泥臭くても勝ちたい 作:Q.うまぴょいとうまだっちの違いを述べよ
ゲームで普通に対面強過ぎて勝てなかったり、スポーツでボコボコにされたり、仕事の出来であったり様々。
やっぱりコイツには勝てんわって思う事があったんではないでしょうか。
どれだけ頑張っても上がいるっていうのは人によってはかなり辛いと思います。
何が言いたいかと言うと、ナイスネイチャまじナイスネイチャって言うことですね。
俺がウマ娘のトレーナーになったのは何故だったか。
単純にトレーナーという仕事が馬鹿のように儲けて、世間で言うエリートしかなれない職業だったから目指したのかも知れない。
俺は自分で言うのも何だがかなり優秀な人間だった。
中央でトレーナーやれているんだから優秀なのは間違いないが、小さい頃は常に何でも1番だった気がする。
その当時は何に対してもやる気に満ち溢れてて、何やっても上手くいって自信しかなかったと思う。
皆が俺を天才だと褒め称える。
実際口では否定しても自分でもそうだと思ってたし、これからもそうであると思ってた。
でも1番なんて称号は常に1人にしか割り当てられない。だから俺が1番だったのはガキで小さい世界にいた頃だけだった。
確かに1番ではなくなった、でも俺にだってプライドもあるし今までの事が全て無かったことになる訳でもなく。
だから必死に努力した。
結果も出た、皆が俺を褒め称えた。
でも1番じゃない。良いとこ2着や3着といった所か。
頑張って頑張って頑張って、努力して努力して努力して。
でも勝てない。何度やったって勝てなかった。
でも当たり前だった、だって1番になる奴は天才なのだから。
悔しいが本物の才能ってやつは本当に存在していて、アイツらは俺が10やって1を学んでいるウチに100やって100を学んでるような奴らだ。
勝てる訳がない。
努力が足りない?考えが足りない?
あぁ、実際その通りなんだろう。でも俺の這い蹲って進んだ1時間を数分でスキップする足取りで進む奴らにどうやって勝つのか。
無理だ。
物理的に時間が足りないし身体が持たない。
胡座をかいて立ち止まってくれているのならまだしも、新幹線で進むアイツらを俺達は己の脚で追い掛けなければならない。
そんなの追いつける訳が無いし、やるだけ無駄だ。
いつからだろうか。
努力するのが当たり前になったのは。
いつからだろうか。
努力をしても無駄だって気が付いたのが。
悔しくて、負けたくなくてやれる事と言えばがむしゃらに努力する。
でもその努力をアイツらはスキップするような軽さで飛び越えていく。俺が死に物狂いで努力した事もアイツらに取っては見おう見まねで真似出来る程度のもので。
だから俺は天才が嫌いだ。
そして何よりも自分が大っ嫌いだ。
中央のトレーナーとなれば朝は早い。
いや中央に限らずトレーナーは普通に多忙な仕事なので、担当を持つトレーナーやそれなりの立場にいるトレーナーは何奴も此奴も仕事に振り回される。
「まぁ俺にゃ関係ないか」
何故なら俺には担当は居ないから。
だから俺は直ぐではないが担当を持ったり、サブトレーナー等をしなけらばならない。でも暫くそんな気持ちにはなれなかった。
ただ此処に残ってるのは唯の怠惰かそれとも。
「はぁ、アホらし」
本当にアホらしい。
用意した朝食のトーストを雑に口の中に放り込んで、身支度は程々に寮を出る。
仕事なんてない。新人で担当が居ないのだから当然と言ったら当然だが何故俺はこんなにも早く家を出てるのか。
それは呼び出しを食らってるに他ならないがいくら何でも早い、でも身体はまるで導かれるようにターフへと脚を運ばせる。
朝早いってのにチラホラと朝練に取り組むウマ娘とトレーナーがグラウンドにはいる。
それをボーッと眺める、この中に未来のスターウマ娘になる者が出てくるのだろうか。
幾ら中央と言えど夢叶える者より、夢破れて去る者の方が圧倒的に多い。
当たり前だろう、1着には1人しかなれない。
その特等席には1人しか座れなくて、そこに座るのは決まって天才という人種なのだから。
余りにもその姿が眩し過ぎた。
それは俺には無いもので、直視したらこっちの身が焼けてしまうのでは無いかと思うぐらいに。
ふぅ、と息を吐く。
やはりキラキラとした奴らを見ると目に毒だ。
そうやってその場を立ち去ろうとした時。
「トレーーーーナーーーっ!!」
「おまっ、おぶっ!?」
弾丸が腹に突き刺さる。
後ろにぶっ倒れそうになるがそこは気合と意地で耐え抜く、何だがこんな事を繰り返し過ぎたせいで皮肉にも少し筋肉が付いてきたかと知れない。
そして俺の腹を襲撃した本人はと言うと。
「おはよっ!トレーナー!いっつも朝早いけど、もしかしてこのテイオー様に会いたくなっちゃったの?もう、トレーナーは可愛いなぁ」
「な訳ねぇだろ。この時間に起きるのが習慣になっちまっただけだ、つかいい加減に離れろ」
「ぶーぶー、トレーナーはつれないなぁ」
いやお前らの力で抱き着かれると割と洒落にならんからな。このクソガキ、トウカイテイオーのせいで最近身体が引き締まってきた気がする.......
