様々なフィールドでバトルが行われ、仮面ライダー達が火花を散らす中、電撃チームが謎の黒いローブの男に襲われる。仮面ライダーストロンガー・城 茂と仮面ライダー雷・雷は逃れたものの、他のチームメンバーは捕まってしまう。
そんな中余り者チームは着々とバトルを勝ち進み、警察チームの仮面ライダードライブ、メテオ、バースとの戦いに勝利した。しかしそこにもまた黒いローブの男が現れる。
彼は一体何者なのか、そして何が目的なのか………
「お、おい何だよあれ⁉︎」
「これは………蛇?人の背中から生えているのか?」
目の前の光景を見て三人は驚きを隠せなかった。それほどまでに異様な光景だ。
〈何あれ⁉︎ 何か気持ち悪い〜〉
「それよりあの三人だよ!早く助けないと」
良太郎は叫ぶが蛇が邪魔をして前に進めない。その先にはさっきまで戦っていた三人が蛇に捕まっているのに。
背中に蛇を生やした男は懐から何か黒いものを取り出した。それは光り色がつく。
『ドライブ』『メテオ』『バース』
「ふむ、順調順調。コイツらの仲間をあらかじめ捕まえておいて正解か」
懐にあるG3ウォッチとシザースウォッチを確認すると、全てを懐に戻す。
すると男の後ろに十字架が三つ現れた。そこに捕まえた三人を貼りつけると十字架は消えてしまう。
「さぁ、今度はお前達だ」
そう言うと蛇が一斉にこちらを向いた。背中に恐怖と警戒が入り混じった悪寒が走る。
蛇達が鎌首をもたげた。その瞬間、モモタロスが良太郎に憑依する。
「お前ら、避けろ!」
モモタロスが叫ぶまでもなく、三人は一斉に蛇の攻撃を避けた。
しかしあまりにも素早い攻撃だ。避けるだけで精一杯で攻撃が出来ない。
亡は攻撃を避けながら襲ってくる蛇の解析をした。
「これは………純粋なエネルギー体?これほどの蛇を具現化し操るエネルギーを持つなんて」
「おい!危ねぇぞ!」
M良太郎が亡の腕を引っ張って蛇から避けさせた。しかし避けきれずに二人とも攻撃を喰らってしまう。
「ぐあッ‼︎」
「二人とも!くっ!……っと、ッ‼︎」
城之内も何とか蛇を避けながら二人に合流する。三人とも蛇の猛攻に段々とダメージが溜まっていく。
「アイツ何⁉︎」
「何かしらのエネルギー体があの男に取り憑いている、と私は思っています」
おそらく敵の本体はあの蛇だ。それがあの男を乗っ取っている。
「良太郎と似たようなもんか。対処法は………」
「こうなっては隙を突くのはほぼ不可能。倒すにしても、多少無理しても突っ込むしかないようですね」
「まぁそうだよな。俺そういうの苦手なんだけど」
当たり前すぎる答えに城之内はげんなりする。しかし逆に良太郎はすぐに立ち上がった。
「要はアイツをぶっ潰せばいいんだろ?簡単でいいじゃねぇか!」
あまりにも単純すぎる答えを出す良太郎を、慌てて亡が止める。
「私達はダメージを受けている。ここは逃げた方がいい!」
「はぁッ⁉︎んな事言ったってどうするんだよ!」
「とにかく止まって!あの状況でなんとかなるわけないだろ!あなただって良太郎がダメージを受けてるの分かってるだろ!」
二人はなんとかして良太郎を止めると、目の前に黒い渦が生まれる。そこからウォズが現れた。
「ウォズ⁉︎何故ここに⁉︎」
ウォズはそれに答える事なく、目の前の男を見据えている。
「いや、助かった。一旦ここから離れて………ウォズ?」
