二スレ目 番外 その2 『使用人と秘密の家』
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ところで、私はどこに向かえばいいのだろうか?
ゆうのお嬢様からの指示がなく、どこに向かえばいいのか非常に判断に迷う。
家と言っても……
まぁ、少なくとも実家でないことは確かだが。
普通に客家にでも向かえばいいのだろうか?
だけど、その程度の相手のためにお嬢様がわざわざ迎え呼ぶとは思えないんだよなぁ。
バカ話するほど仲がいいみたいだし、客家向かったら向かったで切れられそうである。
かといって、このまま出発も瀬津止まっているのは主人の時間を無駄にする行為である、使用人失格なような気がしてならない。
せっかくある程度登ってきたのに、こんなことでおしゃかになるのはごめんである。
ピコンッ、
私の念が通じたのだろう、ナビに目的地が追加された。
というか、そんなことできたんですか。
それ出来るならもっと早くやってくれてもよくないですか>
……え?
入力された目的地を見て、少し固まる。
ここ行くんですか?
ゆうのお嬢様の魔工場だ。
まず、人を入れようなんてしないのに。
私も入れてもらえるようになったのは最近だし、それでも一部の部屋しか許されていない。
それに使用人として入れるのと、客人として入れるのじゃ難易度が違うだろう。
使用人ならダメと一方的に言いつければいいし、入れないよう契約でも結んでしまえばいい。
でも、客人だとそうはいかないだろう。
どうでもいい相手ならその限りではないかもしれないが、そもそもどうでもいい相手はここに入れないだろうし。
もしかして、お嬢様ついに人体実験でも始めるのだろうか?
あの男はその素体として適していたみたいな?
それならわざわざあそこに連れて行くのも理解できるが、それにしては少し親しすぎるような気もする。
サイコパスなお嬢様なら心の距離を無視して実験体に出来るのかもしれないが、それならわざわざ一緒に車に乗る必要もないだろう。
眠らせて使用人にでも搬入させればいいのだから。
まさかと思うが、ほんとうに色恋だったりするのだろうか?
あのお嬢様が?
そもそも色恋ならあそこである必要もないし、客家の方が男受けする気がするんだけれど。
何でもいいか、お嬢様の命ならおとなしく従うだけなのだから。
主人に意見するのは、完全に使用人の領分を超えている。
言われたことをどれだけこなせるかが、使用人の価値であり無能はいらないが自主性に富んだ奴はもっといらない。
もっとも、私は使用人としては無能もいいところだろうが。
今回の件はご主人様に連絡した方がいいだろうな。
色恋でも、何らかの特殊性のある男だったにしても、ゆうのお嬢様にとってそれなりの重要事項であることに間違いはないだろう。
ゆうのお嬢様にとって重要ということは、ご主人様にとっても重要ということである。
過度な連絡は気づかれるリスクを高めるが、こういう情報をいち早く手に入れるために私はここに送り込まれているのである。
ばれることを気にして情報の共有できないようでは、そもそもここに潜りこんでいる意味というものがなくなってしまう。
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魔工場についた。
いつ見ても、きれいに偽装されていると思う。
魔法的なものもそうだが、魔法抜きにしても普通の家として背景に溶け込むぐらいには違和感のない仕上がりだ。
だが、正直あんまり意味がない気がする。
いつ来ても思うのだが、やはりここは居心地が悪い。
ゆうのお嬢様は普段からこんなところに入り浸って、魔力経路がおかしくなったりしないのだろうか。
巨大な地脈の上に魔工場を立てるなんて、いつ見てもくるっているとしか思えない。
こんなところで魔法の実験……
確かに地脈があれば、力が簡単に取り出せて大規模な実験も効率的に行えるとは思う。
でも、それは小さな失敗が大規模な災害になる可能性を内包している。
魔工場が吹き飛び研究成果の一部が消失するだけならともかく、自分もただでは済まない可能性と隣り合わせで実験するなど本当に正気ではない。
まぁ、こんな存在だからこそ継承権が下でありながらご主人様は強く警戒して私が送り込まれているわけではあるが。
それにしても、これを見てもまだ平然とのんきなことを言っていられる男は本当に何者なんだろうか。
同類という奴だろうか?
しかし、この世界は狭い。
お嬢様の同類、しかも同じ日本人となれば知らないはずはないのだけれど。
男を客室に案内した後、お嬢様は自室に向かうようで私は自然とフェードアウトできた。
自室にはゆうのお嬢様以外入れないし、そもそも入りたいとも思わない。
この家が地脈の真上に立っているといったが、その中でも特に濃い場所がお嬢様の部屋の真下だ。
しかもあそこには強力な魔道具が何点もあるという。
入ったことはないが、想像しただけで生きた心地がしない。
でもあの様子、おそらく男を自室に招くつもりなのだろう。
途中で和服なんて引きずり出していたし……
魔工場から少し離れ携帯を取り出す。
見た目こそ普通のものだが、科学的にも魔法的にも幾重にもプロテクトのかかってる逸品だ。
「ご主人様、お話があります」
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