白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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タイトル雑ですけど、かっこいいのでオーケーです。
てなわけで第八話です。


ふとジョ〇ョ第四部を読み返したときに、初代吉良が一瞬ナナミンに見えたんですよね・・・。
誰か吉良吉影が特級術師になる話書いてくれないかなー。(他力本願寺)


第08話 領域展開

『アインズ』

 

 

 心中に声をかける。

 ちなみに受肉しているのは宿儺なので、アインズは表面的に虎杖の体に出ることが出来ない。

 あの時のアシュ〇男爵現象みたいに顕現させることは出来なくもないが、それはそれで気持ち悪いので宿儺は止めておいた。

 

 

『奴らにとって一番困る状況は何だと思う?』

 

「奴ら、というのは伏黒たちのことか?」

 

『そうだ。あの伏黒(ガキ)を殺したいところだが、追っても小僧に代わられるのがオチだ』

 

 

 どうすれば最悪な状況に持っていけるか。

 ふと、それまでビビって震えていた呪霊に目を向けた。

 右手を治し、顎を撫でる。

 

 

『・・・となれば、コイツを連れて行くのが面白いか?』

 

「今は君が体の所有権を持っているんだ。私に聞かなくても、自分がやりたいようにやればいいのではないか?」

 

『そうつれないことを言うな』

 

「そもそも私は君のように、趣味で人を殺すようなことは好きではないからな」

 

『・・・いつも思うが、貴様の顔からは想像も出来んな。最初は血肉を浴びて愉悦に浸るような奴かと思ってたんだがな。まさか花を活けるような奴だったとは』

 

「そう思われても仕方ないがな。ちなみに私は花を活けるより愛でるほうが好きだ」

 

『・・・マジ?』

 

 

 

 

 呪霊は思う。

 一体なぜ、この男は虚空に話しかけているのか。

 一体なぜ、この男は虚空に笑っているのか。

 一体なぜ、この男は自分に見向きもしないのか。

 

 

「ガアア アアア!!」

 

 

 困惑は怒りと変わり、呪霊は宿儺に向け両手を構えた。

 

 両手の間に生まれる、圧倒的なエネルギーの塊。

 

 それを宿儺に向けて、投げ放った。

 

 

 

 

 

『馬鹿が』

 

 

 

 

 

 左手を再生させると、投げられた呪力の塊に手を向ける。

 

 そして、まるでボールをキャッチするかのようにソレを止めた。

 

 呪霊の顔が困惑に染まる。

 渾身の一撃だったはず。

 しかし、それがまるで戯れのように止められた。

 その光景を信じることが出来ないのだ。

 

 

『あ、コッチも治してしまった』

 

「・・・さっきのもそうだが、それは一体どうやって治しているんだ?」

 

『反転術式と呼ばれるものでな。呪いの力を治癒の力に変える術式だ』

 

「ほー」

 

 

 アインズの生返事を聞きながら、呪霊へと目を向けた。

 

 

『しかし貴様。人が会話に勤しんでいるところを攻撃するとは、中々度胸のある奴だな』

 

「いや、奴からしてみれば一人で喋っているようにしか見えないんじゃないか?」

 

『・・・あ、そうか』

 

 

 ふと自分のこれまでの言動を振り返り、言われてみればと思い立った。

 

 

『だが、攻撃したことには変わりないな』

 

「それはそうだな。では呪霊(ヤツ)をどうするんだ?」

 

『ふーむ・・・』

 

 腕を組み、しばらく思い浸る。

 

 呪霊はその間、もう一度呪力のエネルギーを作り上げ、

 

 そして放った──。

 

 

 

 

 

『よし、殺す』

 

 

 

 

 

 迫る玉を人差し指で弾くと、それを呪霊に向け打ち返した。

 

 呪霊は何とかバリアを張ることでソレを止めるが、気付けば宿儺の姿はなかった。

 

 

(のろ)いな』

 

 

 呪霊の後頭部を掴み、そのまま地面へ落とす。

 顔面が抉り込んだところを、更に足で踏み込んだ。

 

 地面が没落し、宿儺と呪霊は共に落下する。

 

 

『ああ、今のは()()()()をかけたわけじゃないぞ』

 

「え?ああ分かっているとも」

 

『・・・気付いてなかったな』

 

 

