白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

11 / 33
コンパスにオバロだと!?トマス使ってる場合じゃねえ!!

というわけで第六話です。

前半は酒を飲みながら書きました。
読み直して『あ、コイツ厄介オタクなんやな』って改めて思いましたよ。

あと、後半は真面目に書いてますが、展開の都合上キリの悪い締め方になりました。
そこら辺は許してください。

あと、今回は都合上宿儺とアインズが説明役になっちゃいました。
そこら辺も許してください。


第06話 紅一点

 原宿駅前、そこに特徴的な見た目をした黒い制服を纏った二人がいた。

 

 

 

「一年がたった二人って少な過ぎね?」

 

 

 先に話を切り出したのは、パーカーが付いた独特の制服を着ている青年──虎杖悠仁。

 

 

「じゃあオマエ、今まで呪いが見えるなんて奴会ったことあるか?」

 

 

 制服と言われれば制服だが、制服と言われないと制服に見えない制服を着た青年──伏黒恵。

 

 

 二人はある目的(内容は伝えてないけど)があって原宿駅前にいるのだが。

 しかし、もう一人のPUSETG(パーフェクトウルトラスーパーエリートティーチャー五条)

 が来ないので、こうしてアイスを食べて待っているというわけだ。

 

 

「・・・会ったことねえな」

 

 

「それだけ少数派なんだよ、呪術師は」

 

 

 そもそも、呪術師は呪術師の血筋があり、一般人から排出されるようなものではない。

 そういう意味では、これから来る一年生は特別な存在と言えよう。

 

 虎杖は例外だが。

 

 

「・・・っていうか、俺が三人目って言ってなかった?」

 

 

「入学は随分前に決まってたらしいぞ。何かしら事情があんだろ」

 

 

「へー」

 

 

 会話が終わると同時に、遠方から目隠しをした男が現れた。

 言わずもがな、PUSETGだ。

 

 

「おまたー」

 

 

「あ、さっき自分のことをPUSETGって言ってた人だ」

 

 

「俺の制服の説明もうちょっとマトモになりませんか?俺だけ特徴がないみたいじゃないですか」

 

 

 

 

「だってどっちも事実だもん」

 

 

 

 

 二人揃って嫌な顔をする。

 

 

「それよりも・・・悠仁の制服、間に合ったんだね」

 

 

「おうっピッタシ。でも、なんか伏黒と微妙に違えんだな」

 

 

 パーカーの部分をピラピラと触る。

 材質は制服とそこまで変わらないが、妙に癖になる手触りだ。

 

 

「制服は希望があれば、色々弄って貰えるからね」

 

 

「俺そんな希望出してねえけど」

 

 

「そりゃ、僕がカスタマイズしたもん」

 

 

「・・・」

 

 

 五条らしいと言えば五条らしいし、パーカー自体気に入ってはいるので特に問題はない。

 

 モヤっとはするが。

 

 

「気を付けろ。五条先生こういうところあるぞ」

 

 

「うん、勉強になったわ」

 

 

 今回はいいとしても、これから気を付けようと心のノートに刻んでおく。

 

 

「それより、なんで原宿駅前に集合なんですか?」

 

 

「本人がそこがいいってさ」

 

 

「原宿かぁ。俺アレ、ポップコーン食いたい!」

 

 

「子供かオマエ」

 

 

「まあまあいいじゃないの。僕も何か食べたいし」

 

 

 

 そう言うと、三人は揃ってポップコーン専門店に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポップコーンを買った三人は町の中を進む。

 

 

「ほら、アレだよ」

 

 

 五条が指を差した先にいたのは、スーツを着た男だった。

 男は道端を通りかかった(虎杖視点では)可愛い女性に声を掛けており、見た目的にもまるで学生には見えなかった。

 

 

「アレ?学生ってより変態親父じゃない?」

 

 

「いや、どうみてもその後ろの奴だろ」

 

 

 伏黒の言う通り、その男の後ろを見てみる。

 そこには茶髪に髪を染めた、黒い制服を身に纏った女がいた。

 

