白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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虎杖強化と、やっとこさ黒幕参上の回。


久しぶりにDSを起動したら充電が切れていました。
充電器を確認したらDS用はなく、3DS用しかありませんでした。
仕方なく3DSを探したら、3DSは真っ二つに折れてました。

バイバイカセキホリダー。バイバイお茶犬の大冒険。




それもこれも全て真人が悪いです。


第22話 雷撃のシチュー ~真人の気まぐれ改造人間を添えて~

『・・・ほう。魔法を新しく覚えられるようになったか』

 

「うん。これが俗に言うレベルアップ?」

 

『恐らくは、な。しかし・・・レベルアップか』

 

 

(魔法の習得数が増えたってことは、一定の経験値が溜まって魔法使いのレベルが上がったってことだよな。でも今の虎杖の様子を見るに、意図して魔法使いのレベルを上げたようには見えない。転移先の方だと職業を修めるってのが必要らしいけど・・・うーん。よく分からないな)

 

 

 ユグドラシルのレベルアップというのは、いわゆる王道系のレベルアップとは違い、職業レベルというものがある。

 職業レベルは最大15.lv。ただの魔法使いや戦士のような初期から取得できるものから、アインズが持つような特殊な条件で取得できるものまで。これらを最大レベル100まで(種族レベルもあるので正確には違うが)自分の好きなように組み、そしてレベルを上げることができる。

 例えばアインズであれば、ネクロマンサーlv.10、チョーセン・オブ・アンデッドlv.10、エクリプスlv.5等々・・・といった具合だ。

 

 

(これを意図して上げることが出来たなら、修行僧とかを上げてさらに近接戦闘能力を上げることもできたんだけどなぁ・・・というか、今の虎杖のレベルっていくつなんだろ。経験値の量が分かればもしかしたら・・・でも呪霊の経験値なんて分かるわけないし)

 

 ただでさえ素の身体能力(ステータス)が高いのだ。これでまだレベル2とかなら、もはや強いどころの騒ぎではない。

 

 

 

 

 場合によっては、危険分子として殺す可能性も考えなければならない程である。

 

 

 

 

(・・・魔法使いのレベル上限は15。ここまで上げた時に何が起こるか、だな)

 

 アインズが腹の中でドス黒い妄想をしている間、そうとも知らずに虎杖は能天気にも習得する魔法のことを考えていた。

 

 

「魔法何覚えよっかなー」

 

 

 どことなく考える気が失せたアインズは諦めて意識を虎杖に移す。

 

 

『・・・正直、今の虎杖は呪術師として相当完成されていると思うぞ。現にあの五条相手に善戦をしたからな』

 

「そう?でも、まだまだ実戦が足りてなくない?手数も近接ばっかだし」

 

『だからといって遠距離攻撃をむやみやたらに覚える必要もない。手数が増えれば考えることも増えるからな』

 

「じゃあバフでも覚える?」

 

『確かにそれもアリではあるが・・・あまり味気がないな』

 

 

 それに、これ以上バフを覚えると呪力の消費量的に長期戦がキツくかる可能性がある。

 

 

(呪力の消費量か。第3位階の魔法でも相当量を消費するからな。勧めるのはそれ以下のモノを選んだ方がいいか)

 

 

 

 

 

 

 うーんと悩み始める虎杖とアインズ。

 

 

 

 

 

 こうして、ようやく取得する魔法が決まったのは、日が昇り始めた頃だった。

 

 

 

 

 

 ──────

 ───

 ─

 

 

 

 

 

「それで新しい魔法を幾つか覚えたんだけど・・・選ぶのに結構時間掛かっちゃって」

 

『最終的に私が選んだものをそのまま選択しただけだがな』

 

「でも~、どれも魅力的だったし~?」

 

「・・・そうですか。興奮する理由はともかく、寝不足は失敗の元です。健康管理にもキチンと目を向けるように」

 

 

 神奈川にある、小さな映画館。

 その周りを囲む警官達の間を割って入ったのは、浅めのクマを浮かべた虎杖と七海だった。

 

 

「それよりも、先程の話の続きです」

 

「残穢・・・だっけ?」

 

 

 残穢。

 術式を行使すると残る、残滓・残り香のことを指す。

 呪霊や術師を特定したり、追跡するのに扱われている。

 

 

「・・・お?なーんか目を凝らしたら見えてきた」

 

『本当か?・・・私には見えないな』

 

「私たちは普段、当たり前のように呪いを見ています。しかし残穢はそれに比べて薄い。よく目を凝らしてみてください」

 

 

 うーんと呻きながら目を凝らしてみる。

 するとなんとなくではあるが、それらしき跡を確認することができた。

 

 

『お、私にも見えたぞ』

 

「・・・というか今更だけど、なんでアインズさんって呪霊とか残穢とかが見えるんだろ。元から?」

 

『私がアンデッドであるから、というのが関係していそうだが・・・まあ詳しい事情は私にも分からないな』

 

「へえー」

 

「雑談はさておき。追いますよ」

 

