白骨化した宿儺の指   作:限界社畜あんたーく 

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ちなみにですが、この作品はギャグ五割、ストーリー三割、バトル二割となってます。

投稿者の好きなゲームはウマ娘プリティダービーです。
大したもんだハルウララをメッチャ見てます。

あと、今回の話では若干のネタバレ要素(伏黒のある技について)が書かれているので、『ネタバレは死すべし』と思う人はなるべく見ないようにしてください。


第04話 器

 時は少し遡る・・・。

 

 

 

 

 

 遠隔視の鏡は本来、索敵したり周りを見利するためのアイテムだが、大きな特徴として『場所さえ特定すればその場所から好きな角度で見ることが出来る』というものがあった。

 ユグドラシル発売初期は転移や遠隔視の鏡を利用することで、裏世界や壁の中を覗けるようになるバグが多発しており、裏世界を興味本位で探検する者もいれば、派生して相手のギルド内部をトラップ範囲外から探索し得た情報を売る、通称『モグラー』などが大量発生していた。

 そこで作られたのが『転移魔法阻害エリア』なのだ。

 

(俺が触った時に景色が映らなかったのは、俺自身が転移魔法阻害エリア内にいて、なおかつ場所が特定できなかったからだ。でも、宿儺はこの生得領域の外に自分の指が存在している。だから宿儺は場所が特定できて、指(あの二人)が映ったってことかな?)

 

 

 原理は分からないが、映っているということはつまりはそういうことなのだろう。

 

(でも、どうして指の場所を特定できたんだろ?例えば共鳴とか?互いに引き合う的な・・・まさか、そんなわけないか)

 

 

 

 

 

 

「それにしても、まさか死の騎士がこんな形で召喚されるとは」

 

 

 

 鏡の中で、ウジ虫のように発生する呪霊を、フランベルジュで切り裂く死の騎士の姿が映る。(ちなみに鏡の操作をしているのはアインズ)

 死の騎士はその背後で気絶した二人を切り刻まないように、なるべく離れた位置で戦っていた。

 それが良心かと言えば、決してそうではない。

 アインズもその心情までは把握できないが、おそらくは二人の青年少女をデザートにでも取っておくつもりなのだろう。

 

(あの死の騎士からは、繋がりを感じない。念じても命令が届かないようだしな。ということは、自然発生したものか?だが、死の騎士レベルのアンデッドが自然発生って妙じゃないか?そもそも・・・)

 

 この世界に、アンデッドという存在がいるはずがない。

 アレはあくまでゲームのキャラクターだ。

 

 それにいるならもっと、世界は悲惨な姿になっているはずだ。

 

(死の騎士は強い部類ではないが、生半可な武器と装備では倒せる程弱いわけでもない。アッチの方だと伝説のアンデッド的な感じで恐れられてたし・・・ )

 思考の海に飛び込もうとするが、その前に宿儺が声を出す。

 

 

 

『あの屍はアインズの所有物か?』

 

「あれは私の物ではないが・・・しかし同じようなものはいくつか作れるぞ」

 

『作れる・・・なるほどな』

 

 

 

 実際、限りこそあるが一日に何体も作ることは可能だ。

(変な意味に捉えないといいけど・・・)

 死の騎士の動向に目を向ければ、バッタのような呪霊を追っているところだった。

 

 

 

「しかし、生命を憎しむアンデッドが、まさか呪霊を屠るとは。呪霊には命が宿るものなのか?」

 

 

 

『呪霊は人の負の感情から生まれたものだ。故にその命自体は人の子となんら変わらん。しかし、それ以外は人の凶を寄り寄せた魔窟。ソレを人というのであれば、人なのかもしれんな』

 

 

 

「人の負の感情、か」

 

 

 

(アンデッドが生まれる条件ってなんだっけ?たくさんいるところから強いやつが生まれる、というのはどこかで聞いたけど・・・)

 ユグドラシルはランダムで沸いていたので、どういう条件とかはなかったはずだ。

 負の感情、というのも実験として加えるべきだろうか。

 でもそれならば、地下で飼っているアイツラの周りにアンデッドが発生しないのは何故だろうか。

(あれは負の感情ってよりかは憎悪と怨嗟か)

 負の感情の定義が分からなくなってきたところで、死の騎士はようやくバッタの呪霊を撃破したようだ。

 