 

 動向を陰で見ていると、自分をスカウトしようとしない男にキレ始めていた。

 

 

「・・・俺達、アレに話しかけなきゃいけないの?ちょっと恥ずかしいな」

 

 

「オメエもだよ」

 

 

 虎杖は片手にポップコーン、片手にクレープを持っており、目には『2018』の『0』と『8』がサングラスになったおしゃれ(?)グッズを掛けている。

 伏黒がイラつくのも当然といえば当然だろう。

 

 ちなみに五条一行が向かったのは、クレープ専門店とポップコーン専門店だけだ。

 

 

「それどこで買った?クレープとポップコーンの店しか行ってねえだろ」

 

 

「さっきそこで買った」

 

 

 虎杖が指を向けた先には、最近の流行りの物を取り揃えた闇鍋みたいな店があった。

 暖簾には『東京での思い出を!!』みたいなことが書かれており、外にはタピオカジュースが描かれたポスターが飾られている。

 

 

「・・・いくらで買った?」

 

 

 

「サンキュッパ」

 

 

 

「馬鹿だろオマエ」

 

 

 もはや呆れて眉間を撫でだした伏黒。

 

 果たして彼の眉間の皺が取れる日は来るのだろうか。

 

 

 

「君たちイチャイチャするんじゃないよ、するならせめて池袋でしてきなよ」

 

 

「イチャイチャしてません。てか、池袋を何だと思ってんだこの人・・・」

 

 

「君たちにはお揃いだと思うけどね。〇無しライダーとかダラ〇ズとか」

 

 

「電〇文庫に怒られますよ」

 

 

「おー、それは怖い。さて、そろそろ彼女を呼ばないとね」

 

 

 五条は、ヒートアップして男を壁に追い詰めていた女に声を掛けた。

 

 

「おーい、こっちこっち」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所を変え、あまり人目に付かないコインロッカーの前に四人は集まる。

 傍から見れば黒づくめのやべー連中にしか見えないが、幸運にも通りかかる人はいなかった。

 

 

「そんじゃ改めて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

(うざ・・・)

 伏黒の周りには、どうやらウザい奴しか集まらないらしい。

 

 

「俺、虎杖悠仁。仙台から」

 

 

 渋々、と言った形で伏黒も挨拶をする。

 

 

「・・・伏黒恵」

 

 

 しかし、自己紹介を済ませると、そこには沈黙が生まれた。

 

 

「・・・」

 

 

「「・・・?」」

 

 

 釘崎の脳内スカウターが、二人の情報を打ち出し始めた。

 

(こっちは見るからに芋臭い・・・絶対ガキの頃にザリガニ釣って遊んでたタイプね。でも最低限の自己紹介は出来てたし、まだマシな方ね。問題はこっちのツンツン頭。自己紹介なのに名前だけって・・・私偉そうな男って無理。きっと重油まみれのカモメに火をつけたりするんだわ)

 

 結論──二人とも外れ。

 

 

「はぁー。私ってつくづく環境に恵まれないのね」

 

 

「人の顔見てため息ついてる・・・」

 

 

 二人をよそに、伏黒は五条に顔を向ける。

 向けるというよりかは、視界に入れたくないだけかもしれないが。

 

 

「これからどこに行くんですか?」

 

 

「フッフッフ。せっかく一年が揃ったんだ。しかも、その内二人はおのぼりさんときてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くでしょ。東京観光」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「東京観光!!」」

 

「え"?」

 

 

 三人のうち二人は祭りと言わんばかりに踊り、うち一人は厄介ごとに巻き込まれたような顔をしている。

 大方オチが見えているのだろう。

 

 

「TDL!!それかガン〇ム!!」

 

 

「TDLは千葉だろ!!それよかサンリ〇ピューロランドに行った方がいいって!!」

 

 

「それ普通私が言うべき場所でしょ?!ってかサ〇リオピューロランドは観光として行く場所じゃなくない!?」

 

 

「じゃあ東京スカイツリー!!・・・は、いいや。あそこ高いだけだし」

 

