<Infinite Dendrogram> 王は今日ものんびりと自殺する 作:そらからり
wikiは一応読んでるけど読み込んでは無いのですよ……
明かな矛盾あったら教えてちょ
後出しで設定出すためにあえて触れなかったりするところもあるので、説明が難しいのもあるけど。というか、普通にどこで設定の説明書けばいいか悩んだあげく書き忘れてたりが多くて読みづらくなっていますわ
■【魔法少女ω】クリアント
「それならもうここには無いですよ」
「え、無い……?」
老人の言葉に固まるフィリップ。
落胆混じりにつく溜息が何とも言えない悲しさを物語っている。
「……はぁ。スキルが上手く発動していなかったのかな」
「宝を探すスキルだったか」
「うん。大まかにだけどね。距離が離れる程に正確性は無くなっていくけど……まさかここに無かったとは」
フィリップは特典武具を探し出すスキルを持っている。
それと似たようなものだろうかとクリアントは考える。
「全く外れというのもあるのか?」
「そのようなことは今までに無かったんだけどね。うーん、せっかく大金をはたいてここまで来たのに」
「せっかくだから観光しましょうよ、観光! あの雲の綿菓子なんて美味しそうですよ! 水に溶かしてくれますかね。ドロドロになるくらいまで」
「それはただの高濃度砂糖水だ」
現在クリアント達が立っている場所は雲の上。
天上の世界、とも呼ばれる天空エリア【スカイ・クラウド】に彼らは来ていた。
空を移動する手段がないという理由から3つの宝の所在地の中でも最も難易度が高いと思われていたこの地。
【魔法☆少女】を巡る儀式にて手に入れた新たな力である魔法少女シリーズのスキルを以てしても流石に空を自在に駆けることは出来ない。
唯一、彼らの中で飛行が可能であるのは『背に翼を生やす少女』というエンブリオを持つクャントルスカであったが、上空1000m超えの位置までの上昇は不可能。
時間とMPはかかるが、ノーチラス号でも移動は出来るとフィリップは言っていたが、初見かつ強力なモンスターの多い空を移動するのにノーチラス号では心もとない。
海中ではそれなりに無双しているノーチラス号であっても、空中ではそのスキルや攻撃手段の大半を失うようだ。魚雷は放ったところで真下に落ちていってしまう。
ならばどうするか。
クリアントの超級職への転職も視野に入れた冒険であったため、そちらを優先しようかとフィリップは提案した。
だが、未だクリアントに【自殺王】の条件を満たしたというアナウンスは来ない。
一定数の自殺数という条件を満たすほど、彼は自殺をしていないようだ。
ならば、数を稼ぐわけではないが、旅を続ける中でどんどん死に、条件を満たそうという話になった。
故に、話は振り出しに戻る。
どうやって【スカイ・クラウド】へと昇るか。
「それって結構上にあるんだよね」
と、クャントルスカはフィリップに確認する。
概要は伝わっているが、何が欲しいのか、どこにあるのかの詳細は未伝達であったようだ。
「うん。空を飛ぶモンスターの縄張り……その少し上くらいかな」
移動手段と、モンスターを掻い潜る戦力。
そのどちらをもクリアしなければ、【スカイ・クラウド】へは辿り着けない。
「なら、人に頼るのはどうかしら?」
クャントルスカのエンブリオであるモーちゃんがそう言いだす。
その視線は相も変わらずクリアントへと向いているが。
「人……ね。生憎と私は顔が広い方では無くてね。でなくても、プレイ時間の大半が海の中だったから。海中に詳しくても空中に詳しい〈マスター〉や〈ティアン〉に心当たりは無いね」
「俺も同じくだ」
「先輩は海中も空中も地中も詳しい知り合いはいないですよね」
「いや、地中は海中以上に行ける場所じゃないけどな。水圧よりも押しつぶされて死ぬぞ」
「あ、それいいじゃないですか。瞬間移動系のスキル持っている人に地中に送り込んでもらいましょうよ」
「それ他殺じゃ……?」
すぐに話を脱線するクリアントとワンプを置き、フィリップ達は話を進めていく。
「私の知り合いに空輸クランのメンバーがいるんだよ」
「空輸クラン……というと、あのクラン……〈アライアンス〉か」
「うん。〈ウェルキン・アライアンス〉。あの人たちなら協力してくれるんじゃない?」
つまりは、空中戦闘を得意とする者達に護衛を頼むということだ。
餅は餅屋。
空のことなら空に住まう者達に。
空中移動系、戦闘系のエンブリオやテイムモンスターを使い空輸や旅客を扱う空のプロ。
それが〈ウェルキン・アライアンス〉というクランである。
「お金が心配だったら割引してくれるか相談してみるね! 前に一度好きって言ったことあるんだけど、不思議とその後からお願いは聞いてくれるんだ」
「何も不思議ではないね」
「きっと恥ずかしがっているのよ」