少し様子のおかしいウォズに三人は顔を見合わせた。
「いや、ヤツは私が何とかしよう」
ウォズはボソッと呟くと、手を強く握りしめた。ビヨンドライバーを装着した。
『ウォズ』『アクション!』
「変身」
『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』
「はあぁぁぁッ!」
変身したウォズはジカンデスピアを構えて突っ込んでいった。
「くっ!ぐぁっ!………はあぁぁぁッ!」
蛇をどんどん倒して立ち向かってはいるが、どう考えても数も多すぎる。不意打ちを喰らって怯むが、またすぐに立ち向かっていく。
「ウォズ!………彼一人では危険です」
「とにかく助けに行こう!」
あの男の強さは正確には分からないが、どう考えても弱いとは思えない。
「皆さん!」
すると後ろから睦月が走ってきた。
「睦月!お前来てたのか!」
「いや、ウォズさんがいきなり部屋を飛び出して、というかあの蛇何⁉︎」
「話は後だ!とにかく彼を助けないと」
「分かりました。任せてください」
睦月はレンゲルにカードを入れて装着した。
「変身!」
『オープンアップ』
オリハルコンエレメントをくぐり抜けて、変身したレンゲルはウォズの元に向かった。
「待てよ!俺も行くぜ!」
良太郎がそう言うと、体からモモタロスが飛び出た。剣を持って蛇へと立ち向かう。
「モモタロス⁉︎こうなったら僕も………!」
〈良太郎。今お前が行っても意味ないで!〉
「でも、モモタロス達をそのままにするわけには………」
〈………分かった。せやったら俺とやるか〉
「うん。頼むよ、キンタロス。みんなも出てきて」
〈了解〉〈は〜い!〉
キンタロスが良太郎に憑依し、ウラタロスとリュウタロスが出てくる。本来はルール違反らしいが、そうも言ってられない。
「私達もいきましょう」
「あぁ!」
『ジャパニーズウルフ』『ドングリ』
「「「変身!」」」
『ビヨンドザタイム! タイムエクスプロージョン!』
「やあぁッ!」
ウォズの蹴りが炸裂し、辺りの蛇達を蹴散らした。しかしまた蛇が襲ってくる。
「ぐっ!………まだこんなにッ………」
「ウォズさん!」
そこへレンゲルが割って入ってきた。レンゲルラウザーで蛇を薙ぎ払い、ウォズを止める。
「一旦退がってください!このまま戦うのは危険です!」
「くっ!………それもそう、か………」
そこにモモタロスが走ってきた。さらに他のみんなも追いつく。
「良太郎⁉︎大丈夫なのかよ!」
〈うん。とにかくここから逃げないと〉
「任せてください!」
レンゲルはラウズカードを二枚取り出してレンゲルラウザーにラウズする。
『ブリザード』『スクリュー』『ブリザードゲイル』
「はあぁぁぁっ!」
レンゲルの指先から放たれた吹雪が辺り一帯のヘビを凍てつかせる。
「今です!」
『フルチャージ』
『ゼツメツディストピア!』
『ドングリオーレ!』
三人が辺りの凍った蛇を一気に砕いた。それでもまだ蛇は現れる。
「蛇は何とかしますから。ウォズさん達はあの男を!」
「すまない」
「へっ!仕方ねぇな!俺達も行くぜ、亀!小僧!」
「「うん!」」
「俺も行きます!」
レンゲルも含めた四人人が走っていくのを見送ると、電王、グリドン、亡は身構えた。
「さぁ、まとめてかかって来んかい!俺の強さにお前が泣いた!」