 

『あの程度の羽虫とはいえ、一方的に攻め倒せるのは流石だな』

 

「それもそうだ。アレは私のお気に入りの一つだ」

 

『お気に入り・・・?』

 

「そうだ。単体での性能こそ難ありだが、盾としては十分すぎる働きをしてくれる」

 

『盾・・・なるほどな・・・』

 

「・・・ん?なんだこの人間は?」

 

 

 ふと鏡に、巨大なフクロウの姿が映った。

 面のようなものを被った、アウラが見たら欲しがりそうな見た目をしている。

 

 

『影を媒介として、式神を召喚する術式か』

 

「術式・・・ここにいるということは、つまり呪術師とかいうやつか?」

 

『そうだろうな。全くもって忌々しい』

 

 

 

 場面は変わり、巨大な蛇が現れる。

 フランベルジュの攻撃を躱し、蛇の尾が顔面に命中するが、しかしそれでは死の騎士は倒れることはない。

(今のでHPが一割削れた、ってところかな。しかしこう見ると、死の騎士ってなかなか強いな)

 

 

 

「だが、それなら後ろの青年は何をしようとしているんだ?」

 

『さあな。見たところは呪術師ではなさそうだが・・・ほう?』

 

 

 宿儺が鏡に顔を寄せた。

 何かと思えば、すると宿儺は大笑いした。

 

 

 

『これはこれは!!まさか受肉を試みるか!!』

 

「受肉・・・だと?」

 

 

 笑う宿儺に引き気味だったアインズもさすがに興味が沸いた。

 

 

 前線に立っていたイガグリ頭は、青年に向け腕を伸ばす。

 

 しかし、時すでに遅し。

 青年が口に指を入れ、喉仏が上がった。

 

 

「食べた・・・か」

 

 

 しかし、辺りを見ても何も変わる様子はない。

 青年も、食べてからピクリとも動く気配がない。

 

 

「死んだか。可能性はあると思ったのだが・・・宿儺、残念だったな」

 

 

 

 

 

 ふと、目を横にスライドさせて、宿儺の方を見てみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、そこにいたのは、呪肉を試みていたあの青年だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 「 ん?誰オマエ? 」 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

 現世に顕現した宿儺は肩を鳴らす。

 

 

 

「オォオォオォオォオオオォ!!!!」

 

 

 

『そう吠えるな。俺と貴様の実力を計るだけだ、楽しもうではないか?』

 

 

 軽い身のこなしで、死の騎士の右手を回避する。

 盾のプレス攻撃や、足払いも軽く見切ると、動きをさらに加速させる。

(動きは軽やかだな。肉体が元々仕上がっているのか?)

 

 攻撃を全て避けると、次は拳を握る。

(今度は腕力。まだ加減が難しいが)

 攻めても無駄と察したのか、死の騎士は盾を構えると、前進を始めた。さながらブルドーザーのようだ。

 

 

 迫る巨壁に、宿儺の全力の右拳を放つ。

 

 

「グゥウゥ!!!」

 

 

 すると大盾に、深い拳の跡が走った。

 死の騎士は思わず狼狽え、またも数歩後ろへ下げてしまう。

 

 

『貴様ごと殴り潰すつもりだったのだが。まさか盾すら貫くことが出来んとは』

 

 腕力だけでは、おそらく五分の戦いになるだろうと察する。

 

(なら次は術式だが・・・)

 

 今の宿儺は、二十分の一の実力(正確に言えば術式)しか出せない状況。

『「■」「開」』は術式が構成されておらず、現在使えるのは「解」か「捌」か「伏魔御厨子」だけだ。

 

 

(そのうえ、こいつは呪力がない。事実上、俺が使えるのは「解」だけか)

 

 ちなみに伏魔御厨子はあまりに強すぎるために、この戦いでは使わないつもりだ。

 

 

 

『腕力は分かった。次は試し切り、とでも言おうか?』

 

 

 指を揃え、横に振った。

 あまりに軽い、まるで空に浮く羽毛を払うが如く。

 

 

 

 

 

 

 

 だが瞬間、盾は横一文字に切り裂かれ、その死の騎士の巨体すらも切断した。

 

 

 

 

「オォオォァァアァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

『研磨されずにこの威力。流石は出刃と言ったところか?』

 