 

「あそこは修学旅行で渋々行くところよ」

 

 

「お前ら息合いすぎだろ」

 

 

 田舎者同士、どこか気が合うところがあるのかもしれない。

 そのテンションについていけない伏黒は深い溜息をついた。

 

(ツッコミするのもめんどくせ)

 五条がそのノリに乗ろうとしているところが見えたので、もう諦めることにする。

 

 

「それでは、行先を発表します」

 

 

 スッと、二人は膝をついた。

 命令を下す王と、その忠実なる僕といったところか。

 

 

「場所は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六 本 木

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「六本木!!」」

 

 

 

 

 

 着いた先は廃ビルだった。

 

 

 

 

「「嘘吐きぃぃィィイイ!!!!」」

 

 

 

 二人の期待は裏切られ、二人から怨嗟の声が放たれ始める。

 

 

「いますね呪い」

 

 

「デカい霊園と廃ビルのダブルパンチで呪いが発生したってわけ」

 

 

「やっぱ墓とかって呪い出やすいの?」

 

 

 切り替えた虎杖は、普通に質問をした。

 

 ちなみに釘崎はいまだにキレている。

 

 

「墓地じゃなくて、そのもの自体を怖いと思う人間の心の問題なんだよ」

 

 

「あ~、学校とかも同じ理由だっけか」

 

 

 すると、これまでキレていた釘崎の動きが止まる。

 

 

「ちょっと待って?コイツそんなことも知らないの?」

 

 

 確かに説明していないので、この反応も当然ではあるだろうが、しかし偉そうである。

 

 

「うーん、でも説明すんのメンドクセエんだよなぁ」

 

 

「・・・それ、食べた経緯も含めての話だろ」

 

 

 

 

 

「そりゃそうだろ。いきなり俺が特級呪物喰ったって話しても伝わらねえじゃん」

 

 

 

 

 

 絶句する釘崎。

   呆然とする伏黒。

     大爆笑する五条。

 

 

「・・・エ?」

 

 

「・・・どうやら伝わってるらしいぞ」

 

 

 釘崎の顔が大きく歪む。

 

 

 

「マジオマエ!?うわ、きっしょ!!ありえない!!衛生観念キモスギ!!マ〇オブラザーズでも流石に落ちてる指は食わないでしょ!?」

 

 

「んだとォ!?」

 

 

「〇リオはマリ〇で不衛生だろ・・・でもこれには同意」

 

 

「伏黒まで!!俺に味方はいないのかよ!!」

 

 

 

「ここにいるさ!!」

 

 

 

 野沢那智にギリギリ寄せた声が、自分の後ろから響いた。

 

 

「こ、この孤独な声は・・・」

 

 

「・・・今の子にスペースコ〇ラの真似しても伝わらないでしょ普通」

 

 

 実際、虎杖以外は反応していなかった。

 

 

「さて、こんな茶番は置いといてだ。それよりも、今からあの廃ビルに向かうのは野薔薇と悠仁だけね」

 

 

「え?俺達だけ?」

 

 

「まあ実地試験みたいなもんだね。二人で建物の中の呪いを祓ってきてくれ」

 

 

 虎杖の顔が不安に染まる。

 

 

「でも、呪いって呪いでしか祓えないんでしょ?俺呪術使えねえよ?」

 

 

「言っても君体の半分くらい呪いだから、体には呪力は流れてるよ。でも一朝一夕じゃいかないから、これを使いな」

 

 

 布に巻かれた薄いナニカを渡される。

 その布を巻き取ると、中には剣が入っていた。

 

 普通の包丁を1.5倍のサイズにして、刀身と持ち手の間に毛が生えた、昔の蛮族が使っていそうな剣。

 刀身の中央に二つの穴が並んでおり、奥の景色がよく見える。

 

 

「呪具『屠坐魔』。呪力の籠った武器さ」

 

 

「へー!!」

 

 

 武器を天に翳し、日光の光を反射させる。

 

 