この離れろと言っても離れないでグリグリと腹に顔を押し付けてくるこのちんちくりんはあのトウカイテイオーである。
何故か気が付いたら懐かれていてこの有り様だ。
別に大した事なんてしていない、少し見ていて危なっかしかったからアドバイスをしただけだ。
それでこのなつき具合なのはテイオー自身がチョロいのか、元々懐に入ればこれがデフォルトなのかは分からないが年頃の娘の癖に少しベタベタし過ぎな様な気がしないでもない。
論文にもウマ娘は気を許した相手にはスキンシップに寛容になると聞いた事があるが、テイオーだけじゃなくて他の娘もなのか。
それは俺には分からない。
「てかお前こそどうしたよ。遂にトレーナーでも見つかったのか?」
「何言ってるのさ、ボクのトレーナーはトクミチトレーナーだけだよ?」
「お前こそ何言ってんだ。俺はお前のトレーナーになんかなった覚えないぞ」
「むぅ!この未来の三冠ウマ娘であるボクがそう言ってるのに何でそういう事言うかなー」
三冠、三冠ねぇ。
それは簡単になれるもんじゃない。でもコイツは冗談で言ってる訳じゃなく本気で言っている。
シンボリルドルフ、シンザンと言った伝説的ウマ娘しか成しえていない正真正銘王者の証。
そんな普通では絶対なれないものにトウカイテイオーはなると言っている。
でもそれを成せるだけの才能がコイツにはある。
勿論今のままでは駄目だ、だがコイツの才能は本物で天才の中でも底知れない何かがコイツにはある。
まだ数える程度しかトウカイテイオーの走りを見た事がない俺でもそれを感じさせるのに相応しい輝きがあった。
だから俺はコイツ、テイオーのことが羨ましくて妬ましくて直視出来なくて。
「.......それでお前朝練良いのかよ。確かにお前の脚には天性のバネがある、それに此処ぞという勝負感もある。だからその見ているだけでも折れそうな脚さえどうにか出来れば簡単とは言わねぇが間違いなく三冠を獲るポテンシャルはあるだ、こんな所で油売ってていいのか?」
「むぅ、そう言うんならいい加減にボクの練習見てくれて言いじゃんかぁー!確かに貰った練習メニューはこなしてるけどさぁ.......」
「それはあくまでお前の専属トレーナーが決まるまでのものだ。その程度のメニューは誰だって作れる.......」
実際その通りだった。
コイツには無限の可能性がある、それを俺を潰すなんて事はあってはならない。いくら俺には無いもので手を伸ばしても、どれだけ頑張っても手に入らないものだったとしてもそれを曇らせる事だけはしたくない。
だから俺は余りにもしつこいテイオーに最低でもとメニューを渡しておいた。
メニュー自体は大した事はない、ただ変な癖を付けないように負担のない走りと少しでもレースに耐えれる身体を作る為のトレーニング方法だけを書いておいた。
この程度は中央に来ているトレーナーならば誰だって作る事が出来るだろう。
「俺はたずなさんに呼ばれてるんだ、良い子だから離してくれ」
「それなら.......でもでも絶対にボクのトレーナーになってもらうからねっ!絶対だからねっ!」
名残惜しそうに掴んだ服を離す。
元気よくぴょんびょん跳ねて走っていくテイオー。
あぁ、本当にままならない。
俺には眩し過ぎるよ。
テイオーの事は別に嫌いじゃない、夢に向かって頑張る姿は寧ろ好感が持てる。
でもどうしても、テイオーの持つその輝きが。
相変わらず俺はテイオーの事を直視出来ない。
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「おはようございます、お疲れ様です。特導トレーナー」
「おはようございます。たずなさん」
テイオーと別れた俺は本来の目的であるたずなさんの元へ尋ねに来ていた。
どうぞ、と置かれたお茶には手を付けず俺はたずなさんの方へと向き直った。呼ばれた理由は明白だ。
「そろそろ次の担当は決まりそうですか?」
「.......申し訳ございません。まだ決まりそうにないのが現状です」
「では我々が担当ウマ娘を見付けられるように手配しましょうか?ご存知かと思いますが、もうそろそろ担当を見付けて頂くか何処かのチームにサブトレーナーとして起用されるかして頂かなければ.......」
「ええ、重々承知です。私の為にそこまでしていただくのは大変申し訳ないので、担当は自分で何とかしたいと思っています」
中央のトレーナーは言わずもがな高給取りで、その数も極端に少ない。
だからそのトレーナーを遊ばせておく余裕はないのだ。
何の担当もないトレーナーは強制的に飛ばされるか、何らかの仕事をする事になるのだが俺は既に担当をしたウマ娘を駄目にしている。
