白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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最近色々(主にアニメと漫画とラノベと病気のせい)起こりすぎてハーメルンにログインすらしてなかったけど、徐々に意欲と気力が回復してきたので投稿。
久しぶりに書いたので色々とおかしいところがあるかもだけどその辺は許してください。

ちなみに病気のせいでこれまで貯めてきた有休を全部消化する羽目になりました。



それもこれも全て真人が悪いです。(半ギレ)






第23話 襲来

 虎杖、七海、伊地知の3人は、ホワイトボートに張り付けられた神奈川の地図に目を向けた。

 一人はその情報を脳内に取り込むように。

 一人は記入された記号に誤りが無いかを確認するように。

 そして最後の一人は「なーんか描かれてんなー」程度の浅い知識で見ていた。

 

 

 

「ここ最近の失踪者、変死者、そして「窓」による残穢の報告をまとめました」

 

『・・・それらしい共通点は見られないが』

 

「いえ、共通点はあります」

 

 

 するとそれまで端でひっそりと立っていた伊地知が口を開いた。

 

 

「地下下水道との照らし合わせを行った結果、犯行は全て地下下水道の入出口周辺で行われていることが判明しました。そのため、犯人は地下下水道内或いはその入出口周辺等に根城を立てていると推測されます」

 

『それがブラフという可能性は?』

 

「本当の根城、拠点を隠すという意味でのブラフはないかと。ただ、罠や待ち伏せの可能性は・・・」

 

「その場合は私が対処するので問題ありません」

 

 

 サングラスをクイと上げながら、七海は冷静にそう呟く。

 七海であれば問題ないと安堵する半面、七海レベルの術師が対処しなければならない問題ということに若干張り詰めたような緊張感が走る。

 

 

「とはいえ調査はある程度。虎杖くんには別の仕事をしてもらいます」

 

「別の仕事?」

 

 

 張り切って拳を重ね合わせていた虎杖は、なんとも腑抜けた面で七海を見つめた。

 

 

『件の映画館の少年のことだろう?』

 

「はい。そしてその少年──吉野順平ですが、彼は被害者と同じ高校の同級生だそうです」

 

「あの佇まいから呪詛師の可能性は低いと考えていましたが・・・被害者と関係があるなら話は別です」

 

 

 呪詛師。

 前にも出てきたが、この界隈では悪質な術師のことをそう言うのだとか。

 そもそも呪力とは負のエネルギーだ。それを抱え込む者の全員が全員マトモなわけは無い。

 

 その証拠に術師の最強格がアレだ。アレを基準に考えるのは失礼かもしれないが。

 

 

「手順は伊地知君に任せています。二人で、場合によっては三人で吉野順平の調査をお願いします」

 

『私がなにか手伝えることはあまりないと思うが、了解した』

 

「そうですね・・・虎杖君に人生の先輩として助言ぐらいはしてほしいですね」

 

「アインズさんからの助言って、なんか凄い重みがありそう」

 

「そもそもゴウンさんの年齢はいくつなのでしょうか。虎杖君から外観は骸骨であるとは聞いていますが・・・」

 

『少なくとも、数えることが面倒になる程度には重ねているつもりだよ』

 

 

 実際は七海と同程度であることは勿論伏せておく。

 というか自分の本来の年齢が少々朧げになっているし。でも今の自分は鈴木悟ではなく、アインズ・ウール・ゴウンであり───

 

(・・・アインズ・ウール・ゴウンとしての年齢って意味だと、ギルドを設立してかだから・・・え?まだ未成年じゃん)

 

 アインズ・ウール・ゴウン自体の年齢は学生も学生、なんなら虎杖より年下だ。

 当然ではあるが、名乗っているのはモモンガ──鈴木悟なのでそれが適用されるかと言えばそうではない。そうではないのだが・・・。

 

(いや、このことについて考えるのはよそう。なんだかこれ以上踏み込むと戻ってこれなくなりそうだ)

 

 

 

 

 

 パシパシとアインズが自分の妄想の靄を払い除けている間。

 虎杖が任務に燃え真っ先に部屋から出ていく間。

 

 伊地知は七海をそっと見つめていた。

 勿論恋ではなく心配が故だ。

 

