♯1-1 闇を継ぐもの
突然だがこの俺、マドカ ツバサは転生者だ。当時高校3年生だった特撮オタクの俺は、学校帰りにトラックに轢かれそうになった子供を助けた。のは良かったが、自分が轢かれ死んでしまった訳だ。
で、それを見ていて可哀想に思ってくれた神様は元いた世界と似た様な世界で転生させて別の世界でもう一度人生を歩ませてくれた。
具体的に何処が違うのかと言われれば
転生する直前、神様が特別な力をくれようとしたらしいんだけど失敗した事を教えてくれた。何やってんだ神様。ってか特別な力って何なんだ?考える間もなく転生し、気がつけば中学校3年生の時にこの世界の両親が他界し、高校2年生になった。時が過ぎるって早いなぁ。
…そろそろ現実逃避を止めようか。今僕の目の前に広がる光景、ビルは破壊され、あちこちから火の手が上がり、逃げ惑う人々。この地獄絵図は全て、この1時間前に現れ此方へ歩みを進めるジョーモノイドによるものだった。
【1時間前 9月7日 08:30 学校 HR教室】
?「朝から疲れた…。今日も朝から熱烈だったよ…。」
また朝から校内の女子生徒に追われていたのは幼なじみのイルマ マホロバ。身長約170cm、スタイル抜群、そして中性的な顔立ちをしたイケメン女子だ。
ツバサ「朝から大変だね、学園の王子様は。」
マホロバ「女の子には興味無いんだけどな。しかし、私の何処が良いんだろうか?」
ツバサ「顔と言動じゃない?」
マホロバ「顔、はまぁ自信あるけど言動?」
ツバサ「ほら、なんて言うか、少女漫画のヒーローが言いそうな事サラッと言うじゃん。男から見てもマホロバの容姿と相俟ってかっこいいと思うしね。」
実際、今僕はクラスの女子と彼女を狙っている男子からティガフリーザー並の冷たさとベリアルやトレギア並の怨念の籠った視線を浴びている。僕死ぬんじゃないか?
マホロバ「…かっこいい、か。」
ツバサ「? どうしたの?」
マホロバ「いや、なんでもない。」
そう言った時だった。
ドゴゴゴォォォォォン!
学校の少し遠くで爆発が起った。
ツバサ「何だ!?」
マホロバ「とうとう来たか、この日が。」
マホロバが何か言ったようだがよく聞こえなかった。
窓から体を乗り出し外を見ると爆発が起ったであろう場所にはティラノサウルスの様な怪物が佇んでいた。
ツバサ「あれは…ジョーモノイド?」
実際に外伝を見た訳じゃ無いから確証は無い。しかもデカい。外伝の設定は30mだった。でも今目の前にいるジョーモノイドは50m位ありそうだ。まぁ、あれは作り話な訳だからあてにしてもしょうがないかもしれないが。
マホロバ「ツバサ…なんでその名前を…。」
ツバサ「え、あ、いや…そ、それより!早く逃げた方が良いんじゃないかな!?」
マホロバ「…後で聞くからね。みんな!あの怪獣の反対方向へ逃げよう!」
その声に動かされ動き始める生徒達。先生も一緒に逃げ始める。避難誘導しろよ。
校門を出た時だった。
生徒「おい!こっち来たぞ!」
ジョーモノイドが動き出し、此方へ向かってきたのだ。
マホロバ「ツバサ、私は一旦家に戻る。お爺様達の避難を手伝ってくる。」
ツバサ「…分かった。僕も何処に逃げたら良いか分かんないけど、また後で。」
マホロバ「うん。気を付けて。」
ここでマホロバと別れ僕は逃げ続けた。その間ジョーモノイドは火を吐き、尻尾で、身体で、街を破壊してまわる。自衛隊とか来ないかなぁなんて考えながら逃げていると、ジョーモノイドの身体の側面が爆発した。見ると自衛隊の戦闘機が。おぉ、噂をすれば影がさすってこういう事か。
そして約30分。逃げ続け分かった事が2つ。1つ目、何故かは知らないがあのジョーモノイド、現代兵器に対して耐久性が高い。2つ目、何故かは知らないがあのジョーモノイドは僕を追いかけて来ている。僕なんかしたかな?まぁ、いいや(良くない)。
追いかけて来るのなら、と 僕は街を離れるように逃げる。それにしてもこの街広い。さっきからちょくちょく止まりながら走っているがまだ街の外に出られない。
その時だった。目の前に見覚えのあるシルエットを見つけた。マホロバだ。
ツバサ「マホロバ!?お前、何でここに!?」
マホロバ「説明は後だよ。ジョーモノイドは私に任せて。」
ツバサ「はぁ!?おま、何言って…っ!危ない!」
マホロバ「え?っ!」
ジョーモノイドの攻撃が航空自衛隊の戦闘機に当たり此方へ墜落してきた。僕は咄嗟にマホロバの手を引き後ろへ飛ぶ。
ツバサ「うぅ…ぐッ!」
顔を持ち上げ周りを見渡す。周りは炎が舐めるようにはしり、ビルも崩れ、自分たちが無事で居られたのが不思議な程だった。
ツバサ「っ!マホロバ!マホロバ!起きろ!マホ!!」
昔の渾名で呼ぶ程に俺は動揺しているらしい。息はしている様なので気絶しているだけらしい。兎に角逃げよう。
キラッ
何かが光った。光った方を見るとそこには見覚えのあるアイテムが。
ツバサ「これって…スパークレンス!?」
スパークレンスを手に取る。
ツバサ「っ!」
黒い光が一瞬光ったと思えば手の中にあったスパークレンスはブラックスパークレンスへと変化していた。
何で、変わったんだ?取り敢えずカバンへ入れ、取り敢えずビルの合間へマホロバをお姫様抱っこで移動させ壁に凭れ掛かせる。
カバンからブラックスパークレンスを取り出す。ダメ元でやってみるか…いやいや、そんな軽い気持ちでやっていいものじゃない。
大体何故ここにスパークレンスが?
そう言えばついさっきマホロバが「私に任せて」って言ったけど、もしかしてマホロバが伝説の『ティガの一族』?
ーティガの一族とは、太古から地球を護ってくれている光の巨人の1人、ティガへ変身出来る一族の事。あくまでも伝説として語られていたが…。
マホロバを寝かせた方を見やる。起きる気配は無い。どうしたらいいんだ?起こした方が良いのか?伝説じゃあ他にも光の巨人は居るらしいけれど。でも伝説な訳だから居るかも分からないし、居たとしても復活してくれるとは限らない。
疑問もある。何故僕が触った瞬間ブラックスパークレンスへ変わったのか。
…考えても仕方ないか、分かる訳ない。
大きく息を吸って吐く。やってみようか。僕が触れた時にブラックスパークレンスへ変わったと言うことは、僕にも何かしらあると言う事…だと思う。知らんけど。ティガダーク自体は闇の巨人。でも、人は、自分自身の力で光に成れるから!
ブラックスパークレンスを天に掲げる。
ツバサ「ティガー!」
スパークレンスのカバーが開き、白と紫の稲光がほど走り、レンズから放出された光に包まれた。
光が晴れると僕の目線はビルの15〜20階位の高さにあり、右腕を上へ突き上げ、左腕は肩の位置で折り曲げたウルトラマンの巨大化ポーズでジョーモノイドの前へ立っていた。
腕を下ろし下を向いてみる。高いなぁ。ってか本当にティガダークだ。変身したからにはやるしかない!
ティガダーク「ジュワッ!」
俺はファイティングポーズをとった。