ソードアート・オンライン 風の道標 疾風の戦士 作:レベル1のスライム
しかし真のボス[アステリオス・ザ・トーラスキング]の出現によって形勢は逆転する。
迫るキングに攻略組は…
最悪だ。出現したキングは本体の退路を塞いだ。
「全員退却!退却だ!」
「命を守ることだけを考えろ!」
ディアベルが指示を出す。
想定外の事が起きたら退却する。素晴らしい判断だ。
だが、
「駄目です!退路が塞がれてます!」
「それに麻痺者も多数!動けそうにありません!」
「っ!クソっ!」
このままでは全員麻痺になり殺される。
全滅にはならなくても被害は甚大になるだろう。
「うわぁぁ!」
また1人、2人と麻痺者が増える。
この状況を打開するためには…
「ユウ!アスナ!まずは敵の数を減らすぞ!」
「大佐に
「「了解(です)!」」
パァァン!
「次!新手の注意を引き付け…」
取り巻きの[ナト・ザ・カーネルトーラス]を倒し、状況改善を試みたキリトであったが、
「しまっ…」
ブレス攻撃が飛んできた。
「しまった!」と言い終える前にキリトに直撃する。
「うわぁ!」「きゃあ!」「のわぁ!」
続いてユウ以外の3人も巻き添えを喰らう。
持ち前の俊敏値でギリギリ回避したユウも転んでしまった。
「皆さん!くっ…」
キングが近づいて来た。無慈悲な拳が迫る。
このままでは全員…
「はああぁぁ!」
ドオォォン
部屋全体に鈍い音が響いた。
「大丈夫か!?」
ディアベルだ。間一髪のところで間に合った。
「こないだの借りは返したぞ!」
「ディアベルさん!ありがとうございます!」
「それより撤退を!キングの注意がこっちに向かっているうちに早く!」
「分かっている!」
嬉しい誤算だ。キングが扉から離れて退路ができている。
「全員麻痺した者を連れて退却だ!パワー型なら2人は連れて行け!」
「それでも手が空いてるものはこっちを手伝ってくれ!」
「死んでも死人を出すな!」
「「「オー!」」」
次々と撤退を始めるプレイヤー達。
こちらにはエギルが駆け付けてくれた。
「俺は2人持てる。ユウとディアベルさんは一人ずつ持ってくれ。」
「わかった。よし!行くぞ!」
無事全員が退却できる。誰しもがそう思った。
しかし、現実はそこまで甘くなど無かった。
「モ♪モ♪」
[アステリオス・ザ・トーラスキング]が立ち塞がる。
ここから扉までは対角線上だ。
「クソっ!後少しなのに!」
遅れて[バラン・ザ・ジェネラルトーラス]も近づいて来る。
「万事休すか…」
ディアベルが諦めた声で言った。
エギルも眉間にシワを寄せている。
しかし、
「ディアベルさん…僕に任せてくれますか?」
まだ諦めていないものも居た。
「っ!そんな事言ったってボス2体に勝てる訳がないだろう!」
「そうだ!無茶はやめろ!」
が、ディアベルとエギルは反対する。
「そ、そうだぞユウ。無茶な事はするな。死ぬぞ。」
エギルの背中に乗っかるキリトも反対してきた。
「ですが、ここに居る全員が死ぬよりはマシです。」
「犠牲を少なくするにはこれしか…」
「なら、俺たちも協力するぞ!2人なら負担が減らせる!」
「な?意地を張らずに!ほら!」
エギルは一人で残らせる事は絶対にしたくないようだ。
どこまでお人好しなのだろうか…
「駄目です!4人を運ぶ人が足りなくなってしまう!」
「僕は筋力値が低いので持てません。ですが、ディアベルさんの筋力なら、ギリギリ2人運べるでしょう。」
「僕が残るしか…ないんです…」
確かにディアベルの筋力値でなら2人運ぶ事ができる。
そして、ディアベルも頭はよく回る方だ。
それが最善の選択だと瞬時に理解した。
「わかった…頼んだぞ…」
「行きましょう。エギルさん。」
「お、おい!」
エギルはまだ納得していないようだったが、ディアベルが無理矢理連れて行く。
「さてと。これは骨が折れそうだ。」
「20、いや30秒くらい稼げばいけるか。」
「やってやる!」
「30秒!よし!」
無事全員退却できたみたいだ。
扉の方へ振り向く。
しかし、そこで絶望することになる。
「しまった!回り込まれた!」
自分が逃げる用の道は確保できるように立ち回っていたのだが…
「どこまでも厄介な奴だな。」
(助けは…無理か。あの距離なら部屋に入った瞬間、ブレスだ。)
「1人で倒すしかないか…。」
とは言っても、まだキングのHPは4本残っている。
将軍も1本半はゆうにある。
助けに入ろうとすればブレスで即麻痺。回復POTは底をつきかけている。武器の耐久値もそろそろ無くなる。
幸い予備が1本あるが、スペックは1段落ちる。
「絶望的…だな…」
そう。絶望的だ。1人なため麻痺を喰らえば集中攻撃、即御陀仏だ。
「僕のダメージ量だと1時間はかかる。」
「攻撃を捌きながらの1時間…死闘になるな。」
攻撃をかする事さえ許されない、
絶望の死闘のゴングが鳴り響いた。
第9話どうでしたか?
果たしてユウは勝つことができるのでしょうか?
次回第10話「死闘」
お楽しみに!