一日目俺「なんか思ってたよりも余裕だったな」
二日目俺「オオオオオオォォォォ!?!?!?」
てなわけで番外編。
栄えあるUA10万。それを飾るのは、やっぱりコイツラだろってことで限定復活します。
カフェは100連して無事死亡しました。
あと誤字報告助かります。
カタログブックと呼ばれるアイテムがある。
ピクチャ機能で撮影したシーンが自動で記録される図鑑のような分厚いアイテムで、基本的にアルバムとして使われる。
ユグドラシルでは、ピクチャ機能を使った際に実績と共に解放される、売却やドロップが不可のアイテムであり、日記帳のように書き込める他、写真の加工も出来る機能を持っている。
アインズ・ウール・ゴウン全盛期のメンバーは揃って毎日撮影をしており、あまり写真を撮らないアインズでさえも、総ページ数は軽く二万を越えていた。
ある者に至っては九百万以上も撮影しており、重すぎて動きがちょっとだけカクカクしていた。
カタログブックとと言う存在はいつしか話題の種にもなり、時には写真を公開したり、時には写真を配ったり、時には自分のカッコいいシーンだけを切り抜いて、それをプロフィール壁紙にしていた者もいた。そのあとそのシーンがみんなに配布されて公開処刑にされてたけど。
だが、ギルメンがユグドラシルから離れていくにつれて、徐々にピクチャ機能を使う機会が少なくなっていった。
仲間がいなければ撮る必要もない。
仲間がいなければ見せる必要もない。
仲間がいなければ話題にならない。
いつしかカタログブックを取り出すことすらも無くなり、その存在すらも忘れ去られていた。
そして、幾数の年と次元を超えた、ある場所にて。
アイテムボックスを適当に漁っていたアインズは、偶然手に当たったその本を取り出す。
「これは・・・」
表紙に金の刺繍で書かれた『モモンガ カタログブック』の文字。
(ネーミングセンス無いなぁ・・・)
自分のネーミングセンスの無さは元より自覚しているのだが、こうやって掘り返されると改めて恥ずかしくなってしまう。
搔き消すように、懐かしみながら適当にペラペラと捲っていった。
最初はゆっくりとしたスピードで。
慣れてきた頃には流れ作業のように、手早く捲っていった。
しかし、あるページでその指は止まった。
「懐かしいな。もう何年も前のことだが、つい昨日のことのように思い出せる」
ギルメン全員で撮った集合写真を見て、アインズは表情筋こそ無いものの、昔を懐かしむように笑った。
(「こんなにラスボスの雰囲気が漂うギルドはここだけじゃないですか?」だっけか。「一周回って世界が救えるでしょww」と「たっちさんとウルベルトさんは離れて!」、あとは「モモンガさんはギルド武器持たないと!!」だったかな)
口々に言葉が飛び交う中、シャッターは切られた。
色褪せたそのページさえも、アインズにとっては未だ濃い色が残っていた。
「何それ?」
虎杖が肩越しにカタログブックを見ていた。
「あまり人の思い出に突っ込むもんじゃないぞ、と言いたいところだが。コレは・・・この人たちは、私の誇りある仲間たちだ」
人と言っても、ほぼ異形しかいないのだが。
すると虎杖より後方、酒のつまみに話を聞いていた宿儺がアインズの後ろに立った。
そしてアルバムを覗き、好感の持てる小さな笑みを零した。
『類は友を呼ぶ、とはよく言うな。さぞ優秀な仲間だったのだろうな』
「・・・ああ、そうだな。とてもいい仲間たち
しばらく静寂が走る。
横目で見れば、二人とも気まずい表情を浮かべている。
先に口を開いたのは虎杖だった。
「・・・死んだの?」
ド直球な言い方だ。
しかし、それぐらいストレートに言われた方がむしろありがたかった。
彼らは死んだも同然だ。
何故なら、もう二度と会えないのだから。
「・・・・・・」
返事もしていないのに、虎杖はそっぽを向いた。
その沈黙の意味を、その寂し気な横顔の意味を、察したからだろう。
