白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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最近吉良×呪術の方が捗らないので失踪しようか迷っている投稿者。

烈海王異世界転生の最新刊を読んでたら、いつの間にかルビを振るう数が増えたような気がします。

というわけで第十五話です。




あと二か月で2021年終わるってマ?


第15話 ブラザー・・・?

目の前の巨漢の男はそう言うと、こちらをじっと見つめてくる。

 

 

「どうだ?男でもいいぞ?」

 

 

質問は唐突。内容も意味不明。しかし答えなければ命の保証はない。

ふむ、と一時思考を巡らせる。

 

正直、好きなタイプと言われてもパッとは出てこない。

昔は明確な好みがあったのだが、あの事件(シャルティア)()って以来、美しい女性であればあるほど何か裏があるのではないかと考えてしまうようになった。

その結果、女性不信に似た症状に悩まされているのが、今のブレインの状態である。

 

なので答えるのであれば、『普通の女性』となるのだが・・・。

 

 

しかし、ブレインは意外にも賢かった。

 

 

(コイツの聞き方的に、聞きたいのは女性の見た目に対する好みってことだよな?というか、返すのが『普通の女性』ってのは、つまんないよな)

 

 

知ってか知らずか地雷をギリギリで回避した。

しかし先にも述べた通り、普通に考えても好きな女性の像は浮かばない。

 

 

(・・・理想とは違うが、自分が思う()()を考えれば、自然に出るんじゃないか?)

 

 

自分の思想が分からない時は、自分の深層心理に聞くといい。

誰かが言った言葉なのだが、それに準じるように考える方向を"自分の理想"から、"自分が思う美女"へと変えてみる。

 

 

 

 

 

(・・・いや、何でアイツが浮かぶんだよ)

 

しかしするとどうだろうか。

 

 

最初に浮かぶのは例のシャルティア・ブラッドフォールンではないか。

 

 

「・・・どうした?早く答えたらどうだ?」

 

 

催促をされるが、しかし返答はまだ出来ない。

今答えればきっと、変態認定されてしまう。

 

(美人と言えば美人、美少女だが・・・)

 

アレを美人として最初に浮かんだ自分に、少々むかっ腹が立つ。

確かに見た目で言えば、この世の絶世の美女の常識を覆すような、超絶美少女だ。

しかしそれはあくまで感想であり、それがブレインの好み(タイプ)に当てはまるかと言えばそうではない。

 

 

せめて所々が人並み以上に大きければ話は変わるのだが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ん?)

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の求めていた答えが、胸にスッと落ちた気がした。

 

 

「そう・・・だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「胸と尻。あと、身長が高い女・・・かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

加茂と東堂の二人が、ブレインの顔を静かに見つめる。

加茂の顔には、まるで何か失敗をしたかのような、後悔の色が浮かんでいる。

しかし、東堂の顔には何も浮かんでいない。

 

(失敗したか?)

 

東堂が一歩、足を踏み出す。

対抗しようと刀に手を置こうとして、その手を止めた。

 

この刀はあくまで呪霊を切るために借りたものであり、人を切るために借りたわけじゃない。

それに、相手から愛刀を借りておいて、それを折った状態で返すのは、人としても戦士としてもあまりに情けない。

 

 

(仮に刀を使っても、今の俺に勝てる見込みは皆無。一矢報えるかどうかが・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブレイン・アングラウス・・・いや、兄弟よ(ブラザー)・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒前の刹那。

東堂の脳内に溢れ出した、()()()()()()()────。

 

 

 

 

 

 

中学校の春。

アングラウスと東堂は横並びに廊下を歩いていた。

どちらも目線は前方の女生徒に向いており、東堂は鼻息を荒げていた。

 

 

『アングラウス。俺はこれから高田ちゃんに告白をする』

 

『自分が高田のストーカーだってことをか?』

 

『違う。それに俺はストーカーではなく非公認護衛騎士だ』

 

『それを人はストーカーと言うんだぞ』

 

 