 

「犯人の居場所。実はもう分かっているんですよね」

 

「勿論です」

 

 

 特に躊躇うことも無く淡々と告ぐ。

 

 

「犯人の実力は未知数ながら、確実に特級クラスはあるでしょう。残穢を残さずに立ち去ることもできるハズです」

 

「十中八九、誘い込まれていますね」

 

「ええ。そしてこのことを話せば、間違いなく虎杖君は私について来ようとするはずです」

 

「虎杖君はそういう子ですからね。それで虎杖君を連れて行かない選択肢を取ったと」

 

「単身で乗り込むリスクと、虎杖君を連れていくリスク。それを天秤にかけ前者を選んだ。それだけです」

 

 

 腕を組み、壁に背を託し、そして七海は優しい笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

「彼はまだ、子供ですから」

 

 

 

 

 

 

 

「それを聞いたら彼、怒るでしょうね」

 

「怒るかもしれませんし、もしかしたら納得するかもしれません。ですが、間違いなく不満げな顔はするでしょう」

 

「はは、それもそうで────

 

 

 

 

 

 

「七海先生~~!!!」

 

 

 

 

 

 

 すると部屋を飛び出したハズの虎杖が、ガチャリと扉を開いて戻ってきた。

 もう外に出ていったものだと思っていた伊地知と七海は共に肩を震わせ、一瞬目を見開く。

 

 

 

「気を付けてね!」

 

 

 

 天真爛漫な笑顔から発せられたその一言。

 そのたった一言を言うと、虎杖は部屋から「ふんじゃ!」とすぐさま踵を返した。

 

 その姿に二人は和み、同時に七海は眼鏡を親指で上げた。

 

 

「虎杖君。私は教職ではないので先生はやめてください」

 

「え?・・・じゃあナナミン・・・」

 

「ひっぱたきますよ?」

 

『ナナミン・・・いいネーミングセンスじゃないか』

 

「何感心してるんですかアナタは・・・」

 

 

 ため息を吐く七海。

 しかしその顔はどこか微笑んでいるようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは余談だが、ナナミンの妥協案としてアインズが建人くんを提案したが、なんやかんやあってナナミンが採用された。

 勿論アインズからのナナミンコールは断固拒否している。

 

 

 本人曰く───。

 

「尊敬している会社の上司にナナミンと呼ばれたいですか?仲のいい会社の同僚からナナミンと呼ばれたいですか?・・・私個人としては構いませんが、呼んでいる本人のメンツが下がるので断固拒否します。例え本人が望んでいても、です。呼ばれるのであれば名字で出来ればさん付けで」

 

 とのことだ。

 

 

 

 

 

 

 尚───

 

「え?だってナナミンって呼んだほうが仲が良さそうに見えるじゃん。なんなら俺もアインズくんでいいよ全然。むしろそう呼んでほしい。・・・いやちょっと恥ずかしいかも。せめてアインズさんで・・・でもアインズさんもおっさん臭い感じするし、いつも通りゴウンさんでいいかなぁ・・・」

 

 と、分かりやすく言うとアインズはこう主張している。

 

 

 

 

 

 

 意外と二人は似ているようで相容れないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「いました」

 

 

 横断歩道を渡る一人の少年に向け、伊地知は指を指す。

 格好は制服ではなく夏用のラフなもの。髪型は片目が隠れる程度に伸ばされ、根暗で消極的な印象を抱く。

 

 

『・・・私服じゃないか』

 

「学校サボってるのかな?」

 

「暫く行ってないみたいですね。映画館の日も平日でしたし、まあ思春期の子にはよくあることですよ」

 

『近頃の若者はそういうものなのか』

 

「まあ俺は優等生だったし、学校をサボるようなことはあまりしなかったよ」

 

「自分で言いますかねソレ」

 

『ギャンブルをしている時点で十分優等生では無いような』

 

「ちょ!?アインズさん!?それ秘密にしといてって言ったじゃん!?」

 

「え?ギャンブル??」

 

「ち、違いますよ伊地知さん!ギャンブルって言うのはその~・・・」

 

 

 パチクリと目を開閉する伊地知をどうにか言いくるめつつ、論点ずらしにこれからすることを問う。

 

