白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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お待たせして申し訳ない。ヒロアカの方とエペの方と仕事の方を頑張ってたらここまで間延びしてしまった。

というわけで第16話です。
結構短め。

あと一か月後に色違い五条が見られると思うとゾクゾクする・・・ゾクゾクしない?


第16話 収束

 ブレインの刀と東堂の拳は拮抗しあい、その力の波が傍観者達の全身を叩いた。

 

 

「ハッハハッ!やはりブラザー!俺の見込み通り、素晴らしい力だッ!!」

 

「認めたくはないが、オマエもな!」

 

 

 熊と鶴。

 濁流と清流。

 溶けぬ油と馴染む水。

 

 どちらも相反する存在のようで、しかし中身は似た者同士。

 

 互いに顔を綻ばせ、しかし野性味を帯びた醜い笑みを浮かべる。

 

 

 だが、その刹那はあまりにも長かった。

 

 

「この拮抗し合う一時も良し。・・・だが、それでは味に飽きが来る」

 

 

 そう言うと東堂は拳を引き、刀をいなす。

 腰を深く落とすと、そのままブレインに向け正拳を放つ。

 しかしそこは戦士ブレイン。

 バックステップで宙に浮くと、その衝撃を運動エネルギーへと変換した。

 

 人が出したとは思えない滞空時間を経て、地面へ着地する。

 殴られた部分を撫でながら、殴った部分を払いながら、互いに嬉々とした目線を送った。

 

 

「いなされた後の対応速度!流石だ!!」

 

「オマエの体術も中々やるな」

 

 

 戦闘中に互いを誉め合う。

 これほどまでに心地のいい戦いは、互いに久しい気がした。

 

 高揚したそのテンションを抑えることが出来ず、それまで収めていた刀を抜き、東堂にギラリと向けた。

 

 

「今度は俺から行かせてもらう」

 

「ああ、来い!!」

 

 

 宣言通り踏み込むと、斜め下からの逆袈裟斬りで東堂に先制を加える。

 それを腰を捻じることで回避した東堂は、不安定な体制からのローキックを放つが、しかしブレインもそれを回避。

 それから四度の攻防を終えた後、二人の間に人一人入れるほどの空白が生まれた。

 その空白を塗り潰すように刀を真横に振ると、東堂はそれを拳で受け止める。

 すぐに刀を引こうとするが、しかしそれは東堂の手に掴まれることにより阻止された。

 

 

「フンッ!!」

 

 

 開いた左手をグッと握りしめ、まるで投擲するかのように引き放った。

 今この状態でこの拳を回避するには、刀から手を放すしか方法は無い。

 

(さあ!どうするブラザー!!)

 

 ブレインの眼には、未だ戦いに対する熱気と希望が色濃く映っている。

 それはつまり、この状況を打開できる手があるということ。

 

 それは一体何なのか。

 

 拳は迫るが、しかし動く様子はない。

 果たして何をする気なのか。

 

 

 その答えは、ブレインの口元に湛えた笑みと共に──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『要塞』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東堂の拳がブレインの胸筋にメリ込み、そして弾かれた。

 

 

 

「何ッ!?」

 

 

 その驚きのあまり、刀を持っていた左手を離してしまった。

 

 ブレインは解放された刀を即座に納めると、領域を展開する。

 

 

 そして腰から東堂目掛け放たれた、煌めきをも残さぬ一撃。

 

 

 

 

「シイイイイイッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 噛み締めた口から搾り出るように放たれた奇声。

 それが東堂の耳元に届く頃には、刀は既に東堂と一寸にも満たない距離へと近づいていた。

 

(勝ったな)

 

 勝ちを確信し、刀を薄皮一枚で留めるために流れる力を逆流させた。

 刀と腕の距離、残り一ミリ。

 

(これで俺の──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パァンッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刀が皮膚に触れる直前、破裂音と共に東堂の姿が消えた。

 

「ンなッ!?」

 

 傍観者の一部からも同じような声が飛ぶが、しかし思考は至って冷静。

 即座に領域を展開し、東堂の姿を探る。

 

 その直後、背後から声が聞こえた。

 

 

「・・・まさか、あの場で己の肉体で受け止める判断をするとは。流石ブラザーだ」

 

 

 言葉だけ見れば褒め言葉。

 しかし先程の東堂の動きを視たせいで、皮肉にしか聞こえない。

 

 

「それがオマエの術式か?」

 

「ああそうだ。名を不義遊戯(ブギウギ)。説明は・・・要らないな」

 

 