溜息混じりに呆れた顔で東堂を見る。

身長は変わらないので見上げることはないが、しかし東堂の威圧感を前にすると、どことなく見上げている気分になる。

 

 

『で?告白(プロポーズ)って言ったってどうするんだ?・・・まさか、今からそのまま、とかじゃないよな?』

 

『馬鹿言え。そんな告白俺が許さん』

 

『じゃあどんな告白をするんだ?』

 

『これだ』

 

 

すると、学ランのポケットから四角い箱を取り出した。

白く汚れの一つもない、純潔純白そのもののような箱だ。

 

 

『何だそれ?』

 

『俺のバイト代、その全てを使って買った・・・ダイヤの指輪だ』

 

『は?』

 

『これを彼女が一人になったタイミングで渡す。無論スケジュールはすべて把握済みだ』

 

『ハ?』

 

 

目を見る限り、どうやらマジで実行しようとしてるらしい。

マジかコイツ。しかも指輪って。

 

狂気の沙汰どころではない。

むしろ、これが狂気であってほしいと願うぐらいだ。

 

 

『・・・マジなのか?』

 

『大マジだ。オマエも手伝ってくれるよな?』

 

『何を手伝うんだよ。・・・いや、興味は無いから説明しないでくれ。負け戦に手を貸すほど俺は暇じゃないからな』

 

『やってみなければ分からないだろ』

 

『分かってるから止めようとしているんだが・・・まあ、もういいか』

 

 

いくら言っても伝わりそうにないので、渋々引き下がる。

 

正直な話、ああは言ってはいるが本心では、東堂のことは応援したいと思っている。

親友としても、同級生としても。

東堂の幸せを望んでいないわけでは、決してないのだが。

 

しかし、あまりに相手が悪すぎる。

 

高田はこの学校におけるマドンナ。

どんな奇跡が起きたとしても、あの高田と東堂がくっつくわけがない。

 

 

『・・・オイ、もし振られるようなことがあったら、帰りに裏門に来い。ハンバーガーでも奢ってやる』

 

『もし万が一、宇宙の法則が乱れることを考慮して、覚えておくとしよう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、瞳から水分という水分が抜けた東堂が、裏門にやって来た。

 

 

『・・・どうだった、とは聞かねぇよ』

 

『アングラウス・・・』

 

『ほら、さっさと飯食いに行くぞ』

 

 

肩を掴み、無理矢理引っ張る。

最初は乗り気では無かったようだが、そのうち自分で足を動かすようになり、最終的に肩を持たずともついてくるようになった。

 

 

『・・・ありがとうな』

 

『気にすんな。それよりも、オマエは何食べるんだ?』

 

『・・・俺はダブルチーズバーガー』

 

『なら、俺は普通のバーガーでも頼むとするかね』

 

 

会話は程なく、二人は肩を並べて歩きだした。

 

 

 

 

 

──――――――

――――

――

 

 

 

 

 

東堂の瞳から、一筋の涙が伝った。

 

 

「ポテトは割り勘したっけか・・・親友(ブラザー)

 

「・・・は?」

 

 

意味不明なことを語る傷面の男に怪訝な目を向ける。

やはり、この男は何か変だ。

 

 

「東堂はその・・・見てわかる通り頭がおかしいんだ」

 

「ああ、もうこの時点で十分伝わった。一応聞きたいんだが、呪術師にはこんな奴が他にもいるのか?」

 

「いない・・・とは言い切れないが。東堂コイツが最高峰なのは間違いない」

 

「嫌な最高峰だな」

 

 

すると、それまで青天井を虚に見ていた東堂がスッとブレインを見据えた。

その視線に思わず毛が粟立つ。

 

 

 

「ブラザー。オマエの実力を明日、この俺が直々に測ってやろう」

 

 

 

「おい東堂。いきなり何を」

 

「そのままの意味だ」

 

 

聞きたいのはそういうことではないのだが。

加茂の表情が不愉快気に歪む。

それを見たのか、それとも偶然か。東堂はその訳を語り始めた。

 

「たしかに一級呪霊を祓ったことは評価に値する。呪術師の中でも一級呪霊とマトモに渡り合える奴など、俺を含めても100人いるかどうか」

 