「きゅうるりりりりりりるるうるるるる!!!!」

 

 

 呪霊が宿儺の足を掴むと、そのまま壁に振り投げた。

 

 

『会話を遮るな、と言ったはずだぞ?』

 

 

 投げた方向ではなく、その後ろの落下する瓦礫に座る宿儺。

 その手には呪霊の手が握られていた。

 

 

『人の言いつけを守れないような奴には、仕置が必要だなァ?ケヒッヒヒッヒヒッ』

 

 

 呪霊の顔が大きく歪んだ。

 その顔はあまりに悲痛で、しかし同情の目を向ける者はこの場にはいなかった。

 

 

 

 

 

 ────

 ──

 ─

 

 

 

 

 

『特級、だったか?コイツは』

 

「たしかな」

 

『そういえば俺も特級に区分されていたな。つまり呪術師にとってコイツは俺と同格ということか?』

 

「振れ幅が大きいのだろう。君が特級の頂点ならば、ソイツは特級の中でも底辺を這うような──」

 

『ゴミ、ということか。なるほど合点がいった』

 

 

 壁に四肢が切断された呪霊が飾られていた。

 

 何をされたのかも理解できていないようで、周りをキョロキョロと見渡していた。

 

 

『ゴミを飾る気はなかったんだがな』

 

「うっうア"ア"アアア!!!!」

 

 

 言葉は理解できない。

 だが、それでも相手から貶されていることぐらいは分かる。

 

 

 呪力を手足に通すことで、元と変わらぬ手足を再生させる。

 

「ぶしゅるるるるるる」

 

 治った手をパンと叩くと、虚空より骨が生まれた。

 合計100体の骸骨が生まれ、それぞれが歯を重ね合わせてカタカタと鳴らした。

 さらにもう一度手を叩くことで、地面から黒い泥が生まれ、それが例の死の騎士へと姿を変えた。

 死の騎士4体がフランベルジュをグルンと回すと、雄叫びを上げる。

 

 呪霊含む総勢105体。

 圧巻の光景が目の前に広がっていた。

 

 しかし宿儺とアインズは以前変わりなく会話をしていた。

 

 

「傷を治したのは術式か?」

 

『いや、呪力による治癒だろうな。全く、小僧もそうだがコイツらは呪いというものを理解していないな』

 

「なるほど。しかし呪霊が指を持つと面倒だな。『下位アンデッド創造』が使えるとは。しかも見る限り上限もないようだ」

 

『いや、上限がないわけではないらしい。見たところ呪力を消費しているんだろうな。混ざった故の利点というわけだ』

 

 宿儺が指を握り込み、パキパキと鳴らした。

 

 

 

『しかし、舐められたものだな』

 

 

「ごばらららららららららッ!!!」

 

 

 呪霊の掛け声(?)と共に、アンデッドが一斉に攻撃を仕掛けてくる。

 

 

 

 

 

 

『この俺に、数で圧せば勝てるとでも?』

 

 

 両手で宿儺が印を結び目を瞑る。

 

 

 

『その身をもって、本物の呪術を教えてやる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『 領域展開 』 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

『え?』

 

 

 

 

 

 

 

 呪術の極致、『領域展開』

 術師の中にある術式、生得領域を結界という形で創り出し、相手をその領域内に引きずり込む。

 

 

 

 

 ということはつまり、アインズも同時に現れるということである。

 

 

「なんだこれ・・・急に景色が変わったと思ったら・・・どこだここ?」

 

『あー、何というか・・・そうだ、似合っているぞ』

 

 

 領域の中心にある歪な形をした本堂。

 その中にある大きな口の中に、アインズは座っていた。

 宿儺以外の者が見れば、畏怖や恐怖、羨望や絶望の眼を送るかもしれないが、内面を知っている宿儺にとっては違和感しかなかった。

 

 

 

 指の印を解き、領域を閉じる。

 当然アインズの姿も消えるが、しかし会話は途絶えない。

 

 

「その言い方だと似合っていなかったようだな。自分で言うのもなんだが、雰囲気的には似合ってたと思うんだが」

 

『似合ってはいた・・・んだがな・・・。貴様の性格を知っているとどうしてもありえない光景でな』

 

「そういうことか。たしかに私の趣味ではないな。・・・それよりも呪霊の方は?」

 

『ああ、おろしたてだぞ?』

 

