<Infinite Dendrogram> 王は今日ものんびりと自殺する   作:そらからり

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オラッ、連続投降じゃ
1話1時間で書いたからオラ頭疲れたぞ


Cside 巨人伝説~目撃者は殺された~ 14

■巨人と【巨人王】について

 

 【巨人王】最終奥義である《巨人の国(ヨツンヘイム)》は巨人を作り出すスキルである。

 

 かつては必要のない最終奥義であった。

 何故なら、巨人は既に存在していたから。

 他の種族同様に、独自の生態系を持ち、一種族として安定した生活をしていた。

 故に、致命的な欠点を持つ最終奥義を使う必要も無かったし、そもそも使ったところで生み出された巨人たちと既存の巨人たちは決定的に異なる存在であるから、使うことさえ躊躇われたのだ。

 

 そも、巨人種は怪力と耐久性に優れた種族。

 そう簡単に他種族には負けないし、モンスターとも十分に渡り合うだけの力を持っていた。

 

 だが、ジョブの台頭により、そのバランスは一気に崩された。

 元来のステータスなど、ジョブによる補正の前では誤差にしかならず、その巨体は狙う場所が増えただけ。

 妖精種にとっては格好の的となり、戦の末に敗れ、滅ぼされることとなった。

 

 そしてここからが分岐点。

 初代【巨人王】――《巨人の国》を初めて使った【巨人王】は悩みに悩んだあげく、ほとんどの巨人が死んだことを察して漸くその最終奥義を唱えた。

 

 その効果こそは悍ましきもの。

 まずはデメリットから。

 他の超級職であれば確定の死が与えられるが、《巨人の国》は幸か不幸か、命が失われるような類のものではなかった。

 だが、確実に生命を削られるものではあった。

 巨人にとっての生命線……それは大きさ。

 

 大きさを代償に使用する最終奥義。

 使えば使う程に小さくなり、やがて彼らにとって忌まわしき妖精と同じ大きさになってしまう多大なるデメリットを孕むスキルである。

 

 だが、その効果は、最終奥義に相応しく、大きい(・・・)

 

『自身の大きさを代償にして、非人間範疇生物を巨大化、あるいは巨人へと変容させる』。

 

 つまりは、人間以外の生物を巨大化、あるいは巨人に変えるスキルということになる。

 このスキルを使えば、巨人1人の背丈が少しずつ削られるが着実に巨人族が再興するであろう。

 

 ……そう、初代の【巨人王】は安楽的に考えていた。

 《巨人の国》を発動する瞬間までは。

 

 だが、現実は非情である。

 そもそも、スキルで誤魔化しただけの巨人。

 種族としても巨人となってはいるが、その知性は元となった生物に由来されてしまうし、なによりも既存の巨人とは異なる点が、あまりにも大きすぎた。

 

 そう、大きすぎたのだ。

 

 果たして巨人の大きさとはどのくらいか。

 答えは、15mがせいぜいといったところだ。

 

 だが、《巨人の国》で生み出された巨人たちは、自身を従えるはずの【巨人王】や生き延びた巨人らを嘲笑うかのような大きさとなる。

 小さいな、と抱えられるという悪夢のような現実を見させられた。

 15と、30m越えの巨人。稀に少しだけ小さい巨人も生まれるが、それでも既存の巨人よりも小さくなることは無かった。

 

 同じ巨人なのに、大きさが違う。

 あまりにも種族として、異なりすぎる。

 ――相容れるわけがなかった。

 

 生き延びた巨人らの多くは出奔した。

 このまま悪夢を見続けることは出来なかったのだ。

 

 だが、初代【巨人王】だけは違った。

 生み出された巨人を見て、自身よりも巨大な巨人を見て、これならば……とも思ってしまったのだ。

 愛着とも違う。

 親心とも違う。

 だけど、生み出した責任は取らねばと。

 作り出してしまったからには、最後まで面倒を見なくてはと。

 

 《巨人の国》にちなんで、巨人の国を作り出すことを決意したのだ。

 

 そうして、最終奥義を使い続け、自身の背丈が妖精種となる頃には事情を知らぬ巨人や、あるいは本当に何も知らない巨人以外のティアンを見繕い、【巨人王】に仕立て上げた。

 不思議なことにというか、順当にというか、生み出された巨人は【巨人王】にはなれなかった。

 元が非人間範疇生物であるからなのか。

 あるいは、彼らが巨人のために身を捧げることなど決して無いからなのか。

 