クャントルスカが線の繋がっていない受話器を取り出す。見たことの無いアイテムだが、電話をかけるためのものらしい。
クャントルスカはそれを使い、〈アライアンス〉のメンバーに通話をする。
ワンコールで繋がった彼(彼女)にクャントルスカは手短に伝える。
「あ、フォール君? 今どこにいる? ……うん、……うん」
『――』
「そっか。じゃあ、今すぐに来てくれるかな? 場所は――だよ」
『――!』
「うん。そうそう。大好きだよフォール君。え、本当に?」
『――!?』
「ありがとう! 人数は5人だよ。フォール君がいてくれて助かった」
そのまま通話を着ると、クャントルスカは笑顔のまま振り返る。
「快く引き受けてくれたよ!」
クリアント達は内心で嘘付けと思ったがそれは口に出さず、感謝を伝える。
「旅客用の従魔も持っているから、フォール君に【スカイ・クラウド】まで連れて行ってもらおう」
「ところで君は【スカイ・クラウド】がどの国の上空にあるか知っているのかい?」
「ううん、知らない」
「ようし、ならば教えよう。実は、【スカイ・クラウド】は移動式の空中エリアだ。有名な〈アライアンス〉同様に、雲の上にあると思ってくれていい」
その名の通り、空の雲。
空を漂う雲となり、常に移動し続けるエリアのようだ。
「まあ場所自体は私が把握しているんだけどね。今日は風の流れが良いようだ。【スカイ・クラウド】はレジェンダリアの上空に来ているよ」
【スカイ・クラウド】とは空中エリアであるが、そこにモンスターは活動していない。
戦闘エリアではなく、生存エリア。
空の民である鳥人族の群れの一つが治める領地なのである。
空を駆けるモンスターも【スカイ・クラウド】へは近づかない。
【翼神】と呼ばれる英雄を始めとした、空中での戦闘を可能とする数多くの鳥人族が支配する雲への侵入は自殺と同義であるとモンスターは知っているからだ。
「あ、こっちこっちー!」
間もなくして、従魔らしき天馬が引く馬車が空から降りてくる。
その中から1人の〈マスター〉が降り、苦々しい顔をクャントルスカへと向けた。
「クャントルスカさん……これでも忙しい身なのですが」
「そうだよね! それでも来てくれるフォール君のこと好きだよ!」
「……」
好きだよ、と言われた〈マスター〉――フォールは顔を赤くさせる。
「……で、どこに行くんです? あまり遠出になるとクランに迷惑がかかるのですが」
「【スカイ・クラウド】」
「……は?」
「私達、【スカイ・クラウド】に行きたいんだ」
「マジすか」
「あ、場所は私が知っているよ。このまま南西に向かって20キロ、上空は分からないけど、まあそこまで近づけば大丈夫だろう」
「マジすか」
溜息をつき、彼は馬車の扉を開ける。
「分かりました。輸送クラン〈ウェルキン・アライアンス〉のフォールがこの仕事承ります。……料金は高くつきますよ?」
「あ、お金心もとないみたいだから割引して欲しいんだって!」
「……マジすか」
扉を閉めようとするフォールであったが、急に耳に手を当てると1人で会話を始める。
「……あ、オーナーですか。はい、はい……え、あ、はい。……分かりました」
そして、諦めたように再び扉を開ける。
「流石オーナー、耳が早い……のはともかく。クャントルスカさん、貴方過去にオーナーに何をしたんですか。無条件で従えとか、オーナーが言わなそうなことを言い出したんですけど。偽物かと疑いましたよ」
「ケイデンス君のこと? うーん……全然心当たりが無いけど。そういえば、なんでか好きになったのに必殺スキルが発動しなかったんだっけ」
「ええ、そうよ。こんなに好きなのに、愛させてくれなかったわね」
ケイデンス、というのが〈ウェルキン・アライアンス〉のクランオーナーなのだろう。
クャントルスカは顔が広いなとクリアントは感心する。
「……えーと、そちらのお姉さんが言っていたのが確かなら30分もしないで到着すると思うんで。まあこの一帯のモンスター程度なら私で問題ないので危険もそうないかと」
「頼りにしている。ちなみに俺はその馬車から落ちるのが一番危険だと思っているぞ」
「なんでそんなに自信満々に言うんですか。……あ、いえ、深くは聞かないです。クャントルスカさんの仲間というくらいの認識でいさせてください。私のこともタクシーの運転手くらいの感覚で」
全員が馬車に乗り込むと、フォールが天馬に指示を出し、空へと駆けさせる。
クリアントにとっては初の飛行である。
上空数百mも昇らないうちににモンスターの群れが馬車を囲まなければ、素直に楽しめたであろう。
全国のフォール君のファンへ
ぶっちゃけ人物像が分からなかったです
敬語使うのかー、くらい
微調整しました。
クャントルスカの通話→アイテム(特典武具予定)
フォールとケイデンスの通話→ケイデンスの風魔法