ソードアート・オンライン 風の道標 疾風の戦士 作:レベル1のスライム
「愛剣は壊れちまったからな、悪いけど囮になってくれよ。」
そう言うとユウはメインメニューのショートカットから予備の両手剣を1本取り出す。スキルMODのクイックチェンジだ。
(一か八だが…このまま殺されるよりマシだ!)
ユウが剣をボスめがけて投擲、同時に
「…あ、あレ…オレっち助かっタ…のカ?」
アルゴが目を開けると先程まで両手剣であったであろうポリゴン片が空中を舞っていた。
「ま、まさカ!剣を避雷針みたくしてアレを防いだって言うのカ!?」
「正解!エフィクトと麻痺効果からまさかとは思ったが…本当にコイツの
SAO内で起こる自然現象は現実のそれにかなり近いものだった。これは
「ディアベル!
「任せてくれって…さっきみたいな事そう何回も出来ないだろう!それに[投剣]使いも居ないんだぞ!ここは一時撤退するべきだ!」
「いや、[投剣]使いならここに居る…
そう言うとユウは再びメインメニューを開く。そしてスキルスロット欄から[両手剣]を外し[投剣]をセットする。さらにストレージから何かを取り出し装備した。
「な、何やってんだヨ!そんな事したらスキルの熟練度がリセット…」
「そんな事は大した問題じゃない。熟練度が0になるかここで死ぬのか、どっちがマシかって話さ。ディアベルはああ言ってるけど、足止めがなきゃ逃げられないのはもう分かっている。けど怯ませさえすれば奴は何も出来ない。だったら話は早い、俺が奴を嵌め殺しにしてやる。」
そう言うとユウは指に挟んだ輪っか形の武器を投げた。光を纏った金属の輪は[投剣]スキルの初期技[シングルシュート]のシステムアシストに乗せられ
「この
この後の戦いは先程までの様子とは打って変わり、非常にスムーズに進んだ。ディアベルの指揮力と連携で危なげなく
いつの間にか麻痺から回復したキリトやアスナが復帰してからはボスのHPは見る見る削れて行った。
「モ…」
やがてHPを全損させたボスは短い呻き声とともにポリゴン片となり四散した。
「勝った!これにてアインクラッド第二層は攻略された!今回も死者は居ない!俺達の完全勝利だ!」
ディアベルが音頭を取ると、次の瞬間ボス部屋は歓声に包まれた。武器を投げ捨てて喜ぶ者、雄叫びを上げる者、お互いに肩を抱きあう者など反応は千差万別だった。ところでユウはと言うと…
「やってしまった…」
頭を抱えてうずくまっていた。
「ユウ、何してるんだ?どこか具合でも悪いのか?」
心配したキリトが声をかける。
「戦闘中も様子が変だったし…何か悪い物でも食べたか?」
「うっ…いや…その…僕、ゲームが白熱しすぎると言葉遣いが荒くなるっていうか…その、色んな人呼び捨てにしてしまって…、死にかけだったので…テンションが上がってしまったと言いますか…」
ゴニョゴニョと歯切れの悪く何か喋っているユウの所にディアベルがやって来る。
「ユウお疲れ様!また君に助け、」
「すみませんでした!」
「うおっ!どうした急に!?」
ユウが勢いよく頭を下げる。驚いたディアベルが後ずさらなかったら危うくぶつかる所だった。
「あ、すいません。その…戦闘中に何回かディアベルさんのこと呼び捨てにしちゃったなって。」
「あ、あぁそういう事か、別に気にしてないから大丈夫だ。それに俺は君に対して何か言える立場でもないからな。また助けられてしまったし、俺よりも判断が正確だった。結果今回も犠牲者は出なかったしな。今日のMVPは誰がなんと言おうと君だ!」
「ありがとうございます!」
こうしてアインクラッド二層ボス討伐戦は終結した。
「ところで…アルゴさんはどうしてβテストの時には居なかったボスの弱点が分かったんですか?」
「オ!そうだっタ!言い忘れてたヨ。」
二層から三層を繋ぐ往還階段を登る途中、アスナからの質問にアルゴが答える。
「これはもうディアベル達には教えといたんだけどナ…各階層にフロアボスのヒントが貰えるクエストが有ることが分かったんダ。まぁ所謂ボスクエってヤツだナ。」
「βテストの時にはそんなクエスト聞かなかったな。正式版から追加されたって事か?」
後ろで話を聴いていたキリトが口を挟む。