ローブの男の元へと走っていったウォズ、イマジン三人とレンゲルは、男に斬りかかった。
『メイジ』
しかし男が懐に手を入れると、その瞬間男の姿は消えた。そして五人の死角に入る。
「なぁッ⁉︎ 今のは、ライドウォッチ⁉︎」
ウォズは男の行動に驚いた。よくは見えなかったが、今の力は間違いなくライドウォッチの力だ。
「はぁっ!」
いち早く対応したウラタロスがロッドを振るうが、またしても蛇に阻まれる。
「だったらボクが!」
リュウタロスが銃を構えてに引き金を引く。至近距離で狙われた光弾が男へと飛んだ。
『ゾルダ』
今度は男の前にゾルダの盾、ギガアーマーが出現して光弾を弾き返した。さらに男の肩にギガキャノンが装備される。
「お返しだ」
ギガキャノンの光弾がリュウタロスとウラタロスを吹き飛ばした。
「くっ!」「うわぁっ!」
「亀!小僧!………テメェ!」
モモタロスが剣を振り回した。向かってくる蛇を切り倒し、男に迫る。レンゲル、ウォズもそれに続いた。
『フォーゼ』『ライダーマン』
さらに男の脚にフォーゼのランチャーモジュール、ガトリングモジュールが装備されて、右腕にはマシンガンアームが出現する。
それらが一斉に火を吹き、弾丸の嵐がみんなを襲った。
「ぐっ!くっ!ぐぁっ!」
『ラッシュ』
レンゲルはラッシュライノスをラウズすると、弾丸の中を駆けて男へと突進した。
「はあぁぁぁッ!」「オラァァァッ!」
二人の攻撃がようやく男に届いた。さらにウォズが追い討ちをかけるようにジカンデスピアを振るう。
「やあぁっ!」
ウォズの攻撃に男は大きく後退し、膝をついた。それによってローブのフードが脱げて、男の素顔が彼らの目の前に晒される。
それは声に合った若い男だった。みんな特に驚く事はない………いや、ウォズだけは違った。
「ッ⁉︎ な、何故………あなたが、ここに………」
武器を落として、目の前の男をただ呆然と眺めた。
「我が、魔王………」
どこからどう見ても、さっきまで自分達を襲っていた男の顔は、仮面ライダージオウ・常磐 ソウゴだ。
すると蛇の相手をしていた電王、グリドン、亡も合流してきた。
「皆さん大丈夫ですか?」
「あれが男の正体?見たところ普通の人間じゃん」
三人は予想に反した正体に驚いた。
「へっ!誰であろうと関係あるかよ!オラァッ!」
モモタロスが怯んで隙のできたソウゴに向かって、剣を振り落とした。
しかしその間にウォズが割り込み、モモタロスの剣を受け止める。
「ぐっ!」
「なぁッ⁉︎おいウォズ!何してんだよ!」
「ま、待ってくれ………彼は………」
するとソウゴは立ち上がった。
「よくやったウォズ。だが………」
ソウゴの背中から再び蛇が現れた。それはウォズに何度も噛み付くと、強く薙ぎ払う。
変身が解除されて、ウォズは地面を叩きつけられた。
「ぐあぁぁッ⁉︎」
「ウォズ!」
「亡!後ろや!」
亡がウォズに気を取られている隙に、蛇の一体が後ろに回っていた。キンタロスの忠告も間に合わず、亡の体に蛇が巻きつく。
「ぐっ!」
「まずは貴様の力からいただこう」
「亡さんを離せ!」
レンゲルが助けようとするが、蛇に阻まれて進めない。さらにはみんなも捕まえようと襲ってくる。
「おい、これ何とかしないと!」
「何とかって、どうするんだよ!とりあえず亡を助けないと!」
みんな目の前の蛇を払い除けるので精一杯だ。