「なんかモ〇ハンのジャギイ武器みたいでかっこいいな!」

 

 

 ちなみに釘崎からダサッという声が聞こえたが、反応しないでおく。

 

 

「あー、それから。宿儺は勿論だけど、アインズも出さないようにね。アレ使ったら呪霊は瞬殺だけど、味方も傷付けちゃうか」

 

 

「応!」

 

 

 威勢のいい返事を返す。

 そして、先に行った釘崎を追いかけるように、虎杖は廃ビルの中に潜っていった。

 

 

 

 

 

 残された二人は、廃ビルの正面近くにある鉄格子に座っていた。

 しかし、虎杖の姿が消えるとともに、伏黒は腰に力を入れる。

 

 

「俺も行きます。特に虎杖が危険なんで」

 

 

「君病み上がりなんだから、無理しちゃダメよ」

 

 

「ですが・・・」

 

 

「というより、悠仁に関しては全く問題ないと思うよ」

 

 

「そうですか?」

 

 

 

 

 

「むしろ、今回試されているのは野薔薇の方だ」

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

「呪霊退治だな。さて、二人の実力はどれほどのものか」

 

 

『・・・下らんな』

 

 

 宿儺は性格上、雑魚の戦いには興味が沸かないのだろう。

 アインズとしても、別に善戦することを期待しているわけではない。

 単純に戦い方が気になるだけだ。

 

 

「そう言うな。・・・お、虎杖はやはり肉弾戦か。呪力がないとはいえ、このスピードとパワーは評価すべき点・・・もう勝ってしまったか」

 

 

 手慣れた作業で呪霊の攻撃を躱すと、呪霊の頭部に剣を刺し、既に息の根を止めていた。

 全ての行動の源は、その並外れた運動能力と動体視力だろう。

 

 

「しかし、よくもまあ呪霊相手にここまで動けるものだ。いや、普通はあそこまでの動きは出来るのか?」

 

 

『出来んだろうな。というより、あの小僧が異常なだけだ』

 

 

「虎杖がか?そのようには見えないが」

 

 

『前にも言ったが、呪霊には命が宿っている。そのため、大抵の呪術師は呪いのことを一種の生き物として見ている節がある』

 

 

 今まで見てきた呪霊には、確かに生き物としてある程度認知できる部分があった。

 中には人の言葉を発する呪霊もいるので、それこそ人のなれの果てと認識する者もいるだろう。

 

 

『だが、小僧はまるで羽虫を殺すが如く、一片の恐怖も同情もなくコレを殺した』

 

 

「ふむ、呪術師としての心構えこそあれば別だが、元一般人の虎杖にはそんなものがあるわけがない。なるほど、確かに彼は異常だな」

 

 

『ある意味、天性の才能ともいえるな』

 

 

 

 恐怖心が抜けているわけではないとは思うが、それにしても一連の動きには躊躇いというものが無かった。

(だからといって、それが直結して強さに繋がるわけではない。躊躇いがないというのはつまり、自己管理が下手というわけでもあるからな)

 

 一長一短。

 まさしく虎杖には、その言葉が似合っていた。

 

 

「さて、次はあの釘崎とかいう女だが・・・」

 

 

 鏡を動かし、虎杖とは別の場所を映した。

 

 釘崎はマネキンに似た呪霊と対峙しており、今まさに五寸釘が放たれたところだった。

 

 

「金槌と五寸釘か。・・・近距離には勿論、遠距離にも対応できる。なるほど手強いな」

 

 

『呪力を釘に流し込み、それを穿つことで直接相手に呪力を流し込む。安直な術式だな』

 

 

(うーん、確かに安直だが、実際は結構厄介な技じゃないか?)