「そういう事になるナ。今回も偶々犠牲者は出なかったけド…毎回ああいった初見殺しがあると100層までに何人死んでもおかしくなイ。運営からの救済措置的な側面もあるだろうナ。」
「なるほど!そのクエストをクリアして私達の所までわざわざ攻略情報を届けに来てくださったのね!ありがとうございます!アルゴさん!」
「ニャハハハ!良いってことヨ!」
そんなような事を話している内に三層へ続く扉の前までたどり着く。
「さて、ここから先は第三層な訳だけど…どうする?」
「オイラは一度主街区に行って転移門の
「僕も主街区に行こうかなと思ってます。武器も無くなっちゃいましたし、スキルももう一度上げ直さないとなので暫くは攻略には参加できませんね。キリトさんは?」
「俺は主街区には行かずにクエストを進めようと思ってる。この層には大型キャンペーンクエストって呼ばれてるクエストがあるんだけど、何層にも渡って進める…って細かい事は後でいいか。取り敢えず報酬のでかいクエストがあるから先に進めようかなと。もしかしたらフロアボスに繋がるヒントが貰えるかもしれないしな。」
「なるほど。アスナさんは?」
「私は…そうね…キリト君について行こうかしら。この世界を生き抜いて行くのに私にはまだ分からない事が多すぎるの。また色々教えてもらう事にするわ。ね?キリト君?」
こうして4人は三層への一歩を踏み出したのだった。
次の日
第三層 主街区《ズムフト》
3本の巨大樹をくり抜かれてできたこの街には街開き翌日ということで数多くのプレイヤーが観光地、あるいは攻略の拠点として訪れていた。
「それで、話とは何だ?キバオウさん。」
賑やかな外とは打って変わり落ち着いた雰囲気のレストランには2人以外の客は居ない。到底レストランの雰囲気には似つかないトゲトゲ頭のちょび髭男と青色の髪の青年だ。
「わざわざ呼び出してすまんかったな。ギルド結成クエストを始める前にどーしても言わなアカン事があるんや。」
MMORPGにおいて定番となっているギルドシステムはSAOにおいても例外なく実装されていた。それがこの第三層にあるクエストをクリアする事で結成できるという。ただデスゲームと化したSAOにおいてギルドの重要性は高く、プレイヤー間の交流・協力がなければクリアは出来ないとディアベルは考えていた。そこで攻略組で1つの大きなギルドを作ろうとしていたのだ。
「率直に言わせてもらうわ。儂…いや、儂らはディアベルはんのギルドに入る気はない。」
「………と言うと?」
「別にディアベルはんのやり方が間違ってるとは思おてへん。けどな、これから先ギルドっちゅう皆で一枚岩なって頑張ろうっちゅう中で今のままでは妨げになるものがある、儂はそう考えとる。」
「ソレは…元βテスターとビギナー上がりとの溝の事か?」
ディアベルの勘は当たっていた。攻略組は今までディアベルのカリスマ性によってギリギリ成り立っているに過ぎなかったのだ。彼らは元βテスターに対してあまり好印象ではない。それがβテストの情報を鵜呑みにして挑んだ第二層のボス戦では何人か死にかけたことで、彼らの反βテスター感情はもはやカリスマだけでは纏められない程膨れ上がっていた。
「せや。かくいう儂もまだβ上がりの連中は信用しきれてへん。元βテスターと組むくらいなら攻略を辞めるゆーとる奴もぎょーさんおる。せやけどこんな所で戦力を減らす訳にもいかんのは分かっとる。そこでや、儂らでギルドを作る事にしたんや。儂らは儂らのやり方でこれからは攻略を進めていく。」
「そうか…皆のお陰で今まで俺はリーダーをやらせてもらっていた。けど俺だって元βテスターだ。俺に止める権利はない。分かった、そちらのギルドはキバオウさん、あなたに任せる。」
こうして攻略組はディアベル率いる
(クククッ…仕込みは順調だ…後はどう弾けるか…)
イッツ・ショー・タイム
第11話どうでしたか?感想お待ちしております。
そしてこちら二層ボス戦後のオリ主のステータスです。参考までにどうぞ。
yuu Lv.16
Skill 熟練度
投剣 3
体術 117
疾走 173
戦闘時回復 73
なお両手剣の熟練度は170弱だったそうです。(本人談)
さて、次回はリズベットさんが…出るかも?
次回 第12話「バグ」