 振り返ると、そこには拳を構えた東堂がいた。

 

 

「自分と相手の場所を入れ替える、か・・・いやそれだけじゃないな?」

 

「フッ、察しがいいな」

 

「ただの勘だ。・・・で、まだやるのか?」

 

 

 ブレインは未だ腰の刀に手を置いたまま。

 いつでも抜ける手筈は整っている。

 

「・・・いや、もう実力は見ることができた」

 

 しかし東堂が拳を収めることで、ブレインも刀に置いていた手を離した。

 

 

「良き戦だった。またやろう」

 

「いや、もう今日限りでいい。・・・だが、良い戦いだったのは認めるぜ」

 

 

 東堂の差し出した手に、自分の手を重ね、固い握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 模擬戦が終わり、東堂は冷えたタオルで手を拭いながら、楽巖寺の元へ向かう。

 

 

「爺さん。ブラザーの件だが」

 

「分かっておる。・・・全く、こんなことをせんでも()()()()()()()()()()()()()の」

 

「一級?違うな?ブラザーは()()()だ」

 

「・・・」

 

「アンタの()()には乗らねえぞ?」

 

 

 

 保守派の楽巖寺にとって、素性も知らないブレインは危険因子であった。

 故に手っ取り早く殺そうかと思ったが、見たところブレインは呪術のジの字も知らない余所者。しかもその実力は呪力を使えないとはいえ高いと見た。

 

 そこで楽巖寺はこう考えた。

 

 

「一級術師にわざと棚上げして、一級か特級の退治に行かせる。死んでも高専的にデメリットは無いし、逆に呪霊を祓えたら今度はメリットしかない。アンタはそう考えたんだろ?」

 

「はて?何のことやら」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 東堂の無言の圧と、すっとぼけながらも瞳に殺意を抱く楽巖寺。

 もし、何かきっかけが生まれればその瞬間どちらかの首が飛ぶ。

 一触即発の空気が張り詰め、両者の手が硬く握られた。

 

 

「・・・ッチ」

 

 

 先に折れたのは東堂だった。

 

 

「ブラザーは準一級だ。一級にするなら、呪力の使い方を学んでからだ」

 

 

 踵を返すと、東堂はブレインのいる歌姫の場所まで向かっていった。

 

 

「・・・全く。アイツは面倒事しか起こさんな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アングラウスさん。今日からあなたの身柄は高専(ウチ)で引き受けます。異論はありませんね?」

 

 

 顔に斜めの傷が走った女がブレインに話しかける。

 

 

「えーっと・・・誰だ?」

 

「庵歌姫よ。高専で教師をやってるわ」

 

「ウタヒメか。一応言っておくが、ブレイン・アングラウスだ。よろしく頼む」

 

「よろしくね。それで、答えの方は?」

 

 

 答えというのは、異論があるかどうかという話だろう。

 

 

「異論というか、それしか道ないだろ?」

 

「道がない訳じゃ無いですよ?ただ衣食住の全てを保証されるかされないかの違いです」

 

「高専に入れば保証されると?」

 

「命の保証はされないけどね」

 

 

 何とも物騒な話だ。

 しかし命の保証が無いなど前の世界とあまり変わっていないのだし、それに今更引き返す宛も無いのだし。

 

 

「問題ない。ただ命の保証が無いなら、せめて守れるだけの武器は欲しいところだ」

 

「武器ならそれ・・・は、三輪の刀だったわね。・・・アングラウスさんは呪力の使い方は分かりますか?」

 

「ジュリョク・・・それっぽいのはなんとなく掴んだような気はするが・・・よく分からないな」

 

「そうですか・・・それなら、あとで適当な刀を用意して、それで呪力を流せるか試してみますか?」

 

「そうだな・・・

 

 

 

え?なんて???」

 

 

 

 イマイチ言っていることがピンと来なかったので流そうとしていたが、とんでもないモノが流れた気がした。

 

 

「え?ですから呪力を流してみて──」

 

「いや、それより前なんだが・・・そこも意味分からないんだけどさ」

 

「適当な刀を用意して──」

 

「適当な刀ってなんだ?」

 

 

 その切れ味はまさに極上。素人が振るっても木の板は裂け、玄人が振れば鉄板を断てる。

 南方の砂漠にある都市にて、極稀に市場に流れる武器。それがブレインの知る刀だ。

 

 

「適当は適当よ」

 

 

 しかしそれがどうだろう。

 今目の前のこの女は、まるで骨董品を物色するかのような、気軽でかつ不作法にも適当だなんて言葉を付けている。

 

 しかも「いくらでも手に入るんだけど」とでも言いたげな顔でだ

 

(この世界じゃ刀も簡単に作れるようになっているのか?)