 

『二連砕撃』というスキルがある。

 簡単に言えば、相手に攻撃を当てるとそれと同ダメージ、もしくはそれ以上のダメージを防御無視で与えるというスキルだ。

 

 釘崎が行ったあの攻撃も、原理は違えど内容は一緒である。

 相手のガード越しにくぎを刺して、内部からダメージを与える。

 それと同じ効果と考えれば、強い術式だとは思うのだが。

 

(まあ口に出したらまたなんか言われそうだし、止めておくけどさ)

 

 

 

「・・・ん?」

 

 

 部屋の奥に、少年を発見した。

 マネキンの呪霊を倒した釘崎はその少年に気付き、すぐさま声を掛けたが・・・。

 

 

 

「呪霊か。戦い故に卑怯とは言えないが・・・不快だな」

 

 

 

 毛むくじゃらの呪霊はその子供の首に爪の先を刺していた。

 血と涙が少年の服を汚す。

 

 

 

 実に不快だ

 

 

 

『この女は果たしてどちらを天秤にかけるのやら。己の命か、はたまたガキの命か』

 

 

 釘崎は腰に下げていた五寸釘のポーチを床に落とし、自分の手に何もに持っていないことを証明しだした。

 

 

「・・・少年の命を取ったか」

 

 

『だが、呪霊がやすやすとガキを手放すはずもなかろう?』

 

 

 その言葉通り、少年を離すような動作を呪霊がするはずもなかった。

 

 

『哀れだな。ガキを救うどころが自分の命を投げ出すとは』

 

 

「・・・いや、そうでもないらしい」

 

 

『何?』

 

 

 呪霊の後ろの壁に、一瞬だけひびが入り、そして爆散した。

 

 

 

 そこには虎杖がいた。

 

 

 

「分かったうえでの行動なのか、はたまたただの偶然か。いずれにしても、これで両者の命は繋げたな」

 

 

『ッチ!』

 

 

 虎杖は剣を振るい、少年を持っていた右腕を切断した。

 悲痛に歪む間もなく、腕を切られた呪霊は壁に溶け込むようにして、その場から逃げようとする。

 虎杖はその呪霊を追いかけようとしたが、釘崎からの呼び止めがあったのかすぐにその足を止めた。

 

 

「・・・何をする気だ?」

 

 

『藁人形・・・なるほど、芻霊呪法か』

 

 

「芻霊呪法?」

 

 

 アインズが聞き返すと、宿儺は非常に虫が悪そうな顔をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ああ、非常に不快な術式だ』

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 呪霊の右腕に藁人形を置き、そして金槌と五寸釘を構える。

 

 

 そして、渾身の一振りが、藁人形に向かって放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『共鳴り』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 壁を越え、宙へ飛ぶ呪霊の心臓に、まるで爆発するような鋭い痛みが走った。

 

 

「オ"ッ アア" ア" ア" ア"ア" ア" ア"アア"」

 

 

 呪霊は日光に晒されると同時に、燃えカスとなって消えていく。

 

 

 

 式神を出そうとしていた伏黒は構えを解く。

 

 

 

「いいね、ちゃんと彼女もイカレてた」

 

 

 

 五条は満足そうに、その様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから言っただろ!!一人は危ねーから真面目にやれって!!」

 

 

「一人は危ないなんて言われてないわ!!」

 

 

「言って・・・なかった!?」

 

 

 

 虎杖と釘崎の口喧嘩は少年が間に挟まった状態で行われていた。少年が可哀そうだ。

 

 

 

「つーか何喰えばコンクリの壁を素手でブチ抜けれんのよ!!」

 

 

「鉄コンじゃなかったんだよ!!」

 

 

「鉄コンじゃなくても普通は無理よ!!」

 

 

「え?俺が出来るし、普通でしょ」

 

 

「自分の価値観を普通の基準にすんな!!!!」

 

 

 釘崎が怒りに怒り散らかしたところで、虎杖にある疑問が浮かんだ。

 

 

「ってか、俺もしこたま聞かれたけどさ、なんでオマエ呪術高専来たんだよ」

 

 

 虎杖目線ではあるが、この実力なら地方でも普通に活躍できるレベルだろう。

 金や名声ならば地方の方でも十分だろう。

 他に目的があるとすれば・・・。

 

 

 

 

 

 

「んなもん、田舎が嫌で東京に住みたかったからに決まってんでしょ!!!!」

 