 

「そ、それで今から何やるの?」

 

「は、はあ・・・今からこれを使って吉野順平を試します」

 

 

 戸惑いながら伊地知が取り出したのは、檻のような小さな木箱だった。

 中には二匹の呪霊が入っており、どちらにも鳥のような白い羽が生えている。

 

 

『呪霊か?』

 

「はい。『蝿頭』四級にも満たない低級の呪いをそう言います」

 

 

『イ"ーッ』と喚く呪霊。外に出ようと必死に枠を掴んでいるところに若干愛らしさを感じ始めたところで、伊地知の眼鏡が白く輝く。

 

 

「人気のないところに出たら、コイツに彼を襲わせます」

 

「う"ぇ!?」

 

『なんだか可哀そうだな』

 

 

 主に呪霊の方が。

 

 

「確かに可哀想ではありますが、これも身の潔白を証明するための大事な作戦です」

 

『・・・ん?ああ、まあそうだな?』

 

 

 歯切りの悪い空気が漂う。

 恐らくどちらの思考も噛み合っていないのが原因だろうが、一先ず伊地知は解説を続ける。

 

 

「呪いを視認できない単なる一般人の場合は虎杖君が救助してください。視認できるが対処する術を持たない場合も同様に救助を。ただし後述の場合は事件当日の聴取が必要になりますので、極力その場に引き留めるように」

 

「じゃあ対処する術があったら?」

 

「即時拘束、必要であれば無力化のための戦闘を行います」

 

『少々乱暴だな』

 

「乱暴でも力尽くでも構いません。誤認であれば後で謝りましょう。ただ、吉野順平に二級術師以上のポテンシャルがあった場合は、一度退いて七海さんと合流をします」

 

『二級術師であれば虎杖でも対処できると思うが・・・』

 

「二級呪霊であれば、対処もできると思いますが、今回の場合は術師です」

 

「どゆこと?」

 

『あぁ、成程』

 

「アインズさんは飲み込みが早くて助かりますね」

 

「へ?どゆこと?」

 

 納得し難い表情を浮かべる虎杖。するとアインズは簡潔に説明*1をした。

 

 

 

「じゃあナナミンは一級術師だけど、本当は特級とも戦える、みたいな感じ?」

 

「理解が早いですね。そういうことです」

 

「・・・なんで俺ってこういう重要なこと知らないんだろ」

 

『五条が無責任過ぎるのが原因だろうな』

 

「あー。なんとなく納得」

 

 

 

 と、五条の適当さに呆れを抱いたところで、作戦の決行へと移る。

 

 二人は車から降り、気配周りの人混みに溶かしながら吉野順平の後を追った。

 

 

「なんか自作自演みたいで気が乗らないなぁ・・・」

 

『だが手段としては悪くない。本人に直接聞くより確実かつ堅実だ』

 

「それはそうだけど・・・」

 

『相手の信頼を得れる可能性もある。彼の後ろに何か──無論居ればの話だが。場合によっては心を開いてその存在について聞けるかもしれないしな』

 

「後ろに?なんで?」

 

『生き残りは彼だけだ。ただの学生とはいえ首謀者でないとするなら、何か裏がある筈だと考えるのが普通だろう?』

 

「確かに・・・」

 

『と言っても、これまで話したことは全て私の想像に過ぎない。その真偽を確かめたかったら、本人に直接聞くしかないが・・・?どうする?』

 

「うわ、アインズさんも悪いな〜。そんなこと言われたらちょっとやる気出ちゃうじゃん」

 

『プレゼンで重要なのは、如何に相手の興味を引くかだ。覚えておいて損はないぞ』

 

「多分プレゼンなんてする機会ないと思うけど、覚えとくよ」

 

「二人共、会話は程々にしてくださいね。傍から見たら少々、というか結構怖い絵面なので」

 

「はーい」

 

『あぁ』

 

 

 

 

 

 そう注意しつつも、会話は止めないんだろうなと想像する伊地知だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻

 

 

 

 

 血に濡れた鉈を振り血を払うと、七海は硝子で隠された視線を奥の通りに向ける。

 

 

「出てくるならさっさとして下さい。異形、手遅れとはいえ人を殺めるのは気分が悪い」

 