蛇が亡を持ち上げると光り始めて、亡の力を吸い込み始めた。
「ぐあぁぁッ‼︎」
その時だった。遠くから何かブーメランのようなものが飛んできて、亡を縛りつけていた蛇を叩き斬った。
それによって亡は地面へと落ちていった。しかし地面に叩きつけられる前に、何かが亡を受け止める。
いきなりの乱入に、みんなの視線がそちらの方に向く。
地面に落ちたと思っていた亡はそっと目を開けて、思わず目を見開いた。
「ッ⁉︎………あなたは、雷!」
「よぉ、亡。無事か?」
亡を助けたのは同じ滅亡迅雷net.のメンバーの雷こと、仮面ライダー雷だった。
「何故ここに?」
「話は後だ。一旦この状況なんとかしねぇと」
雷は亡を起こすと地面に突き刺さったヴァルクサーベルを引き抜いた。
『ゼツメツディストピア!』
「はあぁっ!」
ヴァルクサーベルを振るうと、みんなの周りの蛇を斬り刻んだ。
「お前は、あの時逃げた………ちょうどいい。貴様から先に力をいただくか」
蛇が一斉に雷の方を向いた。しかし今度は別方向から雷撃が走り、蛇を蹴散らした。
「電パンチ!」
そこにいたのは仮面ライダーストロンガーだ。稲妻を纏った拳を蛇に叩き込んでいく。
「ったく、勝手に走り出しやがって。一人で突っ込むなよ」
「うるせぇな。俺の家族がピンチだったんだよ」
二人はソウゴから距離を取ると、ウォズを助け出してみんなの方に駆け寄った。
「あ、あなた達は………?」
「俺は、いや、今はそれよりもこの状況の打破が優先か」
「んなもん、あの野郎ぶっ飛ばせばいいんだろ!」
「ちょ、ストップ!」
再びモモタロスがソウゴに突っ込もうとしたので、慌ててグリドンが止める。
「ここは一旦逃げた方がいい。アイツは強すぎる」
「はぁ⁉︎ふざけんじゃねぇ!こんな状況で退けるかよ!」
「いや先輩、彼の言う通りだよ。ウォズも、それでいいね?」
「………あぁ」
「だったら俺が隙を作ります!」
レンゲルは『スモッグスキッド』のカードを取り出すと、レンゲルラウザーにラウズする。
『スモッグ』
「はぁっ!」
レンゲルラウザーの先から黒い煙が出てソウゴの視界を阻んだ。
「ッ‼︎」
ウォズが腕を振るうと、彼の身につけているマフラーが伸びてみんなを包み込んだ。そして煙が晴れる頃には彼らの姿は消えていた。
「ぐぁッ!」
ソウゴから逃げたみんなは、どこかも分からない岩場へと着いた。着地と同時に変身が解けて膝をつく。
「くっ!………何だよあれ!」
「少なくとも、ただのバトルの介入者ってわけじゃなさそうですね」
「ウォズさん、大丈夫ですか?」
「あぁ………」
良太郎は一番ダメージの大きいウォズを近くの岩に座らせた。そんな彼をモモタロスが横目で睨む。
「誰かは知りませんけど、助けてくれてありがとうございました」
睦月が雷と茂に礼を言う。二人がいなかったら今頃全滅していただろう。
「いや、構わねぇよ。俺は雷だ。そんでこっちが………」
「城 茂だ。よろしく頼むぜ」
「って、そっちの人亡と同じヘッドホンしてる!もしかしてあれ?えっと………ニューギニア?」
「ヒューマギアだ。俺は宇宙飛行士型のヒューマギアなんだよ。亡が世話になってるな」
指をさして首を傾げたリュウタロスに、雷は肩をすくめた。
(技術者の次は宇宙飛行士か………この人達、どういう経緯で仮面ライダーになったんだ?)