流石にこのまま何も答えないのは可哀そうだと思い、虎杖の肩を持つ。
「気にするな虎杖。もう過去の話だ」
「・・・でも・・・」
「いいんだ」
「・・・・・・」
重い空気が辺りを包む。
押し潰されそうになり、さっさと別の話題を出そうとした。
その時。
『アインズ。仲間は貴様のことを誇りに思っているぞ』
宿儺の口から、そんな言葉が落ちた。
二人で思わず目をパチクリとさせる。
それもそうだ。
あの宿儺が、あの唯我独尊の象徴のような男が、他人を元気付けようとしているのだ。
「宿儺、オマエ本当に宿儺か?」
『あ?』
「いや、そんな言い方出来たんだなーってさ」
『俺を何だと思っている』
「少なくとも、私もそんなことが言えるような人だとは思っていなかったからな」
『意外か?』
「そりゃ意外でしょ」「意外だとも」
二人揃って言葉を返す。
『俺が人を思いやるのは、ソイツに価値があるからだ。仮にこれが小僧の話だったなら、今頃俺は鼻で笑っていた』
「どうしてだろ、アインズさん。俺アイツが鼻で笑ってるところ簡単に想像できちゃうんだけど」
「私もだ」
ところで一つ疑問が生まれる。
「宿儺は私のギ、仲間のことは知らないはずだ。なのになぜ言い切れるんだ?」
『俺がそう思っているからだ』
なんとも身勝手な考えだ。
(そもそも、ユグドラシルを離れたのは死んだからじゃない。仕事とか家庭のことを優先したからだ)
彼らにとってアインズとは、モモンガとは単なる仲間だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
家族以上に誇りの思っているわけでもないし、自分の身以上に優先すべき人でもない。
第一、自分は誇られるようなことはしていない。
ギルドマスターという役を継いだだけ。
ユグドラシルしかやることが無かっただけ。
みんながいつか帰ってくると、いつかまたみんなで楽しめると、そう思っていただけだ。
何も誇れるようなことではない。
だが・・・。
「・・・・・・ハハッ」
『アインズ?』
「アインズさん?」
思わず、溢れてしまった。
「ハハハハハハ!!そうか、そう思ってくれているのか!ハハハハハ!!」
もし、アインズに表情筋と涙腺があったのなら、違うものとして見られたかもしれない。
塞き止められないソレを見て、ドン引きされたかもしれない。
精神安定が働き、直ぐに感情の高ぶりが抑えられる。
しかし、アインズは先程と比べて、どことなく足取りが軽くなったような気がした。
「止めだ。これ以上過去に囚われていても仕方がないからな」
カタログブックを、またアイテムポーチの奥に封印した。
正直に言えば、いつでも取り出せるようにしたい。
暇があれば読んでいたい。
いつまでもあの頃に、あの輝きのそばに居たかった。
でも、それでも帰ってくることはない。
帰ってこないものに恋焦がれても、進むことは出来ない。
「過去に囚われない・・・か」
「どうした虎杖?」
「・・・いいや、何も。それよかアインズさんって、そんな笑い方出来たんだね。めっちゃビックリした」
「私は君たちとそこまで変わらないぞ。笑う時もあれば驚く時もあるし、怒る時も泣く時もある。涙は流れないが」
『怒ったところは見たことないが?』
「てか涙流れないのに泣くって、それ泣くっていうの?」
「さあ?」
「さあ?って・・・ところで言おうか迷ってたんだけどさ」
「ん?どうしたんだ?」
今は気分もいいし、どんなことにでも答えられる気がした。
「『モモンガ カタログブック』の
「・・・シリマセン」
ちなみにこの後、『モモンガ族と呼ばれる一族がいて、その者たちが図鑑を作ったんだよ』というその場で考えた嘘丸出しの言い訳をしたら、普通に信じた。
そういえば後輩が退職したので、そいつが背負ってた仕事やら雑用やらを全部丸投げされました。
過労死寸前!ヨシ!!