加茂曰く。この世界では呪霊が見えるだけでも希少な人材らしい。

その中でも呪霊を倒すだけの力がある者も限られており、そこからさらに一級以上を倒せる存在となると、御三家の中を見ても相当少ないのだとか。御三家が何かは知らないが。

 

「しかし一級呪霊を祓えるということは、一級術師と同等のレベル、というわけではない」

 

一級術師と一級呪霊。

頭の数字こそ同じではあるが、その両者の強さは同等というわけではない。

図式的に説明するなら、

 

 

準一級術師 ≦ 一級呪霊 < 一級術師 ≦ 特級呪霊

 

 

となる。

 

いい意味でも悪い意味でも、一級呪霊を祓ったという情報だけでは実力を測ることは出来ないのだ。

 

 

「準一級術師の加茂が付いてきたのも、俺が戦ったあの一級呪霊を倒せる実力があるからってことか?」

 

「そういうことだ」

 

「なるほど。だがなんで加茂は準一級なんだ?もっと上を目指せると思うんだが」

 

「加茂の術式は"ハマれば強い"というやつだ。一級呪霊相手でも圧勝できることもあれば、二級相手でも負けることがある」

 

 

術式に関しての説明は、階級の話と同じくタクシー内で加茂から聞いた。

その時に加茂の持つ術式についても解説を受けたが、そんなに弱そうな術式スキルには思えなかった。

少なくとも自分が戦った相手、あの呪霊には余裕で勝ち星を上げれる程度には、強いと思っている。

 

(自分の血を操作する術式。相手の拘束や相手への遠距離での攻撃も可能。さらに自分の身体能力も強化できる・・・が、そのかわり自分の体力と血を多く消費するんだったか)

 

察するに持久戦や消耗戦に弱いということなのだろう。

 

 

「ブラザーもそうだ。オマエが戦った呪霊が()()()()()()なのか。それとも単に実力で祓ったのか。それが明確ではない」

 

 

その真偽を確かめるために、実力をその目で確かめようとしているのだろう。

 

 

「なるほど。・・・しかし、どうしてオマエが体を張るんだ?」

 

「理由はいくつかある」

 

 

一つ。

ブレインの実力を測れるような強者は、東堂を除くと京都校にはそこまでいない。

 

二つ。

その一握りの強者の中でも、接近戦を旨とする者は東堂しかいない。

 

三つ。

親友だから。

 

四つ。

単純に自分の手でブレインの力を把握したい。

 

 

の四つらしい。

 

 

しかし気になる点が一つ。

 

 

「ちょっと待て。オマエと俺が親友?何を言っているんだ?」

 

 

親友の定義は分からないが、少なくとも絶対に東堂と親友になっていないことだけは分かる。

というか今日初めて会ったのに、なぜ親友と呼ばれなければならないのか。

友達すら認めた気は無いのだが。

 

 

「忘れたのか?俺とオマエの懐かしき日々(メモリーズ)を・・・。出会いは小学二年生の頃。オマエはアメリカからの転校生で、当初は周りの生徒から虐められていた。そこを俺が一喝し、いじめを止めさせ、そこで俺たちは親友となったんだ。五年生の頃、共に中坊の奴らをボコしたこともあったな。そういえばあの時は・・・」

 

「いや、本当に何言ってるんだ・・・?」

 

「無視してやってくれ。時々こうなるんだコイツは。離れた方がいいぞ」

 

 

哀れと言うか憐れというか。

無視してその場から少し離れる。が、東堂は未だに虚空に向けて無き思い出を語っていた。

 

 

「なんか・・・可哀そうな奴だな」

 

「悲しい生き化け物だよコイツは」

 

「そんな獣みたいな言い方・・・まあ獣みたいなものか」

 

「分かってるじゃないか」

 

 

加茂と似たような笑みを浮かべ合った。

多分だが、加茂とは仲良くできそうな気がした

 

加茂はスマホを取り出し、どこかへ連絡を取る。

そして数度の「お願いします」という言葉と共に、電話は切られた。

 