 

 宿儺の目線が縦に十分割された呪霊に向いた。

 

 他のアンデッドは粉微塵と化している。

 

 

『おっと。三枚におろしたつもりだったんだがな。やはり弱いなコイツ』

 

「どちらかと言うと君が強いんだがな・・・」

 

『そう褒めるな』

 

「褒めたつもりはないぞ」

 

 

 宿儺は薄くなった呪霊の正中線だったモノに手を伸ばし、その胸の中心の穴から指を取り出した。

 

 

『忘れそうになっていたが、コレは貰ってくぞ』

 

 

 指を失った呪霊は灰となり、燃えカスとなった。

 手に付いた汚れを払うように手を振る。

 

 

『さて・・・終わったぞ!』

 

「・・・ん?どうした宿儺?」

 

 

 体に変化がない。

 自由に手足が動く。

 普通であれば虎杖に体が乗っ取られるはずなのだが・・・。

 

 

『・・・アインズ、小僧はどうした?』

 

 

「虎杖か。今は横で疲れ果てて寝ているぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・そうか、そうかそうか!ケヒッヒヒッ』

 

 

 

 呪霊が消えると同時に消滅していく領域。

 

 領域の消滅と共に、少年院から虎杖の姿が消えた。

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

「避難区域を10kmまで引き上げて、伊地知さんは釘崎を病院まで送ってください」

 

「伏黒君は?」

 

「残ります。もしもの時、ヤツを始末する責任があります」

 

 

 虎杖が生きているのは、宿儺が現世に顕現したのは、伏黒にも責任がある。

 伊地知は事情こそは知らないが、その覚悟に免じて残ることを許可した。

 

 

「分かりました。釘崎さんを病院へ送り届けたら、私もすぐに戻ります」

 

「もう伊地知さんいても意味ないんで、戻ってくるなら一級以上の術師と一緒にお願いします」

 

 

 心にめちゃくちゃエグイ一撃が入った気がした。

 

 

「分、かりました・・・」

 

 

 伊地知の車を見送り、しばらくその場で待機した。

 

 

 

 

 

 その約一分後。

 少年院内の生得領域が消えたのを察知した。

 

 

「特級が死んだ・・・?虎杖がやったのか?」

 

虎杖(ヤツ)なら戻らんぞ』

 

 

 振り返らずとも、その言葉だけで誰が立っているのかを悟った。

 伏黒の頬を一筋の汗が伝う。

 

 

『そう脅えるな。・・・なるほど、今は外に出ようと自棄になっているそうだ。なんの縛りもなしに俺を利用したツケだろうな。とはいえそれも時間の問題だな』

 

 

 虎杖自体は無事だと知り、宿儺の目の前だというのにホッとしてしまう。

 だが、安心するのも束の間。

 

 宿儺が制服を破り始めた。

 

 

『そこで俺に今、何が出来るかを考えた』

 

 

 むき出しになった胸の中心に、爪の先を突き立てる。

 

 そして一突き。

 

 宿儺は心臓を抉り取り出した。

 

 

「なッ!!」

 

 

『小僧を人質にする。俺は心臓がなくとも生きられるからな』

 

 

 抉り取った心臓を投げ捨てる。

 心臓の鼓動は、投げ捨てられた後でもドクドクと高鳴るが、しかし数秒でこと切れた。

 

 

『コイツは心臓(ソレ)なしでは生きられん。つまり入れ替わりは死を意味する』

 

 

 だが、と宿儺が付け加えながら、ズボンのポケットから何かを取り出した。

 

(宿儺の指!!あの呪霊が取り込んでいたのか!!)

 通りで強かったわけだと納得する。

 

 

『駄目押しだ』

 

 

 指を口に投げ入れ、そして飲み込んだ。

 

 

『さて、これで俺は自由の身。もう脅えてもいいぞ』

 

 

 ビキビキと指先に力を籠める。

 

 

 

 

 

 

 

 

『殺す、特に理由はない』

 

 

 

「・・・あの時と、立場が逆転したな」

 

 

 




アインズ様は第10巻で口唇蟲を愛でてたので、多肉植物とか育てるの好きそう。
というわけで第八話です。


次回は金曜までに出せたらいいかなー(平日は仕事があるので時間がない)。

あと、アンケートありがとうございます。


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