亡の事情も少しだけ知っている睦月は、話を聞いて不思議に思った。
「雷。この状況はどういうことですか?アイツは一体………何か知っているのなら教えてください」
「おぉ。と言っても、俺らもそんなに知ってる事はねぇよ。俺らもアイツに襲われたんだ」
「あぁ。たぶん俺らだけじゃねぇ。他のチームも襲われてる」
雷はアサルトウルフのプログライズキーを亡に見せた。
「これは、不破 諌の………そうですか。彼も………」
「まぁとりあえず、俺らの知ってる事話すか」
そう言って茂はこれまでの経緯を話した。主には自分達が襲われた事だ。
「………ってわけで、逃げてきた俺らはあのローブ野郎倒すためにヤツを探してた。そしたらお前らが襲われてたってわけだ」
「そう、か………」
茂の話を聞いて城之内は拳を握った。
彼の話が本当なら凰蓮やザック、光実も捕まってしまっているのだろう。嫌でも悔しさが込み上げる。
「それじゃあ、剣崎さんは………アイツに捕まってしまったんですね」
「あぁ、お前が睦月か。悪かったな、お前の仲間守れてやれなくて」
「いえ………」
ウォズが言っていた試合中継の数が減っていたのは、試合の数が減っていたからだけじゃない。
きっと多くのチームがあの男に捕まったからだ。それも気がつかなかった自分が嫌になる。
「そういや、剣崎から預かりモンがあったな。おらよ」
雷は取り出したものを睦月に放った。
「これは………ラウズアブゾーバー」
「お前に渡せ、だとよ」
(剣崎さん………)
睦月はラウズアブゾーバーを胸に抱いた。
「それで、これからどうするんや?逃げたはえぇけど、たぶんすぐに見つかるで?」
「だろうな。たぶんヤツはこの試合に深く関わっている。俺達の場所はすぐに分かるだろ」
キンタロスの言葉に茂が俯き気味に返した。
「あのさ、主催者の………レトさん、だっけ?あの人なら何か知ってるんじゃない?」
良太郎が至極真っ当な事を言うが、それも希望が薄いだろう。
「知ってたとして、どうやって話聞くんだよ。俺達アイツの居場所知らないぞ」
「だ、だよね………」
城之内の指摘に良太郎がガックリと項垂れる。
みんなはモニター越しにレトと会話をした事はあっても、直接彼女に会った事はない。どこにいるかも分からない。
「とりあえず、今はこのまましか無いんじゃない?ターゲットが僕達である以上、下手に動くのもね」
「私もそう思います〜」
「ほら、女の子もこう言って…………ん?」
ウラタロスはいきなり後ろから聞こえた声に、思わず言葉を止めた。みんなの目線がウラタロスの後ろに向く。
そこにはいたのはバトル主催者のレトだった。
「うわぁッ⁉︎えっ⁉︎何でお前が⁉︎っていうかどこから⁉︎」
「あ、私バトルフィールドだったらどこでも転移出来るので」
ケロッとして答えるレトに、みんなが唖然とする。何となくは察してはいたが、無茶苦茶な人間だ。
「そんな事よりあの男ですよ!茂さんの言う通り色んなところを襲ってて、おかげで試合はめちゃくちゃですよ〜」
「それじゃあ何で何もしねぇんだよ」
「私だって試合以外で皆さんを必要以上に覗くほど、礼儀知らずな人間じゃないですよ。アイツは試合が終わった後に現れる。私だって、知ったのついさっきなんです。試合が終わった人が転移できないってのが分かって」
(となると、さっき転移出来なかったのに彼女は関係ないのか)
亡は話を聞きながら納得した。
管理人がそれでいいのかとは思うが、そんな事を言っても仕方ない。
「とにかく、相手の強さを考えると私に出来る事ってそんなに無くて………だから、皆さんに協力して欲しいんです!私も、出来る限りのことはしますから!」
「えぇ………そりゃ、俺達だって何とかはしたいけど………向こうの情報がこうも少ないと、やれることもなぁ」
「情報ならあるぜ」
するとさっきまで黙っていたモモタロスが口を開いた。
「モモタロス、あの男のこと何か知ってるの?」
「いや、俺は知らねぇ。でも、知ってそうなヤツはいるじゃねぇか」
