ウマ娘 チーム〈ナルカミ〉とURAファイナルズ! 作:朝界二
飽きなければ書き続けます。
――日本ダービー。
トゥインクル・シリーズの中でも最高峰のレース。
最も歴史と伝統、そして栄誉のあるこのレースには一生に一度しか出走が叶わない。
同世代のウマ娘たちが夢見て、憧れ、そして数多の傑物がその夢に敗れてきた。
『ダービーウマ娘』になるには、その屍の頂点に君臨しなければならない、が――
「――残り200m! 外からルドルフ! 外からルドルフっ! 外からシンボリルドルフが来るーーっっ!!」
シンボリルドルフに、そんな心配はいらなさそうだ。
「ちっ」
思わず舌打ちする。
そのせいか、観客席で前の人がこちらを見てくるが、イライラしてる俺の顔にびびったのかすぐレースの方に向き直した。
だが、明らかに隣や後ろからも目線を感じる。
正直居心地が悪い。
「はぁ……」
このレース、もう観なくてもいいな。
どうせシンボリルドルフが勝つだろうし。
途中苦しそうだったが、第4コーナーで外に回った時……いや、いいか。
興味無いしな、レースなんて。
俺は、シンボリルドルフが負けるところが見たかっただけだ。
勝つところなんて、別にどうでもいい。
「わぁ……!」
帰ろうとしてると、自分より最前列でレースを見ているウマ娘が声を上げた。
小学生くらいだろうか。
目をキラキラさせてはレース……いや、シンボリルドルフだけを追いかけて見ている。
へぇ……いつかこの子、大物になりそうだな。
って、いかんいかん。
相変わらず無駄に
「……これも全部アイツのせいだ」
俺は、シンボリルドルフが嫌いだ。
ああ、いや、うん。
違うな。
彼女自身は嫌いじゃない。
ただ、彼女を育てたトレーナー――親父が嫌いなんだ。
「――シンボリルドルフ、今ゴールイン! 見事に17人のウマ娘を従え、6連勝! 無敗で二冠を制しました!」
歓声が鳴り響く。
気付いたらレースが終わってしまった。
帰ろうとしたのに、最後まで居てしまったな。
「……ん?」
レース直後で疲れているだろうに、シンボリルドルフはわざわざ観客席に向けて、右手の二本指を堂々と突き上げた。
直後、先ほどの歓声が赤子のものと思えるほどの大歓声が会場全体を襲う。
……新たな『ダービーウマ娘』の誕生に、無敗で二冠達成。
きっと、シンボリルドルフはクラシック最後のレース、菊花賞でも優勝して、史上初の無敗でクラシック三冠を達成するだろう。
「……帰るか」
未だに歓声が鳴り止まない中、俺は人混みをかき分けながらレース場を離れた。