 

「さて、車は呼んだ。高専へ帰るとしよう」

 

「アイツはどうするんだ?」

 

 

ブレインの目線の先には、懐かしき思い出の数々(捏造された記憶)について語っている東堂の姿。

一応の心配はしてあげても罰は当たらないだろう。

 

 

「まあ・・・大丈夫だろう」

 

「大丈夫なのか?」

 

「頭を除けばな。それに放置してても夕方には帰ってくるはずだ」

 

 

不安が拭えぬまま、ブレインはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、東堂は本当に夕方に帰って来た。

 

 

 

 

 

 

◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

雲一つない晴天の下、二人の男が向かい合っていた。

 

場所は京都高専の中にある修練場、その一角にある1v1(サシ)でやり合うためだけに作られた土俵の上。

大きさは縦横20mほどで、その外にはギャラリーが座るためのベンチまで用意されている。

元々は一年前の交流会の際に、生徒のためにと五条が気を利かせて作ったモノだ。*1

現在では一対一の真剣勝負に使われる他、呪詛師との戦闘における重要点の講習や武器や術式の間合いの確認に使われている。

 

 

「ブラザー、体調はどうだ?」

 

「まあまあだな。傷はまだ完治できてはいないが。・・・というか、そのブラザーって呼び方止めてくれないか?」

 

「馬鹿を言え。オマエと俺の仲じゃないか」

 

「馬鹿を言ってるのはオマエだ」

 

 

ベンチに座る一人、加茂から声が飛ぶ。

 

ちなみにベンチに座る者は右端から順に

歌姫、楽巖寺、加茂、メカ丸、三輪、真依、桃

となっている。

なお、新田はベンチがパンパンなので、歌姫の隣で直射日光の下体操座りをしている。

 

 

「全く。東堂はいつも面倒なことを持ち込ませるのォ」

 

「しかし一級呪霊と戦うよりも、同じ術師と戦った方が実力を測れるのは事実」

 

 

楽巖寺が加茂を()()が、加茂はそれに気づかぬふりをした。

 

 

「彼、あの後一級呪霊祓えたのね。憲紀が祓ったのかと思ったわ」

 

「昨日説明したとおりだが、私は一回も彼の戦いには介入していない」

 

『ならば実力は一級相当カ』

 

「でも"一級"を祓えた程度じゃ"一級"にはなれない」

 

「だから東堂さんがその資格があるかどうかを確認する、ってことですか?」

 

「そういうことらしい」

 

「らしいって。まあ東堂君は考えてることがイマイチ分からない子ではあるけど」

 

「分かったら苦労しませんよ。・・・分かりたくもないですけど」

 

 

歌姫を除く全員が揃って頷く。

 

 

 

 

「そろそろやるぞ、ブラザー」

 

「だからブラザーって呼ぶなよ」

 

 

 

 

見れば、二人は既に構えていた。

 

今回はいわゆる模擬戦。

どちらかが降参するまで、または明確な勝敗が付いた時に試合は終了する。

 

東堂はヒグマが威嚇する時のような、両手を広げた構え方。

対するブレインは腰を落とし、腰に差した刀*2に手を置いた状態の構え。

完全攻撃特化(アタッカー)完全反撃特化(カウンター)

 

その両者の面構えは、次第に光を落としていく。

 

 

『東堂の奴、ガチ(真剣)()る気じゃないカ?』

 

「それはアングラウスも同じ。どちらも相手が並大抵の戦士でないことを悟っているからだろう」

 

「しかし・・・動きませんね」

 

「そりゃそうでしょ。どっちも攻めたら終わりなんだから」

 

 

東堂は攻撃すればカウンターを、ブレインはカウンターの体勢を崩せば攻撃を喰らう。

どちらも一撃は重い筈。両者ともに喰らいたくはないだろう。

 

 

「どっちが先に動くか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

沈黙の中、東堂は一歩ずつ足を踏み出し始める。

展開した神域までは残り三歩。

その間際で、東堂の足は止まった。

 