モモタロスがウォズの方を向いた。みんなの視線が彼に集まる。さすがにみんな、あんな光景を見せられたらウォズに何かあったのは察せていた。
「お前、アイツのこと『我が魔王』とか呼んでたな。あの野郎のことなんか知ってんだろ?さっさと教えろよ」
「それは………」
ウォズはそのまま何も言わずに口籠ってしまった。その雰囲気からして、何か知っているのは明らかだ。
「………あぁもう!アイツが何だか知らねぇけどよ!少なくともアイツはお前のことを攻撃したんだぞ!このままじゃまた襲われるんだよ!」
モモタロスに怒鳴られても、ウォズは俯いたままだ。手に持っている本をそっと撫でる。
「………チッ!」
その様子にモモタロスは何とも言えない気持ちになり、近くの小石を蹴飛ばした。
「う〜ん………」
「リュウタ?どうかしたの?」
さっきからずっと首を捻っているリュウタロスに、ウラタロスが訪ねた。
「なんかさぁ、あの男どこかで見たことあるような………」
「ん?………言われてみれば、何か見たことあったなぁ」
「そうだったか?」
キンタロスとモモタロスも首を捻り考え込んだ。
「さっきまで戦ってた相手の誰かだっけ?」
良太郎の質問にみんなが記憶を巡らせる。
「俺らがさっきまで戦ってたのは、まずセイバーの神山 飛羽真………って、あぁ‼︎」
突然モモタロスが大きな声をあげて立ち上がった。
「ちょッ!モモタロスうるさい!何なの?」
「それだよ!前に飛羽真と一緒に戦った時、自分のこと魔王だなんだって言ってたヤツがいたじゃねぇか!ソイツだよ!」
「「「あぁ‼︎」」」
思い出したイマジン達は手を叩いた。訳の分からない他のみんなは首を傾げる。
「たしか名前は………」
「常磐 ソウゴ」
するとウォズがようやく口を開いた。
「彼の名は常磐 ソウゴ。仮面ライダージオウだ」
「え?俺達と同じ、仮面ライダー?」
まさかの真実にみんなが驚いた。仮面ライダーを襲っていたのが仮面ライダーだったとは。
「彼は時の王者にして最低最悪の魔王、オーマジオウになる青年だ。あらゆる仮面ライダーの力を継承してね」
「って事は何だ?そのソウゴとかいうのが、魔王らしく世界征服でも始めたのかよ」
ようやく話し始めたウォズに雷が質問をする。
「いや、彼はその覇道を自らの意思で捨てた。彼がオーマジオウになる未来は無くなった。今や彼は、ただの高校生だ」
「たしかに。ボク達と会った時も、そんな悪そうな人には見えなかったよ」
少しの間とはいえ一緒に戦ったイマジン達には、彼が悪い人間とは思えなかった。
「………何か、あったんですか?」
顔を覗き込んでくる良太郎に、ウォズはため息をついた。
「数ヶ月前のことだ。私と仮面ライダーディケイド、門矢 士と仮面ライダーディエンド、海東 大樹は私達の世界に時空の歪みが起きるのを察知して、その原因を調べていた」
「門矢 士にあの泥棒野郎まで、今回の事に絡んでたのかよ………」
イマジン達と良太郎は彼らとも面識がある。良くも悪くも記憶に残る人物である。
「そしてその時空の歪みを作った者の目的が、我が魔王だと知った。彼のオーマジオウとしての才能を狙ったんだ」
「あ?そのソウゴってのは魔王にはならねぇんだろ?何で今さら狙うんだよ」
「覇道から王道へ変わっても、彼の中にオーマジオウとしての資格があるのに変わりはないからね」
茂の疑問にウォズは立ち上がって答えた。
オーマジオウとしての道から外れたのなら、また引きずり込めばいいだけのこと、というわけだ。
「私達はすぐに我が魔王とゲイツ君、ツクヨミ君とは協力して匿おうとした。しかし、既に遅かったんだ」
時空を歪ませた者は蛇となって六人の前に現れた。当然立ち向かったが、その圧倒的な強さに手も足も出なかった。
「これから起きることを防ぐためと、我が魔王は私に逃げるよう命じられた。そしておそらく、その蛇に体を乗っ取られたんだ」
「なるほど。悪い事企んでるヤツが、悪いこと出来そうな体を乗っ取って好き放題やり始めたってわけね」