 

 ちなみに背後で宿儺が「やっと見えたのか・・・」的な溜息を吐いているのが、それは気にしないでおく。

 

 

 

 

 

 

 

 残穢を追い続けていると、屋上に続く非常階段の元へ辿り着いた。

 屋上に残穢の主がいる可能性は低いだろう。が、しかし何か手がかりがあるかもしれないという希望の下二人は階段を上り始めた。

 

 

「監視カメラには何も映ってなかったんだっけ?」

 

「ええ。被害者以外は少年が一名のみです」

 

『となると、呪霊が犯人か』

 

「その少年っていうのが術師の可能性は?』

 

「正確には術師ではなく呪詛師です。・・・可能性はなくもないですが、身元特定は警察の───」

 

 

 

 

『おべお べん とう~』

 

 

 

 

 

 開けた屋上には、一体の四足型の呪霊が待機していた。

 その目の先はクルリと七海たちの方へ向き、のっしのっしと一定の距離を保ちながら近づいてきた。

 

 

「虎杖君、君は───」

 

「分かってる。俺は後ろの呪霊をやればいいんだよね?」

 

 

 一瞬、七海の目がサングラス越しに見開く。

 しかし瞬時に元の愛想のない顔に戻ると、背中の鉈を抜いて正面の呪霊に構えた。

 

 

「・・・はい、頼みましたよ。勝てないと判断したら」

 

「その時はちゃんと呼ぶよ。多分ないと思うけどね」

 

「期待を裏切らないことを願っていますよ」

 

 

 

 

 

 

『いい い"い~いせ んざい』

 

 右拳を握り、人差し指をピンと立たせ、右肩に自分の頬が当たるようにして照準を定める。

 形状・姿見は違えど、それはまさしくスナイパーのようであった。

 

 

「新しい魔法・・・早速お披露目と行きますか!」

 

 

 腰を低くして、息を深く吐く。

 そしてギンとした眼で呪霊を見据えると、奥底にある呪力を昂らせ───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《雷撃》ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 指先から青い稲妻が迸ると、一直線に呪霊の腹部へと走る。

 バチバチと弾けながら進むそれは瞬く間に呪霊の腹に突き刺さると、その速度を維持したまま胴体を貫いた。

 

『ボ ボッボ・・』

 

 貫き終えた雷撃は既に威力を無くしていたのか、奥の壁に到達することもなくそのまま霧散していった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・呪霊の胴体を容易く貫くとは。中々侮れませんね」

 

 

 既に犬型の呪霊の両足を断ち切り、虎杖の様子を傍観していた七海。

 その瞳に映るのは、見定めでも評価でもなく、ただ純粋な賞賛だけであった。

 

 

「五条さんと互角に戦える体術。呪霊を容易く貫ける魔法。・・・もしここに呪力も加われば・・・」

 

 

 二級術師、いや一級術師をも超える可能性がある。

 しかも内にアインズと宿儺を隠しているとなると・・・。

 

 

「彼が呪詛師でなくて、本当に良かったですよ」

 

 

『おっおべ・・・』

 

 

 

 四肢を切断した呪霊から呻き声が響く。

 まだ生きていたのかという微かな驚きと、早く祓おうという慈悲の念が浮かび、握る力の緩んでいた手に活を入れる。

 

 

「失礼。今止めを・・・?」

 

 

 七海の目に映る、呪霊の切断された腕。

 その腕の先、手首のあたりに巻かれた黒い塊。

 

 カチカチと僅かに漏れる針の音はまさしく───

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・嘘でしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうと倒れ伏した呪霊を前に、思わず虎杖は身震いする。

 

 

「すっげえ・・・これが《雷撃》か」

 

『火球とは異なる()()が上手く作用したな。これなら格上相手でも使用できるか』

 

「うーん、でも縛りが縛りだからなあ・・・注意しないと」

 

『そうだな。・・・そろそろ止めを刺しといたほうがいいんじゃないのか?』

 

「だね。じゃあ最後は逕庭拳で・・・」

 

 

 拳を持ち上げると、呪霊の後頭部に向け振り落とさんと───。

 

 

 

 

「待ってください、虎杖君」

 

「え?」

 

 

 

 しかし七海の掛け声により、拳はギリギリで止められた。

 不完全燃焼感の漂う右手をパッパと振りながら、呪霊への意識を逸らさずに七海に問う。

 

 

「俺なんかやっちゃった?」

 

「いえ、そういう訳では・・・とにかく、コレを見てください」

 

 

 言われた通り、七海の差し出すスマホの画面を見る。

 スマホの画面には呪霊の腕が写っており、中心には今と同じ時刻を差す腕時計がつけられていた。

 

 

「アレ?コレ呪霊写ってる?」

 

『・・・待て、なぜ呪霊が写っている?呪霊はそういった物には写らないのではなかったか?』

 

「はい。ゴウンさんの言う通り、呪霊は写真には写りません。・・・そして、普通は()()()なんて物は身につけません」

 

「・・・それってつまり・・・」

 

