自宅警備員をクビになったので、勇者に再就職する。   作:哀上

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一スレ目 裏 その3『自宅警備員、神の使者に出会う』

 一スレ目 裏 その3『自宅警備員、神の使者に出会う』

 

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「新人類の会って知ってるかい?」

 

 ファミレスにつきあのサークルについて、そしてほかのサークルやアニメのことなど思う存分語った。

 これまでの人生で最上位に入るぐらい楽しく、充実した時間だった。

 これまで人を避けていたことを、苦手意識を持っていたことを馬鹿らしく思った。

 話そうと思えば俺も話せるじゃないか、これからはもう少し積極的にコミュニケーションをとろう。

 

 そう思った矢先、松尾さんからこの言葉が飛び出した。

 

「新人類の会ですか?」

 

 新人類の会なんて聞いたことないから、アニメやサークルじゃないと思う。

 じゃあいったい何だろうか、そしてどうしてこのタイミングで。

 それに何か嫌な予感がする。

 

 心なしか、松尾さんの顔つきも変わってる気がする。

 

「実は今日公園で声をかけたのも、このことを話そうと思ってなんです。現実なんて不条理で理不尽、つまらなくて恐ろしい。そう思ったことあるでしょ、新人類の会はそんな感情から解放してくれるんです。そして幸せに生きることができるようになるんです。新人類の会は、松影様が間違った神を信じてしまっている哀れな人々を救おうとおつくりになった団体で、全国に百万人を超える会員を抱えるすごい組織なんです。難しいことは何もしなくていいんです。ただご本尊様にお祈りするだけで、幸福になれるんです。ご本尊様は…… 」

 

 これは……宗教の勧誘か。

 すこし残念だ。

 俺に声をかけてくれたのもファミレスに誘ってくれたのも……

 最近はオタクに見せかけて、同じ趣味を持つものとして親近感を持たせてから勧誘することも多いと聞くし。

 

 それにしても松尾さんのトークが止まらない。

 きっと”新人類の会”のことが大好きなんだろう。

 俺が好きなアニメのことで口が止まらなくなったのと同じで、それだけ思い入れが強いってことなんだろう。

 

 でも、残念ながらこればっかりはだめだ。

 

「そ、そうなんですか。なんというかすごいんですね」

 

 間違った神々を言うのがいけない。

 つまりは一神教ということなのだろう。

 俺は、神絵師を神作家を数々の神を信仰している。

 

 信仰上の理由で、一神教はNGだ。

 あの神々を信じることが間違っているとか、それこそ間違っていると思う。

 

「どうです新人類の会で一緒に活動しませんか?」

 

 きっと入ればそれなりに楽しいんだろう。

 何の目的も生きる意味も、ましてや生きるすべすら知らない。

 そんな俺にとってこういうのめりこめる宗教というのは、ある意味救いになるのだろう。

 

 でも、だめだ。

 この人がそれにのめりこんでいるように、俺にものめりこんでいるものがあるのだから。

 そればっかりはどうしようもない。

 

「すいません、俺予定思い出して……お金だけ置いていくんで」

 

 残り少ないお金だがしょうがない。

 新人類の会に入るわけにはいかないんだし、おごってもらうわけにもいかない。

 

 こういうところでおごってもらうと、あとで面倒ごとにつながるとネットで読んだ気がする。

 まぁ、俺にそのあとでがあるのかどうかはかなり怪しいものだが。

 

「せめてこの紙に名前書いてくれるだけでもいいから」

 

 松尾さんが何か小さな紙を出す。

 入信のための記入用紙か何かだろう。

 こんなもの書くわけにはいかない。

 

「すいません」

 

 野口様を一枚机の上に置きそくさくと店を出る。

 いい人だと思ったに、やさしい人だと思ったのに残念だ。

 

「待って、もう少し話を……」

 

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「はー、はー、はー、」

 

 久しぶりに走ったせいで、息が……

 あの熱量だと追ってくるかもしれないと思ったけど、そこまではしないらしい。

 それにしてもあの人が宗教勧誘目的だったなんて、途中まで全然気が付かなかった。

 

 でも、そうでもない限り公園でうなだれてるホームレスに声かけるやつなんていないか。

 

「はぁーー」

 

 ただでさえ絶望的だった状況が、松尾さんいや松尾のせいでさらに絶望的になった。

 

 しばらくの間拠点にしていた公園は、松尾さんに見つかっても困るので離れざるを得ない。

 というか車で結構な距離移動したので、どのみちあの公園まで帰るのは不可能だ。

 新しい拠点になりそうな場所を探すも、屋根トイレ付きの好物件はなかなか見つからない。

 そもそも公園自体そう近くにあるものじゃない。

 そこまで歩き回ったわけではないが、俺の貧弱な足はもう限界が近い。

 

 そして財布の中も野口様をファミレスに置いてきたせいで、ほぼすっからかんだ。

 金、ただでさえ心もとなかったのに……

 また一人の野口が、俺の財布から旅立って行ってしまった。

 今の俺は何も持ってない。

 

 ……それに、久しぶりに会話なんてしたせいだろう。

 今、無性に人と会話がしたい。

 さっきのそれが、消化不良で終わってしまったからというのもあると思うが。

 

 かといってリアルで話すのはこりごりだし……

 

 掲示板か。

 

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『【悲報】自宅警備員をクビになったんだが……』

 

 1:名無しのモブC  ID:429toni

 自宅警備員クビになったんだけど。

 マジでヤバい

 

 2:名無しのモブC

 草

 

 3:名無しのモブC

 自宅警備員クビになるのはワロタ

 

 4:名無しのモブC

 ただ無職が家追い出されただけ定期

 

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