そんな出来損ないのトレーナーは時期を過ぎれば実質解雇となり此処を去ることになる。
俺はここを去るべきなのだろう。
未来あるウマ娘の才能を潰して、輝かしい未来を無かったことにした俺は本来であれば此処に居るべきではない。
じゃあ何で俺は此処にいるのか。
辞めようと思えば直ぐに辞めれるのに、担当を持たず仕事もまともにせず、ズルズルと先延ばしにして俺は意味もなく此処に留まっている。
分かってる、そんな事は俺にだって分かってる。
でもそれを認められなくて、諦められなくて。
でもだからと言ってそれを認めた所でテイオーみたいに本物はいる、だから俺がどうしたって意味が無いように思えてしまって。
「そうですか。でも我々も貴方には期待しているんですよ、酷な事を言うようですがどうしても芽が出ないウマ娘はやっぱりいらっしゃいます。ウマ娘は本能的にレースを、走る事を好みます。勝つウマ娘も入れば負けるウマ娘もいる、どうしてもレースに向かない娘もいます。いくらトレーナーが優秀だからと言って階段飛ばしで勝てるだなんて事は殆ど有り得ませんし、努力が必ず報われるとも限りません。どうか気になさらないで、とは言いませんがそう言うものなんです」
分かってる。そんな事は分かっているんだ。
どうしても芽が出ない、才能がない、努力しても上手くいかなかったり、運が無かったり。
レースは絶対じゃない。此処は現実である程度数字で管理出来たとしてもゲームではないのだから単純な数値では測れない世界だ。
でもそれを実力で成し得るトレーナーがいる、そしてウマ娘がいる。
だからこそ俺は認められない。
それが当たり前だとしても、己の実力で乗り越える理不尽とも言えるその才能を知っているから。
だからこそその当たり前を享受する事を受け入れられない。
「そう言えばトウカイテイオーさんが特導トレーナーを専属にと強く希望を出されていますが.......」
「私がトウカイテイオーを自分から専属にする事はないです。勿論絶対しないとは言いませんが、今の所はそのつもりはないですね」
少なくとも俺がテイオーという天才を受け入れる事は出来ない。こんな私情に流されまくっている俺がテイオーという才能の塊を育成出来るとは思えないからだ。
そうじゃなければ普通に担当を喜んで受け入れていたかも知れない。
でもたずなさんも言った通り、中央はトレーナーを遊ばせる程の余裕がないので場合によってはある程度のフィーリングがあれば専属を持たされる事がある。
勿論ほぼ強制ではあるが拒否権はあるし、ある程度トレーニングをして合わないと思ったら解消することも出来る。
だから俺もそろそろ決断しなければならない。
ズルズルと引き伸ばしていたがそろそろ潮時だ。
辞めるか、それとも担当を持つか。
そうして俺はたずなさんに頭を下げ部屋を後にした。
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ふぅ、と息を吐く。
もう何年もこういう事を言ってきた。
やはり中央に来るだけあってトレーナーは新人であろうとも皆非常に優秀だ。
でもだからと言って最初から結果が出る程レースは甘くない。
勿論それはトレーナーも分かってるだろう。
言い方はとても悪いが勝てないウマ娘が殆どで、中央を結果を出せずに去るウマ娘なんてごまんといる。
寧ろそれが殆どで結果を残せず卒業する方が稀なのだ。
手元の資料に目線を落とす。
特導 翔。
筆記は文句無しの満点、コーチング能力も優秀で試験時の仮コーチングも非常に高い評価点。
何よりも目がとても良くウマ娘の状態を視るのがとても上手い。
彼は文句なしで優秀なトレーナーで、中央と言えどそう居ない程のトレーナーだ。
でも、それでもやはりレースに絶対はない。
だから彼が担当したウマ娘が結果を出せずに辞めてしまったのは一重に運が悪かったとしか言えない。
模擬レース 芝2000m
1着6番 トウカイテイオー
2着7番 ----------------
2着との差は8馬身あり、彼の当時担当したウマ娘は2着になったウマ娘。
本当に運がなかったとしか言えない。
決して彼が担当したウマ娘が悪かった訳じゃない、ただ巡り合わせがたまたま良くなくて大敗し思うように結果が出ずそのまま.......
「ままならないものですね.......」
書き溜め?
なにそれ美味しいの?
角〇の魔法のiらんどの方も更新せねばなりませんので此方は息抜きです。
本作は作者のやる気によって更新スピードが左右されますので、良ければ感想お願いしますね!!!!