 盾が重力に従い落下する。

 死の騎士のバランスが崩れる。

 

 

 

 

 

 が、その足は意思を持って、倒れるのを阻止した。

 その上体がゆっくりと上がり、怨念が籠った雄叫びが響いた。

 

 

「ガガアァァアアァァアアアア!!!!!」

 

 

 死の騎士のスキルが発動し、体力が1残った結果だ。

 

 

 

『・・・成程。生命へ向けた憎しみというのも、中々捨てたものではないらしい』

 

 

 

 

 

 

 

 

『だが、貴様にもう用はない。冥土へ帰れ』

 

 

 

 死の騎士は立ち上がったとともに、膝をついて倒れす。

 その巨体からは、既に頭部が無くなっていた。

 

 

 

『楽しむには、少々骨が無かったな・・・さて』

 

 

 

 目線は灰となって消えゆく死の騎士から、町へと向けられる。

 その目は同時にこれから始まる惨劇に、心躍るようでもあった。

 

 

 

 

『今宵は血染めの雨が降るまで殺してやろうか?ケヒッヒヒ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、アインズさんいい人だったなー」

 

 

 

 

 

 

 左手が勝手に、首元を掻いた。

 

 

 

 

『あ?』

 

「で、今どういう状況?てか体返してくんね?」

 

『お前・・・何故動ける』

 

「いや、俺の体だし?しかもお前が喋ってるせいでなんかアシュ〇男爵みたいになってね?」

 

 

 その時、体の自由が奪われるような、全身の力が抜けるような感覚に陥った。

 

 

(抑え・・・込まれ・・・)

 

 

 必死にしがみつく。

 この状況で意識を保つことがまず難しいというのに、ここまで耐えるのは流石だろう。

 

 だが、呪いの王も滝のような意識の波の前では無力だった。

 

 ついに体は実体を無くし、元の生得領域へ、あの空間に帰ってきた。

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

 

 虎杖は気が付くと、謎の空間にいた。

 二畳程度の小さな空間で、壁には札のようなものが張られていた。

 

 目の前には目隠しをつけた白髪の優男。

 目から下しか見えていないが、女性人気がめっちゃ高そうな顔をしているのは一瞬でわかった。

 

 

 

「いまの君は()()なのかな?」

 

 

 言葉が脳に染み渡らない。

 質問には答えることなく、自分が今一番気になる質問をした。

 

 

 

「・・・あんたは?」

 

「五条悟。呪術高専で一年を担任してる」

 

 

 呪術。

 その言葉だけで虎杖の脳は覚醒した。

 

 

「呪術・・・!!伏黒はッ!!」

 

 

 思わず掴み掛りそうになるが、しかし体は動かない。

 

 

「なんだよ・・・これ・・・!!」

 

 

 その手は札が挟まった綱で縛られ、身動きどころが立つことさえできなかった。

 

 

 

 

 

「他人の心配してる場合じゃないよ、虎杖悠仁」

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の、秘匿死刑が決定した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

「今どういう状況?」

 

 

 観光がてら伏黒の様子を見に来た五条の、最初の感想はそれだった。

 

 

 

 

 

 

 後輩が、見知らぬ青年に道連れの最強奥義を放とうとしてる。

 

 そりゃそう言うのも仕方ないだろう。

 

 

「五条先生!!どうしてここに!!」

 

 

「来る気はなかったんだけどさ、流石に特級呪物が行方不明となると上がうるさくてね。観光がてら馳せ参じたってわけ」

 

 

 スマホを取り出すと、ボロボロになった伏黒を記念に撮影した。

 それを二年のグループライン(正確にはパンダに)送ると、スマホを閉じた。

 

 

「・・・あの」

 

 

「で、指は見つかった?」

 

 

「それがですね・・・」

 

 

 

 近くにいた青年が腕を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、俺それ食べちゃった」

 

 

 

 

 

 

 

 フリーの画像でよくある、宇宙の写真が自分の背景に投影された気がした。

 

 

 

「マジ?」

 

「「マジ」」

 

 

 嘘だろ、と思いつつ、六眼を使って虎杖の中を観察する。

 

 

 

 

 

 

「ははッ本当だ、混じってる・・・よ?」

 

 

 

 

 

 

 笑みが消え、その顔は比較的真面目なものへ変わった。

(これは・・・なんだ?)