 

 気味の悪い汗が頬を伝う。

 

 

 

 

 

「落ち着いて聞いてください。・・・私達が戦っていたのは─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人間だよ』

 

 

 

 

 

 

 スピーカーモードにしたスマホから、家入の冷徹な声が木霊する。

 

『いや、元人間といった方がいいかな。映画館の三人と同じだよ、呪術で体を無理矢理変えられてる』

 

 三人、というのはこの映画館で呪霊(仮)に襲われた被害者達のことだ。

 

 

「それだけなら初めに気付けますよ。私たちが戦った二人には呪霊のように呪力が滾っていた」

 

『そればっかりは本人に術式を聞いてみないと。ただ、脳幹の辺りにイジられた形跡がある恐らく意識障害・・・錯乱状態を作り出すためだろう』

 

『脳と呪力・・・何か関係があるのか?』

 

『コッチの世界でもわからないことが多くてね。関係はブラックボックス、謎ばかりだよ』

 

『ふーむ』

 

 

 細かいことが聞きたかったという残念か、それとも難しい説明が来なくて助かったという安心か。

 適当に頷くアインズを傍目に、家入は「さて」と声を張る。

 

 

『聞いているか虎杖。彼らの死因はザックリ言うと改造されられたことによるショック死だ。君が殺したんじゃない、その辺り履き違えるなよ』

 

「はい・・・」

 

 

 その後、適当に話を区切り別れの挨拶を済ませると、七海は電話を切った。

 

 

 

「・・・俺にとってはどっちも他人の死。重さは変わらない。・・・けどさ。それでもさ。

 

 

 

 

 

 

 

これは趣味が悪すぎるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 虎杖を中心に、激しい怒りの渦が生まれる。

 その純粋無垢な明るい怒りに、思わずアインズは無い眼を細め、七海は感心の息を吐く。

 

 

『・・・他人の死のために本気で怒れる。純粋で嘘偽りのないこの光は、いつ見ても眩しいな』

 

「同感です」

 

 

 おっさん二人が感傷に浸っていると、虎杖がこちらに嬉々とした目線を送ってきたからか、その直後に七海はコホンと咳をし、話を戻した。

 

 

「あの残穢自体はブラフで、私達は誘い込まれたのでしょう。相当なヤリ手です、今回ばかりはソコソコでは済みそうにありません

 

 

 

 

 

 

 

 

気張っていきましょう」

 

 

 

 

 

 

 

「応ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷静盤石系の熱血正義系。

 大抵二人の息はどの世界でも合わないことが多い。

 

 

 

 だが、目指すべき道が一緒になった途端に、二人の息は合い始める。

 

 

 

 

 

 その光景はどこか懐かしく、そして眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うん!大分慣れてきた!」

 

 

 地下下水道の開けた空間。

()()は黒い塊を片手で遊びながら、もう片手で隣に立つ男に自分の作品を投げた。

 男はそれを空中で手に取ると、その軽さを小ささに一瞬目を見開く。

 

 

「随分と小さくできるようになったね」

 

「でもそれ以上小さくすると、魂が保てなくなって崩壊しちゃうんだよねー。もう少しコンパクトに出来ればいいんだけど」

 

「でもそれだと元に戻す時が大変じゃない?今のままで十分だと思うよ」

 

「そうかなー?」

 

 

 重い腰を持ち上げ、凝り固まって背骨をポキポキと鳴らす。

 達成感と開放感が混ざった気持ちよさそうな声を上げると、ソレは下水道を道なりに進みだした。

 

 

 

 

 

 

 

「あの子はどう?」

 

「気に入ってるよ。呪術の才能あるし普通に頭いいし」

 

「でも、殺す時は殺すんだろ?」

 

「まあね。でも状況はちゃんと見るよ。交渉素材に使えるなら使う。物は使いようってね」

 

「うん。その辺は真人に任せるよ」

 

 

 足並み揃え、手の内の塊を弄びながら進む。

 

 すると、あるモノを前に二人の足は止まった。

 

 

 

「・・・そういえば・・・。()()の操作はどう?」

 

「それがサッパリ。俺の術式が通用してないってよりかは、なんか中身がないって感じ。例えるなら・・・そう、屍を弄ってる感じ」

 

「屍?でもコレ、明らかに動いてるよね?」

 

「呪力もそれなりに宿ってるポイのにね。意味わかんないよコレ」

 

 

 急ごしらえで建てた鉄柵の奥。

 その奥で蠢く何かは、現に怨嗟と渇望に鳴いている。

 

 

「・・・まあさ。コレが何かは分からないけどさ。でも、きっとモノにしてみせるよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だって、その方が楽しそうじゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 ソレは───真人は笑った。

 

 新しい玩具を見つけた子供のように無邪気に。そして残酷に。




今更ながらですが、宿儺の指を通して生まれるアンデッドは、全員魔力の代わりに呪力を持っています。
と言っても、呪力持ってようが持ってなかろうが、特別何かストーリーが変わることはないんですけどね。
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