 

 

 

 

「ええ・・・・・・」

 

 

 もっと派手な理由を想像していた虎杖は、拍子抜けな声をあげてしまう。

 

 

 ちなみに、虎杖の中で同じような声が聞こえた気がしたが、流石にアインズではないだろうと思い、無視をした。

 

 

「お金のこと気にせずに上京するにはこれしかなかったの」

 

 

「そんな理由で命懸けられんの?」

 

 それまで目を輝かせていた釘崎は一転し、爽快な笑みを作った。

 

 

 

 

 

「懸けられるわ。私が私であるためだもの」

 

 

 

 

 その目の奥に、どんな思いがあるかは分からない。

 実際は、なにか嫌な思い出があったのかもしれない。

 

 しかし、こんなに爽快な笑みを浮かべる釘崎に、それを聞く度胸は虎杖にはなかった。

 

 

「そういう意味では、あんたにも感謝してる。私が死んでも、私だけが生き残っても、明るい未来はなかったわ」

 

 

 虎杖が抱いている少年の頭を、まるで聖母のように撫でる釘崎。

 

 

 

 

 

 聖母というにはあまりにドスが効いている気がするが。

 

 

 

「ありがと」

 

 

 

「・・・まあ、理由が重けりゃ偉いってわけでもないか」

 人がどんな感情を持って行動しようとも、それは本人の自由だ。

 他人に優劣が付けられるものではないだろう。

 

 自分がしたいように行動する。

 そんな釘崎が、若干うらやましいと思

 

 

 

 

「ハイ!お礼言ったからチャラー!!貸し借りなーし!!」

 

 

 

 

 前言撤回。

「・・・なんだコイツ」

 

 

「なんだコイツ、とは何よ!!それが女子に対する態度だってんの!?」

 

 

「オマエだって、それが子供見てる状況でやる言動かよ!!」

 

 

「私は痛くも痒くもないもんねーだ!!」

 

 

「・・・へー」

 

 

 虎杖は胸に抱きあげた少年と共に、部屋の端の方に寄る。

 

 

「ねえ、君に聞きたいんだけどさ、あそこの般若の顔した女の人のこと、どう思ってる」

 

 

「え?」

 

 

「般若とは何よ!!ね、ねえ僕?正直に答えてくれたらお菓子買ってあげよっかなぁ?」

 

 

 露骨に態度が変わる釘崎。

 表面上はああ言っていても、内面では流石に子供から悪い印象を持たれたくないのだろう。

 しかも、こんな純粋無垢な少年ならば猶更だ。

 

 

「え!?いいの?!」

 

 

「ズリいぞ釘崎!!」

 

 

「言ったもん勝ちよ!!僕、正直に、正直に言うのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっとね、怖いおねーちゃんかな!!」

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

 廃ビルから出てきた二人は、抱き上げていた少年を五条に引き渡す。

 

 

「おー!二人とも大手柄だ。良く救い出したね」

 

 

「まあね。これくらいは出来て当然よ」

 

 

「・・・」

 

 

「その何か言いたげな目線でこっちを見るな」

 

 

 若干の殺意が混じっていたのを、虎杖は見逃さなかった。

 

 

「アッハイ」

 

 

「さて、それじゃこの子は僕が責任を持って送り届けてくるよ」

 

 

 さ、行くよと五条が少年の手を握る。

 すると少年は振り返り、二人に手をブンブンと振った。

 

 

「ありがとーお兄ちゃん!!」

 

 

「おう!」

 

 

「あと怖いおねーちゃん!!」

 

 

「グッ!」

 

 

 釘崎から鳩尾に拳が叩き込まれたかのような声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 三人だけになり、妙に気まずい雰囲気になる。

 しかし、こういう雰囲気を崩すのは、虎杖の得意とする分野だ。

 

 

「・・・そういえば伏黒」

 

 

「なんだ?」

 

 

「俺のサンキュッパ見てない?」

 

 

「・・・ああ、アレか?お前が持ってたんじゃないのか?」

 

 

