何聞いていいのかわからない。

 というか、俺の興味は完全にある意味での別世界、上流階級に引っ張られてるので質問の趣旨がぶれて違和感持たれる予感しかない。

 

「正直、気になることだらけで何から聞いていいやら。ゆうのさんはこの現象をご存じのご様子、ある程度の当たりはついているのでしょう? 疑問がある程度形になったら、こちらから質問させていただきます」

 

 ならまだ、聞かれて答える方が楽だろう。

 これら、相手が疑問にも思っていない余計なことしゃべって設定の破綻に気づかれる心配も減る。

 

 それに、お互いに日本のことに話したところで面白くもなんともないだろう。

 俺はすでに知っている日本のことを延々と聞かされ、ゆうのちゃんは日本について何も知らないやつに1から説明するという地獄を見る羽目になる。

 

 それならまだ異世界について話した方がいい。

 俺は設定考えながら話すせいで苦痛ではあるが、それは日本について疑問を投げかけるのでも変わらない。

 それなら、まだゆうのちゃんがたのしめる方がいいだろう。

 

「そうですか?」

 

 俺に人の心がわかる特殊能力なんてものはないが、これはわかる。

 誰から見てもうれしそうである。

 

「それでは、あなたが元居た世界はどんな世界だったのですか?」

 

 どんな世界……

 

 世界観の設定か。

 それはもちろん王道の中世ヨーロッパ系ファンタジーなんだけど、中世ヨーロッパとか言ったら完全に日本人だし。

 どう説明したものか。

 

 世界がどんなものか、世界……

 

 その世界に住んでる人からして、世界ってどういうものなんだろうか?

 俺から見て、この世界ってなんだ?

 日本をほかの国と比べたことはある。

 現実をゲームと比べたことはある。

 

 でも、ほかの世界というのを知っているわけじゃないし、あるのかもわからない。

 そんなものと、この世界そのものを比べたことなんてないな。

 

 わからん。

 どうこたえるのが……

 

 ない、ないか。

 それでいいじゃん。

 

「どんな世界か、難しい質問だな。今はほかの世界にいるとはいえ、ほかの世界があるなんてついさっきまで知らなかったから。世界がどんなものかなんて考えてこともなかった」

 

 それっぽくね?

 




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