つまり彼はソウゴであってソウゴではない。もっと邪悪な何かだ。仮面ライダーの力を奪う力を手に入れて、何かを企んでいる。
「お前とそのソウゴ、だっけ?それ以外の仮面ライダー達って………」
「おそらく、最初の人柱に………」
ついさっき、進之介と流星、後藤達のようにされたのだろう。
「それから私は必死でヤツを探した。その時、このバトルの招待状が届いたんだ」
最初こそ面倒だと思ったが、試合が進むにつれてこの試合の不自然さに気がついたのだ。
「何でその時にそれ言わなかったんだよ!」
「君には言っただろう?あの時は確証が無かったんだ。それに、彼は私の手で救いたかった………」
ウォズはウォズなりに、この状況を何とかしようとしていたんだ。
「けどよぉ、それで何も救えないんじゃ意味ねぇだろ」
モモタロスがウォズの肩に手を乗せた。
「今は俺らでチームだ。つかチームじゃなくても………そんなひたむきなツラ見せられたら、手ぇ貸さねぇわけねぇだろ」
「………しかし」
「安心しろよ。テメェの手で仇討ちてぇならやらせてやる。あくまで手伝いだ」
「モモタロス………」
「お前達も、それでいいだろ?」
モモタロスがみんなの方を向いた。
「もちろん」
「そうだね」
「構へんで」
「ボクも倒す〜!」
「それしか方法がありませんし」
「まったく、こういうノリは好きじゃないんだけど」
「まぁ、いいじゃないですか」
「俺達も力を貸すぜ」
「だな。ヤツに雷落としてやる」
満場一致で即決だった。
「みんな………ありがとう」
張り詰めた空気が少しだけ和らいだ。
「でも、問題はどうやって倒すか、でしょ?」
「あぁ。おそらくヤツはほとんどのライドウォッチを持っている。残ってる仮面ライダーは私達だけと考えていいだろう」
「ライドウォッチ?」
「仮面ライダーの力を込めたアイテムだよ。一応私も持ってはいるけど。ヤツはそれを自分の力の源にしてる」
ウォズは自分の持ってるミライドウォッチを見せた。
「ヤツは仮面ライダーの力と人間を分離させて、何かに使うつもりのようだね」
「それなら、そのライドウォッチとかいうの奪って仮面ライダーのみんなを解放すれば、何とかなるんじゃないか?」
「それもそうですね。そのためにはヤツの基地を探すか、誘き寄せる必要があります」
しかしレトですら今のソウゴの居場所は分からない。となれば、誘き寄せる以外に方法は無いだろう。
「ヤツはレトちゃんの目を盗むために、僕達が戦った後に現れた。それなら僕達が戦えば来るんじゃないの?」
「いや亀の字、それはあからさますぎるやろ。モモの字やあるまいし、一発で陽動だってバレるに決まっとるで」
「んだと熊公!」
「それでもヤツは僕達の力を奪わないといけない。タイミングはともかく、僕達が動き出せば向こうも動くのは間違いないよ」
ウラタロスの言う事ももっともだ。今はそれしかやれる事がない。
「それなら俺達とお前達のチームで戦ってみるか。二対二でいいだろ?レト、だったか?アンタにも根回し頼むぜ」
「任せてよ!」
茂の提案にみんなが頷いた。これが今出来る最大限の対処法だ。それを聞いてモモタロスが手を打った。
「それなら、もちろん俺が戦うぜ。いいよな、良太郎?」
「え?構わないけど………後一人どうするの?」
「それなら俺がやりますよ。この中じゃ一番ダメージ少ないし………」
「いや、組むヤツは決めてある」
睦月の言葉を遮ってモモタロスが前に出た。
「ウォズ。お前が出ろ」
その言葉にみんなが驚いた。慌ててウラタロスがそれを止める。
「ちょ、先輩!彼はさっきすごいダメージ受けてて………」
「いや、構わないよ。私がやろう」
しかしウォズは立ち上がって頷いた。その様子を見て他のみんなも何も言わなくなる。
「よし!決まりだな。それじゃあ、さっさとやろうぜ!」
モモタロスの言葉を締めにして、みんなが岩場を出た。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
評価、感想等ありましたら、ぜひよろしくお願いします。