「いや、廃ビルに向かう時はまだ持ってたんだけど。なんでかなー?」

 

 

「・・・ねえ、サンキュッパって何?」

 

 

 釘崎も話が気になったのか、横から参戦してきた。

 

 ちなみにサンキュッパに関しては、釘崎に見られる前にポケットに入れていた

 なので釘崎は当然ながら、サンキュッパの存在については知らない。

 

 

「俺がお土産屋で買ったサングラスのこと。釘崎も知らね?」

 

 

「知らないわよそんなの」

 

 

 おっかしいなー、と言いながら虎杖は辺りを見渡す。

 

 その隙を狙い、釘崎は伏黒のすぐ横までスライド移動した。

(ねえ、サンキュッパって、あの2018のやつ?)

 

(・・・正解)

 

(アレ買う人いたんだ・・・)

 

(俺も同感)

 

 

 

 密談を二人でしていると、その後ろから五条が現れた。

 

 

「お疲れサマンサー!子供は無事送り届けたよ」

 

 

「五条先生、あのサンキュッパ知らない?」

 

 

「サンキュッパ?なにそれ??」

 

 

「ほら、俺が目に掛けてたアレ」

 

 

 五条はポンと手を叩き、ああ!と思い出したかのような声を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレか!アレならさっき子供が持ってたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 「 「 え???? 」 」 」

 

 

 

 三人の困惑の声が、シンクロ率100%を超えた。

 

 

「なんか『落ちてたから拾ったんだ!!』的なこと言ってたよ」

 

 

「嘘だ・・・俺の四千円・・・」

 

 

 ガックシと、虎杖が膝から崩れ落ちる。

 それもそのはず。

 あの四千円は虎杖の全財産のうち、三割以上を削って払ったのだから。

 

 

「まあいんじゃない?子供の笑顔のためと思えばさ」

 

 

「うん・・・うん」

 

 

 かなり落ち込んでいる。

 それくらい気に入ってたのだろうか。

 

( ( アレのどこに気に入る要素合ったんだよ ) )

 

 

 五条はスマホを覗き、時間を確認した。

 

 時刻は五時半。

 

 

「さて、ちょっと早いけど任務も終わったところだし、今度こそ飯に行こうか」

 

 

 

 

「ビフテキ!!」「シースー!!」

 

 

 

 

 

 不死鳥が如く立ち上がる虎杖と、その背中に阿吽の呼吸で揃える釘崎。

 

 

「元気あるじゃない」

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 その後、五条行きつけの高級焼肉と回らない寿司の店に行き、二人の胃は破裂寸前まで膨れ上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

 記録──2018年7月

 西東京市 英集少年院

 運動場上空

 

 

 

 

 特級仮想怨霊(名称未定)

 その呪胎を非術師数名が目視で確認

 緊急事態のため高専一年生三名が派遣され

 

 

 

 

 内1名 死亡

 

 

 




オリジナル設定・・・

 1.3980円
ちなみにこれは友人が東京で体験した実話です。


 2.オタクトーク
酒が悪いんだ・・・俺がオタクトークをしたのは、酒のせいなんだ・・・。

 3.サンリオピューロラン〇
行ったことないです。でもなんとなく、レゴランドと同じ匂いがします。(愛知県民並感)

 4.スキル。
オリジナルスキル。二重の極みと同じ原理と思えばわかりやすいですかね。
なお、このスキルはコスパが悪いのであまり使われていません。

 5.屠坐魔
個人的にはジャギイよりも怪獣バス〇ーズのジェロニモの武器にありそうだなって思いました。

 6.芻霊呪法
平安時代にあったかは分からないけど、普通に知ってそうな雰囲気はするよね。

 7.虎杖受肉後の二人
虎杖に受肉したおかげで、二人とも鏡を見なくても外を見られるようになりました。
ただし、あくまで虎杖視点の情報しか共有されていないので、今回のように釘崎視点が見たい場合は鏡を使います。


というわけで第六話でした。

次回は短めなので、今週中には必ず出せる(かも)です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。