 

「・・・五条先生?」

 

 

 柄にもなく真面目な顔をしていた五条に、声を掛ける。

 我に返った五条は、いつものように笑った。

 

 

「いや何でもないよ。それよりも君、体に異常は?」

 

「え?特にはないけど・・・」

 

 

 虎杖が体を触りながらそう答えた。

(もし、これが奇跡ではなく、本当に制御できているなら・・・)

 

 

「・・・宿儺と入れ替われるかい?」

 

「宿儺?」

 

「君が食べた呪いのことだよ」

 

「ああ、うん。多分できるけど・・・」

 

「じゃあ十秒だ。十秒経ったら戻っておいで」

 

 軽くストレッチをして、冷えた体に熱を入れる。

 

 

 

 

 

「でも・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫」

 

 

 

「僕最強だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────

 ──

 ─

 

 

 

 

 

 

「そろそろかな?」

 

 

 その声と共に、虎杖の体の文様は消えていた。

 それまでナイフのように鋭い目が、元の穏和な目に戻った。

 

 

「おっ大丈夫だった?」

 

 

 虎杖は普通に戻ってきた。

 

 

「驚いた。本当に制御できてるよ」

 

「でもちょっとうるさいんだよなー・・・あ、アインズさんの声も聞こえる!」

 

 

 

 知らない名前が出る。

 

 

 

「・・・あいんず?誰それ?」

 

「俺の中にいる、なんか怖い見た目の優しい人です」

 

「怖い見た目の優しい人ってなんだよ」

 

 

 

 伏黒のツッコミにナイス!と親指を立てる。

 伏黒は嬉しかったのか、同じように中指を立てた。

 

 

「うーん、それ少し興味あるな~・・・ねえ、さっきの宿儺みたいに入れ替われない?」

 

「できるかなー・・・うーん・・・」

 

 

 暫く虚空を眺める虎杖。

 

 

「お、出てもいいって!」

 

「それじゃ、さっきと同じように10秒後に・・・いや、一分後に戻ってきてくれるかな?」

 

「一分後ね。分かった」

 

 

 虎杖が目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い風が体を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恵、僕の後ろに隠れろ」

 

 

 五条の雰囲気が一変。

 あまりに急だったので、思わず反応に遅れてしまう。

 

 

「は、はい!」

 

 

 すぐさま、五条の後ろに身を隠した。

 さながら無敵の盾のように感じるが、しかしそれが、今日だけは頼りないように感じた。

 

 

 

 

 

 虎杖の眼に、赤い光が混じった。

 身に纏う服がすべて漆黒に変わり、薄く長いローブへと変化する。

 

 

 虎杖本人の姿は変わらない。

 

 

 だが、その風格が、醸し出すオーラが、黒く輝く後光が、そして何よりも、死の臭いが。

 

 

 

 虎杖とはまるで違う者になっていた。

 

 

 

 

 

 

 虎杖──アインズは床に向けていた目線を五条に送った。

 

 

 

 

 

「まさか、宿儺が一方的にやられるとはな。流石の私も驚いたよ」

 

 

 

 

 

 貫禄のある、威厳を放つ声。

 見た目のギャップと相まって、中々にシュールな絵面だ。

 

 

「へぇー、やっぱりいたんだ」

 

「やっぱり、か。先程もそうだったが、どうして私が中にいることが分かったんだ?」

 

「僕の眼って、呪力の流れとかで壁や物を探知することが出来るんだ。それで君の存在に気付いたってわけ」

 

 

 五条は目隠しを取りその目、六眼を開いた。

 

 

 

「おー、服装はともかく、なんかあまり変わってないね。宿儺の時みたいに、目がもう二つできたりしてたらいいのに」

 

「それは私も同感だ。このままでは区別がつかないからな・・・そうだな」

 

 

 

 アインズは手をアイテムボックスに入れた。

 その光景を見た伏黒は絶句し、五条はうーんと唸っている。

 アイテムボックスから取り出したのは、『嫉妬する者たちのマスク』。

 

 妙に馴染むそれを顔に付ける。

 

 

 

「どうだ?似合うか?」

 

 

 

「「いや、全然」」

 

 

 

