といっても内容は適当なので流し読んでもらって構いません。
オチもないですし。
任務終わりの、日が暮れる頃。
「伊地知君。最近ちゃんと寝ていますか?」
「え?まぁ、はい。毎日六時間程度寝ていますよ」
『六時間?それで十分疲れが取れるのか?』
「正直、全部取れているのかと問われればそうではないと思いますが・・・というか、ナチュラルに割り込んできますね」
『私も暇でな』
伊地知の運転する車の後部座席にて、虎杖と七海が一定の距離を開けた座っていた。
虎杖は疲れたからか既に寝ており、一方の七海は伊地知とアインズと適当な話をしていた。
適当といってもほとんど五条に対する愚痴や、任務関連の話、あるいはアインズの異世界での話が殆どなのだが。
赤信号で止まると共に三人の会話は一段落し、会話に間が生まれた。
その状況を見計らってか、ふとアインズは思い立ったように声を出した。
『そういえば・・・七海の術式は相手の7:3の部分を弱点とする・・・だったか?』
「えぇ、そうですが」
『それは例えば、手元から離れる武器、それこそ銃や弓矢などにも付与できるのか?』
「一応、できはします。ですが正確に7:3の位置を狙わなければならないので、実戦で扱うとなると少々難しいですね」
「呪術師は街中や屋内に向かうことが多いので、あまりそういった目立つ武器を持ちたくないという方も多いですね。京都では術式の都合上銃を持つ生徒もいますが・・・基本的には懐に隠せるサイズの武器が一般ですね」
「尤も、刀や棍等の呪具を扱うこともありますし、無理に隠す必要はないですがね」
伊地知と七海の言葉に、確かになぁと相槌をうつ。
といっても、呪術師の多くは外観的に割と目立つ格好をしているのでトントンな気もするが。
『ふむ・・・ではもう一つ。その術式は石や液体などの小さいものにも付与できるのか?』
「はい。ただし私の術式はあくまで弱点を作るだけ。ダメージはその物の質量・速度によって比例しますので、小石や水鉄砲程度に術式を付与したところで相手にこれといったダメージは入ることはありません」
逆に言えばそれなりの重さのある石であればそれなりのダメージが入るというわけだ。
(うーん、たっちさんが好きそうなスキルだなぁ・・・)
PVPでは九割方クリティカルヒットを出すやべーヤツのことを思い出しながら、フムフムと頷く。
「それでもコンクリートぐらいなら穴を開けられるんじゃないですか?」
「私を買いかぶりすぎですよ。"縛り"を使えば、もしかしたらできるかもしれませんが。・・・"縛り"が無ければ、厚さが30cm程の発泡スチロールであれば貫通できる程度でしょうか」
「それでも大分凄いような・・・」
しかし呪霊相手には殺傷能力が無いことは確からしい。
「しかし、一体何故このことを?」
『別に何か裏があるわけではない。単に興味が湧いただけだ』
「そうですか」
『・・・・・・』
「・・・・・・」
なんとも不服そうな顔をしている。
(自分のことも話せってか?・・・まぁ確かに不公平ではあるけども)
要は私は話したんだからお前も話せよ的なことだろう。
といっても別に隠すことはコレといって無いし、身の上話程度なら話すことには特別嫌悪感等は無いのだが。
どうしても面倒臭いなぁという感情が沸いてしまう。
(でも、先に聞いたのはこっちだし、しょうがないよなぁ)
致し方なしと溜め息を吐くと、頬杖を───七海たちには勿論見えないが───つきながら質問を促す。
『・・・何か聞きたいことがあるのか?』
「・・・五条さんからはアナタの実力を、ある程度は聞いています。なんでも、五条さんと互角に渡り合える程の実力を持つとか、」
『・・・まぁ、な』(戦ってないから本当のところは分からないけど)
そもそも自分に五条の領域展開やら無下限術式やらが効くのか、逆に五条に自分の《
「しかし・・・私はアナタの実力には興味ありませんね」
『ほう?それは何故だ?』
「実力を知ったところで意味はないでしょう。味方或いは敵となって戦うことになるなら知っていても損はありませんが」
「いや、それならもしものために知っておく方が・・・」
「ならば逆に聞きますが。アナタは五条さんの術式や領域の弱点が───もしもあったとして、それを知った状態で戦って勝てますか?」
「そんな!勝てるわけないですよ」
「その通り。例え手段を知っていても講じる策がありませんので意味がない。味方として入ったとしても、そこまで強いのなら連携なんて取る必要もありませんし。それよりも、そんな無意味なことを聞くのであれば、もっと有意義なことを聞いた方がいい」
「な、なるほど・・・?」
納得と疑問の半々のような声で伊地知が呻く。
未だにアインズに対する敵対心というか、疑念が払拭できていないのだろう。
「・・・有意義なこと。そもそも有意義な質問とはなんですかね?」
それから七海は、かなり長い時間悩む。
別にそこまで悩むくらいなら聞かなくてもいいんじゃないかと思うぐらい、結構悩んだ。
結果、二十分くらいの時間を掛けて、ようやく七海は納得のいく相槌を打った。
「アナタは、なぞなぞは好きですか?」
『なぞなぞ?唐突だな・・・ふむ、特別好きというわけではないな』
解けないので嫌い、とは答えないでおく。
「そうですか。・・・では一つ、私がなぞなぞを出します。伊地知君は昔同じようななぞなぞを出したことがあるので、分かっても黙ってて下さい」
「もしかして・・・アレですか!?なんかこう、もっといいこと聞けたんじゃないですか?!」
「いえ、頭に浮かんだのがコレだったので」
『・・・?よく話が見えないのだが?それに答えられると何かあるのか?』
「正解すれば私と伊地知君からの評価が上がります。不正解だと上がりません。最悪な回答をすれば評価が下がります」
なんじゃそりゃ。と心の中で悪態を吐く。
とはいえこの流れで断る訳にもいかないので、ない脳ミソをフルで回転させる。
どうせなら元社畜という同じ境遇同士なので、正解して好感度を高めたい。
「では───────
『やっても問題はなく、むしろ率先して行うべきことだが、やると周りから非常に冷たい目線で見られる行為とは、一体なんでしょうか?』
『定時退社』
瞬間、三人の瞳に同じ色をした閃光が迸る。
それは同類を見つけたという共感の光。
それは同士を見つけたという感動の光。
『・・・まぁ、なんだ。これからよろしく頼むよ』
「ええ」
「勿論です」
三人の疲れたような笑い声が、車内に響き渡った。
定時退社ってする時は何も思わないのに、される時ってとんでもない殺意沸くよね。
これって俺だけかな?