 

 辺りに伏せる異形の骸の数々。しかしその中身は全て元は人間である。

 

 例えば子供だったかもしれない。

 例えば老人だったかもしれない。

 例えば知人だったかもしれない。

 

 しかし皮肉にも、人間とはかけ離れた異形だからこそ、七海はその得物を振るえた。

 胸の内に沸々と湧く罪悪感と嫌悪の感情。

 無論七海も呪術師である、それを押し殺すことなど容易だ。

 だが、だからといって気分が良いわけがない。

 

 

 

 

 つまり要約すると、七海は今相当キレていた。

 

 

 

 

「いや~よかったよかった五条悟が来ても困るけど、あんまり弱いと実験にならないからさ」

 

 

 靴とコンクリートぶつかり合った軽い音が、こちらに近寄ってくる。

 

 影から滲むように現れたのは、継ぎ接ぎの線が幾つも目立つ呪霊。

 一見すると少々やんちゃの過ぎる青年とも見て取れるそれは、しかし人間とは似て非なる存在であると七海は一瞬で悟った。

 

 

 

 首元を撫で、凝った首と肩に喝を入れる。

 

 

 

 それは人形如きでは本気すら引き出せていないという七海の実力と、その七海でさえ警戒に値すると判断した呪霊の実力を物語る所作だった。

 

 

「残業は嫌いなので────手早く済ませましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

 

 東京都立呪術高等専門学校にて。

 

 

 

 

 

「あり?一年ズは?」

 

「パシった」

 

「おかか・・・」

 

 

 ふと一年の姿が無いことに気付いたパンダがその疑問を率直に口から漏らすと、流石というべきか真希らしい答えが返ってきた。

 

 

「大丈夫か?」

 

「三歳児じゃねーんだ、お遣い位できんだろ」

 

「いやそうじゃなくて」

 

「ああ?」

 

 

 苦そうな顔を浮かべるパンダ。

 どういうことだと首を捻る真希と狗巻は、一瞬思考し視線を下げる。しかしすぐに面倒臭くなりパンダへと視線を戻す。

 

「今日だろ、京都校の学長が来るの。ホラ、交流会の打ち合わせ」

 

 

 その言葉に二人は成程と首肯する。

 

 

「特級案件に一年派遣の異常事態、悟とバチバチの上層部が仕組んだって話じゃん」

 

 

 その話は二人も風の噂程度には聞いていた。

 しかし今更ながら考えてみればかなり胸糞の悪い話である。

 

 伏黒と釘崎(可愛い後輩達)を巻き添えに無理矢理決行した宿儺の器の始末。

 

 しかも二人が死んだとしても上層部側には不利益は出ず、むしろ五条に嫌がらせができるという一石二鳥の算段だ。

 

 

「京都の学長なんてモロその上層部だろ。鉢合わせでもしたらさァ・・・」

 

 

標的(ターゲット)だった一年(いたどり)は死んでんだ恵達を今更どうこうするつもりねえだろ。京都のジジイだって表立って騒ぎは起こさねえって」

 

「教員は立場があるけど、生徒はそうでもないよな」

 

「・・・来てるって言うのか、真依が」

 

「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからなでもなァ───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────アイツら嫌がらせ大好きじゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは東堂達のことを言ってるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

 

 背後から響く男の声。

 それはこの場にいる三人全員が聞いたことのない、正真正銘赤の他人の声。

 

 振り返り見れば、そこには日本刀を腰に差した青髪の男がいた。

 

 

 

「確かに俺も東堂には散々嫌がらせ・・・本人は自覚ないだろうが、されてきたからな。別に否定するつもりはないが」

 

 

「・・・だったら何の用だ?」

 

 

「獣人と話すつもりはない。・・・お前が禪院真希だな?」

 

 

「・・・そうだ、といったら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その腕、確かめさせてもらうぞ」

 

 

 

 

 

男は腰の得物を抜くと、獣のような笑みを浮かべた。

*1
第二章にて解説は行ったので、ここでは省略させてもらいます




そういえばなんで七海は真人を一目見て呪霊だと判断できたんだろ。なんか呪霊ってオーラ的なの持ってんのかな?
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