 今日に至るまで【巨人王】の負のサイクルは回り続けた。

 禍根が残ろうと、納得がいかなかろうと、【巨人王】は巨人の国を存続させ続けた。

 

 そしてその連鎖もようやく終わりを迎える。

 最後の【巨人王】の誕生とともに。

 

 

 

 

■【巨人王】ゼロムス

 

 壮観だ。

 闘技場の素材に棲み続けた彼らを材料にして作り上げた巨人。

 知性を感じさせないのは、まだ作り出されたばかりだからだろう。

 

『oooooooooooooooooooooooooooooooo』

 

 巨人は叫ぶ。

 その怒号は雲を裂き、地を震わせる。

 

 ……自分で作っておいてなんだけど、あまり長生きはさせたくないものさ。

 まるで先代に伝え聞いたUBM……ティタンゴールのようさ。

 容易く世界を滅ぼしかねない怪物。

 願わくば、敵と相打ちになってもらいたいものさ。

 

「――! ゼロムス! これはどういう……」

「……クリアントさ。よく僕を見つけられたさ」

 

 もはや立っていることすらできない。

 巨人の歩みとともに揺れる大地は、僕にとっては大きすぎる。

 微小なダメージが入り続け、危うくキシリーに【巨人王】を渡す前に死んでしまうところだったさ。

 クリアントの掌に乗せられた僕はさぞかし哀れに映っているだろう。

 

「偶然だ。……それよりも。あの巨人はいったい何なんだ。お前の言っていた、【巨人王】のスキルなのか?」

「そうさ」

 

 僕はクリアントとキシリーに《巨人の国》について説明する。

 

「悪かったさ、今まで隠しておいて。巨人たちの目があるうちは言えなかったのさ」

「何故……。巨人たちは何故、あまり【巨人王】であるお前に従う素振りを見せないんだ」

「言ったさ。僕は奴隷だって」

 

 さて。どこまでを説明していたのだったか。

 ああ、そうそう。

 キシリーの為にもこれだけは言っておかないとさ。

 

 彼女の心は脆く砕けやすい。

 だからこそ、巨人を殺してしまったなんて勘違いをさせたままではいたくないものさ。

 

「非人間範疇生物って何か分かるさ?」

「人間でない……生物ってことだろ」

「当たりのようで遠回りさ。もっと単純な言い方があるさ。モンスター、と」

「……! ならあの巨人は……いや、そもそも此れまで出会ったアイツらも」

「うん。全部元はモンスターさ。《巨人の国》で巨人になれた、モンスター」

 

 

 

 

■巨人と【巨人王】について

 

 《巨人の国》を使用するにあたって、どのモンスターでも良いわけではなかった。

 あまり知恵の高いモンスターではレジストされる可能性が高いし、元の性質を持ち越しやすい。

 竜種の巨人などが作れれば、巨人の未来も安泰であったが、同時に竜種の巨人以外の人権が失われる可能性もある。

 もっと単純な、原始的なモンスターこそが巨人を作るのに相応しかった。

 

 そして、その相応しいモンスターとは、エレメンタルであった。

 実体のない不定形生物。

 彼らこそが、巨人になった時、最も巨人であることを受け入れるモンスターであったのだ。

 

 そうして、生み出され続けたエレメンタル由来の巨人であったが、一つだけ彼らの特性に問題が起きたのだ。

 それは、巨人で在ることの拘り。

 元が実体のない、形の無いモンスターだったからであろうか。

 巨大な人間の姿というのは、彼らにとって理想的な姿であったようだ。

 

 だからこそ、二度と手放してたまるかと、彼らはモンスターに戻ることを拒んだ。

 手に入れた大きさを失うことを恐れた。

 

 その考えがあったからこそ、【巨人王】の言葉にも多少は耳を傾けることもあったのだが、彼らは【巨人王】のことよりも、【巨人王】が居ることを大事とした。

 

 だからこそ次代の【巨人王】候補が現れた時、逃げられぬように囲った。

 だからこそ次代の【巨人王】候補が現れた時、余計なことを吹き込まれぬよう、【巨人王】の言動に注意を払った。

 全ては巨人の国存続のため。

 全ては自身が巨人で在り続けるために。

 

 【巨人王】は巨人が巨人であるための奴隷であったのだ。

 




これで巨人関係はあらかた出したので、あとはバトルと敵についてだな
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