 

 一瞬、脳内で大量生産される刀を連想するが、その考えを一瞬で切り捨てる。

 そんなわけがないだろう、ありえないありえない。

 

 ・・・本当にありえない、よな?

 

 

「そう、なのか・・・なるほどな」

 

「?」

 

 

 顔が青ざめているブレインを他所に、歌姫はゴホンと咳をする。

 

「さてアングラウスさん。あなたはこれから、東堂や加茂と同じ三年生として、高専で修練と勉学、そして呪霊退治に励んでもらいます」

 

 勉学、という単語にうんざりしそうになるが、しかしそれより前に少し気になることがある。

 

 

「つまり俺も生徒になるってことか?俺これでも結構歳喰ってるぞ?」

 

「歳は関係ないですよ」

 

「・・・ああ、そうか。確かに東堂もいるもんな」

 

 

 

「え?東堂は18歳だけど」

 

 

 

 

 

「え」

 

「え?」

 

 

 

 

「ブラザー?」

 

 二人の間を割る様に、東堂が間に入ってくる。

 

 

「オマエ、俺より年下だったのか・・・?」

 

「なんだ今更?そうだがなんだ?」

 

「マジかよ・・・」

 

 

 東堂という人間がイマイチ分からなくなる。

 しかし東堂はそれどころではないらしい。

 

 

「それよりもブラザー。オマエの等級が決まったぞ」

 

「ああ、どうせ準一級だろ?」

 

 

 すると何故か自慢げだった東堂の顔が、何故か急にしょんぼりし始める。

 

 

「知っていたのか?」

 

「いや。ただ予想はついていたからな」

 

 

 東堂はあの時、まだ奥の手を隠していた。

 あれを最初の時点で使用していれば、勝敗はもっと早くについていただろう。

 尤も、ただでやられるつもりはないが。

 

 

「まだ俺の力量は浅い。むしろこれで一級になっていたら、俺はそれを決めたヤツを殴るかもしれないな」

 

「なら、止めない方が良かったか」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いや、何も言っていないぞ」

 

 

 本当か?と首を曲げるが、本人が口を割らなそうなので、これ以上の追及は止めておく。

 

 

「東堂が来たなら、私がする必要もないわね。校舎と寮の案内は任せるわ」

 

「OKだ歌姫先生」

 

 

 サムズアップをしながらウインクをする東堂はなんともエグイ絵面だ。

 

 歌姫の姿が校舎の方に消えたところで、東堂はこちらに向き直った。

 

 

「さて、これから寮の案内に入るが・・・その前に一つ、自己紹介といこう」

 

「俺はオマエのことを知っているが・・・」

 

「何、社交辞令というやつさ。これから高専に、仲間に入るのだろう?なら挨拶はちゃんとするべきだ」

 

 

 東堂から結構マトモなことを言われると、少しムカつくのは何故だろうか。

 

 

 すると東堂は背筋を整え、片手をブレインに向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呪術高専三年、東堂葵。Welcome(ようこそ)、ブレイン・アングラウス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 

「・・・ブラザー?」

 

 

 何とも悲しそうな顔をしながら、「オマエもしてくれ」と言いたげに手をクイクイとする東堂。

 正直やりたくは無いが、しかし東堂の思いを無下にするのも少々気が引ける。

 

 

「ったく、しょうがねえな」

 

 

 ブレインも手を差し出し、手を重ね合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呪術高専三年、ブレイン・アングラウス。よろしくな東堂」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本日二度目となる握手を交わした二人の顔には、爽やかな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良し、早速オマエには高田ちゃんの素晴らしさを知ってもらわねばな。案内が済んだら俺の部屋に来い。ライブDVDとCDを一気するぞ」

 

「いや、それは遠慮する」

 

 

 

 




ブレインの武技

流石に持ってる武技があれだけとは思えないし、クライムでさえ使えるのにブレインが使えないのはちょっとおかしいよね?と思い使わせてみる。というかカウンターを主軸に使ってる時点でガード用の武技を習得していない方がおかしいし、なんなら重要塞ぐらいは覚えてそう。

ちなみに「東堂本気だったし、要塞じゃ防げないでしょ」って思った人は、取り敢えず記憶を消去してもろて。


待たせた割に短めでスマナイ。
次回は番外編と後日談を挟んだら、第二章を完結させたいと思います。

章が完結したらどうなるんだ?
知らないのか?
新しい章が出るんだよ。
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