 シンクロ率90%越えの、見事なシンクロだった。

 若干心が傷つくが、しかし似合う似合わない自体は虎杖に向けて言われているので問題はない。

 

 

 

「さて、君の要件はなんだ?」

 

「あれ?もうその話しちゃう?つれないなぁ」

 

「さっきから宿儺と虎杖がうるさくてな。虎杖を早く戻さないと、宿儺が何をするか分からんからな」

 

「そう。じゃあ単刀直入に言うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君に、宿儺を殺してほしいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宿儺を・・・?」

 

 

「うん。君は宿儺の生得領域、つまり本体に一番近い存在だ。それに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 君は異世界から来たんだろ?」

 

 

 

 当たり前のように宣言する五条。

 後ろにいる伏黒は、その言葉を妄言と思ったのか、狂人を見るような目で五条を見つめた。

 

(隠すべきなのか?だが、ここで違うといっても、厄介ごとにしかならなそうだしな・・・)

 こういう時にアルベドがいれば、と心底思う。

(下手に嘘を吐くよりかは、そのまま答えた方がいいか)

 

 

 

 

「そうだ。私はここよりも遠い、異世界に住んでいた」

 

 

 

 

 伏黒が絶句する。

 一方の五条はオーバーなガッツポーズを取った。

(仲いいなこの人たち)

 しかしいつまでもイチャイチャさせるわけにもいかないので、わざと大きな咳をたてた。

 

 

「なぜ分かった?」

 

「だって君、呪力ないもん。それなのに宿儺の生得領域に入って、しかもこうやって顕現できる。そんなことが出来るのはこの世界にはいないよ」

 

「なるほどな。では、こちらも単刀直入に聞こう。宿儺を殺した、その見返りはなんだ?」

 

 

 五条は淡々と述べる。

 

 

「三つある。一つ、君が元の世界に戻るための、最大限の援助をする。二つ、君の体、つまりその子の安全をこの僕が保証する。三つ、君が求めるもの、欲しいものをこちらから最大限提供する。流石に人とかは渡せないけどね」

 

 

 思っていた通りの答えが返ってきた。

 返す言葉は決まっているが、しかし念のために聞いておく。

 

 

 

「断ったら、君は私を、虎杖悠仁をどうするのかな?」

 

 

「そりゃ、勿論殺すよ。だって1000年経ってようやく現れた可能性だもん。なんなら二度と現れない可能性だってある」

 

「先生・・・!」

 

「大丈夫だよ恵。僕にだって考えはある」

 

「・・・何とかしてくださいよ」

 

「まっかせなさい!」

 

 

(・・・恵?なんか女性みたいな名前だな)

 いつぞやの爆裂少女を思い出し、思わず笑みがこぼれる。

 しかし、このことを考慮した上の仮面なので、いつものように勘違いされることはなかった。

 

 

「それで、殺してくれるのかい?僕としては、あまり君と戦いたくはないんだがね」

 

 

「それは私も同感だ。・・・確かに君の言うことは魅力的だった」

 

 

「へえー、じゃあ」

 

 

 

 

 

「だが、それではまだ足りないな」

 

 

 

 

 

 不穏な雰囲気が流れる。

 まさかここまでの好条件で断られるとは思ってもいなかったのだろう。

(ま、俺はそこまで好条件だとは思ってなかったけど)

 

 

 

「・・・何か不満があるのかい?」

 

 

「まずその条件では、この虎杖の体が死んだ場合、私も道連れにされる形で死ぬ可能性があること。今の私は宿儺の生得領域と虎杖の体の二つの空間でしか活動することが出来ないため、宿儺が死ねば寿命という時間的制限がある虎杖の体に住む羽目になる可能性がある。だが、宿儺が生きていればその制限は無く、一人でゆっくりと半永久的に生得領域内で活動、研究をすることが出来る」

 

 

 そもそも、今のアインズは受肉した宿儺のおまけという形で虎杖の体にいるので、宿儺を殺して生得領域が消えた場合に自分だけが運よく残る可能性は極めて低いだろう。

 

 

「それに、君たちの援助程度で元の世界に戻れる方法が分かるとは到底思えない。私の持つ知識と君たちの知識では、天と地ほどの差があるだろうからな」

 

 

 アインズは異世界から来たのだ。

 もし、戻るために魔法やら超能力やらの知識が必要になったら、呪術師にできることはないだろう。

 