 

「・・・これから先に踏み出せば、オマエはその刀を振るう。違うか?」

 

 

見破られたか。

しかしここで否と答えても意味はない。

寧ろ警戒されるだけだ。

 

 

「そうだ」

 

「ふむ。簡易領域とは違う、卓越された己が技術(スキル)・・・だが、攻略法は同じだろう?」

 

 

東堂が地面の砂を腕で削り、掬い上げた砂をギュッと固く握る。

 

「範囲外からの攻撃。俺にとっては地面の砂ですら武器となる」

 

手を大きく振り上げると──。

 

 

──固く閉ざしていた指の力を抜かれ、砂が指の間から漏れた。

 

 

表情や構えは一切変えず、その行動の意味を聞く。

 

 

「・・・何のつもりだ?」

 

「これはあくまで模擬戦。相手の実力を見るための場だ。本気で攻め落とすつもりは無い。・・・それよりもだ」

 

 

手に付いた砂を払いながら、握ったり閉じたりを繰り返す。

最後に脈が濃く浮かぶほどに拳を握り込むと、それを顔の横に構えた。

 

 

 

「試すのならやはり、正面からの真っ向勝負!実力と実力のぶつかり合い!!!」

 

 

 

その時、東堂の姿がある男と重なった。

記憶は薄れ、最早顔すら正確に思い出せないが、実力だけは自分と同等だったあの男。

 

 

("闘鬼"ゼロ。そういえば、あの男との一騎打ちはセバスさんに止められたんだったな)

 

 

あの男の姿が今の東堂と重なり、ふと笑みをこぼした。

その笑みをどう受け取ったのかは知らないが、東堂も同じく野性味に溢れた笑みを浮かべた。

 

 

「覚悟は決まったようだな。いや、元々決まっていたか?」

 

「いや、今まさにオマエに対して闘争心が芽生えたところだ」

 

「そうか、なら遠慮はいらないな」

 

「それでいい。俺も油断はしない」

 

 

東堂の口角が、頂点に達した。

 

 

「行くぞ?」

 

「ああ、来い」

 

 

 

東堂の足元から、ミシリと音が鳴る。

 

 

その刹那、東堂の姿が消えた。

 

 

 

 

一部の傍観者は、東堂がブレインの目の前にいたのに気付いた。

一部の傍観者は、ブレインが既に刀を抜いていることに気付いた。

 

そして一部の傍観者は、既に二人が刀と拳が光の残影を残してぶつかり合っていることに気付いた。

 

 

そして当事者の二人もまた、たった一撃の攻防で気付いたことがあった。

 

 

 

ブレインは東堂の拳が、あの闘鬼ゼロよりも硬く、そして神閃に劣らない速度を持っていることに気付いた。

 

対して東堂はブレインの刀が、これまで見たあらゆる速度よりも(はや)く、そして拳がこれよりも奥に押し込めないことに気付いた。

 

 

 

 

(硬く速く、そして強い。単純なパワーとスピードで言えば、俺が知る中ではベスト5には入るだろう。しかも刀を抜く前には既に反応をしていた。勘か偶然か、それとも術式か。・・・)

 

ブレインの顔に、次第に獣のような笑みが浮かび上がる。

 

 

(今のスピード、もし俺が拳をほんの数コンマでも引き絞り続けていたなら、今頃俺の首は飛んでいただろう。しかも、俺の体重も乗せたテレフォンパンチを受けてもなお後ずさりすらしないとは。・・・)

 

東堂の顔に、より一層野性味が深まった笑みが浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

「ククク・・・」

 

「ハハハ・・・」

 

 

 

 

 

二頭の獣が、唸る様に笑った。

 

 

宿敵(ライバル)のように。

 

兄弟(ブラザー)のように。

 

親友(フレンド)のように。

 

 

 

 

*1
ちなみに交流会ではくじの結果、使われることはなかった

*2
三輪から借りた刀




楽巖寺が加茂を睨んだ理由についてですが、後々解説したいと思います。



いつ解説しようかは決まってないけど。
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