二スレ目 裏 その8 『中二少女は魔法使い 後編』
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「実は私、魔法使いなんです」
ですよねぇ、知ってた。
それ以外ないよね。
魔法使い(中二病)を騙す魔法使い(30童貞)、地獄かな?
「そうだったんですね。魔法が隠された世界で魔法使いの方に拾ってもらえるなんて、幸運でした」
「でも……リョウさんの世界に比べて、この世界の魔法は下火ですし技術も人数も大きく劣っていると思います。協力するなんて言っておいて、転移の原因も魔力の質の違いによる不調の改善もまだ見当がつきません」
そういえば、魔法使えるようにするって言われて連れてこられたんだっけ?
いや、いいです。
問題ないです。
そもそも、直す不調もないし使えるようになる魔法もない。
転移の原因なんて誰にわかるはずもない。
なぜなら、転移なんてしていないのだから。
そもそも、中二病にその検討が付くはずないだろ。
ゆうのちゃん、急に嘘ついて連れてきたのが申し訳なくなったのだろうか?
やめてほしい。
俺の方がもっとえげつない嘘ついているのに、こんなことされると寄生することに関して何も思わなくなってたはずの俺の心が……
「そんなこと気にする必要ないです。知らない世界にきて、しかも魔法のない世界にきて、事情の分かる人に助けてもらえるなんてこれ以上ない幸運です。きっとゾデコ様の思し召しでしょう」
「そう、でしょうか? でも、私は異世界の魔法という未知に惹かれて騙して……これでは、あれらと何も変わらない」
あれら?
ゆうのちゃん、もしかして結構設定作りこんでます?
自分の過去とかもしっかりって感じか。
しかも、これ結構ダークっぽいな。
そう思いつつ、俺は一枚のかみっぺらを取り出す。
契約書である。
どうやら、俺の心はすでに死んでいたらしい。
「俺の元居た世界では、大切な約束事をするとき必ず『契約』を結んでいました。今、魔力がないのでただの形式でしかありませんが、俺なりの協力の誓いだと思ってください。ゆうのさんは騙してなんていません。協力する、ただそういっただけなのですから」
そう言いながら、俺は書類に署名し軽く指をかんで血をつける。
すべて日本語で書かれたものなので、せめてもの異世界要素である。
そして、善意100%といった顔で契約書を差し出す。
もちろんそんなわけない。
「……すいません。知らない世界にきて、リュウさんの方がずっと大変なのに気を使わせてしまって」
そう言って、ゆうのちゃんは紙を軽くなで署名する。
紙には魔法陣と、その上に俺がゆうのちゃんに異世界の魔法を出来る限り教えること、そしてゆうのちゃんが俺に魔法を使えるようにする努力をすること、と書かれている。
この契約書表だけ見ればただの中二病、しかし秘密がある。
裏側にびっしりと自宅警備会社との契約内容が記されているのである。
署名したな?
契約成立だ。
もっとも、この契約書の出番がないことを祈る。
こんなでたらめで伸ばせる時間なんてほぼないようなモノ、あくまで保険でしかない。
ゆうのちゃんは、こちらに倣ってか指先を軽く噛み、
「でも、リュウさんの世界にもこの『誓い』あったんですね」
契約書に血を付けた。
その瞬間、契約書は燃え上がり跡形もなく消え去った。
「え!?」
え?
「もしかしたら、リュウさんのほかにもこの世界に来た人がいて、その人が伝えたのかもしれません。もしそうだとしたら、何かしらヒントが得られるかもしれませんね」
ゆうのちゃんは、表情を変えることなくのほほんとしている。
え?
どゆこと?
「……どうか、しましたか?」
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