 

「それに、私が宿儺を殺さないのには、もう一つ理由がある」

 

 

 

「なになに?もしかして宿儺に脅されてるとか?」

 

 

 

「簡潔に言おうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『宿儺は私の友だ』。これ以上の言葉がいるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん。君って結構人間味あるんだね?」

 

 

 

「よく言われるよ。・・・さて、そろそろ時間だな」

 

 

 

「じゃあ交渉決裂ってことで。宿儺には『ごめんねごめんね~♥』って伝えておいて」

 

 

 

「そうだな。『五条悟という人間が君を殺したがっている』とでも伝えておこう」

 

 

 

 アインズは目を瞑った。

 

 

 

「ではな」

 

 

 

 そう言うと、アインズは意識の深淵へと潜っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったー・・・けど、何この状況?」

 

 

 虎杖が戻ると、そこには五条の背中にしがみつく伏黒の姿があった。

 

 

「うっせー」

 

 

「まさか・・・アインズさんが怖かったのか!?」

 

 

「そんなんじゃねーよ」

 

 

「いやいや、たしかに恵はビビってたよ?」

 

 

「ほら!ゴジョウ先生も言ってるぞ!!」

 

 

「五条先生まで・・・というかお前はなんでビビらねえんだよ」

 

 

「だって優しいもん」

 

 

 舌打ちをしながら立ち上がった伏黒。

 しかし、その顔は蒼白に染まっていた。

 

 

「伏黒?」

 

 

「大丈夫・・・だ」

 

 

 しかし、フラフラと行き場もなく歩いた後に、そのまま倒れた。

 

 

「おい、大丈夫か伏黒!!」

 

 

「あちゃー、やっぱ精神的にも疲れちゃってたか」

 

 

 呪いの王と対面して、その後にさらにヤバい奴と対面したのだ。

 むしろそれまで気絶しなかっただけ奇跡だろう。

(僕ほどじゃないけど、やっぱり恵には素質があるね。将来が楽しみだよ)

 さて、と虎杖へと顔を向ける。

 

 

「とりあえず、君も寝てなよ」

 

 

「え?」

 

 

 人差し指と中指を揃えて、額を叩いた。

 倒れる虎杖を腕で支える。

 

 

「さてっと。あとはあの老人共に宿儺の器をどうするかって話をするだけか・・・恵にも頼まれちゃったし、先生、今回ばかりは頑張っちゃうぞ!」

 

 

 

 

 

◇■◇■◇

 

 

 

 

 

「てなわけで、改めて君死刑ね」

 

 

 虎杖の背景に、大宇宙が広がった。

 

 

 

「なんでぇ?」




オリジナル要素・・・

 1.遠隔視の鏡パート2
モグラーとかもオリジナル。でも、こういう裏設定があるんじゃないかって考えているときが一番生を実感する。

 2.呪霊の命
そもそも呪霊って生きてるんですかね?漏瑚辺りのこと考えると生きてるって感じがしますけど。アイツらは別なのかな?

 3.出刃
出刃包丁のこと。マンガ読んでる人なら知ってるやつ。

 4.パンダ
あの三人の中だと一番伝達能力が高そうだから推薦。

 5.虎杖inアインズ
当初の予定では、ブリーチの一護の虚化みたいなのを考えていたけど、変身シーンが思いつかないし、表現が難しかったので断念。
ちなみに虎杖の服装はFF14のアシエン的なのを想像して書きました。
今見直すとローブとしか書いてねえじゃん。なんだこれ。

 6.五条の六眼について
こちらも、当初の予定では『魔力も見える』という設定を考えていました。
だけどそれだと『もう何でもありじゃん』と思われそうだったので(今頃)予定を変更して普通に流れの中に変なのを感じ取ったっていうことにしときました。
まあ強者なら気配で察せるっていうし、これでよくね?(自暴自棄)

 7.アインズと五条戦わせたい
これも、最初は戦わせよっかなーと思ってたんですが、序盤にこのマッチ見ちゃったら今後の戦いがつまらなくなりそうだったので控えておきました。
ちなみに五条さんは無下限術式もってるので心臓掌握効きません。


というわけで第四話です。

見ないうちに人気になってました。

期待がすごすぎて胃に穴が開きそうです
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